アナリストの忙中閑話【第91回】

アナリストの忙中閑話

(2018年12月20日)

【第91回】2019年の干支は「己亥(つちのと・い)」、新たな胎動も、正月映画特集

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

平成最後の年となる2019年(平成31年)の干支は「己亥(つちのと・い、キ・ガイ)」

平成最後の年となる2019年(平成31年)の干支は「己亥(つちのと・い、キ・ガイ)」。

「己亥」は、「干支」の組み合わせの第36番目で、陰陽五行では、十干の「己」は「土」の「弟(陰)」、十二支の「亥」は、「水」の「陰」で、「相克(そうこく)」の関係「土剋水(土は水を濁す。土は水を吸い取り、常にあふれようとする水を堤防や土塁等でせき止める)」にある。

「己」は十干の6番目の干で、「己」は三横線と二縦線の合字。「紀」の字の省略で、糸筋を通す意。前年の「戊」に続き、草木が繁茂して穂や花になる新芽が出る状態を表す。条理が整然としている状態の意も。

「亥」は十二支の第12番目で季節は旧暦の10月、動物では「猪」に配されている。方角は北西よりやや北、時刻は午後10時。「亥」は「「閡(とざす)」の意。草木が既に凋落して生命の力がその種子の内部に閉蔵された状態を表す。また、「核」と同義で起爆性を表す。

「己亥」の年、極限に達した経済や政治権力等がピークアウトする可能性を示唆?新たな胎動がキーワードに

(干支的に解説すると)「己」と「亥」を合わせると、2016年の「丙申(ひのえ・さる)」に勢力を拡大した経済や政治権力等が、2017年の「丁酉(ひのと・とり)」には、一段と勢いを増すが、2018年の「戊戌(つちのえ・いぬ)」には、その極致に達し、2019年の「己亥(つちのと・い)」にはピークアウトから収縮に向かう可能性を表している。特に、「相克」の関係は、様々な障害や困難を表すが、新芽の芽吹き、新たな胎動の始まりも示唆していると言えそうだ。

前回の「己亥」は1959年

前回60年前の「己亥」である1959年(昭和34年)には、国内では皇太子(現天皇)が4月にご成婚され、5月のIOC総会で1964年の夏季オリンピックの開催地が東京に決定と祝賀ムードに包まれていた。当時は高度経済成長期の岩戸景気(1958年7月-1961年12月)の真っ只中で、戦争からの復興から近代化にステージが変化した時期でもある。なお、2019年には天皇陛下の退位、新天皇の即位、新元号への改元が予定されている。

但し、1959年は、国内政治面では、岸首相が進める1960年の日米安保の改定に向け、国論が二分し始めた時でもあった。また、9月には伊勢湾台風で大きな被害も発生している。

海外では、1959年にはアラスカ(1月)が米国の第49番目、ハワイ(8月)は50番目の州となり、現在のアメリカ合衆国が出来上がった年であり、キューバ革命やドゴール氏がフランス第五共和制の初代大統領に就任、中印国境紛争や中ソの対立激化が深刻化した年でもある。やはり亥年の1947年にスタートした冷戦体制がやや変質、現在の多極化構造の兆しが表れ始めた年でもある。

実は、1959年はEEC(欧州経済共同体)に対抗して、EFTA(欧州自由貿易連合)条約が調印された年だ。2019年3月には英国のEU離脱が予定されている。当初、英国を主体に、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、スイス、オーストリア、ポルトガルの7か国が参加したEFTAも、現在はEU非加盟のノルウェー、アイスランド、スイス、リヒテンシュタインの4ヵ国となっている。然るに、EU離脱問題の行方次第では英国のEFTA再加盟の可能性もありそうだ。

一方、ソ連の宇宙ロケット・ルナ2号が月面に到着し、ルナ3号が月の裏側の写真を撮影、米ソなど12か国が南極条約に調印するなど、1959年は新たな領域への開発競争が進捗した年でもあった。2019年から50年前の1969年はアポロ11号が人類初の月面有人着陸を行った年だ。背景には1960年の大統領選で当選したジョン・F・ケネディ氏が宇宙・ミサイル開発等でソ連に勝利することを公約としていたことが背景にあった。

