アナリストの忙中閑話【第112回】

アナリストの忙中閑話

(2020年9月24日)

【第112回】ラニーニャ現象発生でハリケーン等の名前枯渇、「働く内閣」に期待、ハリウッドの大作が延期となる中、邦画の新作続々公開、切実な『望み』

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

日米の気象当局が9月10日、「ラニーニャ現象」の発生を認定

気象庁は9月10日、「ラニーニャ現象が発生したとみられる」、「今後冬にかけては、ラニーニャ現象が続く可能性が高い(70%)」と発表した。

米海洋大気庁(NOAA)傘下の米気象予報センター(CPC)も同日、ラニーニャ現象の発生を認定、北半球の冬まで継続する確率を75%とした。

なお、ラニーニャ現象の発生は2018年春以来。

ラニーニャ現象の発生で今秋は残暑が厳しい、冬は平年並の寒さか

エルニーニョ現象が「冷夏・暖冬」を招きやすいとされるのに対し、ラニーニャ現象は「猛暑・厳冬」と反対の特性がある。

但し、近年は地球温暖化の影響で、エルニーニョ現象が発生すると、冬は記録的な暖冬、夏は平年並となることが多く、ラニーニャ現象発生時には、夏は記録的な猛暑、冬は平年並みとなることが多い。

8月17日には浜松市で最高気温が観測史上第1位タイとなる41.1度を記録

ラニーニャ現象は、7月下旬までの長梅雨後に猛暑が到来し、9月にかけて残暑が厳しくなった要因と考えられる。8月17日には浜松市で最高気温が観測史上第1位タイとなる41.1度を記録した。

海面水温の上昇等、地球温暖化の影響もあり、一時、「スーパー・タイフーン」に発達した台風10号「ハイシェン」のような「大型で猛烈な」勢力の台風が、9月から10月に向けて日本列島に接近・上陸する可能性もある。

また、現在(24日)、台風12号「ドルフィン」が関東に接近しているが、12号は台風となったのが21日で日本列島の南海上だった。海面水温の上昇で、近年は日本近海で台風が発生することも増えている。12号の勢力は強くないが、秋雨前線を刺激し、大雨をもたらす可能性がある。注意したい。

なお、気象庁は9月9日15時から、24時間以内に台風に発達する見込みの熱帯低気圧の予報をこれまでの1日先までから5日先までに延長した。

2018年6月に更新したスーパーコンピュータシステムによる計算能力の向上や数値予報技術の開発などで予測精度が向上したことが背景。

近年は台風12号のように、日本近海で台風に発達するケースも増えている。今後は熱帯低気圧の段階で5日先までの予報が提供されることになり、接近時の防災行動計画(タイムライン)に沿った防災関係機関等の対応をより早く、より効果的に支援することが可能となる。歓迎したい。

今冬はラニーニャ現象の発生で、過去数年の暖冬とは異なり、平年並の寒さとなる可能性がある。尤も、全球レベルでの気温上昇に加え、日本列島近海の海面水温が上昇していることで、厳冬は考えにくい。

一方で、飽和水蒸気量の増加は大雪の要因になりやすい。平年並みの寒さの冬でも南岸低気圧等による大雪には都市部でも要警戒か。

今年のハリケーン等の名前が枯渇、「カトリーナ」が発生した2005年以来の事態

国連傘下の世界気象機関(WMO)は15日、今年のハリケーンやトロピカル・ストーム(熱帯ストーム)等、トロピカル・サイクロン(熱帯低気圧)の発生が多過ぎ、英語のアルファベット順に付ける名前が枯渇したと明らかにした。

2020年の大西洋ハリケーンシーズンは非常に活発で、ストームの名前の定期的なリストをほぼ使い果たし、今後は、ギリシャ語のアルファベットが使用されることになる。ギリシャ語が使用されるのは、メキシコ湾岸に大きな被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」が発生した2005年に次いで、2度目。

アルファベット名が尽きると、ギリシャ語のアルファベット(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ゼータ、エータ、シータなど)が使用される。

