アナリストの忙中閑話【第80回】

アナリストの忙中閑話

(2018年1月25日)

【第80回】異色の展開となったGG賞、日米アカデミー賞ノミネーションとロボットアニメ

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

1月7日にビバリーヒルズで開催された第75回ゴールデングローブ賞の授賞式は異色の展開に

1月7日の日曜日(現地時間)に米カリフォルニア州ビバリーヒルズで開催された第75回ゴールデングローブ賞(GG賞)の授賞式は異色の展開となった。

アカデミー賞の前哨戦とされるゴールデングローブ賞の授賞式は毎年、セレブが華やかな衣装で登場することで有名だが、今年は大半の参加者が黒一色に染まった。セクハラ問題への抗議として、プレゼンターを含め、出席者の多くが黒いドレスやスーツ・シャツの黒装束でレッドカーペットに登場したからだ。

2017年10月にハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏(65)が若手女優、モデルにセクハラを繰り返していたことが発覚。「#MeToo(私も)」のハッシュタグを付けた告発は政財界やスポーツ界へも広がった。モノトーンの黒服を着てGG賞授賞式に出席する動きは、女優のメリル・ストリープさん、エマ・ストーンさんら300人以上が参加し、セクハラを黙認する時代は終わりという意味を込めたキャンペーン「Time’s Up」が1月1日にスタートしたことに連動している。

人気司会者オプラ・ウィンフリー氏の2020年の米大統領選出馬観測が急浮上

実は、今回のGG賞授賞式が受賞作品とは別にメディアの注目を集めた要因はもう一つある。

7日の授賞式で、功労賞のセシル・B・デミル賞を黒人女性として初めて受賞した人気司会者・女優・実業家・プロデューサーのオプラ・ウィンフリー氏(63)が「人生には醜いことも起こるが、新しい日はすぐそこまで来ている」と絶叫調で訴えた約9分間のスピーチは、総立ちの拍手を浴び、テレビや新聞等で繰り返し報じられた。ちなみに過去ハリウッドの大物俳優や監督らが受賞してきたセシル・B・デミル賞だが、3回もスタンディングオべーションを受けたのは彼女が初めて。

同スピーチを受けて、オプラ・ウィンフリー氏が2020年の米大統領選に民主党から出馬するのではとの観測が急浮上しているからだ。

本人は明言していないが、私生活上のパートナーのステッドマン・グラハム氏はメディアに「彼女は間違いなく出馬する」と断言。女優のメリル・ストリープさんも「選択の余地はない」とコメントしている。メリル・ストリープさんは、昨年のセシル・B・デミル賞の受賞挨拶で、実名は挙げなかったものの、大統領選に当選したトランプ氏を批判したことで、トランプ氏が「ハリウッドで最も過大評価されている女優だ」とツイッターで非難するなど、バトルが勃発したことでも有名。

ウィンフリー氏は不遇な環境で育ちながら、黒人として初めてビリオネアーになった立志伝中の人物

ウィンフリー氏は我が国での知名度は必ずしも高くないが、不遇な環境で育ちながら、黒人として初めてビリオネアー(億万長者)になった立志伝中の人物。1986年から2011年まで25年間続いたトークショー「オプラ・ウィンフリー・ショー」の司会で人気を確立。「最も尊敬する女性」を選ぶギャラップ社の昨年の世論調査では、クリントン元国務長官、ミシェル・オバマ前大統領夫人に次ぎ3位となった。

ウィンフリー氏が民主党候補として、2020年の米大統領選に出馬すれば、トランプ大統領の再選にとって大きな脅威に

ウィンフリー氏が民主党候補として、2020年の米大統領選に出馬すれば、トランプ大統領の再選にとって大きな脅威となるのは間違いないだろう。

昨年の民主党予備選で、民主党員でもないバーニー・サンダース上院議員が予想外に善戦したのは、トランプ氏同様、ワシントンの職業政治家に対する有権者の反発が大きいことの証左であった。かつてなら、公職経験のなさがウィンフリー氏の弱点となったであろうが、政治家も軍人の経験もない初の大統領の誕生で、制約要因ではなくなった。むしろ、ワシントンのアウトサイダーが強みとなりそうだ。

資金面も潤沢だ。ウィンフリー氏は自身のケーブルチャンネル「OWN」を所有する実業家でもあり、個人資産は3,000億円超(ブルームバーグ試算約37億ドル、WSJ試算約30億ドル)とされる。その人気から個人献金もバラク・オバマ前大統領同様、相当集まるとみられる。

昨年の大統領選では、民主党支持の女性に加え、黒人やヒスパニック等マイノリティーの投票率の低下も指摘されたが、ウィンフリー氏が投票を呼び掛ければ、オバマ氏以来となる大きなムーブメントを呼び起こす可能性がありそうだ。