足元では、トランプ大統領に加え、ロシアや中国等が再度、宇宙開発への意欲を見せており、2019年は軍事及び平和目的両面で、宇宙が国際競争の最前線となる可能性がありそうだ。ちなみに、2019年2月8日にはアポロ11号のニール・アームストロング船長の半生を描いた映画『ファースト・マン』が公開される。ライブで月面着陸を見ていない若者にもお奨め。

安倍首相にとっては、祖父である岸元首相がライフワークとしていた憲法改正(自主憲法制定)の実現とともに、12年前の2007年の轍を踏まない対応が焦点となりそうだ。2007年の第21回参院通常選挙では自民党が歴史的大敗となり、第1次安倍政権は2か月後退陣に追い込まれた。2019年も7月頃には第25回参院選が実施される。

亥年は、4年に1度の統一地方選(4月)と3年に1度の参院通常選挙(7月頃)が重なる年であり、「選挙疲れ」から投票率が低下しやすいとともに、自民党が苦戦するケースが多いとの見方もある。投票率の低下自体は組織政党である自民党に有利だが、地方議員の活動力が落ちることが自民党にマイナスとの見立てだ。

また、2007年は夏ごろから米サブプライム問題が浮上、2008年9月のリーマンショックに繋がった年でもある。1995年も国内では不良債権問題が深刻化した。2019年には10月に消費増税を控えているが、世界経済の成熟度は増し、米国の利上げ、欧州の金融政策修正に加え、米保護主義等懸念材料も増加している。2019年の最大の課題は国際経済問題となる可能性が高そうだ。

亥年は過去自然災害が多かった。1995年の阪神淡路大震災が代表格だが、1947年のキャサリン台風、1959年の伊勢湾台風、1983年の日本海中部地震、三宅島噴火、2007年は新潟県中越沖地震に加え、猛暑も話題になった。地球温暖化も勘案すると、引き続き台風や大雨・洪水等に注意を要するとともに、30年以内の発生確率が75.3%に達する南海トラフ地震等、地震への備えも怠れないと言えそうだ。

なお、現行憲法下の首相経験者で亥年生まれは、1887年7月28日生まれの片山哲氏、同じく1887年11月15日生まれの芦田均氏、1899年12月3日生まれの池田勇人氏、1911年1月11日生まれの鈴木善幸氏、1935年8月24日生まれの羽田孜氏、1947年2月11日生まれの鳩山由紀夫氏の6氏。亥年生まれの首相は、総じて、「ハト派」が多い。

2019年は、引き続き、内外で政治と金融市場のリンケージが強まる可能性

2019年は、過去数年同様、内外で政治と金融市場のリンケージが高まる可能性が高そうだ。特に、米国では2020年の大統領再選を控えたトランプ政権の政策動向、我が国では参院選と憲法改正動向に注目が集まろう。

前述の通り、亥年の参院選では、自民党や社会党など、既存政党が大敗したケースが多い。これは、2007年の参院選で大敗し、退陣に追い込まれた安倍首相自身が身に染みていることだろう。

特に安倍首相がライフワークに掲げる日本国憲法の改正にとって、参院選での敗退は致命的となる。安倍首相は今年の自民党総裁選で3選し、総裁の任期を2021年9月まで延長したが、参院での勢力回復は最低でも3年、2016年の参院選でも自民党が大勝していることを勘案すると6年かかるからだ。

過去3年間でG7の首脳は5人が交替しているが、英国のキャメロン首相とイタリアのレンツィ首相の退陣は何れも国民投票での敗北が原因だ。特に後者の場合、改憲の是非が投票で争われた。憲法改正の発議と国民投票のタイミングは、2019年の参院選や次期衆院総選挙への影響も大きいと考えられる。結果、安倍政権の持続可能性にも直接繋がる問題だけに重要な問題だが、改元や消費増税等を勘案すると、機会は乏しい。株価・経済動向次第ではが改憲ムードが沈静化する可能性も否定できない。

一方、安倍首相同様、続投となった日銀の黒田総裁も「出口政策」に踏み出す機会が得られない状態が続きそうだ。2018年7月、若干の政策修正は行ったものの、原油価格の下落に加え、国際金融市場の不安定化や米経済のピークアウトにより、米国の利上げ停止が従来想定以上に早まることとなれば、為替相場が円高に振れる可能性もある。10月には日銀がリスク要因としている消費増税(8%⇒10%)も控え、2019年中に2%の物価上昇の目途は立ちそうもない。

