アナリストの忙中閑話【第82回】

アナリストの忙中閑話

(2018年3月22日)

【第82回】第90回アカデミー賞はメキシコ祭りの様相に、春休みの注目映画

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

第90回アカデミー賞、怪獣映画?が初の作品賞と監督賞を受賞、ギレルモ・デル・トロ監督はメキシコ出身

第90回アカデミー賞授賞式が、3月4日(日本時間5日)に米ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催された。

最多13部門にノミネートされ、今年のレース大本命と見られていた『シェイプ・オブ・ウォーター』(公開中)が作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の最多4冠に輝いた。メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督(53)は、日本のアニメや怪獣映画の熱烈なファンとして知られ、言わば「オタク」である。『シェイプ・オブ・ウォーター』にもアマゾンの半魚人のような異形の生物が登場するが、怪獣などが登場する作品がアカデミー賞の主要賞を受賞するのは史上初とみられる。

【第80回】異色の展開となったGG賞、日米アカデミー賞ノミネーションとロボットアニメ

デル・トロ監督は受賞挨拶で、「私は移民です。多くの皆さんのように過去25年間、自分の国に住んでいました。この映画業界が、国境を越えて仕事をすることを勧めてくれたと思う」と、自らが移民であることを強調した。

日本人が初めてメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
3月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

デル・トロ氏は、大学卒業後に渡米し、特殊メイクアップ界の巨匠である故ディック・スミス氏に師事、特殊メイク技術を学んだ。ちなみに、『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(3月30日公開)でゲイリー・オールドマンをチャーチル元英国首相に変身させ、アカデミー賞のメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘氏もスミス氏に師事した1人。

辻氏は3度目のノミネーションでのオスカー受賞となった。同賞の受賞は辻氏ら3人。辻氏は日本人として初めてメーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞。

主演男優賞は、その『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でチャーチルを演じた英国出身の俳優ゲイリー・オールドマンさんが獲得した。

主演女優賞は『スリー・ビルボード』(公開中)のフランシス・マクドーマンドさんが受賞。1996年公開の『ファーゴ』以来2度目の受賞。

助演女優賞は、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(5月4日公開)のアリソン・ジャネイさんが、助演男優賞は、『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェルさんが受賞。

編集賞、録音賞及び音響編集賞は本コラムで紹介した『ダンケルク』(2017年公開)が、撮影賞と視覚効果賞は、同じく本コラムで特集した『ブレードランナー 2049』(2017年公開)が受賞した。脚本賞は『ゲット・アウト』(2017年公開)、脚色賞は『君の名前で僕を呼んで』(4月27日公開)、衣装デザイン賞は『ファントム・スレッド』(5月26日公開)が受賞。

長編アニメ賞は、メキシコの「死者の日」を舞台とした作品が受賞

『リメンバー・ミー』同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』
3月16日(金)公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved. 

長編アニメ賞と歌曲賞は、『リメンバー・ミー』(3月16日公開)が受賞。『リメンバー・ミー』は、ちょうど、日本の「お盆」に似たメキシコの風習、「死者の日」を舞台に、音楽を禁じられたギター少年ミゲルの冒険や家族との強い絆を、数々の謎と音楽を散りばめながら描いた作品。ピクサー・アニメーション・スタジオ製作でディズニー配給だが、画像・画質も、音楽も、そしてストーリーも大変良く出来た作品だ。特に、大どんでん返しのストーリー展開に関しては、従来、日本アニメの「お家芸」だったが、ピクサーの買収で、ディズニー・アニメが過去の子供向けから大人も楽しめる作品に脱皮したことで、日本アニメにとっては、大きな脅威になったとも言えそうだ。これで、ディズニーは、『メリダとおそろしの森』『アナと雪の女王』『ベイマックス』『インサイド・ヘッド』『ズートピア』に続き6年連続の受賞。監督は、『トイ・ストーリー3』でアカデミー賞を受賞したリー・アンクリッチ氏。

ちなみに、11月1日から2日にかけて行われる現実の「死者の日」の祭りは、2015年公開の『007 スペクター』の冒頭シーンに登場する。同作品では生者も骸骨などの仮面を被って祝うメキシコ・シティーの風景が描かれている。

第90回アカデミー賞は「メキシコ祭り」の様相に、トランプ大統領の反応は?