問題は、米国では、女性が大統領になったことはなく、しかも、女性で黒人となればハードルが一段上がるとの見方もあることだ。ちなみにバラク・オバマ前大統領は、父親がケニア出身の黒人、母親は米カンザス州出身の白人のハーフである。

但し、支持率でいえば、ウィンフリー氏は少なくともトランプ氏よりも高い可能性が濃厚だ。また、米国では近年、非白人系の人口が増加していることから、女性やマイノリティーの投票率が上がれば、当選は十分可能とみられる。その場合は、2020年の議会選(上院は3分の1改選、下院は全員改選)にも大きな影響を与えることになりそうだ。

今年のGG賞受賞作品、女性と黒人の活躍が目立つ象徴的な年に

ちなみにゴールデングローブ賞(GG賞)は、ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)が主催し、テレビ、映画の優秀作品を選ぶもので、今年は、テレビドラマ部門の作品賞と主演女優賞(エリザベス・モスさん)は、近未来の独裁国家による女性の抑圧を描いた『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』が受賞。

テレビドラマ部門の主演男優賞には、『This is Us』のスターリング・K・ブラウンさんが史上初の黒人男性として選ばれた。

映画(ドラマ)部門ではマーティン・マクドナー監督・脚本、女優のフランセス・マクドーマンドさん主演の『スリー・ビルボード』(日本公開2月1日)が最優秀作品賞と脚本賞、主演女優賞、助演男優賞の最多4部門を受賞。

『スリー・ビルボード』は、2017年の第74回ベネチア国際映画祭で脚本賞、同年のトロント国際映画祭でも最高賞にあたる観客賞を受賞した注目作品。米ミズーリ州の片田舎の町で、何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、解決しない事件への抗議のために町はずれに巨大な広告看板を設置する。その日を境に、次々と不穏な事件が起こり始め、そして事態は思わぬ展開を迎える。

映画(コメディ・ミュージカル)部門では『レディ・バード』(日本公開6月予定)が最優秀作品賞を獲得、シアーシャ・ローナンさんが主演女優賞を得た。

シェイプ・オブ・ウォーター
公開日:2018年3月1日
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

最優秀監督賞は『シェイプ・オブ・ウォーター』(日本公開3月1日)のギレルモ・デル・トロ氏が受賞、作曲賞との2部門に輝いた。『シェイプ・オブ・ウォーター』は2017年の第74回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したダークファンタジー・ラブストーリー。

ちなみに、ギレルモ・デル・トロ監督は、筆者お気に入りの『パシフィック・リム』(2013年公開)では、監督、製作、脚本を担当したが、続編の『パシフィック・リム アップライジング』が本年4月に公開予定。

『シェイプ・オブ・ウォーター』の主人公も女性であり、今回のGG賞は女性と黒人の活躍が目立つ象徴的な年となった。

グレイテスト・ショーマン
公開日:2018年2月16日
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

最優秀主題歌賞は『グレイテスト・ショーマン』(日本公開2月16日)が受賞。主演は2017年公開の『LOGAN ローガン』でも「ウルヴァリン」役で登場したヒュー・ジャックマンさんが務めた。『レ・ミゼラブル』(2012年公開)でも華麗な歌声を披露したが、本作では、「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀の米国実在の興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。

アニメ映画賞は『リメンバー・ミー』(日本公開3月16日)が選ばれた。

第90回アカデミー賞、『シェイプ・オブ・ウォーター』が最多13部門にノミネート

一方、23日(日本時間24日)に発表された米国の第90回アカデミー賞のノミネーションも、GG賞を踏襲するような結果となった。

前述の『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、音響編集賞、録音賞、編集賞、作曲賞、衣装デザイン賞と、最多13部門で次いでノミネートされた。

次いで8部門でノミネートされたのが、本コラムでも取り上げたクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(2017年公開)。『スリー・ビルボード』も6部門で7件ノミネートされ3位となった。

作品賞にノミネートされたのは、上記3作品の他、『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』(日本公開3月30日)、『君の名前で僕を呼んで』(4月公開予定)、『レディ・バード』、『ゲット・アウト』(2017年公開)、『ファントム・スレッド』(5月公開予定)、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(日本公開3月30日)の全9作品。

スリー・ビルボード
公開日:2018年2月1日
(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

作品賞の下馬評では、主要GG賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』、『スリー・ビルボード』、『レディ・バード』が有力。監督賞は『シェイプ・オブ・ウォーター』ないし『レディ・バード』か。『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督は、監督賞にノミネートされた5人目の女性監督。

日本関連では、メイクアップ&スタイリング賞に『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』の辻一弘氏が、短編アニメ映画賞に『ネガティブ・スペース』の桑畑かほる共同監督が夫のマックス・ポーター氏とともにノミネートされた。

