アナリストの忙中閑話【第110回】

アナリストの忙中閑話

(2020年7月30日)

【第110回】異形の夏、新型コロナウイルスに長梅雨、米大統領選・議会選情勢、人気ドラマが好発進

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

今年の夏は様々な意味で異例、COVID-19の感染拡大で、海外旅行はおろか、国内での帰省もままならない状況に

今年の夏は様々な意味で異例だ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響で、今年は海外旅行はおろか、国内での帰省もままならない状況が続いている。

当初の8月上旬予定が7月22日に前倒し開始された「Go Toトラベル」キャンペーンは対象から東京都が除外されたが、開始早々、国内では感染者が再拡大。

29日には全国の新規感染者が1,264人(NHK)と、初めて1千人台に乗り、過去最高を更新している。累計感染者は空港などの検疫などを含め3万3,508人、クルーズ船を含めると3万4,220人となった。

東京都250人、大阪府221人、愛知県167人、福岡県101人と、4都府県で新規感染者が3桁となり、感染者がこれまでゼロだった、岩手県でも29日には初めて2人の感染が発表され、47都道府県全てで感染が確認された。

29日には4人が死亡、死者の累計はクルーズ船の乗客13人含め1,019人となった。

本来、夏休み真っ盛りの観光シーズンだが、いまひとつ、気持ちが盛り上がらないのは、COVID-19の感染拡大に加え、天候の影響もある。

関東甲信の梅雨明けは過去最遅となる可能性も

7月30日現在、東京は梅雨が明けていない。梅雨前線が日本列島付近に停滞、毎日、どんよりとした雲に覆われ、じめじめした日々が続いている。

今秋に向けてはラニーニャ現象の発生確率が上昇していることもあり、梅雨が明ければ、猛暑到来の可能性も高そうだが、全国的に梅雨明けは平年比で大幅に遅れそうだ。

6月12日ごろと平年比11日早かった沖縄を除けば、奄美の梅雨明けは7月20日ごろと平年比21日、九州南部は7月28日ごろと平年比14日遅かった。

中国、近畿、東海、関東甲信の平年の梅雨明けは7月21日ごろ。本日(30日)、九州北部、四国、中国で梅雨明けの発表があった。近畿及び東海も今週中には梅雨明けとなりそうだが、関東甲信は8月4日と、1982年の過去最遅に並ぶ可能性がある。なお、1993年は梅雨明けがはっきりせず、特定されていない。

梅雨前線の停滞と線状降水帯で九州主体に大雨・洪水被害が発生

但し、かつて見られた「冷夏」という雰囲気はない。昼間、少し雲が薄くなれば、気温はすぐに30度越え、日照時間は短いものの、平均気温はほぼ平年並の水準にある。

雨も降る時は、亜熱帯のスコールのような強烈な雨が降る。

これは、全国的な現象で、「梅雨前線の停滞」と「線状降水帯」の影響で、今月は西日本及び東日本で大雨が続き、河川の氾濫や土砂災害等により大きな被害が発生している。

今回の記録的な大雨で、総務省消防庁によると、これまでに熊本県を中心に82人が死亡し、4人が行方不明となっている(30日14時現在)。

気象庁は9日、今回の豪雨を「令和2年7月豪雨」と定めたと発表した。大雨の命名は2018年の「平成30年7月豪雨」以来。

今回の豪雨により、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げるとともに、被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

「平成30年7月豪雨」当時は台風7号の接近の影響もあったが、今年は台風の発生は5月に一個、6月に一個の計2個に過ぎず、現在、西太平洋は広く太平洋高気圧に覆われており、「台風の卵」も見当たらない状況だ。

米軍合同台風警報センター(JTWC)のHPを見ても、現在、西及び南太平洋においても、インド洋においても、熱帯低気圧(Tropical Cyclone)の警戒情報は、全く発出されていない。

今回の大雨の直接的な背景は2018年同様、「梅雨前線の停滞」と「線状降水帯」だが、6月以降、太平洋高気圧は本州のすぐ南まで張り出し、西に延び、ほとんど勢力を変えていない。一方、本州の北には高気圧があり、その間に梅雨前線が挟まれ、停滞する原因となっている。