第90回アカデミー賞は、メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督が作品賞と監督賞を受賞、長編アニメ賞はメキシコが舞台と、「メキシコ祭り」の様相を呈したが、脚本賞を受賞した『ゲット・アウト』は黒人差別を題材にしたホラー作品。脚色賞を受賞した『君の名前で僕を呼んで』はLGBTの主人公の恋愛が描かれるなど、昨年同様、「多様性の尊重」が強いメッセージとなった。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』
3月30日(金)全国ロードショー
TOHOシネマズ 日比谷にて3月29日(木)特別先行上映
©Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

加えて、作品賞、主演女優賞でノミネートされていた『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』が仮に受賞、特に主演女優賞をメリル・ストリープさんが受賞することとなれば、トランプ大統領に対しては強力なパンチとなるところだったが、さすがに受賞には至らなかった。ちなみに、トランプ氏の大統領選の第1の公約は、「Pay for the Wall:(メキシコに)壁の建設代金を支払わせる」。

同作品は、敗色が濃厚となりつつあったベトナム戦争を分析したアメリカ政府の最高機密文書をニューヨーク・タイムズがスクープ。ライバル紙でもあるワシントン・ポストの発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、部下で編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らとともに、ペンタゴン・ペーパーズを入手し、詳報を出すが、記事を差し止めようとする政府に訴えられる。当時の大統領は共和党のニクソン大統領。スティーブン・スピルバーグ監督は過去最短スピードで撮影を終えたとのことだが、昨年のGG賞授賞式のあいさつ後、トランプ大統領からツイッターで攻撃されたメリル・ストリープさんが主演していることもあり、どうしても、ニクソン大統領とトランプ大統領が重なって見える作品だ。

ちなみに、ペンタゴン・ペーパーズ裁判はウオーターゲート事件が発覚する少し前の出来事であり、ロシアゲート問題を抱える大統領にとっては、例年以上に今年のアカデミー賞授賞式は気に食わなかったとみられる。

第90回アカデミー賞授賞式を全米中継したABCテレビの視聴者数が過去最低となる2,650万人(ニールセン調査)と、昨年の視聴者数3,290万人から19%もダウンしたことがわかると、6日には、トランプ大統領は「“歴代”最低視聴率のオスカー。問題は、もはやスターなどいないということだ……君たちの大統領を除いてはね(冗談だ、もちろん)!」とツイート。

これに対して、2年連続で授賞式の司会を務めたジミー・キンメルさんは、「ありがとう、“歴代”最低支持率の大統領」とツイートするなど、もはや場外乱闘の色彩となった。

アマゾンの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏が世界長者番付1位に

なお、現実のワシントン・ポストは、社主のキャサリン・グレアム氏の後を引き継ぎ、息子のドナルド・グレアム氏が発行人を務めたが、2013年に、ドナルド・グレアム氏の友人でアマゾン・ドット・コムの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏に同社の新聞事業を2億5千万ドルで売却された。現在はベゾス氏の個人投資会社であるナッシュ・ホールディングスLLCの傘下にある。

そのベゾス氏だが、フォーブスが3月6日に発表した今年が32回目となる世界長者番付によると、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を抜き初の首位になったとのことだ。ベゾス氏の資産額は1,120億ドル(約11兆9,000億円)。第2位のゲイツ氏は900億ドル。第3位は著名投資家のウオーレン・バフェット氏で840億ドル。ちなみに、トランプ大統領は31億ドルで第766位と昨年の544位から後退。

