アナリストの忙中閑話【第92回】

アナリストの忙中閑話

(2019年1月24日)

【第92回】波乱の幕開けとなった2019年、GG賞とアカデミー賞ノミネーション、2019年の注目映画

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

平成最後の年となる2019年(平成31年)は波乱の幕開け

2018年12月号では、平成最後の年となる2019年(平成31年)の干支や重要イベントを紹介し、「己亥(つちのと・い)」の2019年は、様々な勢力がピークアウトから収縮に向かう可能性を指摘した。実際、トランプ・リスクの顕在化等から、2019年は波乱の幕開けとなった。特に1月3日の出来事が今後を象徴しているかのようだった。

過去最長の米政府機関閉鎖にアップル・ショック

1月3日に招集された米第116議会は上院は共和党が下院は民主党が多数派の「ネジレ議会」となった。米国政治の混迷は既に顕在化し、米連邦政府機関は2018年12月22日から一部が閉鎖されたままで、クリントン政権下の1995年12月16日から1996年1月6日までの21日間を抜き、過去最長を更新。本日(1月24日)で34日間となるが、メキシコ国境への壁建設費57億ドルを要求するトランプ大統領と建設費の計上を拒否する民主党の対立が続き、解決の目途は依然立っていない。

同じく3日には、「アップル・ショック」から海外で株価が大幅に下落し、為替相場も一時1ドル:104円70銭台と、2018年3月以来9か月ぶりの円高となった。米アップルが中国景気の減速を理由に業績予想を引き下げたことで、米中貿易戦争への懸念と世界経済のピークアウト感が強まり、比較的安全な資産とされる円を買う動きが急速に広がった。

日経平均株価は2012年以降17年まで、年足は6年連続で前年末比プラスで引けていたが18年末は7年ぶりに下落に転じた。19年1月4日の大発会は一時前営業日比800円近く下落、結局452円安で引けた。大発会で日経平均株価が下落したのは中国株の下落等が響いた16年1月4日(582円安)以来3年ぶり。2018年1月4日は741円高でのスタートだった。

中国の無人探査機「嫦娥4号」が1月3日、世界で初めて月の裏側に着陸

加えて3日には、やはり中国関連で、宇宙開発の歴史に新たな1ページを開く快挙も達成された。中国の無人探査機「嫦娥(じょうが)4号」が1月3日午前10時26分(日本時間同11時26分)、世界で初めて月の裏側に着陸した。「嫦娥」は中国の伝説で月に住む仙女にちなむ。

「嫦娥4号」は2018年12月8日に四川省の西昌衛星発射センターから「長征3号B」ロケットで打ち上げられ、同月12日に月面軌道に入っていた。着陸した地点は、月の裏側の南極付近で、着陸から約12時間後には、北京の管制センターからの指示を受け、探査車が分離され月面に降りた。探査車の名称は「玉兎(ぎょくと)2号」。2013年に月の表側の「雨の海」に着陸した「嫦娥3号」に搭載された探査車の名称は「玉兎号」だった。なお、「玉兎号」は「嫦娥」が飼っていたウサギの名前にちなむ。

無人探査機が初めて月面に到達したのは「ルナ2号」の1959年、人類初の月面着陸は「アポロ11号」の1969年

無人探査機が、月面に到達したのは、今から60年前の1959年9月12日に旧ソ連の宇宙船「ルナ2号」が月の表側にある「晴れの海」に衝突したのが初めてである。同年10月4日には、「ルナ3号」が初めて月の裏側の撮影に成功した。

一方、人類が月面に降り立ったのは、米国の宇宙船、「アポロ11号」に搭載された月着陸船「イーグル」が、今から50年前の1969年7月20日(協定世界時)に月の表側の「静かの海」に着陸し、翌21日(同)にまず、ニール・アームストロング船長が、続いてバズ・オルドリン操縦士が降り立ったのが初めて。