結果、各地で雨が降りやすく、インド洋方面から流れ込んでいる西回りの暖湿気の影響をまともに受ける九州を中心に西日本・東日本で大雨が続いた。今後も警戒を怠れないと言えそうだ。

「日本三大急流」と「日本三大暴れ川」

九州豪雨では、熊本県を流れる球磨川や福岡県などを流れる筑後川が大雨で流水が増し、各地で氾濫する映像が印象に残った。

実は、球磨川(流域は熊本県)は日本の河川でも特に流れの速いとされる「日本三大急流」の一つであり、筑後川(熊本県、大分県、福岡県、佐賀県)は、洪水や水害が多いとされる「日本三大暴れ川」の一つである。

ちなみに、残り2つの「日本三大急流」は、最上川(山形県)と富士川(長野県、山梨県、静岡県)だ。この中でも、特に、最上川は、芭蕉の一句「五月雨を集めて早し最上川」で有名。

その最上川、28日から29日にかけて、53年ぶりに山形県で大規模な氾濫が発生した。

一方、「日本三大暴れ川」には、長幼の順がつけられており、「坂東太郎」の利根川(群馬県・埼玉県・茨城県・千葉県)、「筑紫次郎」の筑後川、「四国三郎」の吉野川(高知県・徳島県)の順となっている。

今夏は上記6つの急流のうち、既に3つで大規模な氾濫が発生しており、過去の経験では異常と言うほかないだろう。

「日本三大急流」も「日本三大暴れ川」も、山が多く平地の少ない島国の我が国では、大陸と異なり、水源となる山地から海などに注ぐまでの距離が短く、結果、流れが速い川が多いことが背景にある。そのような川が、大雨で増水すると、その増水分を吸収・緩和できるバッファーが少ないことから、堤防の越水や決壊等で、河川の氾濫を招くことが多い。

このことは、「日本三大急流」及び「日本三大暴れ川」以外の我が国のほとんどの河川で共通の問題である。

地球温暖化等の影響で、過去に経験したことのない大雨も日常化しつつある。常日頃、ハザード・マップ等を確認し、早期の避難を心がけるしかなさそうだ。

今回も多くのダムで放流実施、中国でダムの決壊リスクを懸念する声

今回の大雨時にもみられたが、2019年に日本列島を縦断した台風19号では、大雨によるダムの決壊を防ぐため、多くのダムで、臨時の放流が実施され、2次被害を招いたケースもみられた。

実は、ダムの決壊リスクを懸念する声が中国でも聞かれている。しかもダムの規模は、我が国のダムとは比べものにならない。

中国の長江流域でも記録的大雨

今回の大雨は日本だけではない。今年の梅雨前線は、中国の上海、武漢、重慶と、長江(揚子江)の流域に沿って伸びていた。結果、大雨は、長江流域でも大量に降っている。

気象庁によると、中国の長江中・下流域では、6月中旬以降、高気圧の縁辺を回る暖かく湿った気流が持続的に流入し、梅雨前線の活動が活発になったことにより、6月の降水量が過去24年間で1999年に次いで2番目に多くなったとのことだ。

新華社通信によると、22日現在で大雨による被災者は延べ4,552万人、死者・行方不明者は142人に達したとのこと。

問題は、長江中流域の湖北省宜昌市三斗坪にある三峡ダムの安全性への懸念が台湾などのメディアに大きく取り上げられていることだ。

三峡ダムは1993年1月に着工、2003年6月に一部運用を開始し、2006年に堤体本体がほぼ完成し、2009年に全面完成。2012年に各70万kWの発電タービン32基全てが運転を開始した。重力式コンクリートダムで、堤高185メートル、堤頂長2,309メートル、堤体積16,000千立方メートル。年間の流出量は4,510億立法メートルで、我が国全体の河川流出量に匹敵する大きさ。

ダム建設の主目的は、長江の洪水の防止、上海等への電力供給、重慶等の水運改善、南水北調、地域発展。三峡ダム水力発電所は、2,250万kWの発電が可能な世界最大の水力発電ダムである。総工費は2,000億元、当時の米ドル換算で225億ドルとされる。