さすがに、個人資産の1,000億ドル越えは、バブルの匂いもするが、ワシントンポストにとっては、独立性を担保するには十分過ぎる金額だ。一方、ベゾス氏が一代で築いたことからも、アメリカンドリームの健在ぶりを再認識させるものともなった。やはり、多様性溢れる米国の懐は深い。11月6日の中間選挙後には、ワシントンの景色が様変わりしている可能性もありそうだ。

実際、昨年末のアリゾナ州上院選に続き、3月13日投票のペンシルべニア州第18区下院補欠選でも、共和党の牙城を民主党が崩す可能性が高くなっている。現時点で、民主党候補113,813票、共和党候補113,186票と民主党が627票差でリードしている。21日に共和党候補が敗北を認める電話を民主党候補に入れたことで、まもなく、民主党候補の勝利が確定する見込み。

中間選挙を控え、トランプ大統領はコアの支持層にアピールするため、選挙公約実現に邁進か

こうした中、トランプ政権は保護主義的な政策を相次いで発表している。このことが、最近の株価の調整材料ともなっているが、トランプ大統領は今後もコアの支持者向けの政策を進めるのか、株価を意識して、ややマイルド化するのであろうか。

2016年の大統領選の経緯を勘案すると、前者を選択する可能性が高そうだ。トランプ大統領は、現在と同様、自らの女性スキャンダル等が次々と明らかとなり、支持率が低下した2016年8月、選挙戦を統括する責任者を入れ替えた。8月17日の人事では、穏健路線を主導してきた選対議長のマナフォート氏を更迭、保守派のバノン氏を最高責任者に据えた。言わば、「ありのままのトランプ」路線に回帰した訳だが、結果は、クリントン氏のメール問題という追い風もあったが、見事、本選での勝利に結びついた。

2016年の成功体験を勘案すると、今回も11月の中間選挙に向けて、コアの支持層にアピールするため、選挙公約の実現に邁進する可能性が高いのではないか。但し、そのことが、株価の調整圧力となり、無党派層や共和党穏健派のトランプ離れを促進することに繋がる可能性も考えられる。

今年の米中間選挙は過去の常識が通じない選挙となる可能性

既に、全米では、中間選挙に向けた党の予備選挙がスタートしているが、2016年当時と違い、民主党の予備選に盛り上がりがみられる。

11月6日の米中間選挙の上下両院候補者らを選ぶ共和、民主両党の予備選が6日、全米に先駆けて共和党の地盤である南部テキサス州で実施された。民主党は25年ぶりに同州の下院全36選挙区で候補を擁立、党予備選に投票した有権者数は、2014年の中間選挙比8割増となった。

但し、民主党下院予備選では、11選挙区で過半数を得る候補が出ず、5月に決選投票が行われることとなった。また、中道派よりは、リベラル色の強い候補が勝利するケースも目立った。

一方、共和党のテキサス州予備選では、現職のクルーズ上院議員が圧勝するなど、保守色が一段と強まっている。

トランプ大統領が巻き起こした様々な対立は、共和党内及び民主党内でも、党内対立を呼び、より極端な候補者が予備選で勝利する傾向が強まっている。

最終的な11月6日の本選では、本来は中道的な候補を擁立した党が勝利する可能性が高いと言えそうだが、現実は両党とも、逆方向に向かっているとも言えそうだ。2016年の大統領選は、かつてない形での選挙戦となったが、今年の中間選挙も過去の常識が通じない選挙となる可能性が高そうだ。

第41回日本アカデミー賞は『三度目の殺人』が6冠、菅田将暉さんの急成長ぶりに注目

3月2日には第41回日本アカデミー賞の授賞式が開催され、当日、最優秀賞が発表された。

是枝裕和監督の『三度目の殺人』が最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀助演男優賞(役所広司さん)、最優秀助演女優賞(広瀬すずさん)、最優秀編集賞の6冠を達成。最優秀アニメーション作品賞は『夜は短し歩けよ乙女』、最優秀主演男優賞は『あゝ、荒野 前篇』の菅田将暉さん、最優秀主演女優賞は『彼女その名を知らない鳥たち』の蒼井優さんが受賞した。最優秀撮影賞と最優秀録音賞は『関ヶ原』、最優秀美術賞は『花戦さ』が、最優秀外国作品賞は『ラ・ラ・ランド』が受賞。

