アナリストの忙中閑話【第59回】

アナリストの忙中閑話

(2016年4月21日)

【第59回】熊本などで大規模な地震続く、防災・減災対策が重要に、今年のGW商戦を制する映画は?

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

4月14日以降、熊本県で大規模な地震が続く、東日本大震災以来の震度7が2回

4月16日午前1時25分ごろ、熊本県を震源とする地震があり、熊本市などで震度6強の揺れを観測した(20日、震度7に修正)。気象庁によると、地震の震源の深さは約12キロ、規模はマグニチュード(M)7.3と推定される。M7.3は1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災と同じ規模。

熊本県では14日午後9時26分ごろには益城町で震度7の地震が発生している。震源地は同県中部で、震源の深さは約11キロで、地震の規模はマグニチュード(M)6.5と推定される。日本国内で震度7を観測したのは東日本大震災が発生した2011年3月11日以来。

当初は、14日の地震が本震とされていたが、16日に、より規模の大きい地震が発生したことで、気象庁は14日の地震を前震、16日の地震を本震とした。マグニチュードが0.8違うと規模は16倍拡大する。気象庁によると、国内では、14日に発生したようなM6.5規模の活断層型地震の後、それを上回る本震が発生した記録は存在しないとのこと。

熊本県から大分県にかけては、その後も震度6前後の余震が続き、14日以降これまでの死者は震災関連死11人を含め59人に達した。不明者は2名。ピーク20万人超に達した避難者は、現在でも9万人超に上る(21日朝時点)。

改めて、今回の地震でお亡くなりになられた方、ご遺族の皆様に対し心からお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。

「天災は忘れた頃にやってくる」が「備えあれば憂いなし」

「天災は忘れた頃にやってくる」とは、物理学者で文学者の寺田寅彦氏の言葉だが、環太平洋火山帯に位置し、「地震列島」とも呼ばれる我が国では、台風や大雨・洪水等、相対的に予測のし易い災害以上に、地震への備えは日常から必要と言えそうだ。「備えあれば憂いなし」という言葉は、地震対策にこそ重要だろう。

4月17日、南米エクアドルでM7.8クラスの大地震が発生、大きな被害

過去、世界の巨大地震の大半は、環太平洋火山帯(Ring of Fire)で発生しているが、近年、同地域では地震や火山の噴火が増えている。

M7.3クラスの熊本地震の本震が発生した翌日の4月17日には、南米エクアドルでグリニッジ標準時(GMT)16日午後11時58分(日本時間17日午前8時58分)、強い地震が発生した。米地質調査所(USGS)によると、地震の規模はマグニチュード(M)7.8とのこと。USGSによると震源はエクアドルの首都キトの西北西約170キロ、震源の深さは19キロ。この地震の11分前にも同じ地域でM4.8の地震が起きていた。

17日に記者会見したホルヘ・グラス副大統領は、この地震でこれまでに272人が死亡、負傷者は2,068人に達したと明らかにするとともに、その数がさらに増える可能性を示唆した。また、甚大な被害を受けた6州で非常事態が宣言されたと述べた。その後、エクアドル政府の発表では、死者は570人、負傷者は5,000人近くに達している(20日現在)。

エクアドルでは、1906年に、M8.8の巨大地震が発生しているが、最近では1987年にM7.2の地震で約1,000人が死亡、1979年にはM7.7の地震で約600人が死亡している。

また、昨年2015年8月14日には、エクアドルの首都キトの南約45kmに位置するコトパクシ火山(標高 5,897m)が140年ぶりに噴火、上空8,000メートルに達する火山灰を噴き上げた。エクアドル政府は当時も非常事態宣言を発出している。

成長戦略に加え、熊本地震の復旧・復興活動を含め、緊急防災対策も待ったなし

環太平洋火山帯に位置する我が国においては、大地震や火山の噴火の可能性は、「今そこにある危機」とまでは言えないものの、「想定外」とも言えない状態だろう。

東日本大震災の発生後、筆者は緊急防災対策の重要性を指摘しているが、今一度、政府、地方公共団体、法人、個人が連携し、また自主的に防災対策を見直すことが必要と言えそうだ。「備えあれば、憂いなし」だ。

成長戦略に加え、熊本地震の復旧・復興活動を含め、緊急防災対策も待ったなしと言えそうだ。

今年のGWは10連休となるケースも

今年のGWは日並びがよく、5月2日の月曜日と6日の金曜日に休暇を取得すれば、最大10連休となる。原油安の影響で、燃料サーチャージも廃止され、足元の円高も相俟って、海外旅行を計画している方も多いのではないか。但し、テロや天災等が怖くて、旅行を躊躇される方もいよう。こうした方にお奨めの映画をご紹介したい。