現在、長江流域では大雨が降っており、6月29日には、三峡ダムで今年初めての放流が実施された。発電ユニットも32基全てがフル稼働している。

三峡ダムに関しては、建設当初から、流域住民の強制移住や環境破壊、歴史的文化財の破壊、手抜き工事等が指摘され、一部には決壊リスクを指摘する声も聞かれている。

三峡ダムの耐用年数に関しては、50年から500年まで、様々な説があるが、一般に、ダムの耐用年数は上流からの土砂の流入で短期化する。今回は三峡ダム完成後、最大規模の流水に加え、土砂の流入も続いているものとみられる。

地球温暖化は、飽和水蒸気量の増大や海面水温の上昇で大雨をもたらす、自然災害における「ブラックスワン」の発生確率は上昇

実は6月以降、大雨が降ったのは日本や中国だけではない。

日本は世界でも有数の降水量が多い地域だが、世界全体では、砂漠化が進むなど、降水量が減少している地域も少なくない。

近年では、米カリフォルニアやオーストラリアの干ばつと山火事が有名だ。

一方で、台風、ハリケーン、サイクロン、大雨、洪水被害も世界中で発生している。

背景には、地球温暖化があると考えられるが、気温が上昇すると、飽和水蒸気量が増大し、大気中にため込むことのできる水蒸気量が増加する。

また、海面水温の上昇は、スーパータイフーンやスーパーハリケーンの増加をもたらし、現在のように、梅雨前線が停滞すると、降水量の一段の増加にもつながる。

地球温暖化によって、自然災害における「ブラックスワン」の発生確率は増していると認識すべきだろう。

なお、「ブラックスワン」とは、事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のこと。白鳥は全て白いと思われていたが、オーストラリアで黒い白鳥が発見されたことに由来する。

11月3日の米大統領選で、バイデン氏が勝利すれば、世界の環境政策は大きく変貌することに

一方で、こうした認識は欧米主体に近年、急激に広まっていることも事実だ。

イングランド銀行(BOE)前総裁のマーク・カーニー氏(国連気候変動問題担当特使)は、気候変動問題に造詣が深かったが、2019年11月にECB総裁に就任したクリスティーヌ・ラガルド氏は8日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に掲載されたインタビューで、「気候変動と闘うあらゆる方法を探りたい」と述べている。

11月3日の米大統領選で、現職のトランプ氏を破り、民主党の大統領候補指名が確実となったジョー・バイデン前副大統領が勝利し、2021年1月、大統領に就任すれば、世界の環境政策は大きく変貌することになりそうだ。

COVID-19の米国での感染拡大が、トランプ大統領の再選の大きな障害に

その米大統領選の動向だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の米国での感染拡大が、トランプ大統領の再選の大きな障害になってきた。

米政治関連サイト「リアルクリアポリティクス(RCP)」によると、支持率(7月12日から7月28日の平均支持率)は、バイデン氏が50.1%で、トランプ氏の41.7%を8.4ポイントリードしている。

現時点のRCPの獲得選挙人予想では、バイデン氏222人、接戦201人、トランプ氏115人。接戦をより優勢な方に配分すると、バイデン氏352人、トランプ氏186人。大統領選挙人総数は538人で過半数は270人。

大統領選の帰趨を決める「スイング・ステート」でも、支持率でバイデン氏がトランプ氏に対して優勢な州が大半

大統領選の帰趨を決める接戦州、いわゆる「スイング・ステート」でも、バイデン氏がトランプ氏に対して支持率で優勢な州が多い。

フロリダ州は選挙人数29人とスイング・ステート最大の票田だが、バイデン氏50.2%、トランプ氏43.0%で、バイデン氏が7.2ポイント優勢。

バイデン氏の出身地であるペンシルべニア州(20人)でも49.8%対43.6%でバイデン氏が6.2ポイントリード。

ノースカロライナ州(15人)も48.4%対45.0%で3.4ポイント、ミシガン州(16人)も49.2%対41.2%で8.0ポイント、バージニア州(13人)も51.0%対40.0%で11.0ポイント、ウィスコンシン州(10人)も48.0%対43.0%で5.0ポイント、アリゾナ州(11人)も48.2%対45.0%で3.2ポイント、バイデン氏がリード。