既に、日本時間24日現在、「ベータ」まで使用されており、2005年の「ゼータ」(6個目)を超えるか、注目される。

ハリケーンの発生増加要因は、地球温暖化等に伴う海面水温の上昇とともに、ラニーニャ現象

NOAA傘下の国立ハリケーンセンター(NHC)は2020年のハリケーンの発生が増加する要因として、地球温暖化等に伴う海面水温の上昇とともに、ラニーニャ現象の発生(可能性)を挙げている。2005年も秋には、同現象が発生した。

NOAAは14日、今夏は北半球で史上最も暑い夏となったと発表

一方、NOAAは14日、今夏は北半球で史上最も暑い夏となったと発表した。

北半球では今年の8月は、平均気温から2.14度F(1.19度C)上回り、2016年8月に記録された前回の記録を更新した。

また、2020年6月から8月までの3か月のシーズンは、北半球で最も暑い夏となり、これまで最も暑かった2019年と2016年を上回った。

世界的に見て、今年の1月から8月までの通期は、20世紀の平均である57.3度F(14.0度C)よりも1.85度F(1.03度C)高く、2016年に次いで、2番目に高い記録としてランク付けされた。

米国立雪氷データセンター(NSIDC)の分析によると、北極海の氷は減少を続けており、8月の平均北極海氷の範囲は記録上3番目に小さく、1981〜2010年の平均を29.4%下回っている。一方、南極の海氷の範囲は通常に近く、2016年以来では最高となった。

ラニーニャ現象の発生は猛暑を招きやすい一方、冬は寒くなる要因のため、年間の平均気温が2016年を上回る可能性は低いかもしれないが、NOAAの予想のように、2020年は最も暑い年の上位5年以内には入りそうだ。

地球温暖化は局所的には気象災害を招く要因に

一方で、地球温暖化は局所的には、深刻な気象災害を招く要因となっている。

WMOは15日付けのレポートで、その例として、米西海岸での山火事を挙げている。

カリフォルニア州の消防当局(Cal Fire)によれば、カリフォルニアの歴史の中で最大の山火事上位20件のうち6件が今年発生したとのことだ。Cal-Fireのリストでは、上位10件のうち8件が過去10年間に発生し、上位20件のうち17件が2000年以降に発生している。上位10件のうち7件が、2015年以降に発生。

気候変動問題は長期的にも全世界を巻き込む重要な政治問題となる可能性が高い

米国政府機関のレポート(FOURTH NATIONAL CLIMATE ASSESSMENT)は、1984年から2015年にかけて、気候変動により、気候変動が発生しなかった場合よりも2倍の土地が焼失したことを指摘している。また、カリフォルニアの2011〜2015年の干ばつが将来の温暖化と相まって、土地の長期的な変化につながり、気候フィードバック(たとえば、干ばつや山火事)や生態系シフトの可能性が高まると指摘している。

既に、米西海岸の山火事は、11月3日の大統領選における、トランプ氏とバイデン氏の政策の対立軸を明確化することにも繋がっているが、気候変動問題は長期的にも全世界を巻き込む重要な政治問題となる可能性が高そうだ。

菅政権が発足、新内閣はキャリアと能力を重視した実務型の布陣

11月3日の米大統領選を控え、米国では、与野党の対立が一段と強まっているが、わが国でも今月、7年8か月と過去最長となった安倍政権が終了し、新たに菅政権が発足した。

9月16日、衆参両院の本会議で首班指名選挙が実施され、菅義偉氏が第99代内閣総理大臣に指名された。なお、本会議に先立ち、安倍内閣は16日午前、総辞職した。午後の皇居での閣僚認証式を経て、同日夕刻、菅内閣が正式に発足した。

新内閣は麻生副総理兼財務相や茂木外相ら8人が再任、3人が横滑り、4人が再入閣となり、初入閣は5人にとどまった。閣僚は20人で第4次安倍再改造内閣より1人増えた。平均年齢は60.38歳で前内閣の61.55歳から1.17倍若返った。女性は上川法相と橋本五輪相の2人で、前内閣(総辞職前)から1人減少。参院からは2人が入り、前内閣から変わらず。

派閥別の構成は、細田派(98人)が5人、麻生派(54人)が3人、竹下派(54人)が2人、二階派(47人)が2人、岸田派(47人)が2人、石破派(19人)が1人、石原派(11人)が1人、無派閥が3人となった。他に公明党が1人。