バラエティに富むGW映画

今年のGW映画はバラエティに富んでいる。例年、この時期は、家族での映画鑑賞を当て込んで、アニメや童話・マンガ等の実写映画が数多く封切られるが、今年はそうした作品に加え、米アカデミー賞受賞作品やハリウッドの大作も一挙に公開される。映画ファンのみならず、様々なニーズにこたえる作品が多い。

GW商戦の台風の目となりそうなのは、ディズニー作品

GW商戦の台風の目となりそうなのは、ディズニー作品だ。2014年3月(国内、米国は2013年11月)に公開された『アナと雪の女王』(原題:Frozen)は、国内興行収入で歴代第3位となり、2015年も『シンデレラ』がアナ雪短編物の同時上映もあってGW商戦を制したが、今年は、大作とCGアニメが公開される。

前月号でも紹介した大作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は4月29日公開。2009年にディズニー傘下となったマーベル・スタジオ作品だが、全米公開(5月6日)に先駆けての日本公開となる。本作は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の続編で同シリーズ第3弾だが、マーベルのヒーローを集めた『アベンジャーズ』シリーズの続編とも言える作品。本作では「アベンジャーズ」が、「キャプテン・アメリカ」と「アイアンマン」をリーダーとした2派閥に分かれ、「シビル・ウォー(内戦)」を繰り広げることになる。また、版権の関係で映画版に参加していなかった「スパイダーマン」や昨年映画がヒットした「アントマン」らも登場するが、「キャプテン・アメリカ」の旧友「ウィンター・ソルジャー」と「スパイダーマン」が本作のキーマンとなっている。キャッチフレーズは世界を揺るがす「禁断の戦い」。

また、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品のCGアニメ『ズートピア』も4月23日公開だ。

アカデミー賞受賞作品も多数公開

今年のアカデミー賞作品賞を受賞した『スポットライト』は4月15日に公開されており、レオナルド・ディカプリオさんが初の主演男優賞を受賞、監督賞も受賞した『レヴェナント:蘇えりし者』は4月22日に公開される。

『追憶の森』

『追憶の森』
4月29日(祝・金)
TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
(C)2015 Grand Experiment, LLC.

社会派映画に興味がある方には、現在公開中の『ボーダーライン』や『スポットライト』がお薦めか。両映画では、米国の共和党大統領予備選におけるトランプ氏やクルーズ氏の人気の背景の一端が示されている。

また、渡辺謙さんがオスカー男優のマシュー・マコノヒー氏とともに主演を務めている『追憶の森』は4月29日公開。「自殺の名所」としても知られる富士山麓に広がる青木ヶ原樹海が舞台。

邦画はマンガが原作のアニメや実写版映画が多数公開

邦画では、4月23日に『アイアムアヒーロー』、29日に『ちはやふる−下の句−』と『テラフォーマーズ』、『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』が公開される。

『テラフォーマーズ』

『テラフォーマーズ』
4月29日(祝・金)
全国ロードショー!
(C)貴家悠・橘賢一/集英社
(C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会

アニメでは既に、『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』と『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』が公開されているが、4月23日には『ずっと前から好きでした。〜告白実行委員会〜』や『劇場版 遊☆戯☆王』、『劇場版 響け!ユーフォニアム〜北宇治高校吹奏部へようこそ〜』も公開される。

前回号で特集した『ちはやふる』と『テラフォーマーズ』も原作はマンガだ。『テラフォーマーズ』は火星移住計画を描いたマンガが原作。「進撃の巨人」並みに発想は奇抜だが、読み出すと癖になる作品。実写版の出来に期待したい。

「コナン」や「クレヨンしんちゃん」に、米国の威信をかけた「アベンジャーズ」は勝利できるか

米国のハリウッドでは、アメコミの実写版製作が近年の大きなトレンドとなっており、映画興収の相当部分を稼ぎ出しているが、我が国では、やはりアニメの勢いが強い。

昨年末に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は、ほぼ全世界で公開第1週の観客動員数でトップとなったが、我が国では『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』が第1位となったことには筆者も仰天した。その影響等で配給元の東宝の2016年2月期連結決算では純利益が過去最高に。

3月も本コラムで紹介した『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』を抑えて、『映画 暗殺教室−卒業編−』(公開中)が、公開後3週連続で興収第1位をキープした。

果たして、「コナン」や「クレヨンしんちゃん」に、米国の威信をかけた「アベンジャーズ」は勝利することができるだろうか。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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