やや調査が古いがネバダ州(6人)も48.3%対44.3%で4.0ポイント、コロラド州(9人)も55.0%対45.0%で10.0ポイント、ニューメキシコ州(5人)も53.5%対42.5%で11.0ポイント、ニューハンプシャー州(4人)も48.0%対43.7%で4.3ポイント、何れもバイデン氏がリードしている。

オハイオ州(18人)は46.5%対45.0%でバイデン氏が1.5ポイントリードしているが、接戦だ。

アイオワ州(6人)は44.5%対46.0%でトランプ氏が1.5ポイントリードしているが、やはり接戦。

トランプ氏の苦境を物語っているのは、共和党の地盤州の中でも本拠地と言える大票田のテキサス州(38人)で、45.2%対45.4%と、トランプ氏のリードが僅か0.2ポイントにとどまっていることだ。直近のキニピアック大の世論調査では、45%対44%で、バイデン氏が1ポイントリードしている。

11月3日までの米国内でのCOVID-19の収束が見通せない状況下、バイデン氏の優勢は揺らぎにくいと予想している。

バイデン氏は8月の第1週に女性の副大統領候補を発表

なお、バイデン氏は28日、8月の第1週に副大統領候補を発表すると言明した。

バイデン氏は3月、女性を指名することを表明しているが、筆者は昨年12月以来、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)が有力とみている。

2016年の大統領選で、当初、勝利確実とされていた民主党のヒラリー・クリントン氏の敗因は、副大統領候補にティム・ケイン上院議員(バージニア州選出)を指名したことにもあった。

同氏はスイング・ステートであるバージニア州の知事、上院議員を務め、同州の選挙人を獲得することには成功したが、白人男性で民主党全国委員長を務めた主流派であったこともあり、リべラル派や黒人等へのアピールが弱く、民主党支持層の投票率の低下を招くことになった。

前回の轍を踏まず、民主党が団結して、現職のトランプ大統領に対抗するには、男性の白人で高齢、中道のバイデン氏の補完のため、女性で若く「カラード」でリべラル派、しかも、大統領が欠けた際、後任の大統領を務めるだけのキャリア及び能力を持つ人物を副大統領候補に指名する必要がある。

女性で年齢が55歳、父親がジャマイカ系で母親がインド系、穏健リべラル派で、検事、カルフォルニア州司法長官を務め、現職の連邦上院議員であるハリス氏は候補の中でも最も適性があると考えられる。

バイデン氏が同氏を指名すれば、民主党支持者の投票率上昇が期待され、本選で有利に働きそうだ。

議会選情勢、上院は拮抗、下院は民主党が優勢

一方、議会選の情勢はどうか。

現時点のRCPの議会選の情勢予想では、上院は、民主党46人、接戦7人、共和党47人と拮抗。

下院選は民主党214人、接戦31人、共和党190人で、過半数の218議席まで、民主党はあと4人に迫っている。

2018年の中間選挙におけるCNNの出口調査によると、年齢別投票率は、18-29歳は民主党67%対共和党32%、30-44歳は民主党58%対共和党39%に対し、45-64歳は民主党49%対共和党50%、65歳以上は民主党48%対共和党50%だった。

若年層では民主党の支持者が多数であるのに対し、高齢層では共和党の支持者がやや上回っていた。

COVID-19に感染した際の重症化率や死亡率は、高齢層は若年層に比べ、極めて高い。

結果、今回の大統領選・議会選では、高齢層の棄権率が上昇する可能性があることに加え、トランプ政権のCOVID-19対策に関し、不支持率が支持率を大きく上回っていることから、高齢層のトランプ氏や共和党からの離反が起きる可能性がある。

キニピアック大学が15日公表した世論調査(7月9-13日実施)では、バイデン氏の支持率が52%となり、37%のトランプ氏に15ポイントの差を付けた。昨年10月以降の独立系の全国世論調査では最大の差。

経済運営面でバイデン氏がトランプ氏より優っているとの回答が50%に対し、トランプ氏の方が優れているとの回答は45%と、バイデン氏が経済問題でも逆転した。COVID-19問題は59%対35%、人種問題で62%対30%と、何れも、バイデン氏が優勢となっているが、特に、年金生活に入った高齢者にとっては、COVID-19問題が最大の関心事項であるケースも多いと考えられる。