数字の上では、派閥均衡内閣とも言えるが、実際の布陣はキャリアと能力を重視した実務型と言えそうだ。前内閣では初入閣が13人と、安倍政権では第1次内閣を含め最多となったが、今回は5人にとどまっている。

再入閣組の田村厚労相、上川法相と小此木国家公安委員長は過去に同ポストの経験がある。特に、田村氏は党の新型コロナ対策の責任者を務めており、菅氏が当面の最優先課題とする新型コロナ対策に対応した布陣と言えそうだ。

やはり、再入閣組の平井デジタル担当相は元IT担当相で党内ではIT関連に最も知見があるとされている。

また、防衛相から横滑りした河野行革担当相は、自民党が下野中の2010年には、影の内閣の行政改革・公務員制度改革担当大臣として、党内で規制改革や事業仕分けなどを担当、政権復帰後は行政改革担当相も務めた。菅首相が本丸とする規制改革の司令塔として、キャリアに加え、持ち前の突破力に期待した人事と言える。

菅首相、新内閣は「国民のために働く内閣」

菅首相は16日21時からの会見で、「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います。そのためには行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進めます。国民のためになる、ために働く内閣をつくります」(首相官邸HP)とし、新内閣を「国民のために働く内閣」とした。

安倍前首相時代の様々なキャッチフレーズ、前回は「安定と挑戦の内閣」等と比較すると地味だが、地道に政策遂行に取り組んできた菅氏のスタンスを体現した実務型の内閣と言えそうだ。

一方、党役員人事は今風に評すれば、菅氏を支援した自民党5派閥と同期への『感謝と恩返し』人事か。

菅首相、「今、取り組むべき最優先の課題は新型コロナウイルス対策」

菅氏は、「有言実行型」「無限実行型」「有言不実行型」と比較すると、「少言実行型」だろう。まずは、政策実現を積み上げることで、本格政権、長期政権を目指すのではないか。

菅氏は会見で、「今、取り組むべき最優先の課題は新型コロナウイルス対策です。欧米諸国のような爆発的な感染拡大は絶対阻止をし、国民の皆さんの命と健康を守り抜きます。その上で社会経済活動との両立を目指します」(同)とし、まずは、新型コロナウイルス対策を最優先に社会経済活動との両立を目指すとした。

また、今回の危機で浮き彫りとなったデジタル化の遅れを取り戻すため、デジタル庁の新設を表明した。また、「私自身がこの規制改革というのをこの政権のど真ん中に置いていますから、これは大臣と総理とで、これはしっかりやっていきたい」(同)とし、河野大臣とともに、規制改革に強力に取り組むことを宣言した。

早期の衆院解散には慎重姿勢を繰り返す

一方、記者から、衆院解散について問われた際には、「新しい内閣に対する国民の期待。今、国民が求めているのは、この新型コロナウイルス、その終息を何とか早くやってほしい。そして同時に、経済をしっかり立て直してほしい。正にこの感染拡大防止と経済、両立を国民の皆さんは一番望んでいるというように思います。私たち、今日、内閣が発足したわけであります。まずこのことに全力を挙げて取り組んでいきたい。そして、国民の皆さんに、一人一人が安心して生活できる元どおりの生活、ここを一刻も早く実現したいと思います。(中略)そういう中で、いずれにしろ1年以内に衆議院はこれ解散総選挙があるわけでありますから、そうした時間の制約も視野に入れながら、ここは考えていきたい、こう思います」(同)とし、自民党総裁選後の記者会見同様、早期の衆院解散には慎重な考えを示した。

臨時国会冒頭での解散の可能性は低下

実務型の菅内閣の布陣に加え、首相就任時の記者会見の内容等を勘案すると、10月に召集されるとみられる臨時国会冒頭での解散の可能性は低下したと考えられる。

所信表明演説や各党の代表質問に加え、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のワクチン接種に関する副作用等の免責措置等に関する法改正や英国とのEPA批准、追加の経済対策等を一部実施するとなると、早くとも、解散のタイミングは11月以降になろうが、この場合、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染動向が最大の焦点となる。

