アナリストの忙中閑話【第88回】

アナリストの忙中閑話

(2018年9月20日)

【第88回】米中間選挙情勢、下院は民主が多数派奪還か、自民党総裁選、秋の映画は音と多様性がキーワード

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

11月6日の米中間選挙まで、残り1か月半となったが、トランプ大統領にとって頭の痛い問題が相次ぐ

11月6日の米中間選挙まで、残り1か月半となった。ロシアゲート問題等を抱えるトランプ大統領にとっては、結果次第では自らが弾劾に追い込まれかねない重要な選挙だ。力の入れ方も半端ない。日々、ツイッターや支持者の前で好調な米経済や株高等を自らの成果として声高に宣伝。米中貿易改革等、2016年の大統領選時の公約も矢継ぎ早に実施に移しているが、足元ではトランプ大統領にとって頭の痛い問題が相次いでいる。

「ウォーターゲート事件」の著名記者が書いたトランプ政権の内幕本が話題に

かつて、ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件をスクープしたワシントン・ポスト紙編集主幹のボブ・ウッドワード氏がトランプ米政権の内幕を描いた「Fear: Trump in the White House(恐怖 ホワイトハウスのトランプ)」が11日、全米で発売され話題を呼んでいる。

「ペンタゴン・ペーパーズ」ではWP紙とスクープを争ったNYT紙はトランプ政権の高官と名乗る匿名の論説を掲載

また、ウォーターゲート事件が発覚する直前、敗色が濃くなりつつあったベトナム戦争の内情を記した「ペンタゴン・ペーパーズ」のスクープでは当初、ワシントン・ポスト紙に先行したニューヨーク・タイムズ紙は5日、トランプ政権の高官(政治任用官)と名乗る匿名の書き手による論説を掲載した。論説では、トランプ大統領は政権内部からの組織的な抵抗に遭っているとし、波紋が広がっている。

トランプ大統領は、ウッドワード氏の著書を「フィクション」と繰り返し批判し、ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿者の犯人捜しを司法省に命ずるなど、11月6日の中間選挙を前に、火消しに躍起になっている。

2016年の米大統領選の際のトランプ氏の元選対本部長、マナフォート被告が司法取引に応じた

一方、14日には、2016年の米大統領選の際のトランプ氏の元選対本部長、ポール・マナフォート被告が司法取引に応じ、司法妨害やマネーロンダリングなどでの一部の罪で有罪を認めた。米大統領選へのロシア介入疑惑、いわゆる「ロシアゲート」を捜査するモラー特別検察官のチームは、同被告が捜査に協力していることを明らかにした。

マナフォート氏は、トランプ氏の元個人弁護士のマイケル・コーエン氏とともに、大統領選中のトランプ陣営の内情に最も詳しい人物として知られるが、コーエン氏が司法取引に応じたのと違い、これまで、無罪を主張し、司法取引を拒否してきた。トランプ大統領は、マナフォート氏への恩赦を検討していると伝えられてきたが、恩赦の可能性はなくなったとみられる。

連邦最高裁判事に指名されたカバノー氏の疑惑を巡り、上院司法委員会で公聴会開催へ

また、トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏から性的暴力を受けたと女性が主張していることについて、24日に上院司法委員会で公聴会が開催されることになった。当初予定されていた20日の同委員会での承認投票は延期された。

大統領のコアの支持者には限定的も、無党派・中間層や共和党穏健派への影響は無視できない

今回の出版や醜聞報道等が中間選挙に与える影響だが、トランプ大統領のコアの支持者は、ワシントン・ポスト紙もニューヨーク・タイムズ紙も読まないし、CNNも見ない。おそらく、30ドルもするウッドワード氏の新著を買うこともなく、影響は限定的だろう。但し、民主党支持者、むしろ無党派・中間層や共和党穏健派への影響は無視できないのではないか。