無人探査機の月面到達から約60年、人類の月面着陸から約50年近く経過したが、月の裏側に無人探査機が着陸したのは今回が初めてである。

月の裏側への到達が遅れた背景には、常に月は表側が地球に向いており、逆に言えば、裏側は常に地球と反対方向を向いていることから、直接、地球と通信が出来ないことに加え、月面への到達には膨大な費用がかかることが大きい。今回、中国は月の裏側との交信を中継するため、2018年5月に、通信衛星「鵲橋(じゃくきょう)」を打ち上げた。

月面着陸を含む宇宙開発は米ソ冷戦の副産物

人類が最後に月面に降り立ったのは「アポロ17号」がアポロ計画6度目にして最後の有人月面着陸を行った1972年12月である。月面に着陸した人類は計12人(6回)。それから46年以上経過しても、一度も月に有人の宇宙飛行が行われていない。今から60年前にソ連が「ルナ計画」により、月に無人探査機を送り込み、今から50年前に米国が「アポロ計画」で月に人類を着陸させたのも、コスト度外視で宇宙開発を可能としたのは、米ソの覇権争いである「冷戦」が本格化する中、軍事分野への技術転用とともに、自らの陣営の優位を世界にアピールすることが最大の目的であったと言える。

なお、アポロ計画は、米ソの冷戦時に宇宙開発競争がヒートアップする中の1961年5月に、ジョン・F・ケネディ大統領(当時)が1960年代中に人間を月に到達させるとの声明を発表したことが原動力となっている。

今回の中国の探査機による世界初の月の裏側への着陸は米中の覇権争い、新冷戦の象徴

米ソの冷戦の副産物が宇宙開発競争であったように、今回の中国の探査機による世界初の月の裏側への着陸は米中の覇権争い、新冷戦の象徴とも言えそうだ。

中国では、3月5日に、第13期全国人民代表大会第2回会議が北京で開催される。習近平国家主席・中国共産党中央委員会総書記は、今回の「嫦娥4号」による世界初の月の裏側への着陸を「宇宙強国」への一歩と自画自賛するとみられるが、3月1日には、米中貿易協議の期限も設定されている。習主席にとっても、1月3日に「ネジレ議会」がスタートし一部政府機関の閉鎖が長期化しているトランプ大統領にとっても、米中貿易協議での安易な妥協は困難なタイミングだ。

米中貿易戦争は2018年1月の1974年通商法第201条(セーフガード)の太陽光パネル(関税最大30%)や洗濯機(同50%)への発動で始まり、7月には同法第301条(スーパー301条)発動で本格化した(別途、2018年3月には、我が国等含め、1962年通商拡大法232条を適用、鉄鋼に25%、アルミに10%の新たな関税も賦課)。2019年は、貿易・通商分野のみならず、外交・安全保障分野での米中の対立構造にも注目する必要がありそうだ。

一方で、米ソの冷戦はその後の金融市場の発展に寄与した面もある。1972年12月のアポロ17号の打ち上げにより、事実上アポロ計画が終了し、1980年代に入り米ソの冷戦が終結すると、NASAや国防総省で働いていた多くの技術者がウォール街に転身することになった。その結果、先物やオプション等のデリバティブの開発が急速に進むことになった。その後は、スワップや証券化商品等、一段と金融工学が進歩、最終的には、2008年9月のリーマン・ショックに至る遠因ともなっている。

アポロ11号月面有人着陸を描いた映画がまもなく公開

『ファースト・マン』

『ファースト・マン』
2019年2月8日(金)全国ロードショー
配給:東宝東和
© Universal Pictures

実は、2月8日には、アポロ11号のニール・アームストロング船長の半生を描いた映画『ファースト・マン』が公開される。

既に試写会で鑑賞したが、今から50年前の月面着陸は、相当なイノベーションが必要であったとともに、相当なハイリスクであったことが改めてわかる。アポロ11号から17号においては、途中、事故により月面着陸が放棄された13号を含め、全てのクルーは無事地球に帰還したが、1967年1月にはアポロ1号で火災事故が発生し、3人の飛行士が死亡している。