上院は今回、クラスUの33人と、アリゾナ州とジョージア州で各1人の補欠選挙が実施される。

上院の選挙戦情勢は足元拮抗、やや共和党が優勢とみられるが、大統領選と上院選は基本的に投票方法が同一(州で1人を選出)のため、バイデン氏が一段と優勢となれば、上下両院とも民主党が過半数を制する可能性が高まることになりそうだ。

米国の税財政運営が2021年に大きく変化する可能性も

仮に、民主党が大統領選と下院選で勝利し、上院でも最低50人を確保できれば、財政調整制度によって、予算関連法案の上院での可決は可能となる。

米国の税財政運営が2021年に大きく変化する可能性も想定され、大統領選・議会選の動向が注目される。

COVID-19の感染者は1,703万人超、死者は66万人超、南北アメリカ大陸が感染の中心地に

日本時間7月30日16時現在の米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計では、全世界の感染者は1,703万3,048人、死者は66万7,084人に達している。

感染者トップは米国で、442万人超、ブラジルが255万人超、インドが158万人超、ロシアが82万人超、南アフリカが47万人超、メキシコが40万人超。

一方、死者は、米国が15万0,713人と、15万人を突破、ブラジルが9万人超、英国が4万6千人超、メキシコが4万5千人超、イタリアが3万5千人超、インドの3万4千人超の順。

足元では、南北アメリカ大陸が感染の中心地となり、新興国・発展途上国での感染拡大が顕著になっている。

新作映画がようやく公開

COVID-19の感染拡大で、閉館が続いていた映画館だが、6月1日、東京都で休業要請が解除(ステップ2へ移行)されたことで、再開された。

再開当初は3月以前に公開された映画や昨年以前に公開された映画の上映が主体だったが、6月下旬からは延期となっていた新作映画の公開が始まった。

前週末(7月25日-26日)の観客動員ランキングでは、『今日から俺は!!劇場版』が第1位に、前月号で特集した『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が第2位となった(興行通信社調べ)。

なお、第3位は『もののけ姫』、第4位は『千と千尋の神隠し』、第5位は『風の谷のナウシカ』と、スタジオジブリ作品が上位を占めた。

『風の谷のナウシカ』は今回、映画館で初めて鑑賞したが、やはり、大スクリーンで見るのは違う。是非お奨めしたい。

2週連続トップとなった『今日から俺は!!劇場版』は、西森博之氏の人気漫画を賀来賢人さんと伊藤健太郎さんの共演、福田雄一監督の演出・脚本で新たに実写化し、2018年に放送されて人気を博したテレビドラマの映画版。

帰ってきた「半沢直樹」が好発進

ちなみに、賀来賢人さんは、3か月遅れでスタートした堺雅人さん主演のTBS系日曜劇場「半沢直樹」(7月19日夜9時放送開始)にも、東京セントラル証券の半沢部長の重要な部下の役回りで出演している。

「半沢直樹」の視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)は初回が22.0%、26日の第2話が22.1%で、好調なスタートを切った。

第2話は、NHK連続テレビ小説「エール」の22.1%(5月19日)と並び、今年放送された全ドラマのうち、1位タイ。

前作の初回の19.4%、第2話の21.8%を上回るペースで、前作同様、関西での視聴率(初回23.3%、第2話26.4%)が関東よりも高めなのも特徴。

前作の最終回(2013年9月22日)の関東地区平均視聴率は、平成の民放連続ドラマでトップとなる42.2%を、関西地区では45.5%と、民放テレビドラマでは過去最高をマークしており、第3話以降の推移が注目される。

なお、今週末放映の第3話には、大阪出身の片岡愛之助さん演じる黒崎駿一金融庁検査局主任検査官が登場予定。

娘や会社の若手などからは、「こんな世界ありえない」との声も聞こえるが、半沢同様、銀行から証券子会社に出向した筆者に言わせれば全くあり得ない話でもない。

但し、基本的に、勧善懲悪の「時代劇」ないし「歌舞伎」であり、本来憂鬱な日曜の夜を「スカッと」させてくれる「エンターテイメント」として楽しむべきだろう。

一方、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』も、シナリオと脚本が良く出来ていて、予想以上の出来だった。