8月以降、トランプ政権の不支持率と支持率の差及び、民主党と共和党の政党支持率の差は、何れも拡大傾向

8月以降、トランプ政権の不支持率と支持率の差及び、民主党と共和党の政党支持率の差は、何れも拡大傾向となっているが、一段とこの差が拡がる可能性がありそうだ。より、影響が大きいのは、投票行動、具体的には、実際に選挙登録を行い、1票を投ずる意志の強さだ。

オバマ前大統領は7日、中西部イリノイ州のイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校での演説で、これまでで最も痛烈にトランプ大統領を批判し、トランプ氏が「政治家が長年あおってきた怒りにつけ込んでいるだけだ」(8日付けCNN)との見方を示した。オバマ氏は演説の大部分を連邦議会の共和党議員に対する批判に費やし、ここ数十年は「怒りと妄想に満ちた政治が共和党内に巣くってきた」とした上で、共和党指導部が進めている政策は保守的ではないと主張した。

11月6日の中間選挙は、共和党支持者と民主党支持者の「怒り」の強さが勝敗の決め手に

日頃は冷静なオバマ氏がここまで名指しで共和党やトランプ大統領を批判したのは大統領退任後初めてだが、2016年の大統領選及び議会選では、共和党支持者の「怒り」に対し、クリントン氏の不人気から民主党支持者は「冷めた」ムードが強く、それが、民主党支持者の投票率低下をもたらし、トランプ氏の勝利と上下両院で共和党の支配をもたらす大きな要因になったと認識している。

そういう意味では、11月6日の中間選挙は、共和党支持者と民主党支持者の「怒り」の強さが勝敗の決め手になりそうだ。このことは、米国、また、世界にとって、必ずしも良いことではないが、トランプ政権下ではどうしようもないことだろう。

中間選挙の情勢、上院は混戦、下院や知事選では民主党が優位

残り2か月を切った中間選挙の情勢だが、足元では、好調な米経済や堅調な米株価にも関わらず、トランプ大統領の言動や移民・経済政策等が民主党支持者の「怒り」を買い、下院や知事選では、民主党が優位に進めている。一方、上院は混戦であるが、最終的に大きな勢力の変化はなさそうだ。

政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」(9月19日現在)によると、下院(435議席)は、優勢が共和189に対し、民主206、トスアップ(五分五分)40。トスアップ選挙区のうち、38選挙区は共和党が現有しており、共和党の議席減が濃厚だ。過去1か月間でも、民主党の優勢区が増えており、下院は、民主党が多数派を奪還する可能性がやや高そうだ。

知事選は、優勢が共和23州に対し、民主20州、トスアップ7州。トスアップ無の予想では、共和25州に対し民主25州。現状は共和33州、民主16州、無所属1州であり、民主党が州レベルでも、勢力を回復する可能性が高い。

今回約3分の1(35議席)が改選となる上院は、優勢は共和5に対し、民主21、トスアップ9。トスアップ選挙区は現有共和4:民主5と拮抗している。トスアップ無の予想では、非改選議席含め共和51に対し民主49と、現状変わらずの予想となっている。

但し、上院は混戦模様であり、8月下旬と比較すると、トスアアップが7から9に増えるなど、形成が流動的となっている。変化したのは、テキサス州とモンタナ州。前者は共和党の優勢が、後者は民主党優勢がトスアップに変わった。元々、改選議員数は共和9に対し、民主26と、民主党が守勢に立たされているが、共和党のベテラン議員の引退が相次ぐこともあり、無党派層や共和党穏健派の投票行動次第では、民主党が多数派を奪還する可能性もありうる状況だ。

何れにせよ、今回の中間選挙は、保守とリベラル、共和党と民主党の溝を一段と深める可能性が極めて高く、米国の分断状態や混乱は、2020年の大統領選・議会選に持ち越されることとなりそうだ。

中間選挙前に対日圧力が強まる可能性も

ここまで、トランプ大統領は主要公約の一つである「貿易改革」に関し、中国、韓国、EU、メキシコ・カナダをやり玉に挙げてきたが、我が国との本格交渉は先送りしてきた。但し、これは我が国に対して友好的というよりは、交渉に時間がかからないと判断している可能性がある。中間選挙前に成果を誇示するためにも、9月25日とみられる日米首脳会談の前後には、ツイッター口撃が炸裂する可能性があるのではないか。

