アナリストの忙中閑話【第97回】

アナリストの忙中閑話

(2019年6月20日)

【第97回】世界史を動かす気候変動、「天気」がテーマの期待のアニメがこの夏公開

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

気象庁、6月10日発表のエルニーニョ監視速報で「エルニーニョ現象が続いている」、今夏の継続確率は70%、秋までは60%

気象庁が6月10日に発表したエルニーニョ監視速報(No.321)によると、「エルニーニョ現象が続いている」とし、「今後夏はエルニーニョ現象が続く可能性が高い(70%)。秋にかけては平常の状態になる可能性もある(40%)が、エルニーニョ現象が続く可能性の方がより高い(60%)」とした。

エルニーニョ現象の発生は2014年夏から16年春にかけて発生して以来2年ぶり

速報ベースではあるものの、気象庁は2018年11月9日号でエルニーニョ現象の発生を発表した。なお、エルニーニョ現象の発生は2014年夏から16年春にかけて発生して以来2年ぶり。

気象庁では、エルニーニョ現象等監視海域の海面水温の基準値(30年平均)との差の5か月移動平均値が6か月以上続けて、+0.5度以上となった場合を「エルニーニョ現象」、▲0.5度以下となった場合を「ラニーニャ現象」と定義している。

認定基準である5か月移動平均値は、2018年8月+0.4度、9月+0.5度、10月+0.7度、11月+0.8度、12月+0.9度、2019年1月+0.9度、2月+0.8度、3月+0.7度と、2018年9月以来7か月続けて+0.5度以上となったことで(確報では6か月)、正式に「エルニーニョ現象」の発生が認定されることになりそうだ。

エルニーニョ現象は「冷夏・暖冬」を招きやすい、今夏の平均気温は平年並の予想

なお、エルニーニョ現象が「冷夏・暖冬」を招きやすいとされるのに対し、ラニーニャ現象は「猛暑・厳冬」と反対の特性がある。昨年の秋から冬にかけては、平年並みとなった北日本を除き、全国的に気温は平年比高めの暖冬となった。一方、今春は変動の大きい天候が続いた。また、地域差が大きいのも特徴だ。今夏もすっきりしない天気が続くことが予想される。

2月25日に、気象庁が発表した全国暖候期予報(6月から8月までの天候見通し)では、今夏の天候は、北・東・西日本では、6月から7月は平年と同様に曇りや雨の日が多く、その後は、平年に比べ晴れの日が少ない。沖縄・奄美では、5月から6月は平年に比べ曇りや雨の日が多く、その後は、平年と同様に晴れの日が多い。平均気温は、沖縄・奄美で平年並または高い確率ともに40%、降水量は、北・東・西日本で平年並または多い確率ともに40%の予想。今夏の平均気温は沖縄・奄美は高いものの、全国的には平年並と予想されている。ちょうど、エルニーニョ現象による冷夏と地球温暖化が相殺した格好か。

気象庁の全国3か月予報では、6-8月期の平均気温は全国的にほぼ平年並

一方、5月24日に気象庁が発表した「全国3か月予報(6月から8月までの天候見通し)」によると、向こう3か月の気温は、沖縄・奄美では、平年並か高く、北・東・西日本では、ほぼ平年並と見込まれている。一方、降水量は沖縄・奄美では、ほぼ平年並み、北、東・西日本では、向こう3か月の降水量は平年並みか多いと見込まれている。

台風の大型化・強力化に加え、集中豪雨や洪水、土砂崩れ、高潮等への警戒は今夏も怠れない

5月の北日本の月平均気温は平年差が+2.7℃と、1946年の統計開始以来、5月として1位の高温となった。東京都心では5月24日から4日連続で気温30度を超す真夏日を記録、26日には北海道佐呂間町で39.5度と北海道の観測史上初の39度台を記録した。一方、6月7日には東海、関東甲信、北陸、東北南部で梅雨入りとなり、足元は気温が急低下したり、急上昇したりと目まぐるしい。前述の通り、今年は変動の大きい天候が予想されるため、引き続き体調管理に気を付けたい。

また、地球温暖化に伴い海面水温が上昇、気温の上昇で飽和水蒸気量も増大している。台風の大型化・強力化に加え、集中豪雨や洪水、土砂崩れ、高潮等への警戒は今夏も怠れないと言えそうだ。