なお、アポロ13号に関しては、トム・ハンクスさん主演で1995年に公開された『アポロ13』で映画化されている。同作品は第68回アカデミー賞において編集賞、音響賞の2部門を受賞。

『ファースト・マン』は、ライブで月面着陸を見ていない若者にもお奨めだ。ただ、同作品を見た後に過去50年を振り返ると、コンピュータ等の小型化には成功したものの、際立ったイノベーションは起きていないようにも感じられる。

ちなみに1970年に開催された大阪万博(EXPO'70)のテーマは「人類の進歩と調和」だった。なお、2025年にも大阪で万博(Expo 2025)が開催されることが2018年11月23日にフランスのパリで開かれた博覧会国際事務局(BIE)総会で決まった。

アカデミー賞の前哨戦として注目される第76回ゴールデングローブ賞の受賞結果

以下では2019年の注目映画を特集するが、まずは、アカデミー賞の前哨戦として注目される第76回ゴールデングローブ賞(以下「GG賞」)の結果を確認したい。

同賞の授賞式が1月6日(日本時間7日)にロサンゼルスのビバリーヒルトン・ホテルで開催された。

ドラマ部門では、本コラムでも昨年10月号で取り上げ、日本でも大ヒット中の『ボヘミアン・ラプソディ』が作品賞を獲得。ミュージカル・コメディ部門は黒人ジャズミュージシャンと白人運転手の旅を描いた『グリーンブック』(3月1日公開)が作品賞を受賞した。事前予想ではドラマ部門は、本コラム11月号で取り上げ現在公開中の『アリー/スター誕生』が作品賞の有力候補だったが、やや意外な結果に。クイーンのフレディ・マーキュリー役を演じたラミ・マレックさんは男優賞を受賞。一方、『アリー/スター誕生』で主演したレディ・ガガさんは「シャロウ」で主題歌賞を受賞するも、有力視されていた女優賞は逃し、『天才作家の妻 40年目の真実』(1月26日公開)でノーベル文学賞作家の妻を演じたグレン・クローズさんが獲得した。

『女王陛下のお気に入り』

『女王陛下のお気に入り』
2019年2月15日、全国ロードショー
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

ミュージカル・コメディ部門は、男優賞が『バイス』(4月5日公開)でチェイニー元副大統領を演じたクリスチャン・ベールさんが、女優賞は『女王陛下のお気に入り』(2月15日公開)で英国女王を演じたオリヴィア・コールマンさんが受賞した。

助演男優賞は、『グリーンブック』のマハーシャラ・アリさんが、助演女優賞は『ビール・ストリートの恋人たち』(2月22日公開)のレジーナ・キングさんが受賞した。『グリーンブック』は脚本賞も受賞し3冠とし、最多受賞となった。

前述の『ファースト・マン』は作曲賞を受賞。

『スパイダーマン: スパイダーバース』

『スパイダーマン: スパイダーバース』
2019年3月8日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ

是枝裕和監督の『万引き家族』がノミネートされた外国語映画賞は、Netflix作品『ROMA/ローマ』が受賞。アルフォンソ・キュアロン氏は監督賞も受賞。なお、細田守監督の『未来のミライ』がノミネートされたアニメーション映画賞は『スパイダーマン: スパイダーバース』(3月8日公開)が受賞した。

GG賞はハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員約90人の投票で選出される。

ちなみに、『ボヘミアン・ラプソディ』はクイーンファンの大量動員にGG賞の受賞効果も加わって、配給元の20世紀フォックスによると22日時点累計で日本国内の動員727万人、興行収入100.4億円と、100億円を突破したとのこと。全世界での興収は7億9,600万ドル。日本国内では2018年公開作品で興収1位(興行通信社調べ)となり、現時点では歴代ランキングでも30位内に入ったとみられる。