何れにせよ、異次元緩和はアベノミクスの「第1の矢」でもあり、日銀の金融政策は安倍政権と命運を共にする可能性が高い。金融市場への影響も、アベノミクスの継続動向如何と言えそうだ。

米国ではネジレ議会の下、トランプ大統領の再選戦略が不透明要因に

一方、海外では2019年も、世界経済や金融市場ひいては安全保障にも影響を与えかねないイベントが続くが、総じて、政治の不安定化が進みそうだ。

米国では、2018年11月6日に実施された中間選挙の結果を受け、2019年1月3日に招集される第116議会は、上院は共和党が下院は民主党が支配する「ネジレ議会」となる。

議会は機能不全となり、トランプ大統領は、政策の方向性は反対なるもオバマ前大統領同様、外交・安全保障政策、通商・貿易政策に一段と主眼を置かざるを得ない。対中貿易戦争は一旦、停戦となったが、期限は2019年3月1日までであり、短期間で全ての案件で合意されることはなさそうだ。特に、交渉は、農業やエネルギー等から、徐々に中国の核心的利益とされる「中国製造2025」問題や南シナ海の領有権問題等、外交・安全保障問題にシフトすることも予想される。交渉期間が長期化すると、2020年大統領選のキャンペーンに重なることになり、益々妥協が難しくなりそうだ。

貿易戦争はEUや我が国にも波及する可能性がある。北朝鮮情勢も非核化に進展がなければ、2017年同様、軍事力による威嚇に回帰する可能性があり留意が必要だろう。

米国の利上げも2018年中は3月、6月、9月、12月と四半期毎の利上げペースが維持されたが、2019年の利上げ回数の見通しが従来の3回から2回に減少。一方で、米財政赤字は増加継続とみられ、一旦低下した米長期金利が再度、上昇に転ずる可能性もある。何れにせよ、2019年は米GDPの約7割を占めエンジン役である個人消費の燃料とも言える資産効果と雇用環境の改善動向に注目が集まりそうだ。米株価や住宅価格が下落に転じることになれば、国際経済の失速シナリオが急浮上する可能性も想定される。

欧州でも2019年、政治の流動化が一段と進展か

一方、欧州でも2019年、政治の流動化が一段と進展しそうな状況だ。

3月29日に予定される英国のEU離脱問題も一筋縄ではいきそうもない。当初2018年12月11日に予定されていた英下院での離脱協定案の採決は、大差で否決される可能性が高まったことで、2019年1月中旬に延期された。但し、可決の目途は依然立っておらず、このままでは否決される可能性が高い。その後のシナリオは複数に分かれる。まずはメイ首相の進退問題が注目されるが、当面は金融市場の不透明要因となりそうだ。

ドイツでは、メルケル首相が大敗した州議会選挙の責任をとって、キリスト教民主同盟(CDU)の党首を続投せず12月の党大会で退任。後任には「ミニメルケル」ことクランプカレンバウアー氏が就任した。但し、現在の連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の支持率は下げ止まっておらず、ドイツでも政治の流動化が進みつつある。

ドイツと並ぶEUの盟主であるフランスでも11月以降、反マクロンデモが相次ぎ、大統領の支持率は就任以来最低の20%台前半に低下している(12月のELABEとIFOPの調査では23%)。元々、新興勢力で政権基盤の弱いマクロン氏の場合、議会運営も一段と厳しくなりそうだ。

イタリアでは、2018年3月の総選挙後発足した五つ星運動と同盟の連立政権は、予算編成で財政赤字がEU基準を逸脱し、EUとの間で緊張が高まったが(12月19日に制裁回避で合意)、国内での支持率は高水準を保ったままだ。有権者に強硬姿勢が評価されているともいえ、連立与党としても、安易な妥協はできず、移民・難民問題を含め、瀬戸際外交を今後も継続する可能性が高そうだ。

2019年は5月(23-26日)に欧州議会選挙が予定されているが、独仏伊等で、欧州統合派の勢力が衰えているのは事実であり、EUやユーロ圏の求心力が低下するおそれもある。特に国際経済に陰りが生じた場合はなおさらだろう。2019年は欧州にとっても正念場と言えそうだ。