地球温暖化は、単に温暖化のみならず、異常気象を招く要因に

世界的にも、近年の天候の特徴は、寒暖差、地域差等、ボラティリィティの大きい天候だ。

WMO(世界気象機関)によると、世界の2019年1月の平均気温は1981年から2010年の平均よりも0.4℃高かったが、特に高かったのはオーストラリアで、中東や東部シベリア、モンゴル、中国の北東部でも高かった。一方、平均以下の地域は北極海周辺の広い地域でみられた。北米では北極の寒気が気流の変化により流れ込んだため、米東海岸やカナダなど広い地域で低温となった。米中西部ミネソタ州では1月30日、氷点下53.9℃度の猛烈な寒さを記録した。一方、南半球ではオーストラリアが熱波に襲われ、アデレードで1月24日に最高気温46.6℃度を記録。降水量は平年の38%にとどまり、南部タスマニア州で山林火災が多発、4万ヘクタール以上が焼失した。

WMOのペッテリ・ターラス事務局長はレポートで「北極地方で大量の氷や雪が融解していることが北半球の気象パターンに影響している」とコメントしている。

近年、極渦(北極及び南極の上空にできる大規模な気流の渦、周極渦)の蛇行が指摘されているが、今年は、蛇行が著しく、北米や北海道を襲った大寒波の要因となった。背景に、地球温暖化で、北極海の氷が融解していることなどが指摘されている。地球温暖化は、単に温暖化のみならず、異常気象を招く要因と考えるべきだろう。

2018年の世界の平均気温は、史上4番目の高温となったが、2014年以降の過去5年間が上位5位を占めていることを勘案すると、今後はかつての「異常気象」が恒常的に発生する可能性に留意する必要がありそうだ。

気候変動問題は2020年に向け、米大統領選等の重要な政治課題に浮上

こうした気候変動や異常気象の問題は、WEF(世界経済フォーラム)でも、近年、グローバルリスクの上位に挙げられ、3年連続で「発生可能性の高いリスク」第1位となるほか、環境リスクが2年連続で、「発生可能性の高いリスク」と「影響が大きいリスク」の上位5位のうち、6割を占めるに至っている。

こうした世界的な気候変動への関心にも関わらず、米国のトランプ大統領が「地球温暖化はでっち上げ」とし、石炭や石油・天然ガス等の採掘を推進したことで、2020年の米大統領選で大きな政治テーマとなりつつある。

民主党はグリーン・ニューディール決議案に続き、国民皆保険法案を提出

昨年の中間選挙で当選した民主党の女性下院議員のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏(29歳、ニューヨーク州選出)及びエドワード・マーキー上院議員(マサチューセッツ州選出)は、2月7日、グリーン・ニューディール決議案(Green New Deal Resolution:Recognizing the duty of the Federal Government to create a Green New Deal)を米連邦議会に提出した。同決議案の共同スポンサーには、11名の上院議員に加え、89名の下院議員も名を連ねている。

民主党の「グリーン・ニューディール決議案」には、単なる気候変動防止対策だけではなく、インフラ投資、産業育成、雇用や医療等幅広い分野の政策提言が含まれている。国内製造業の成長促進等は伝統的な民主党の保護主義的政策に近く、トランプ氏の2016年大統領選の公約とも重なる部分もある。

現在では、「AOC」で通るアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏は、2016年の大統領選予備選挙の際、サンダース議員の選挙事務局で働いた経験もあり、サンダース氏が「師」とも言えるが、そのサンダース氏は4月10日、持論の国民皆保険法案「The Medicare for All Act of 2019」を議会に提出している。

バイデン前副大統領は気候変動対策に10年間で5兆ドルを投じる計画を発表

そうした民主党内のうねりを意識してか、民主党大統領候補で唯一30%台の支持率を誇るジョー・バイデン前副大統領は6月4日、気候変動への取り組みに関する提案を発表した。

「Joe's Plan for a Clean Energy Revolution and Environmental Justice:クリーンエネルギー革命と環境正義のためのジョーの計画」と題した提案では、米国が2050年までに100%クリーンエネルギー経済と二酸化炭素(CO2)排出量を差し引きゼロにすることを達成するため、今後10年間で1兆7,000億ドルを投じるとした。さらに3兆3000億ドルを民間投資および州・地方自治体による歳出から拠出し、合計5兆ドルを地球温暖化対策に充てる考えも示した。財源としては、トランプ政権が実施した法人向け減税や化石燃料向け補助金の廃止、CO2排出者の負担増分などをあてることを提案し、これらの施策により、米国では追加で、1,000万人を超える給与の高い雇用が生まれるとしている。