アカデミー賞の受賞作品は3月号で特集予定。

第41回日本アカデミー賞の優秀賞発表、最優秀賞は3月2日発表、筆者が選ぶ2017年邦画ベスト5

一方、「第41回日本アカデミー賞」正賞15部門の各優秀賞の他、新人俳優賞、協会特別賞などが1月15日に発表された。なお、各部門の最優秀賞は3月2日の授賞式で発表される。

作品賞には『三度目の殺人』(10部門受賞)、『関ヶ原』(10部門受賞)、『花戦さ』(8部門受賞)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(6部門受賞)、『君の膵臓をたべたい』(2部門受賞の他、新人俳優賞)が決定した。

なお、今回選考対象となった作品は、2016年12月16日から2017年12月15日までに東京地区の劇場で1日3回以上、2週間以上継続して上映された40分以上の有料映画。

ちょうど、3月4日(日本時間の3月5日)の米国の第90回アカデミー賞授賞式直前のタイミングとなる第41回日本アカデミー賞授賞式にも注目したい。

ちなみに、筆者が選ぶ2017年の邦画ベスト5は、第1位『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、第2位『関ヶ原』、第3位『帝一の國』、第4位『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』、第5位『君の膵臓をたべたい』。

年末・年始の国内観客動員ランキングは『スター・ウォーズ』新作がトップに

年末・年始の国内観客動員ランキング(興行通信社調べ、以下同じ)は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が予想通り、トップとなった。同作品は既に全米興行収入ランキング歴代6位、全世界興収ランキングでも9位に入っている(1月24日、Box Office Mojo調べ)。前作の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は全米興行収入ランキング歴代1位、全世界興収ランキングでも『アバター』『タイタニック』に次いで歴代3位となっている。『スター・ウォーズ』シリーズは前作から中国での興行が本格化している。4DXの普及もあり、本作が全世界興収ランキングでどこまで順位を上げられるかに引き続き注目したい。

日中関連の大作が2月に公開

マンハント
公開日:2018年2月上旬全国ロードショー
(C)2017 Media Asia Film Production Limited All Right Reserved.

2月9日公開の『マンハント』は、『M:I-2』や『レッドクリフ』等を手掛けたジョン・ウー監督がメガホンをとった。全編日本ロケで、福山雅治さんと中国の人気俳優チャン・ハンユーさんをW主演に起用したサスペンス・アクション映画。、1976年に故高倉健さん主演で映画化された西村寿行氏の小説「君よ憤怒の河を渉れ」を再映画化した。前作は、中国でも1979年に『追捕』として、文化大革命後に外国映画として初めて公開され大ヒットしたことで有名。また、大阪が舞台の外国映画という点では、1989年公開のハリウッド映画『ブラック・レイン』も想起される。既に中国では昨年11月に公開されているが、同映画の効果で、既に中国人観光客で一杯の大阪が一段と賑わうことも予想される。但し、ビジネスマンにとっては、出張の際のホテル予約が心配の種になるかも。

空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎
公開日:2017年2月24日
(C)2017 New Classics Media,Kadokawa Corporation,Emperor Motion Pictures,Shengkai Film

同じく、中国と日本関連の映画では、『空海―KU−KAI―美しき王妃の謎』が2月24日に公開される。日中共同制作歴史スペクタクル大作で、監督はカンヌ国際映画祭パルム・ドールやゴールデングローブ賞など多数の受賞歴を誇る巨匠チェン・カイコー氏。若き日の「弘法大師:空海」が遣唐使として中国に渡っていた頃のお話。原作は夢枕獏氏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」。空海役には染谷将太さん、安倍仲麻呂役には「アベ」繋がり(?)の阿部寛さん、白楽天には中国の人気俳優ホアン・シュアンさん、楊貴妃役には台湾出身のチャン・ロンロンさんが起用された。製作費は日本円で約150億円(NHK)。

空海の出身は筆者同様、香川県。本作が中国でヒットすれば(現在公開中)、四国八十八か所巡りをする中国人観光客が増えるかも。ちなみに既に中国で鑑賞した同僚の話では、染谷将太さんは現地では吹き替えなるも、口の形はネイティブのように自然に動いていたとのこと。

今週初、東京の交通網は大雪で大混乱

最後に現在公開中のお奨め映画として、洋画では『ジオストーム』と『パディントン2』、邦画では『嘘を愛する女』と『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』をご紹介したい。