第91回アカデミー賞ノミネーション

一方、2019年2月24日(現地時間)に授賞式が開催される第91回アカデミー賞のノミネーションが1月22日、賞を主催する映画芸術科学アカデミーから発表された。

最多10部門でノミネートを果たしたのは、『ROMA/ローマ』と英国アカデミー賞でも最多ノミネートとなった『女王陛下のお気に入り』。続いて、『アリー/ スター誕生』と『バイス』の8部門。アメコミ映画として初めて作品賞にノミネートされた『ブラック・パンサー』(2018年公開)は7部門となった。

作品賞には、『アリー/ スター誕生』、『ブラック・クランズマン』、(3月22日公開)、『ブラックパンサー』、『ボヘミアン・ラプソディ』、『女王陛下のお気に入り』、『グリーンブック』、『ROMA/ローマ』、『バイス』の8作品が、監督賞には、アルフォンソ・キュアロン監督の『ROMA/ローマ』、ヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』、アダム・マッケイ監督の『バイス』、スパイク・リー監督の『ブラック・クランズマン』、パヴェウ・パヴリコフスキ監督の『COLD WAR あの歌、2つの心』(6月28日公開)の5作品がノミネートされた。

なお、日本からはカンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した是枝裕和監督の『万引き家族』が外国語映画賞に、細田守監督の『未来のミライ』が長編アニメーション賞にノミネートされた。両作品ともGG賞の雪辱に期待したい。

今年のアカデミー賞授賞式は1989年以来30年ぶりに司会なしで開かれる可能性が高まっている。昨年12月4日、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』にも出演した黒人俳優でコメディアンのケビン・ハートさんの司会起用がいったん発表されたが、過去に同性愛者に差別的な発言をしていたことが明らかになり、12月6日、本人が辞退した。

今年は司会者なしでスターが持ち回りで進行する形式を検討しているとのことだが、一説にはディズニー/マーベル映画『アベンジャーズ』のキャストが集結し、プレゼンターを務める構想があるとのこと。近年、アカデミー賞授賞式の視聴率が低下していることもあり、2018年8月、映画芸術科学アカデミーは、その年で最も人気のある映画ために、新しいカテゴリーの人気映画賞「Best Popular Film」の創設を発表したが、不評のため今年は賞の設立は見送られた経緯にある。4月には『アベンジャーズ』シリーズ完結編の『アベンジャーズ/エンドゲーム』が公開されることに加え、授賞式を放送するABCはディズニーの傘下にあることが信憑性を高めている面もある。なお、『アベンジャーズ/インフィニティウォー』は2018年の世界興収第1位で世界歴代興収第4位だが、今回、視覚効果賞にノミネートされた。

2017年の授賞式では作品賞の発表に間違いが発生、2018年の授賞式ではトランプ大統領とのツイート・バトルが起き、今年は、Netflix作品が最多ノミネートとなるなど、アカデミー賞もそろそろ変革が迫られているのかもしれない。

2019年は日本関連の洋画の大作の公開が目白押し

GG賞やアカデミー賞関連以外の2019年の注目作品の特徴として、洋画の大作、特に日本関連作品の公開が目白押しなことが挙げられる。

2月22日公開の『アリータ バトル・エンジェル』は木城ゆきと氏原作の日本のSF漫画「銃夢(ガンム)」を、ジェームズ・キャメロン氏の脚本・製作により、ハリウッドで実写映画化したアクション大作。

3月15日公開の『キャプテン・マーベル』は、マーベルコミックの実写映画で初の女性ヒーローが主役となる作品。『アベンジャーズ』結成以前の1990年代を舞台に、過去の記憶を失った女性ヒーロー、キャプテン・マーベルの戦いを描く。

3月1日公開の『移動都市 モータル・エンジン』はフィリップ・リーブ氏のファンタジー小説「移動都市」を『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン氏製作・脚本で映画化した冒険ファンタジー。

『バンブルビー』

『バンブルビー』
2019年3月22日(金)全国ロードショー!
配給:東和ピクチャーズ
© 2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved. HASBRO, TRANSFORMERS, and all related characters are trademarks of Hasbro. © 2018 Hasbro. All Rights Reserved.