現時点では支持率トップのバイデン氏だが、民主党予備選に勝ち残り、最終的に本選でトランプ氏と一騎打ちの勝負をすることになるかはまだわからない。実際、トランプ氏が2016年の大統領選に出馬を表明したのは今から4年前の2015年6月16日だが、当時は泡沫候補でしかなかった。しかし、その後、メキシコ国境への壁建設や対外貿易赤字の削減、雇用拡大など「米国第一主義」をうたった過激な主張が有権者に支持され、共和党のテレビ討論会を経て、筆頭候補に躍り出た経緯があるからだ。

但し、誰が民主党の大統領候補に指名されても、その公約に気候変動対策と、雇用や社会保障拡充のための財政出動策が盛り込まれることはほぼ確実と言えそうだ。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』の世界興収は歴代1位の『アバター』まで残り4,400万ドル

ここからは、恒例の映画コーナーに移るが、『アベンジャーズ』シリーズの新作で最後となる『アベンジャーズ/エンドゲーム』の世界興行収入は、6月19日現在、27億4,400万ドル(Box Office Mojo調べ)となった。歴代1位の『アバター』(2009年公開)の27億8,800万ドルまで、残り4,400万ドルに迫っている。既に4回鑑賞したが、歴代興収第1位に向けた最後の一押しのため今週末も映画館へ向かう予定だ(6月27日上映終了予定)。なお、本作には、我が国から真田広之さんが参戦。

『アラジン』が2週連続で第1位をキープ、内外で夏休み映画が公開

前週末(15-16日)の国内観客動員ランキングでは、『アラジン』(累計動員249万人、興収35億円)が2週連続で第1位をキープ。

『アラジン』は前月号で特集したが、「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」の「アラジンと魔法のランプ」に基づき1992年に制作されたディズニーの長編アニメーション映画『アラジン』をガイ・リッチー監督で実写映画化した作品。筆者の評価では、ディズニー・アニメの実写化作品では間違いなく最高傑作か。アニメ版の前作で、アカデミー歌曲賞とゴールデングローブ賞主題歌賞を受賞した「ホール・ニュー・ワールド」などが流れ、ミュージカル的でもあり、中東を舞台に「女性活躍」や「ダイバーシティ」の要素も。ランプの魔人ジーニー役を務めたウィル・スミスさんの好演も光る。

第2位には初登場の『メン・イン・ブラック・インターナショナル』が入った。主人公は過去3作のウィル・スミス&トミー・リー・ジョーンズのコンビから、『アベンジャーズ』シリーズでも王(ソー)と臣下(ヴァルキリー)の関係でタッグを組んだクリス・ヘムズワース&テッサ・トンプソンのコンビへとバトンタッチ。2018年公開の『ブラックパンサー』に続き、トヨタの「レクサス」が多数登場。

第3位は『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と、何れもハリウッドの大作が上位にランクインとなった。

同作品には東宝が今回から製作費も出資している関係か予想以上に、日本の『ゴジラ』映画に忠実な描写で、音楽なども原作を踏襲していた。なお、2015年4月にスタートした「東宝グローバルプロジェクト」のラインナップには、本作以外にも、公開中の『名探偵ピカチュウ』、『ゴジラVSコング』(2020年3月公開予定)、『モンスターハンター』、『君の名は。』なども含まれている。内外でのヒットを期待したい。

米国では、毎年、独立記念日の7月4日に向けて、大作が封切られるが、我が国でも、今後続々と夏休み映画が公開される。今年は期待の新作アニメに注目したい。

世界最速6月28日公開の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、『スパイダーマン ホームカミング』の続編で、前述の『アベンジャーズ/エンドゲーム』後の世界を描いた作品であり、「アベンジャーズ」ファンには見逃せない作品。

トム・ホランドさん主演による『スパイダーマン』シリーズは、過去のシリーズと違い、『アベンジャーズ』など「マーベル・コミック」の実写映画を同一の世界観のクロスオーバー作品として扱う『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズに含まれ、同シリーズとして第23作品目、「フェイズ3」の最後を飾る。

