アナリストの忙中閑話【第46回】

アナリストの忙中閑話

(2015年4月24日)

【第46回】パラオの記憶と息もつかせぬ映画、今年のGW商戦を制するのは

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

天皇、皇后両陛下が慰霊と国際親善のため、パラオ共和国を訪問

4月8〜9日、天皇、皇后両陛下が慰霊と国際親善のため、パラオ共和国を訪問された。パラオ共和国は、フィリピンの東、西太平洋に浮かぶ島々で構成される人口約2万人の小国。島の数は200以上とされるが、全部合計しても面積は488平方キロメートルと屋久島程度の大きさしかない。

同じ太平洋の島国同志でもあるが、日本とパラオの関係は深い。パラオは19世紀にスペインの植民地となり、その後、ドイツに売却されたが、日本は第1次世界大戦の戦勝国として、パラオの権益を得て、1920年、国際連盟から委任統治が認められた。日本は学校や病院、道路等のインフラ整備とともに、日本語教育も行ったのでパラオのお年寄りは今でも日本語が話せる人が多い。但し、第2次世界大戦ではパラオは激戦地となり、特に「ペリリューの戦い」では日本軍約1万人、米軍約1,700人の戦死者を出すこととなった。

両陛下は、1995年の戦後50年には長崎や広島、沖縄などを、2005年の戦後60年には、やはり激戦地となったサイパンを訪問されており、戦後70年目の今年のパラオ訪問も「慰霊の旅」と言える。既に天皇陛下は81歳、皇后陛下も80歳とご高齢にも関わらず、1泊2日でのパラオ訪問には全くもって頭が下がる思いだ。

美しい自然が残されたパラオ、是非一度訪れてほしい

実は、筆者も20数年ほど前にパラオを訪問したことがある。主目的は趣味のスキューバ・ダイビングだったが、同行した友人の親族が今回両陛下も訪れたペリリュー島で戦死したとのことで、同島にも慰霊のため1日上陸した。当時島の中はほとんどジャングルだったが、旧日本軍の戦車の残骸等も残っていたと記憶している。

今回の両陛下の訪問の際、ペリリュー島は学校や会社が休みとなり、全島民が出迎えるなど、親日ぶりが再確認されたが、読者の皆さんにもパラオ訪問をお薦めしたい。スキューバ・ダイバーの間では、パラオは有名だが、海の透明度や魚影の濃さは世界一ではないかと思う。ドロップ・オフ(海面下の断崖)沿いに潜っていた際、全長2メートルほどのサメの群れに囲まれたこともあるが怖さは感じなかった。なぜなら、周りには何百、何千という魚の群れが回遊していたため、サメが自分らより大きい人間をわざわざ襲ってくる心配がなかったからだ(フィン等をつけると人間の方が大)。

泊まった宿は島の小さなコテージ。但し、電気がないため、夜はランプの明かりで過ごし、蚊取線香をつけ、網戸の窓を開けて寝た。当然、テレビもないため、波の音や鳥や虫の声しか聞こえない。携帯電話もつながらないため、都会を離れてのリフレッシュには最適だ。地球規模の環境破壊が進む中、若者には是非、今のパラオを見てもらいたい。また、観光収入等でパラオの美しい自然を後世に引き継いでほしいものだ。

音楽好きや車好きにはたまらない、息をつかせぬ映画が現在公開中

『セッション』

『セッション』
© 2013 WHIPLASH, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

筆者の趣味は水系が中心だが、音楽好きや車好きにはたまらない、息をつかせぬ映画が現在公開されている。

一つは、『セッション』(原題:Whiplash)。米名門音楽大学でジャズ・ドラムを専攻する学生ニーマンと鬼教授フレッチャーの物語。第87回アカデミー賞では、教授役のJ・K・シモンズさんが助演男優賞を、また、録音賞と編集賞もを含め3部門で受賞した。

我が国のスポ根物に似た雰囲気もあり、最初からポップコーンが喉を通らない緊張感に包まれるが、終盤のどんでん返しもあって、ジャズに疎い筆者でも十分に楽しめた。なお、全編ジャズが流れ、名曲「キャラバン」等のメロディーはまだ耳に残っている。

一方、車好きにお薦めは『ワイルド・スピード』シリーズ第7弾『ワイルド・スピードSKY MISSION』(原題: Furious 7)。同シリーズは、日本車を含む高級車や名車が続々と登場し、迫力満点のカーアクションが繰り広げられるヒットシリーズだが、今回はその名の通り、車が輸送機から落下し、中東UAEアブダビの超高層ビル「エティハド・タワーズ」をジャンプする。かつて、中東での撮影シーンは砂漠が定番だったが、2011年12月公開の「ミッション:インポッシブル/ ゴースト・プロトコル」では、UAEドバイにある世界最高層ビル「ブルジュ・ハリファ」が舞台となり、今回はアブダビの超高層ビル。新興国の台頭を意識させるとともに、ハリウッドの興行戦略も透けて見える。実際、同映画の全世界興行収入は13億2,150万ドル(約1,580億円)に達し、「アナと雪の女王(原題: Frozen)を抜いて歴代世界興収ランキングで5位となる大ヒットを記録している。(Box Office Mojo調べ、4月26日現在)。本作品撮影中には、主演のポール・ウォーカーさんが事故死するという不幸に見舞われたが、大ヒットを受けて、本シリーズは少なくともあと3本は製作される模様だ。

同作品は、現在のところ、2015年公開映画で全米、全世界ともに、興収第1位だが、今年は、歴代興収第3位の『アベンジャーズ』の第2弾『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』に加え、『ミッション:インポッシブル』シリーズ第5弾『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』、『ターミネーター:新起動ジェニシス』、『ジュラシック・ワールド』、『テッド2』、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、『007』シリーズ第24作『スペクター』、『スター・ウォーズ』シリーズ第7作目となる『スター・ウォーズ フォースの覚醒』など往年の大作が続々と公開される。最終的な興収番付けは見通せない。

今年のGW商戦を制する映画は?ディズニーが2連覇、それとも邦画がアベンジ?

日本映画も元気だ。4月に入り、土日の映画館は家族連れであふれかえっている。実は、『ドラゴンボールZ 復活の「F」』、『名探偵コナン 業火の向日葵(ごうかのひまわり)』、『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語〜サボテン大襲撃』、『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』、『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』等が同時公開されていることが背景にある。昨年のGW商戦は、ディズニーの『アナと雪の女王』の一人勝ち状態だったため、今年は日本勢が先手を打ったとも言えそうだ。

そのディズニーの「シンデレラ/同時上映短編『アナと雪の女王/エルサのサプライズ』」が25日公開された。早速鑑賞してきたが予想以上の出来で、「アナ雪」の短編も同時公開のため、今年のGW商戦でも台風の目となりそうだ。

『王妃の館』

『王妃の館』
©浅田次郎/集英社 © 2015「王妃の館」製作委員会

また、テレビドラマ「相棒」シリーズで高視聴率をとった「片山右京」否、「北白川右京」こと水谷豊さん主演の「王妃の館」も25日に公開された。久しぶりにパリへ行きたくなる映画だった。4月公開の邦画では、前述のア二メ作品に加え、前月取り上げた「ソロモンの偽証 後編・裁判」や北野武監督の「龍三と七人の子分たち」、「エイプリールフールズ」、実写版の「寄生獣 完結編」、同じく実写版「暗殺教室」等も楽しめた。

さて、今年のGW商戦を制する映画はどれになるだろうか。ハリウッド映画、ディズニーが2連覇、それとも邦画が「アベンジ」するのか注目したい。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

このページの関連情報