『三度目の殺人』の6冠が目立つが、菅田将暉さんの急成長ぶりに注目したい。菅田将暉さんは今回、『帝一の國』で話題賞・俳優部門も受賞したが、2009年に平成仮面ライダーシリーズ「仮面ライダーW」でデビュー後、2013年公開の『共喰い』で第37回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。2014年公開の『海月姫』(くらげひめ)では、女装男子を演じ、2016年にはオリコン調査で、2016年度のブレイク俳優1位を獲得。2017年にはNHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」に出演。柴咲コウさんには申し訳ないが、主役並みの存在感を示していた。2017年公開の『帝一の國』では主人公の赤場帝一を演じたが、演技の幅の広さには天才的なところがある。今後の活躍に期待したい。

春休みの注目映画、邦画は人気アニメやコミックの実写作品、洋画はSF大作等に注目

以下では、米アカデミー賞受賞作品以外の春休みの注目映画をご紹介する。

前週末(3月17日)に公開された『ちはやふる―結び―』は広瀬すずさん主演で、末次由紀氏のコミックを原作に競技かるたに打ち込む高校生の青春を描いた作品。本コラムでも紹介し、2016年に大ヒットした『ちはやふる』の第3弾。監督は前二作に続き小泉徳宏氏。

早速、前週末に鑑賞してきたが、第1作の『上の句』、第2作の『下の句』もよかったが、本作の出来が一番か。一般に3部作だと徐々に感動が薄くなるものだが、本作は「終わりよければ、すべて良し」に仕上がっていた。映像と音楽が美しいのも本シリーズの特徴だが、本作では高校三年時の最後の部活動と受験勉強なども思い出し、ストーリーにも感動。

前週末(3月17日〜18日)の国内観客動員ランキングは、『映画ドラえもん のび太の宝島』が第1位、前述の『リメンバー・ミー』が第2位、そして、第3位が『ちはやふる―結び―』となった(興行通信社調べ)。なお、国内興収ランキングでは、『リメンバー・ミー』が堂々の第1位となった。

3月21日公開の『ボス・ベイビー』は『怪盗グルー』のユニバーサル・スタジオとドリームワークスが初タッグを組み、絵本「あかちゃん社長がやってきた」にインスパイアされたCGアニメ。第90回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート作品。

今年から、アカデミー賞の長編アニメ部門は、全てのアカデミー会員にノミネート段階から投票権が付与されたため、大手スタジオのファミリー向けの作品が多くノミネートされるようになったようだ。本作も家族で楽しめる作品。

3月21日公開の『曇天に笑う』は、唐々煙(からからけむり)氏の人気コミックを福士蒼汰さん主演で実写映画化。『踊る大捜査線』の本広克行監督がメガホンをとった。明治維新後の滋賀県の大津を舞台に、曇神社を継ぐ曇家(くもうけ)の曇天三兄弟と明治政府右大臣岩倉具視の直属部隊「犲(ヤマイヌ)」、忍者集団、風魔一族が大蛇(オロチ)の力を巡り、三つ巴の戦いを繰り広げる。

3月21日公開の『トゥームレイダー ファースト・ミッション』は日本のスクウェア・エニックス社が2013年に発売した人気ゲーム「トゥームレイダー」を実写映画化。本作はリブート作品で主人公のララ・クロフトは前2作のアンジェリーナ・ジョリーさんから、『リリーのすべて』(2016年公開)でアカデミー助演女優賞を獲得したアリシア・ヴィキャンデルさんに交代。本作では日本近海の神話上の島が舞台となっている。

『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』
2018年3月 全国ロードショー
©2017 VALERIAN S.A.S. - TF1 FILMS PRODUCTION