『アベンジャーズ エンド ゲーム』後の世界を舞台に、スパイダーマンこと高校生のピーター・パーカーが真のヒーローへと成長していく姿を描く。夏休みに学校の友人たちとヨーロッパ旅行に出かけたピーターの前に、元「S.H.I.E.L.D.」長官のニック・フューリーが現れる。一方、ヨーロッパの各都市をはじめ世界各国には、炎や水など自然の力を操るクリーチャーが出現。世界に危機が迫るなか、ニックは「別の世界」からやってきたという男ベックをピーターに引き合わせる。監督は、前作に続いてジョン・ワッツ氏が務めた。ベック役に『ブロークバック・マウンテン』『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホールさん。

なお、製作はコロンビア映画とマーベル・スタジオで、配給はソニー・ピクチャーズ。ディズニー配給の『アベンジャーズ』とはクロスライセンス契約を行った格好。これは、マーベルがディズニーに買収される前、映画化権を複数の映画製作会社に売却したことが背景にある。

同じく28日公開の『劇場版パタリロ!』は、『翔んで埼玉』がヒットした魔夜峰央氏原作の人気コミック「パタリロ!」を、2016年の2.5次元ミュージカル化に続いて実写映画化。常春の国マリネラ王国の皇太子パタリロ・ド・マリネール8世が、側近のタマネギ部隊を引き連れて大英帝国にやって来た。やがてパタリロの前に、ボディガードを任命されたバンコランと謎の美少年記者マライヒが現れる。舞台はマリネラ王国、銀河系宇宙、埼玉県春日部、バンコランの過去など時空を越えて駆け巡る。

舞台版の演出を手がけた小林顕作氏がメガホンを取り、キャストにも主人公パタリロ役の加藤諒さんをはじめ舞台版のメンバーが再結集。

7月5日公開の『Diner ダイナー』は、藤原竜也さん主演、蜷川実花監督で、平山夢明氏の小説「ダイナー」を実写映画化。なお、同作品は河合孝典氏により漫画化され、2017年から2019年2号まで「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載された。

元殺し屋の天才シェフ、ボンベロが店主をつとめる殺し屋専用の食堂「ダイナー」。日給30万円の怪しいアルバイトに手を出したばかりに闇の組織に身売りされてしまった少女オオバカナコは、ボンベロに買われウェイトレスとして働くことに。

ダイナーの店主ボンベロ役を藤原竜也さん、オオバカナコ役を玉城ティナさんが演じるほか、窪田正孝さん、斎藤工さん、小栗旬さん、土屋アンナさん、奥田瑛二さんら豪華キャスト陣が殺し屋役で出演。

7月12日公開の『トイ・ストーリー4』は、ピクサー・アニメーションの世界初の長編フルCGアニメーションで、おもちゃの視点で「おもちゃの世界」を描き大ヒットシリーズとなった『トイ・ストーリー』の第4作。前作『トイ・ストーリー3』(2010年公開)は、アカデミー賞長編アニメーション賞含む2部門を受賞。

「おもちゃにとって大切なことは子供のそばにいること」、新たな持ち主ボニーを見守るウッディ、バズら仲間たちの前に現れたのは、彼女の一番のお気に入りで手作りおもちゃのフォーキー。しかし、彼は自分をゴミだと思い込み逃げ出してしまう。ボニーのためにフォーキーを探す冒険に出たウッディは、一度も愛されたことのないおもちゃや、かつての仲間ボーとの運命的な出会いを果たす。そしてたどり着いたのは見たことのない新しい世界だった。最後にウッディが選んだ「驚くべき決断」とは?

『インサイド・ヘッド』(2015年公開)で脚本に参加したジョシュ・クーリー氏が長編初監督を務めた。

『君の名は。』の新海誠監督の期待の新作が公開

『天気の子』

『天気の子』
2019年7月19日(金)全国東宝系にてロードショー
©2019「天気の子」製作委員会

7月19日公開の『天気の子』は、『君の名は。』(2016年公開)が興収250.3億円と国内歴代4位の大ヒットを記録した新海誠監督の3年ぶりとなる新作。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択しようとする少年少女の姿を描いた長編アニメーション。

「あの光の中に、行ってみたかった」。高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。

彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」。少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった。

『兄に愛されすぎて困ってます』の醍醐虎汰朗さんと『地獄少女』などへの出演を控える森七菜さんという新鋭の2人が、帆高と陽菜の声をそれぞれ演じた。『君の名は。』に続いて川村元気氏が企画・プロデュース、田中将賀氏がキャラクターデザイン、ロックバンド「RADWIMPS」が音楽を担当。