3月22日公開の『バンブルビー』は、日本生まれの変形ロボット玩具を由来とする『トランスフォーマー』シリーズの人気キャラクター、バンブルビーを主役に、シリーズの始まりを明らかにする物語。

3月29日公開の『ダンボ』はディズニーのアニメーション映画『ダンボ』を鬼才ティム・バートン氏によって実写化。

4月26日公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、『アベンジャーズ』シリーズ完結編。最強の敵サノスによって、前作『アベンジャーズ/インフィニティウォー』(2018年公開)では、アベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命の半分が一瞬で消滅。本作品では残されたアイアンマンをはじめとするヒーローたちがもう一度集結し、世界を救うための最後の戦いに挑む。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
2019年5月31日(金)世界同時公開!
日本配給:東宝
© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.

5月31日公開の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、2014年公開のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』の続編で、前作から5年後を描く。本作には、モスラ、ラドン、キングギドラといった怪獣が登場。

5月には、『名探偵ピカチュウ』が公開予定。世界的人気を誇る日本発のゲーム「ポケットモンスター」シリーズ(販売は当初は任天堂、現在は株式会社ポケモン)をハリウッドが実写映画化。

6月7日公開の『アラジン』は、ディズニーアニメ『アラジン』をガイ・リッチー監督で実写化。なお、年内には同じくディズニーアニメ『ライオンキング』の実写映画も公開予定。

6月公開の『X−MEN:ダーク・フェニックス』は、ジーン・グレイが主人公で、2016年公開の『X-MEN:アポカリプス』に続く作品。

7月12日公開の『トイ・ストーリー4』はディズニー/ピクサーの人気シリーズ『トイ・ストーリー』第4弾。

夏公開予定の『メン・イン・ブラック:インターナショナル』は地球上に潜伏するエイリアンの監視と取り締まりを任務とする、黒いサングラスと黒いスーツがトレードマークの秘密組MIBエージェントの活躍を描く。シリーズ第4作。

『ターミネーター』の新作も11月頃に公開予定。1984年公開の第1作では監督を務めたジェームズ・キャメロン氏が製作で復帰、1991年公開の『ターミネーター2 』の続編として新3部作が始動する。T800型役でアーノルド・シュワルツェネッガーさんが、サラー・コナー役でリンダ・ハミルトンさんが復帰する。

12月には、『スター・ウォーズ』シリーズ新3部作(計9作)で完結編の『スター・ウォーズ/エピソード9(仮題)』が公開される予定。監督・脚本はJ・J・エイブラムス氏。

年内には『スパイダーマン:ホームカミング』の続編となる映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』も公開される予定だ。

また、セガグループの人気ゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」をハリウッドで実写映画化した『ソニック・ザ・ムービー』が年内に公開される可能性がある(全米公開は11月予定)。

邦画は人気コミックの実写化作品と人気アニメが多数公開

一方、邦画は人気コミックの実写化作品と人気アニメが多数公開される。

4月12日に公開される『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』は、『名探偵コナン』の劇場版第23作。今回は劇場版シリーズでは初めての海外となるシンガポールを舞台にコナンが巨大な陰謀に立ち向かう。

5月31日には、東野圭吾氏原作の『パラレルワールド・ラブストーリー』が公開される。玉森裕太さん主演、吉岡里帆さんや染谷将太さんらが共演。

6月21日公開の『ザ・ファブル』は、2017年度講談社漫画賞を受賞した南勝久氏による人気漫画を岡田准一さん主演で実写映画化。どんな相手も6秒以内に殺す天才的な殺し屋が、一般人として1年間普通に生活するさまを描く。