2015年6月16日、NYのトランプタワーで大統領選への出馬表明を行った際、トランプ氏は「日本は米国に何百万台もの車を送ってくるが、東京でシボレーを見たことがあるか」とし、「中国、日本、メキシコから米国に雇用を取り戻す」と訴えた。

自民党総裁選で、安倍首相が3選、憲法改正問題が今後、国内政治の焦点に

本日9月20日午後には、自民党総裁選の投開票が行われ、安倍晋三自民党総裁(首相)が、石破茂元幹事長を553票対254票の大差で破り、3選となった。国会議員票405票、党員票405票の計810票の争奪戦となったが、石破氏は国会議員票は73票、党員票は181票にとどまり、6年前の雪辱とはならなかった。但し、事前には8対2程度の差がつくともみられていたため、約7対3の差は善戦との見方も。

安倍首相にとっては、最後の3年間となるが、祖父である岸信介元首相の遺志でもあり、自身もライフワークとする憲法改正(自主憲法制定)問題が今後、国内政治の焦点に浮上することになりそうだ。

台風21号と北海道胆振東部地震で大きな被害

9月に入り、ようやく秋らしくなるかと思えば、一時「スーパー台風」(注)に発達した台風21号が4日、四国及び近畿に上陸し、関西空港が冠水とタンカーの連絡橋への衝突で閉鎖されるなど、大きな被害が出ることになった。(注)「スーパー台風:SUPER TYPHOON」は、最大風速が130 kt(67 m/s)を超える台風で、米軍合同台風警報センター(JTWC)の区分で最も強い台風。

一方、6日には北海道の胆振(いぶり)地方中東部を震源に、最大震度7、M6.7の強い地震が発生した。「北海道胆振東部地震」では、震源地に近いで厚真町では大規模な山崩れで36人が死亡、道内では計41人が犠牲となった。また、道内の全ての火力発電所が停止し、一時道内の全295万戸が停電、いわゆる「ブラック・アウト」が発生するなど大きな被害が発生した。

改めて、今回の台風、地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方やそのご家族にはお悔やみを申し上げます。一日も早い復旧をお祈り致しております。

気象庁の全国3か月予報では、9-11月期の平均気温は全国的に高め、今冬はエルニーニョ現象発生で暖冬か

また、秋雨前線の影響で気温が低下したかと思えば、今週に入り、東京以西では最高気温が再度、30度台に上昇、ゲリラ豪雨が相次ぐなど、気温の急変動で体調をこわす人も増えている。

「秋晴れ」に代表されるような天気は稀で、残暑の後は、すぐに冬が訪れるような予感もする。実際、気象庁の「全国3か月予報(9月から11月までの天候見通し)」によると、「全国的に暖かい空気に覆われやすく、向こう3か月の気温は、東日本から沖縄・奄美にかけては高く、北日本では平年並か高い見込み」と、全国的に高めと予想されている。

気象庁によると、今年の9-11月は、全球で大気全体の温度が高く、太平洋高気圧が平年よりも北側で強く、南側で弱く、上空の偏西風は大陸では平年より南よりで、日本の東では北へ蛇行する見込み。結果、全国的に暖かい空気に覆われやすい見込みとのこと。

一方、今冬にはエルニーニョ現象が発生する可能性が気象庁に加え、米豪の気象当局、国連の世界気象機関(WMO)でも予測されている。発生確率は、気象庁が60%、米国の気象予報センター(CPC)が70%、オーストラリアの気象局(BOM)が50%、WMOが70%。エルニーニョ現象は日本でも暖冬をもたらす傾向が強い。

今秋の公開映画は「音」と「多様性」がキーワード

例年、秋は、夏休み映画とクリスマス・年末映画の端境期で、大作の公開は少ないが、シネコンブームで、スクリーン数が拡大したこともあり、国内でも特徴的な映画が多数公開されている。