一部には、最速で10月13日公示、10月25日(日)投開票との見方もあったが、これは、臨時国会の召集が9月中で、冒頭解散されないと難しい。

菅首相の衆院解散の判断も今後のCOVID-19の感染動向次第

現時点でのNHK等の報道では、臨時国会は10月23日か26日に召集し、会期は12月前半までの50日程度になるとの見通しだ。

臨時国会の召集が10月下旬となって、所信表明演説や代表質問等を行うとすると、解散後の投開票日は早くとも12月となる可能性が高い。

2012年の第46回衆院選挙は11月16日解散、12月4日公示、16日投開票、2014年の第47回衆院総選挙は11月21日解散、12月2日公示、14日投開票で実施されているが、今年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染動向が高いハードルになろう。

この時点で、収束していれば問題ないが、通常、インフルエンザウイルスやコロナウイルスは秋以降、冬に感染が拡大する。

今冬の時点で、COVID-19のワクチンの一般接種は間に合わない可能性が高く、感染が拡大すれば、総選挙どころではない。この点に関しては、菅氏も感染の収束は専門家の判断に沿うとしている。

仮に感染が拡大すれば、2021年度当初予算や税制等の関連法が成立する3月までは解散は困難になりそうだ。次期通常国会では赤字国債(特例国債)の発行を可能とする公債特例法の成立も必要だ。

一方、6-7月頃には、公明党が国政選挙並みに注力している東京都議会議員の選挙が実施される。

7月23日から9月5日は東京オリンピック・パラリンピックが予定されており、実施された場合はこの時期に投開票を行うのは困難となる。但し、オリンピックの開催は内閣支持率の浮揚要因となり、この場合は、必ずしも「追い込まれ解散」とは言えないのではないか。他方、東京オリンピック・パラリンピックが再延期若しくは中止となれば、より早い段階での解散も可能となろう。

デジタル化を含む新型コロナウイルス対策を最優先に中期的には少子高齢化対策、規制緩和等を含む成長戦略に、「少言実行」に期待

東京都では15日をもって、東京23区の時短営業要請が解除され、16日からは飲食店の深夜営業も解禁されている。

政府も19日から、イベントの人数制限を緩和しており、10月1日からは、GoToトラベルに東京都も追加される予定だ。

何れにせよ、菅首相の衆院解散の判断も今後のCOVID-19の感染動向次第だろう。

菅政権には、まずは、デジタル化を含む新型コロナウイルス対策を最優先に取り組み、中期的には少子高齢化対策、規制緩和等を含む成長戦略に取り組んでもらいたい。「少言実行」に期待したい。

鬼才クリストファー・ノーラン監督の新作が初登場、第1位に

前週末(9月19日-20日)の観客動員ランキングでは、前月号で特集した『TENET テネット』(ワーナー・ブラザース配給)が初登場第1位に入った(興行通信社調べ)。

既に鑑賞したが、『ダークナイト』3部作や『インセプション』『インターステラー』の鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本だけのことはあり、斬新な映像とともに、ストーリーが極めて難解。これは、少なくとも3回は見ないと全体像を把握できないと思い、今週末にも、再度、チャレンジの方針。

こうした作品は、1回目は事前情報なく「素」で鑑賞し「驚き」を発見、2回目はストーリーの流れを再確認し、3回目はディテール(細かい部分)をつぶさに見ることにしている。

なお、前月号で、「大戦3部作」として、『TENET テネット』とともに紹介したローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェー』もお薦め。

『インデペンデンス・デイ』のエメリッヒ監督が手掛けただけあって、戦闘シーンも迫力あるが、第2次世界大戦前から始まる時系列や史実に忠実な描写(勿論、一部脚色はあるが)、金属板で操縦席が守られた米戦闘機、レーダーや暗号解読等情報戦の重視等は、ビジネスの世界や対COVID-19戦争でも参考になる映画だ。日米を中立的に描いているのも好感が持てた。

ハリウッドの大作映画の公開タイミングにCOVID-19の感染動向が極めて大きな影響

一方、25日から公開予定だった『キングスマン:ファースト・エージェント』は、対COVID-19戦争の影響で、来年2月26日に公開(世界同時公開)が大幅に延期されることになった。

