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信用取引の空売り価格規制とは

「空売り価格規制」とは、株価の意図的な売り崩し行為を防止するために定められた法律で、51単元以上の新規空売り注文を出す際の価格規制のことです。

信用取引の空売り価格規制の仕組みと条件

信用取引の空売りは、証券会社などから株を借りて売り、後日その株を買い戻すことによって生じる差額を得るという取引になります。そのため、マーケットの流動性を高める役割を担っているといえます。

しかし空売りは、株価を意図的に下落させる目的で乱用され、マーケットに混乱をもたらしてきた過去があります。そのために定められた法律が「空売り価格規制」となります。なお、「空売り価格規制」は2013年11月5日より空売りに係る銘柄が一定の条件を満たした場合に適用される「トリガー方式」に改定されています。

トリガー方式「空売り価格規制」のルール

トリガー方式による「空売り価格規制」とはどのようなものでしょうか。この規制によって禁止されている事項がありますので解説します。

まず、前営業日終値等から算出される当日基準価格から、10%以上価格が下落して取引が成立している銘柄がトリガー抵触銘柄となります。新規空売り注文に際して、このトリガー抵触銘柄に直近取引価格以下で51単元以上の発注することは禁止されています。

具体例で見ていくと、図【1】のように、当日基準価格が1,000円であれば、「空売り価格規制」が適用されるトリガー価格は10%下落した900円となります。直近取引価格が、トリガー価格(900円)に抵触しない場合、901円以上の価格帯で指値の空売り注文を入れることができます。ただし、価格を指定しない成行の空売り注文やトリガー価格900円以下の指値で、空売り注文を出すことはできません。

図【2】のように株価が900円から反転上昇し、直近取引価格が920円なら、920円および921円以上での空売りは可能となります。

トリガー方式「空売り価格規制」の説明図

規制の対象は「51単元以上」

先にも触れましたが、個人投資家が発注する空売りについては、1回の注文あたりの株数が売買単位の50単元以内であれば、「空売り価格規制」の適用外となります。この50単元とは、100株単位で取引される銘柄では5,000株、1,000株単位で取引される銘柄では50,000株となります。

空売り価格規制が適用されていることを知らずに、51単元以上の空売り注文を出してしまったとしても、取引所において審査機能が働き、その注文は失効となります。問題になってくるのは、空売り価格規制の適用を逃れる意図のあるなしに関わらず、51単元以上の新規売り建て注文で数量を分割したり、時間を分散させたり、もしくは複数の口座から発注した場合です。

「空売り価格規制」に違反した場合は、金融商品取引法施行令に基づいて、30万円以下の過料処分が課される場合がありますので注意が必要となります。

トリガー抵触銘柄と空売り価格規制銘柄について

「空売り価格規制」が適用された後、当日中に株価が回復した場合でも、翌営業日の取引終了まで「空売り価格規制」が適用されます。ただしトリガー抵触銘柄が、例えば、東証や名証など複数の証券取引所に重複して上場している場合、売買高の多い「主たる市場」と、売買高の少ない「主たる市場以外」とでは、その扱いが異なってきます。主たる市場では、トリガー抵触となった時点から翌営業日の取引終了まで価格規制が適用されますが、主たる市場以外でも翌営業日終日の適用となります。

また、主たる市場以外でトリガーに抵触した場合は、その市場での大引けまでの規制となり、他市場や翌営業日の規制はありません。

日本取引所グループのホームページ上で16時30分をメドに、「空売り規制に関する情報」において「トリガー抵触銘柄」及び「翌日適用銘柄」が更新されています。取引年月日、銘柄コード、銘柄名、トリガー抵触時刻のほか、取引所名を略記した主たる市場が記載されています。またSMBC日興証券でもオンライントレード(日興イージートレード)内の「空売り規制銘柄一覧」に掲載されています。

「空売り価格規制」の影響(株価はどうなる?)

「空売り価格規制」が適用された場合、どのような理由で値下がりしたのかを見極める必要がありますが、「空売り価格規制」が解除されるまで、追加の空売りは入れづらい状況となります。

規制導入の影響

空売りは、買い戻しを伴う取引ですから、「空売り価格規制」の適用をきっかけに、空売りの買い戻しを促すかのように買いが入ることはあります。しかし、空売りが規制されている状況で株価が上昇したとしても、株式本来の価値が上がっているわけではありません。最終的に株価は企業価値に見合う水準に落ち着くことになりますので、空売りには、株価の過大評価を防ぐ側面があるといえます。

規制解除の影響

「空売り価格規制」が解除された後でも、空売り残高が膨らんでいる場合には、空売りの買い戻しを期待する買いが断続的に入り、踏み上げ相場に発展することもあります。

空売り価格規制違反とは

「空売り価格規制」は、前場終了後は12時5分以降、大引け後は翌営業日8時以降の各金融商品取引所が注文を取り次いだ時点で確認されています。個人投資家が発注する空売りについては、50単元以内であれば、「空売り価格規制」の適用外となります。

51単元をまとめて空売り指値注文し、取引所の審査機能に委ねることで、「空売り価格規制」の抵触を回避することができますが、50単元以下の空売りを2度、3度繰り返すことは、意図的な分割発注とみなされ、法令違反行為の対象となります。

また、A証券、B証券、C証券など複数の口座から合計数量で51単元を超えた場合も同様です。その他、意図的な分割発注については、本人口座と家族名義の口座や、法人口座と代表の個人口座など、関係口座と推察される一個人による複数口座での取引についても対象となることがあります。「空売り価格規制」の違反行為には、法令に基づいて、過料処分が課される場合がありますので注意してください。

空売り価格規制違反の説明図

同じ空売り関連の規制に、空売り停止(売り禁)というものがありますが、空売り規制とは異なります。

売り禁とは、貸借銘柄において新規の空売りと信用買いの現引きは禁止となります。似てはいますが、混同してしまわないように気をつけましょう。

まとめ

信用取引における「空売り価格規制」について解説してきました。意図的でなかったとしても違反とみなされる行為もありますので、この規制を理解しておくことは大切です。下落相場でも利益を狙える空売りは、投資力の向上にも役立つはずですので、「空売り価格規制」に気を付けて上手に取引を行いましょう。

SMBC日興証券の日興イージートレード信用取引では、51単元以上の新規売り注文に対して制限を設けております。詳細については「空売りの価格規制の注意事項について」をご確認ください。

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