同じく19日公開の『東京喰種 トーキョーグール【S】』は、「週刊ヤングジャンプ」で連載された石田スイ氏による人気コミックを原作に、窪田正孝さん主演で実写映画化された『東京喰種トーキョーグール』のシリーズ第2作。

人間社会に紛れ込み、食物連鎖の頂点とされる人間を食らう種族「喰種(グール)」が潜む東京。不慮の事故により、「喰種」と人間のハーフになってしまった大学生のカネキは、葛藤を抱えながらも、喰種たちの駆け込み寺でもある喫茶店「あんていく」に身を寄せ、トーカらとともに生活をしている。そんな中、「美食家(グルメ)」と呼ばれる「喰種」月山習が「あんていく」にやってくる。半喰種というカネキの特殊なにおいに目をつけた月山は、カネキを「喰種レストラン」へと招き入れる。

窪田正孝さんが前作に引き続き主人公カネキを演じ、本作から登場する月山役を松田翔太さん、ヒロインのトーカ役を新たに山本舞香さんが演じた。

『天気の子』製作のきっかけは、2016年夏の積乱雲

新海誠監督は、2018年12月の『天気の子』の製作発表記者会見で、企画のきっかけとして、2016年8月に封切られた前作『君の名は。』のプロモーションが大きかったと打ち明けている。真夏に各地を回った苦労を振り返りながら「すごく消耗した夏でした。いろんな人にいろんなことを言われる、街を歩いても、飲みに行っても映画の評判が聞こえてくる。悪口もいいことも聞こえ、ものすごく大きな映画になったんだと実感していました」(12月13日付け映画ナタリー)とコメント。そうした頃、積乱雲が出る夏の青空を見上げることがよくあったそうだ。

新海氏は、積乱雲が成長し雲の発達できる限界の高さに接したとき、横に広がっていく現象を説明しながら「そこは広い平原のようになっているんです。地上からは見えないその場所でゆっくりできたらいいなーと思っていたときに、あの上で遊ぶような映画って面白いんじゃないかと考えました。それが空を題材にした単純なきっかけですね」(同)と着想を明かしている。

また、「誰もがこれは自分の話なんじゃないかと思えるようなテーマを見つけられたら形になる」(同)と思い、そこで行き着いたのが、「天気」だったとのこと。

因みに「猛暑」と言えば昨年の夏が記憶に新しいが、2016年は世界及び日本の年平均気温が過去最高となった年でもある。

気候変動は今後も世界史を動かす大きな要因に

実は、天気や気候が世界の政治を動かしたケースは多い。「三国志」の劉備玄徳が諸葛亮孔明が発案した「火計」を用い、魏の大軍勢を打ち破った「赤壁の戦い」は、歴史考証にやや難があるとしても、「冬将軍」によるナポレオンやナチス・ドイツのロシア侵攻の失敗や悪天候でナポレオン軍の進軍が遅れた「ワーテルローの戦い」などは、天候が影響した面が大きい。我が国の歴史でも織田信長が豪雨の中、今川勢に大勝した「桶狭間の戦い」などが有名だ。

実は、英国のEU離脱問題がここまで揉めたのも2016年6月23日の天気が大きく影響している。当時のデービッド・キャメロン首相は事前の世論調査結果等を踏まえ、EU離脱の是非を問うた国民投票では「残留」が多数となると予想していたはずだ。これはメディアや市場も同様だった。但し、結果は51.9対48.1で「離脱」が多数となり、キャメロン首相は辞任。後任のテリーザ・メイ首相もEU離脱案の下院での可決が見通せないことから本年6月7日に保守党党首を辞任。7月に選出される後任の党首・首相は、強硬離脱派のボリス・ジョンソン前外相が有力視されている。

当時も現在も、離脱派は高齢層、残留派は若年層が多い。英国では選挙や国民投票は木曜日に実施される。3年前の6月23日、ロンドン周辺は午前中は晴れていたが、午後に豪雨となり、夕刻には公共交通機関が麻痺する事態となった。高齢層は午前中に投票を済ませていたが、会社や学校の帰りに投票に行く予定だった若年層の多くが棄権することになり、これが、事前の世論調査との逆の結果を招く要因となった。

天気ほど、身近なものはない。雑談に「天気話」は定番だが、異常気象が続くことになれば、消費動向に加え、食料の生産にも影響、世界的に地政学的リスクを高めかねない。実際、欧州の移民・難民問題の発火点となったシリア内戦は同地区の大干ばつが発端となったとされる。

気候変動は今後も世界史を動かす大きな要因となりそうだ。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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