3月30日公開の『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』は、リュック・ベッソン監督が名作コミック「ヴァレリアン」を映画化したSF超大作。舞台は西暦2740年、連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は宇宙の平和を守る任務に就き、銀河をパトロールしていた。

ちなみに原作の「ヴァレリアン」は、フランスのコミック「バンド・デシネ」として、1967年から出版され、『スター・ウォーズ』にも影響を与えたとされる。本作は、フランス国内で3,680万ドルのヒットを記録、フランス作品として過去最高のヒットとなった。世界興収は2億2600万ドルに上る。フランス発のSF作品としては、やはりリュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』(1997年公開)が記憶に残るが、同作品は仏米合作だった。フランスの最新のSF技術も堪能したい。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
4月6日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

4月6日公開の『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』は、一部で2020年の米大統領選に出馬観測のあるドウェイン・ジョンソンさんが製作・主演を務めた『ジュマンジ』の続編。ゲームの世界に入り込んだオタクの高校生が全く異なったキャラに入れ替わり、ジャングルを探検するアドベンチャー。

既に試写会で鑑賞したが、製作・主演を務めるドゥエイン・ジョンソンさんは、「ザ・ロック」のリング・ネームを持つ人気レスラーだったが、2001年公開の『ハムナプトラ2 黄金のピラミッド』で映画デビュー後、2002年公開の『スコーピオン・キング』で主役を演じ、その後は、メガヒットを続けている『ワイルド・スピード』シリーズ等の出演を続け、今やハリウッドの大スターの位置を不動にしている。ちなみに、同氏主演で筆者が最も好きな映画は2014年公開の『ヘラクレス』だが、本作ではファニーな演技も多く、本当に大統領選に出馬するのではと思わせるところがある。

トランプ大統領は1月の第75回ゴールデングローブ賞授賞式以降、2020年の大統領選への出馬観測が高まっている人気司会者オプラ・ウィンフリー氏に対して、出馬を挑発する発言を続けているが、相手がドゥエイン・ジョンソン氏となった場合はどうするのだろうか。

プロレス出場経験もあるトランプ氏だが、さすがに本職に肉弾戦では歯が立たないだろう。ツイッター口撃では一日の長があるトランプ氏だが、片や俳優でも大成功をおさめているジョンソン氏、いい戦いになるのかもしれない。

現在、政党支持率では共和党を凌駕している民主党も、2020年の大統領選に向けたスターが存在しないことが、こうしたハリウッドの有名人の出馬観測が浮上する背景ともなっている。米国政治、暫くは混とん状態が続く可能性が高そうだ。

『パシフィック・リム:アップライジング』
4月13日(金)、全国ロードショー!
東宝東和
©Legendary Pictures/Universal Pictures. 

4月13日公開の『パシフィック・リム:アップライジング』は、イェーガーとKAIJUの死闘を描いた『パシフィック・リム』(2013年公開)の続編。前作で監督を務めたギレルモ・デル・トロ氏は本作では製作を担当。ギレルモ・デル・トロ氏のアカデミー賞授賞で、本作への関心が高まることになりそうだ。

前作に続き、菊地凛子さんが出演。また、本作には新田真剣佑さんも出演。新田真剣佑さんの父はハリウッドでも活躍したアクションスターの千葉真一さん。新田真剣佑さんは米ロサンゼルス出身で、9歳の時から極真空手を習い、ロサンゼルス大会で2度優勝。2014年から日本で芸能活動を始め、前述の『ちはやふる』3部作にも出演している。本名は「前田真剣佑」だが、2017年に芸名を「真剣佑」から「新田真剣佑」に変更したのは、『ちはやふる』での綿谷新役から名前をもじったとのこと。ロサンゼルス出身の英語力を生かし、是非、ハリウッド作品でも活躍してもらいたいものだ。なお、本作では、KAIJU襲来で東京壊滅の様相に。

やはり4月13日公開の『名探偵コナン ゼロの執行人』は、青山剛昌氏原作人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版第22弾。