7月19日には『君の名は。』の新海誠監督の新作、『天気の子』が公開される。家出少年と不思議な能力を持つ少女の恋の物語を紡ぐアニメーション。

同じく7月19日公開の『東京喰種 トーキョーグール2(仮)』は2017年公開の『東京喰種 トーキョーグール』の続編。主演は前作に引き続き窪田正孝さん、新キャストに松田翔太さんらを迎えた。

7月26日公開予定の『アルキメデスの大戦』は、三田紀房氏原作の同名マンガを菅田将暉さんを主演に迎えて実写化。1930年代の日本を物語の舞台に、1人の若き天才数学者が「戦艦大和建造計画」阻止のため、前代未聞の頭脳戦に挑んでいく。

8月9日公開の『ONE PIECE STAMPEDE』は、尾田栄一郎氏原作の「ONE PIECE」テレビ放送20周年を記念した劇場版第14作。

秋公開予定の『地獄少女』は人気オリジナルテレビアニメ「地獄少女」を、『不能犯』の白石晃士監督が玉城ティナさん主演で実写映画化。

近日公開の注目作品

なお、1月下旬から2月中旬までに公開される注目作品はこちら。

『ナチス第三の男』

『ナチス第三の男』
2019年1月25日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開
© Photo by Bruno Calvo All rights reserved

1月25日公開の『ナチス第三の男』は、ヒトラー、ヒムラーに次ぐ「ナチス第三の男」と称されたラインハルト・ハイドリヒを主人公としたローラン・ビネ氏による本屋大賞翻訳部門第1位、フランス・ゴンクール賞最優秀新人賞受賞のベストセラー小説「HHhH プラハ、1942年」を『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』のジェイソン・クラークさん主演で映画化。その冷徹極まりない手腕から、「金髪の野獣」とのあだ名がつけられ、ユダヤ人大量虐殺の首謀者とされるハイドリヒを、英国政府から訓練を受けチェコスロバキア亡命政府によって送り込まれたレジスタンスグループが止めようとしていた。『フレンチ・コネクション 史上最強の麻薬戦争』のセドリック・ヒメネス監督がメガホンをとった。

『七つの会議』

『七つの会議』
2019年2月1日、全国東宝系にてロードショー
© 2019映画「七つの会議」製作委員会

2月1日公開の邦画作品『七つの会議』は池井戸潤氏原作の同名企業犯罪小説を、野村萬斎さん主演で映画化。都内にある中堅メーカー・東京建電の営業一課で万年係長の八角民夫は、いわゆる「ぐうたら社員」。トップセールスマンで、八角の年下である課長の坂戸からは、そのなまけぶりを叱責され、営業部長・北川誠が進める結果主義の方針の下、部員たちが必死で働く中、八角はひょうひょうとした毎日を送っていた。八角役を自身初のサラリーマン役となる萬斎さんが演じ、香川照之さん、及川光博さん、片岡愛之助さん、音尾琢真さん、立川談春さん、北大路欣也さんらが脇を固めた。監督は「陸王」「下町ロケット」「半沢直樹」など池井戸ドラマの演出を手がけた福澤克雄氏。

『フロントランナー』

『フロントランナー』
2019年2月1日(金)全国ロードショー

同じく2月1日公開の『フロントランナー』は1988年の米大統領選挙が舞台。コロラド州選出の上院議員ゲイリー・ハートは、史上最年少にして最有力候補「フロントランナー」に躍り出る。彼はジョン・F・ケネディの再来として大衆に愛され、民主党予備選での勝利は確実視されていた。しかし、マイアミ・ヘラルド紙の記者が掴んだ「ある疑惑」が一斉に報じられると、事態は一変する。『グレイテスト・ショーマン』、『X-MEN』シリーズではウルヴァリンを演じたヒュー・ジャックマンさん主演。