今秋の公開映画は「音」とアジアなどの「多様性」がキーワード。

『クワイエット・プレイス』
9月28日(金)全国ロードショー
配給:東和ピクチャーズ
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

9月28日公開の『クワイエット・プレイス』は、「音を立てたら、即死」のキャッチコピーで宣伝中の新手のホラー映画。音に反応し人間を襲う「何か」によって荒廃した世界で、生き残った一組の家族を描いた作品。既に、試写会で鑑賞したが、音楽も含め、音のないシーンが多いため、集中度が高まる。ただ、観客も音を出すと気まずい雰囲気になるので、ポップコーンやドリンクは進まない。主演のエミリー・ブラント及びジョン・クラシンスキー夫妻は、同作品でも夫婦役を演じ、ジョン・クラシンスキー氏が監督も務めた。また、聴覚障害を持つ娘役は、自身も同じ障害を持つミリセント・シモンズさんが演じた。息の合った迫真の演技が全米でヒットした秘訣か。

『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』
10月12日(金)全国ロードショー
配給・制作:アスミック・エース
©2018「音量を上げろタコ!」製作委員会

『クワイエット・プレイス』とは正反対の映画が、10月12日公開の『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。三木聡氏が原案・脚本・監督を手がけ、阿部サダヲさんと吉岡里帆さん主演で描くロックコメディ。4オクターブの音域と驚異的な声量を持つロック歌手シンはその存在がカリスマであり、熱狂的な人気を誇っているが、実は彼の歌声は「声帯ドーピング」という掟破りの方法で作られたものだった。シンの喉は長年にわたる声帯ドーピングの副作用で限界に近づいており、声が出なくなる恐怖に常に悩まされていた。そんな折、シンは歌声が小さすぎるストリート・ミュージシャンのふうかと出会う。

『ルイスと不思議の時計』
10月12日(金)全国ロードショー
配給:東宝東和
©2018 UNIVERSAL STUDIOS AND STORYTELLER DISTRIBUTION CO.,LLC

同じく10月12日公開の『ルイスと不思議の時計』は、1973年に出版された米国人のジョン・ベレアーズ氏のファンタジー小説「壁のなかの時計」を実写映画化。様々な時計の音が全編に流れる。両親を亡くした少年ルイスは、叔父ジョナサンの古い屋敷で暮らすことになるが、実は叔父のジョナサンは、二流のポンコツだが不思議な力を使える魔術師だった。不思議な時計がいっぱいの屋敷で新生活を始めたルイスは、屋敷の中に世界を破滅に導く時計が隠されていることを知り、ジョナサンとともに謎を解いて世界を救うため奮闘する。魔術師ジョナサンを『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』のジャック・ブラックさんが、隣家に暮らす一流魔女のツィマーマンをオスカー女優のケイト・ブランシェットさんが演じた。

『クレイジー・リッチ!』
9月28日(金) 新宿ピカデリー他 ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

一方、多様性が特色の代表格は9月28日公開の『クレイジー・リッチ!』。シンガポール系米国人作家ケビン・クワン氏による2013年の同名のベストセラーを映画化。キャストが全てアジア系のラブ・コメディー映画だが、8月17-23日の週から全米で3週連続第1位を達成、世界興収は既に1億8,990万ドルと大ヒットを記録している(9月19日現在、Box Office Mojo調べ)。

シンガポールを舞台に不動産王の御曹司である恋人と彼の裕福な一族との間で揺れながら本当の幸せを探す独身女性の葛藤を描く。アジア系米国人で『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』のジョン・M・チュウ監督がメガホンをとった。

実は現時点で2018年の全米での興収第1位はメインキャストがアフリカ系俳優の『ブラック・パンサー』(同)。

ちなみに、世界興収は、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』が第1位(同)。次作の『アベンジャーズ4』(正式タイトル未公表)は2019年5月3日に米国公開予定。日本公開日は未定だが前作の例を踏襲すると4月26日(金)頃とみられる。