東京サミット会場を狙った大規模爆破事件を発端に、コナンと公安警察が衝突するストーリーが展開し、劇場版20作目「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」に続き、謎の男・安室透がメインキャラクターとして登場する。

同じく、4月13日には、『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』も公開される。『クレヨンしんちゃん』の劇場版アニメシリーズ26作目。

『映画ドラえもん のび太の宝島』の観客動員数(3月19日までで199万人)を見ても、日本映画でのアニメ人気は健在。『名探偵コナン ゼロの執行人』や『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 拉麺大乱』は春休み映画の「台風の目」となりそうだ。

『レディ・プレイヤー1』
4月20日(金) 全国ロードショー
ワーナー・ブラザース映画
©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTSRESERVED

4月20日公開の『レディ・プレイヤー1』は、スティーブン・スピルバーグ監督で、西暦2045年の仮想ネットワークシステム「OASIS(オアシス)」を舞台としたSFアドベンチャー作品。原作はアーネスト・クライン氏のベストセラー小説「ゲームウォーズ」。

貧富の格差が激しくなった近未来に、世界中の人々がアクセスする仮想ネットワークシステム「オアシス」に突如としてメッセージが発信される。それは、オアシスの開発によって巨万の富を築いた大富豪のジェームズ・ハリデーが死去し、オアシスの隠された謎を解明した者に、すべての遺産を明け渡すというものだった。メッセージを見た17歳の青年ウェイドは、全人類が探すオアシスの秘密をめぐり仮想空間で冒険を繰り広げる。作中のゲーム世界には、「機動戦士ガンダム」や「ストリートファイター」等日本のアニメ等のキャラクターも多数登場。

現時点で2018年の米国及び世界興収トップ作品が3月1日に公開

なお、前週号で特集した『ブラック・パンサー』(3月1日公開)だが、2018年の世界興収は12.0億ドルと、ダントツのトップで、既に歴代世界興収でも第14位となるヒットとなっているが、我が国での興収はいまひとつの状況だ(3月21日現在、Box Office Mojo調べ)。

『ブラックパンサー』は、マーベルコミックのキャラクターで『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)にも登場した漆黒の戦闘スーツに身を包んだヒーローの活躍を描いた作品。国王とブラックパンサーという2つの顔を持つ男ティ・チャラが、超文明国家ワカンダの秘密を守るため、戦いに挑んでいく。主演のチャドウィック・ボーズマンさんは本コラムでも取り上げた2013年公開の『42 世界を変えた男』では、メジャーリーグ・ベースボール史上初の黒人選手ジャッキー・ロビンソン役を演じた。敵役は『クリード チャンプを継ぐ男』で主演を務めたマイケル・B・ジョーダンさんが務めた。

同作品は、アフリカが舞台となっているため、大半の出演者が黒人であり、ディズニー・マーベル作品の中では、最も白人俳優の出演率が少ない作品と思われる。多分、日本人が見ると、そのあたりにやや違和感を感じるのかもしれないが、2回目では自然に映像が入ってくるため、ストーリーの良さがわかるのではないか。ちなみに、筆者はマーベル作品は基本的に2回以上観ることにしている。なお、ハリウッド映画に登場する車は、米国車を除けば、ドイツ車が多いが、同作品では、ヴィブラニウム製のトヨタ自動車の「レクサス」が主人公のブラックパンサーや付き人の愛車として登場する。また、映画の中では、ティ・チャラ国王が自身の反省を踏まえ、「国境には壁よりも橋が重要」と力説するシーンも登場する。

百聞は一見に如かず

春休みには、邦画では人気アニメやコミックの実写作品、洋画では大作のSF映画やアカデミー賞受賞作品等の公開が目白押しだが映画同様、現実世界でも、「ポスト・トゥルースの時代」と言われるように、フェイクと真実、バーチャルと現実の区別がつきにくい時代となっている。「百聞は一見に如かず」というが、映画でも現実世界でも、まずは自分で見て、判断・行動することが重要だろう。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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