アジアでは引き続き中国が要注目だろう。中国では2017年10月に第19期中国共産党代表大会、第19期中央委員会第1回総会(1中全会)が開催された。二つの会議では、習近平党総書記(国家主席)への権力集中が一段と進んだことが確認された。習氏は5年後もトップを維持、毛沢東氏のように中国共産党主席に就任し、終身トップであり続けることを志向しているようにも思われる。

中国では、現在、構造改革とともに反腐敗運動(中央八項規定精神闘争等)が進行しているが、足元、同運動が再度拡大している気配がみられる。米中貿易戦争や国際経済のピークアウトの影響で、中国経済が一段と減速した場合、国内の不平不満を抑えることができるのか。2019年は、政治・経済両面で中国にとって、重要な年となる可能性が高そうだ。展開によっては、米国との対立が先鋭化、我が国の安全保障にも大きな影響をもたらす可能性もあろう。

亥固まる?

株式相場に関する格言では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁栄、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」とされている。なお、「亥固まる」とは通常、相場は小幅な値動きにとどまることを意味する。

  • 出所:QUICK資料等よりSMBC日興証券作成

なお、日経平均の十二支ごとの年間騰落率(1950〜2017年平均)で、亥年は17.2%と第3位につけているが、高度成長期の上昇率が大きく、前回2007年は▲11.3%とマイナスとなっている。2019年も内外のスケジュール的にはやや厳しい展開となる可能性もありそうだ。

2019年も当面、世界経済の拡張が続くと見込まれるが、ピークアウト感が一段と拡がる可能性、地政学的リスクや気候変動リスクも無視できない

2019年も当面は世界経済の拡張が続くと見込まれるが、米長短金利の上昇に加え、米国の保護主義的な政策の影響もあり、ピークアウト感が一段と拡がる可能性があろう。

米株価の下値が「固まる」のであれば、安定成長への移行が期待できるが、国際貿易や世界経済が「固まる」場合は、「政治リスク」が長期的には、「地政学的リスク」等に転化する可能性もあり、注意が必要だろう。

また、中東やアフリカ、極東アジアの地政学的リスクに加え、気候変動リスクも無視できないと言えそうだ。気象庁は11月、エルニーニョ現象の発生を発表した(速報ベース)。エルニーニョ現象は「冷夏・暖冬」をもたらすとされるが、地球温暖化と相俟って、2019年の世界の平均気温は過去最高を更新する可能性があり注意が必要だ。特に、スーパー台風・ハリケーンの増加には世界的に留意が必要か。

今年は28日が仕事納め、年末及び正月映画を特集、個性的な作品が多数公開

今年は12月29日が土曜日となったことで、官公庁の「御用納め」同様、民間企業でも28日金曜日が「仕事納め」となるところが多そうだ。年明けも4日の金曜日に休暇を取得すれば9連休となる。

原油安に加え、米ドル以外では円高となっている国も多く、海外旅行も人気のようだが、国内でゆっくりする方には、天気に左右されない映画鑑賞をお奨めしたい。今回は年末及び正月映画を特集するが、2019年の年明けにかけては個性的な作品が多数公開される。

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
2018年12月28日(金)全国ロードショー
© 2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

12月28日公開の『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は、筋ジストロフィーにかかりながらも自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと、彼を支えながらともに生きたボランティアの人々や家族の姿を描いたヒューマンドラマ。大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した渡辺一史氏の「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」を原作に、前田哲監督がメガホンをとり、大泉洋さんが主演を務めた。

北海道の医学生・田中はボランティアとして、体が不自由な鹿野と知り合う。病院を飛び出し、自ら集めた大勢のボランティアや両親に支えられて風変わりな自立生活を送る鹿野。夜中に突然「バナナが食べたい!」と言い出すなど、いつも王様のような超ワガママぶりだが、自分自身に素直に生きる鹿野は、どこか憎めない愛される存在だった。ある日、鹿野は新人ボランティアの美咲に惚れ、彼女へのラブレターの代筆を田中に依頼するが、実は美咲は田中と付き合っていて…。医学生・田中を三浦春馬さん、彼の恋人・美咲を高畑充希さんが演じた。

『ワイルド・ストーム』
2019年1月4日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
© CATEGORY 5 FILM, LLC 2017