『saerch/サーチ』
10月26日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

10月26日公開の『saerch/サーチ』も主人公をアジア系が演じるハリウッド映画で、物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で進行していくサスペンススリラー。『スター・トレック』シリーズのスールー役で知られるジョン・チョウさんが、行方不明となった娘を捜す父親デビッド役を演じた。Googleグラスだけで撮影したYouTube動画で注目を集めた27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティ氏が監督を務めた。試写会で鑑賞したが、どんでん返しのストーリーを限られた映像表現で見事に演出した新しい感覚の映画だ。

『イコライザー2』
10月5日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

10月5日公開の『イコライザー2』は、アフリカ系米国人でオスカー俳優のデンゼル・ワシントンさん主演で2014年に公開されたアクションサスペンス『イコライザー』の続編。監督も前作に続き、アフリカ系米国人のアントワン・フークア氏がメガホンをとった。元CIAエージェントで、昼間の表の顔とは別に、世の裁けない悪人を19秒で抹殺していく「イコライザー」としての顔を持つ主人公ロバート・マッコールの戦いを描く。

2016年のアカデミー賞でノミネートされた20人の俳優すべてが白人だったことで問題化したハリウッドの「ホワイトウォッシング」(白人以外の登場人物を白人の俳優が演じること)への反省とともに、トランプ大統領が進める移民政策等への反発からか、映画の世界でも、マイノリティーの映画監督が発奮するとともに、マイノリティーの観客も多数映画館へ向かう構図となっているのかもしれない。

『億男』
2018年10月19日(金)全国東宝系にてロードショー
©2018映画「億男」製作委員会

最期に10月公開の注目の邦画及びアニメでは、10月19日公開の『億男』は、『電車男』や『君の名は。』などをプロデュースした川村元気氏の同名ベストセラー小説を佐藤健さんと高橋一生さん主演、『るろうに剣心』シリーズ、『3月のライオン』の大友啓史監督のメガホンで映画化。

兄が3,000万円の借金を残して失踪して以来、借金返済に追われる一男(佐藤健)。借金苦の日常に愛想を尽かした妻は娘とともに家を出てしまった。そんな不幸続きの一男に宝くじ3億円当選という幸運が舞い込む。この大金で借金返済、家族の修復と、一発逆転を夢想するが、ネットで悲惨な人生を送る高額当選者の記事ばかりが飛び込んでくる。不安になった一男は、起業して億万長者となった大学時代の親友九十九(高橋一生)にアドバイスをもらうため、九十九を訪ねる。藤原竜也さん、北村一輝さん、沢尻エリカさん、池田エライザさんらも共演。

同じく10月19日公開の『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』は人気ファンタジーアニメ『モンスター・ホテル』シリーズ第3作。2018年の全米での興収はアニメ映画では『インクレディブル・ファミリー』に次いで、第2位で実写映画含めても現在第10位(9月19日現在、Box Office Mojo調べ)。

『モンスター・ホテル クルーズ船の恋は危険がいっぱい?!』
2018年10 月19 日(金)よりユナイテッド・シネマ シネプレックスにて公開
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

モンスターたちの社交の場「モンスター・ホテル」の支配人として365日休みなく働く父ドラキュラの姿に見かねた娘のメイヴィスは、家族旅行を提案する。その行き先はモンスター御用達の豪華客船クルーズ。

秋の夜長、新作とともに、過去の名作も振り返って鑑賞してみては

11月6日に米中間選挙を控える中、次々と繰り出される米トランプ政権の保護主義的な政策や欧米で拡がる反移民・難民的な動きは、第2次世界大戦前の状況に似ているとの指摘が多い。「歴史は繰り返す」(古代ローマの歴史家クルティウス・ルフス)と言うが、「人間は社会的動物」(アリストテレス)であり、「人間は考える葦」(パスカル)でもある。但し、「学習効果」を発揮するためには、過去の歴史を学ぶ必要があるが、最近は電車の中でも、本を読んでいる人は稀だ。一方で、20世紀は「映像」の時代でもある。過去の大戦の歴史等を描いた映画は枚挙にいとまがない。秋の夜長、新作とともに、過去の名作も振り返って鑑賞してみてはどうか。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。同投資戦略室長、大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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