なお、映画の主要登場人物である世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンド・フウを演じた北大路欣也さんは、「半沢直樹」では中野渡謙頭取役を務めている。また、半沢の同期役の滝藤賢一さんもホテルの支配人役で本作に出演。

「コンフィデンスマン JP」はフジテレビ系のドラマであり、「半沢直樹」とは全く関係ないが、鑑賞していて、どこか「半沢繋がり」のような気がした。

なお、同作品にジェシー役で出演している三浦春馬さんが今月、30年の生涯を閉じられた。ご冥福をお祈りしたい。

8月に公開される新作の注目作品

以下では、8月に公開される新作の注目作品を特集。

映画ドラえもん のび太の新恐竜

『映画ドラえもん のび太の新恐竜』
2020年8月7日全国東宝系にてロードショー
©藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020

8月7日公開の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は、藤子・F・不二雄さん原作の人気マンガ「ドラえもん」の『映画ドラえもん』シリーズ通算第40作。のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作『映画ドラえもん のび太の恐竜』(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。

ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんのひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。すると、そこから、新種の双子の恐竜が生まれる。

2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。ドラえもんや仲間たちとともに6,600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどりつく。

本作品は、当初は例年通り、春休み映画として、3月6日(金)に公開される予定だったが、COVID-19の感染拡大の影響で夏休み映画に変更された。

子供向けの人気作品の新作公開は緊急事態宣言後では実質的に本作が初となる。

23日には、ドラえもんとのび太が登場する「映画館に行こう!キャンペーン2020」のメッセージ動画が公開された。同キャンペーンは、映画館が安全で安心で楽しい場所であることを発信していくのが目的。

同キャンペーンは、俳優の役所広司さんがアンバサダーを務め、コロナ禍の中、映画館が行っている対策や取り組みを公式サイトなどで紹介している。

現在、映画館では前後・左右の席を空けた形で上映されているが、新作の公開が延期されたこともあり、観客の入りは少ない。

シネコンの映画館では「密」を避けるため、人気作品は多数のスクリーンによる同時上映を予定している。

「恐竜」という夏の風物詩がテーマになっていることもあり、本作のヒットに期待したい。

糸

『糸』
2020年8月21日全国東宝系にてロードショー
©2020映画『糸』製作委員会

21日公開の『糸』は、中島みゆきさんのヒット曲「糸」をモチーフに、菅田将暉さん、小松菜奈さん演じる平成元年に生まれた男女の18年間を生活者からの視点から見た平成史とともに描いた作品。瀬々敬久監督がメガホンをとった。

人は奇跡のような確率で、誰かと出逢っている。平成元年に生まれた漣(菅田将暉)と葵(小松菜奈)。すれ違い、遠く離れ、それぞれの人生を歩んできた二人が、奇跡の糸を手繰り寄せながら、平成の終わりに再会を果たす。運命に引き離された男女が再びめぐり逢うまでを、平成という時代の変遷とともに描く、壮大な愛の物語。

COVID-19とのつきあいは長くなりそう

前月号でも特集したが、経済活動再開と感染拡大防止はトレードオフの関係にある。

足元、我が国でも感染者が急拡大しているが、ワクチンや特効薬の開発・量産には不透明要因もあり、COVID-19とのつきあいは長くなりそうだ。

気温低下、湿度低下、UVの減少で感染力が一段と強まる可能性がある秋には、日々の感染者が一桁増えている可能性も否定できない。

但し、海外の状況を見ても、ロックダウン(都市封鎖)による感染拡大防止策は、経済への打撃が大きく持続可能性に乏しい。

「うつされてもうつさない、バイラス防止だ!」の心構えが必要

ファクトやデータに基づき、よりリスクの小さい形での経済活動の継続と、よりコストの少ない感染拡大防止策を組み合わせて、ワクチンや特効薬が一般に供給されるようになるまで、長期戦を乗り切るしかないだろう。

当面は、マスク着用、消毒・手洗い・うがいの励行に加え、検査・トレース体制の拡充が不可欠と言えそうだ。

今は、「やられたらやり返す、倍返しだ!」の半沢とは異なり、「うつされてもうつさない、バイラス防止だ!」の心構えが必要だろう(バイラスはウイルスの英語発音)。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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