1月4日公開の『ワイルド・ストーム』は、『ワイルド・スピード』のロブ・コーエン監督がメガホンをとったクライムアクション作品。アメリカ西海岸に史上最大規模、カテゴリー5の巨大ハリケーンが迫る中、財務省の紙幣処理施設を武装集団が襲撃する。それは大災害の混乱に乗じて、6億ドルにも及ぶ現金を強奪しようという前代未聞の犯罪計画だった。施設のセキュリティを担当するケーシー(マギー・グレイス)は、最強の災害用特殊車両「ドミネーター」を操る気象学者のウィル(トビー・ケベル)とともに、悪党どもの計画を阻止すべく、猛烈な嵐と銃弾の中、決死の行動に打って出る。

『この道』
2019年1月11日(金)全国公開
© 2019映画「この道」製作委員会

1月11日公開の『この道』は、自由奔放な天才詩人北原白秋の波乱に満ちた半生を西洋音楽を日本に導入した秀才音楽家山田耕筰との友情とともに描いた作品。北原白秋を大森南朋さん、山田耕筰をEXILE AKIRAさんが演じ、『半落ち』の佐々部清監督がメガホンをとった。

日本の子供たちの心を表す新しい童話や童謡を作りだそうと、文学者鈴木三重吉は「赤い鳥」を1918年に創刊した。童謡もこの児童文芸誌の誕生とともに生まれた。白秋と耕筰もここを舞台に名曲「からたちの花」や「この道」などを発表した。それまで、日本の子どもたちの歌は、各地に伝承されてきた「わらべ歌」か、ドイツから入ったメロディーに日本語の歌詞を乗せた「ドイツ童謡」しかなかった。日本人による日本人のための新しい歌が、白秋・耕筰コンビらによって生まれたのだった。

『クリード 炎の宿敵』
2019年1月11日(金)より全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

同じく1月11日公開の『クリード 炎の宿敵』は、『ロッキー』シリーズのスピンオフ作品で後日譚とも言える2015年公開の『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。アドニス・クリードの父でありロッキーの盟友だったアポロ・クリードを『ロッキー4 炎の友情』で葬ったイワン・ドラコの息子ヴィクターと、アドニスが因縁の対決に挑む姿を描く。

前作から続いてアドニス役をマイケル・B・ジョーダンさん、ロッキー役をシルベスター・スタローンさんが演じ、スタローンさんは脚本も担当。『ロッキー4』でイワン・ドラコを演じたドルフ・ラングレンさんも同役で出演。本作品の監督は新鋭のスティーブン・ケイプル・Jr.氏だが、前作はライアン・クーグラー氏がメガホンをとった。アフリカ系の米国人のクーグラー監督は2019年の米国内興収トップとなっている『ブラック・パンサー』(Box Office Mojo、12月19日現在)の監督も務めており、同作品にジョーダンさんも悪役だが助演級で出演している。なお、2019年の全世界興収トップは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(同)。

『蜘蛛の巣を払う女』
2019年1月11日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ

1月11日公開の『蜘蛛の巣を払う女』は、スウェーデン人の作家スティーグ・ラーソン氏の世界的ベストセラーのミステリー小説「ミレニアム」シリーズの第4作を映画化。本作の原作の著者はフェデ・アルバレス氏。

デビッド・フィンチャー監督がシリーズ第1作を映画化した『ドラゴン・タトゥーの女』に続く作品。主人公のリスベット役は前作のルーニー・マーラさんからクレア・フォイさんに交替。監督を『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス氏が務めた。前作を手がけたフィンチャー氏は製作総指揮に名を連ねている。

特殊な映像記憶能力を持つ天才ハッカーで、背中にあるドラゴンのタトゥーが特徴のリスベットは、AIの世界的権威であるバルデル教授から、図らずも開発してしまった核攻撃プログラムを米国家安全保障局(NSA)から取り戻してほしいと頼まれる。依頼を受けて陰謀の裏を探っていたリスベットは、やがて16年前に別れた双子の姉妹カミラの存在にたどり着く。

『マイル22』
2019年1月18日(金)新宿バルト9ほか全国公開
配給:クロックワークス
© MMXVIII STX Productions, LLC. All Rights Reserved.