22日午後には、南岸低気圧の到来で、東京都心でも積雪が23センチと2014年2月15日に観測した27センチに迫る水準となり、首都の交通網は大混乱となった。足元でも過去最強クラスの大寒波が来襲している。また、23日には、群馬県西部にある草津白根山の本白根山(標高2171メートル)が同日午前9時59分頃、噴火、死傷者が出る事態となっている。火山活動は海外でも活発化、フィリピンのルソン島の南部にある火山、マヨン山(標高2462m)では22日に新たな噴火が発生。世界的な観光地であるインドネシアのバリ島でも、昨年11月にアグン山(3014メートル)が噴火、観光業に重大な影響を与えている。

また、昨年ハリケーン被害に多く見舞われた米国だが、米海洋大気局(NOAA)によると、ハリケーンや竜巻、大雨、洪水、干ばつ、山火事等、気象災害による2017年の米国での被害総額は3,062億ドルと、ハリケーン「カトリーナ」が来襲した2005年の2,148億ドル(物価調整後)を上回り、史上最高となったとのことだ。このうち、2,650億ドルは、「ハービー」、「イルマ」及び「マリア」の被害。被害額10億ドルを上回る災害も16件発生した。

そうした現実の自然災害への懸念もあってか、前週末の観客動員ランキングで初登場第1位(興行通信社調べ)となったのは『ジオストーム』。気象管理衛星「ダッチボーイ」が異常気象を安定化するが、その裏で謀略が繰り広げられる物語。主演は『300』(2007年公開)や『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年公開)のジェラルド・バトラーさん。なぜか、ディザスター映画では東京はいつも「雹」が降るが本作も同様。

初登場第4位となった『パディントン2』は、マイケル・ボンド原作の児童文学「くまのパディントン」を基にした映画『パディントン』(2016年公開)の続編。ストーリーに加え、映像美、ミュージカル要素を含め、大人でも楽しめるファンタジー映画に仕上がっている。

GG賞及びアカデミー賞とロボットアニメ

一方、初登場第2位となったのが『嘘を愛する女』。「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」の第1回グランプリ受賞作品を企画者でもある中江和仁氏が自ら脚本、監督を務め映画化。主演は長澤まさみさん。高橋一生さんや吉田鋼太郎さんなどの名演が光る。

実は鑑賞して気が付いたのだが、『嘘を愛する女』と現在公開中の『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』は共通点が多い。両作品とも、恋愛や親子愛をテーマにしているが、もう一つ重要な共通点がある。劇場で是非ご確認頂きたい。

劇場版 マジンガーZ / INFINITY
公開日:2018年1月13日
©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

なお、『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』は、1972年から1974年に放送された永井豪原作のテレビアニメの「画」をそのまま、「画質」を100倍クリアにした感じの作品。テレビ版の声優や有名声優も多数出演し、内容的には当時のテレビ世代向けか。思わず40数年前にタイムスリップした感じを覚える作品。

ちなみに、GG賞で最優秀監督賞を受賞し、アカデミー賞でも作品賞や監督賞が有力視される『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督が本作品を絶賛している。監督は日本の漫画やアニメ、怪獣映画の大ファンで、『パシフィック・リム』では、エンドロールで「この映画をモンスターマスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」と表示されている。ハリーハウゼン氏はハリウッドの特撮監督、本多氏は『ゴジラ』の監督。

メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督は、いわば「オタク」だが、今回、GG賞に加え、アカデミー賞も受賞することとなれば、巨匠の仲間入りすることとなる。メキシコ国境への壁建設を公約の第1に掲げるトランプ大統領が代表するアメリカとは異なる「もう一つのアメリカ」の象徴とも言えそうだ。

同氏がアカデミー賞の受賞挨拶で、日本のロボットアニメに言及すれば『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』もワールドワイドでの興収増が期待できるかもしれない。やはり、日本の漫画やアニメは国際競争力のある原石の宝庫だろう。惜しむらくは、原石をより付加価値の高いコンテンツに研磨し、ワールドワイドでマーケティングを行うノウハウや人材に欠けるところか。

実は日本にとって「国際観光」も少し前までは、「アウトバウンド」、海外旅行を意味する言葉だったが、現在では、「インバウンド」、訪日旅行が重要なシェアを占めている。少子高齢化に加え、経済面でも成熟国となりつつある日本では、身近にある物や自然、伝統・文化における新たな価値の発見が重要となりそうだ。

なお、前述の『パシフィック・リム』や『300』、ハリウッド版の『GODZILLA ゴジラ』(2014年公開)、『ジュラシック・ワールド』(2015年公開)等は、レジェンダリー・ピクチャーズが製作に関与しているが、同社は2016年に中国の大連万達グループに買収された。映画の世界においては、中国との関係強化も重要と思われる。故郷の先人、「空海」が一役買うことになるか、興収も含め注目したい。

なお、来月号では、2018年公開の注目映画を特集。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

このページの関連情報