2月1日公開の『メリー・ポピンズ リターンズ』は、アカデミー賞5部門に輝いた1964年公開のディズニー映画『メリー・ポピンズ』の20年後を描いた続編。大恐慌時代のロンドン。バンクス家の長男マイケルは今では家庭を持つ父親となり、かつて父や祖父が働いていたロンドンのフィデリティ銀行で臨時の仕事に就いていた。しかし、金銭的な余裕はなく、さらにマイケルは妻を亡くしたばかりで家の中も荒れ放題。そこへ追い打ちをかけるように、融資の返済期限切れで家まで失う大ピンチに。そんな彼らの前に、あの「ほぼ完璧な魔法使い」メリー・ポピンズが風に乗って舞い降りた。主人公メリー・ポピンズを『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のエミリー・ブラントさんが演じ、『キングスマン』のコリン・ファースさん、『マンマ・ミーア!』のメリル・ストリープさんら豪華キャストが共演。監督は『シカゴ』のロブ・マーシャル氏。

2月8日には、前述の『ファースト・マン』が公開される。『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督&主演ライアン・ゴズリングさんのコンビが再びタッグを組んだ。アポロ11号で初めて月面に着陸した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いたドラマ。アームストロングの妻ジャネット役に『蜘蛛の巣を払う女』のクレア・フォイさん。『ナチス第三の男』のジェイソン・クラークさんらが共演。

『アクアマン』

『アクアマン』
2019年2月8日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2018 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved “TM & cDC Comics”

同じく2月8日公開の『アクアマン』は、2017年公開の『ジャスティス・リーグ』にも参戦したDCコミックス原作のヒーロー「アクアマン」を描いたアクション大作。海底国アトランティスの末裔で人間の血も引くアクアマンは人間として地上で育てられた。やがて、故郷アトランティスが人類を滅ぼさんと地上侵略を始め、彼はアトランティスとの戦いに身を投じていく。人気テレビシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』で知られるハワイ出身の俳優ジェイソン・モモアさんがアクアマンを演じ、『ワイルド・スピード SKY MISSION』のジェームズ・ワン監督がメガホンをとった。アンバー・ハードさん、ウィレム・デフォーさん、ニコール・キッドマンさん、ドルフ・ラングレンさんらが共演。

2月8日公開の『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』は1980〜90年代にテレビ放送された大ヒットアニメ「シティーハンター」の20年ぶりの新作となる長編アニメーション映画。声優陣にはリョウ役の神谷明さん、香役の伊倉一恵さんらオリジナルキャストが再結集。

2月9日公開の『コードギアス 復活のルルーシュ』はテレビアニメ「コードギアス」シリーズの完全新作劇場版アニメーション。監督は『コードギアス 反逆のルルーシュ』『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』で監督・ストーリー原案・絵コンテを担当した谷口悟朗氏が務める。

『フォルトゥナの瞳』

『フォルトゥナの瞳』
2019年2月15日、全国東宝系にてロードショー
© 2019「フォルトゥナの瞳」製作委員会

2月15日公開の『フォルトゥナの瞳』は他人の死が見えてしまうという不思議な力を持ってしまった青年を描いた百田尚樹氏の同名小説を、神木隆之介さんと有村架純さん主演で、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督のメガホンで映画化。幼少期に飛行機事故で家族を失った木山慎一郎は、友人も恋人もなく仕事にのみ生きてきた。しかしある日、「死を目前にした人間が透けて見える能力」−フォルトゥナの瞳−を持っていることに気づき生活が一変する。その後、慎一郎は桐生葵という女性に出会い、2人は幸せな日々を過ごすが、葵の身体が突然透け始めてしまう。時任三郎さん、北村有起哉さん、志尊淳さん、DAIGOさん、松井愛莉さんらが共演。