1月18日公開の『マイル22』は、『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』『パトリオット・デイ』に続き、マーク・ウォールバーグさんとピーター・バーグ監督が4度目のタッグを組んだアクションサスペンス。世界を揺るがす危険な物質が盗まれ、その行方を知る男リー・ノアー(イコ・ウワイス)が見つかった。重要参考人として保護されるが、彼を抹殺するため、多数の武装勢力が送りこまれていた。彼を国外に脱出させるためジェームズ・シルバ(マーク・ウォールバーグ)率いるCIAの機密特殊部隊は大使館から空港までの22マイル(34.5km)を護衛する究極のミッションに挑む。

『ミスター・ガラス』
2019年1月18日(金)より、全国ロードショー!
© Universal Pictures All rights reserved.

1月18日に日米同時公開の『ミスター・ガラス』は、『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督の傑作『アンブレイカブル』(2000年公開)の続編で、2017年公開の『スプリット』に続くシリーズ第三弾で完結編。

フィラデルフィアのある施設に、3人の特殊な能力を持つ男が集められた。彼らの共通点はひとつ、自分が人間を超える存在だと信じていること。精神科医のステイプルは、すべて彼らの妄想であることを証明しようとする。だがそれは、決して足を踏み入れてはならない「禁断の研究」だった。「スーパーヒーロー」は実在するのか?最後に明らかになる驚くべき「真実」とは?

『アンブレイカブル』から、デヴィッド・ダン役のブルース・ウィリスさんと、「ミスター・ガラス」の異名でも知られるイライジャ・プライス役のサミュエル・L. ジャクソンさんが戻ってくる。サミュエル・L. ジャクソンさんは『アベンジャーズ』シリーズではニック・フューリー大佐を演じている。また、24の人格を持つ「多重人格者、ケヴィン・ウェンデル・クラム」を『X-MEN』シリーズで若き日のプロフェッサーX役を務めたジェームズ・マカヴォイさんが演じた。

同じく1月18日公開の邦画『マスカレード・ホテル』は東野圭吾氏のベストセラー小説「マスカレード」シリーズの第1作を実写映画化。木村拓哉さんが初の刑事役に挑戦。

都内で3件の殺人事件が発生した。現場にはいずれも不可解な数字の羅列が残されていたことから、連続殺人事件として捜査が開始される。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)はその数字が次の犯行場所を示していることを解読し、高級ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突きとめる。しかし犯人への手掛かりは一切不明。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。新田は教育係である優秀なフロントクラーク山岸尚美と衝突を繰り返しながら事件の真相に近づいていく。ヒロインの尚美役に長澤まさみさん。『HERO』シリーズの鈴木雅之氏がメガホンをとり、『ライアーゲーム』シリーズの岡田道尚氏が脚本を担当。

「エクスペンダブルズ」は実は現役バリバリ

『クリード 炎の宿敵』に出演しているドルフ・ラングレンさんは、シルベスター・スタローン氏原案・監督の『エクスペンダブルズ』(2010年)及び続編の『エクスペンダブルズ2』(2012年)、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014年)にも出演している。今回、『ロッキー4』以来の共演が決まったのも、同シリーズ3作出演で仲が良くなったことが背景とのこと。

実は、同シリーズには、『ミスター・ガラス』に出演しているブルース・ウィリスさんに加え、アーノルド・シュワルツェネッガーさん、ジェイソン・ステイサムさん、ジェット・リーさん、ハリソン・フォードさん、アントニオ・バンデラスさん、ミッキー・ロークさん、チャック・ノリスさん、ジャン=クロード・バン・ダムさんら往年の大物アクションスターが多数出演し、交流を深めているとのこと。

「エクスペンダブルズ」は「消耗品」を意味するが、彼らの実生活は現役バリバリだ。やはり 「腕に職」があることは強い。2019年は「転換点」や「新たな胎動」の年となる可能性があるが、私も何か資格取得か新たなスポーツ、趣味にチャレンジするとともに、新年会や同窓会に出席して旧交を温めることとしたい。

年末のご挨拶

最後に、1年間、「アナリストの忙中閑話」におつきあい頂き誠にありがとうございました。平成最後の2019年も「映画と世界情勢」に関する話題を中心に、面白い話、役に立つネタ等をご提供したいと存じておりますので、よろしくお願い申し上げます。なお、新年号では、2019年通年の注目映画を特集します。

それでは良いお年をお迎えください。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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