メイ首相は21日、英議会下院で、EU離脱協定案の代替案「プランB」示すも、実体は「プランA」のまま

近年は、従前なら想定外のことが普通に起きるが、今月は英国でも英現代政治史で例をみない「歴史的敗北」をメイ政権が喫することになった。1月15日に英議会下院で採決に付されたEU離脱協定案(プランA)は、賛成202票、反対432票と230票差の大差で否決された。16日に採決に付された内閣不信任決議案は賛成306票、反対325票の僅差で否決され、メイ首相の続投が決まったが、21日にメイ首相が示した代替案では、北アイルランドとアイルランド国境のバックストップ(安全策)に関し修正を検討するとしたが具体的な修正案は示されなかった。一方、野党が求めていた離脱時期の延期、再度の国民投票、合意無き離脱の可能性の排除に関しては、何れも否定的な見方を示し、メイ首相は「プランB」を持っていないことが明らかになった。

総選挙や再国民投票の可能性も浮上、「合意なき離脱」となる可能性は低いものの、「百家争鳴」の展開に

下院は29日にメイ首相が表明した代替案を採決するが、29日の採決は、「2018年欧州連合離脱法:The European Union (Withdrawal) Act 2018」に規定されたEU離脱協定案批准のための「The meaningful vote」ではなく、法的拘束力のないもので、各党や議員グループが提出する修正案や動議も採決にかけられることとなった。各修正案や動議の採決結果を確認した上で、下院の過半数を得られそうな代替案を模索することになりそうだが、離脱協定案「プランA」を容認する勢力と、「プランA」を葬り、再国民投票等に道を開く勢力に議会が2極化する可能性も想定される。

一方、3月29日の離脱日が迫る中、前倒し総選挙の可能性に関して、与党内からも指摘する声が出始めたようだ。FT紙によると、保守党のウイリアム・ヘイグ元党首は16日、今後数週間以内に総選挙が実施される可能性があるとの見方を示した。3月29日のEU離脱日が近づき、「合意無き離脱」の可能性が高まった場合、野党提出の内閣不信任決議案に保守党のEU残留派や穏健離脱派の一部が内閣不信任案に賛成する可能性を見込んだものと思われる。

下院の超党派グループは21日、2月26日までに合意に至らなければ、政府に離脱期限の延長をEUに求めることを義務付ける法案を提出。この法案への党議拘束を行った場合、メイ政権から閣僚や閣外相が最大40人辞任する可能性があるとラッド雇用・年金相が警告したと英紙タイムズが21日報じている。

他方、労働党は21日、EU離脱の賛否を問う2回目の国民投票を可能にする下院採決を求める修正案を提出した。この提案には、「隠れEU離脱派」とされ従来、国民投票に対し慎重姿勢を示していたジェレミー・コービン党首が署名している。最大野党が国民投票を求める姿勢を示したことで、強く国民投票を求めるスコットランド民族党や自由民主党、プライド・カムリの他の野党に加え、保守党内の一部も賛同し、再国民投票派の勢いが一気に高まる可能性がある。「合意なき離脱」となる可能性は依然低いものの、「百家争鳴」の展開となってきたことで、29日以降、EU離脱問題は一段と「カオス」の領域に入る公算が大きい。何れにせよ、英国のEU離脱問題の最終解決には相当な時間がかかる可能性が高そうだ。

2019年は混沌としたムードに包まれて幕開けしたが、内外の重要イベントを勘案すると、変動の激しい年になる可能性

近代民主主義の発祥国とも言える英国で、2016年6月の国民投票の結果を受けて始まったEU離脱問題は、依然着地点が見えない状況だ。2019年の世界は1月3日にみられるように、混沌としたムードに包まれて幕開けしたが、今後の内外の重要イベントを勘案すると、引き続き変動の激しい年になる可能性に留意が必要だろう。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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