実は同作品の公開日は、当初、2019年11月9日と伝えられており、その後、2020年2月14日に日米同時公開と発表され、2020年9月25日に延期されていた経緯にあるため、延期は実質3回目となる。

背景には、『キングスマン』シリーズを1作目から製作・配給していた20世紀フォックス社が2019年3月に、ウォルト・ディズニー社に買収されたことで、ディズニー作品と公開時期が調整されたことに加え、COVID-19の感染拡大で、ディズニーの新作が軒並み公開延期に追い込まれていることが挙げられる。

1998年のディズニー・アニメ『ムーラン』を実写化した『ムーラン』は、当初は今春に公開予定だったが、延期後、劇場公開を断念、2020年9月4日から「Disney+」での独占配信に切り替えられた。

一方、「アベンジャーズ」の一員を主人公とし、5月1日に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』は、11月6日(日米同時公開)に延期されたが、米国では再度の延期観測も流れている。

日米の選挙同様、ハリウッドの大作映画の公開のタイミングには、COVID-19の感染動向が極めて大きな影響を与える事態になっている。

当面の焦点は、今年公開映画の中でも最大の注目作品の一つである『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(11月20日公開予定、4月10日から延期)と『ワンダーウーマン 1984』(12月25日公開予定、10月9日から延期)が、何れも延期後の公開予定日に無事公開できるかどうかだろう。

邦画の新作が続々と公開

こうした中、COVID-19の感染が欧米に比べて抑制されている我が国では、邦画の新作が続々と公開される。

9月25日公開の『映像研には手を出すな!』は、大童澄瞳氏の同名コミックを「乃木坂46」の齋藤飛鳥さん、山下美月さん、梅澤美波さんの共演で実写映画化。

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く「最強の世界」を描くためアニメーション制作を開始する。

同じく25日公開の『ミッドナイトスワン』は、草g剛さん演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた内田英治監督オリジナル脚本による人間ドラマ。

10月2日公開の『浅田家!』は、一枚の写真の力を信じて、「家族」を撮り続けた一人の写真家と、彼を信じ、支え続けた「家族」の実話。二宮和也さんと妻夫木聡さんが共演し、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督がメガホンをとった。

同じく2日公開の『小説の神様 君としか描けない物語』は、相沢沙呼氏の小説「小説の神様」を、佐藤大樹さんと橋本環奈さんのダブル主演で映画化。

中学生で作家デビューしたが、作品はSNSで酷評され、自分を見失った売れない高校生小説家・千谷一也。一方、同じクラスの人気者でドSな性格の上、ヒット作を連発する高校生小説家・小余綾詩凪。底辺作家と人気作家、性格もクラスでの立ち位置も、すべてが真逆の2人に、編集者から下されたミッション、それは、2人で協力し、大ベストセラーを生み出すことだった。

望み

『望み』
2020年10月9日(金)全国ロードショー
©2020「望み」製作委員会

9日公開の『望み』は、堤幸彦監督がメガホンをとり、堤真一さん主演で、雫井脩介氏の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。

一級建築士の石川一登(堤真一)とフリー校正者の妻・貴代美(石田ゆり子)は、一登がデザインを手掛けた邸宅で、高一の息子・規士と中三の娘・雅と共に幸せに暮らしていた。規士は怪我でサッカー部を辞めて以来遊び仲間が増え、無断外泊が多くなっていた。高校受験を控えた雅は、一流校合格を目指し、毎日塾通いに励んでいた。冬休みのある晩、規士は家を出たきり帰らず、連絡すら途絶えてしまう。

翌日、一登と貴代美が警察に通報すべきか心配していると、同級生が殺害されたというニュースが流れる。警察の調べによると、規士が事件へ関与している可能性が高いという。さらには、もう一人殺されているという噂が広がる。

16日公開の『スパイの妻』は第77回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞。2020年6月にNHK BS8Kで放送された黒沢清監督、蒼井優さん主演の同名ドラマを映画化。

1940年、神戸で貿易会社を営む優作(高橋一生)は、赴いた満州で、恐ろしい国家機密を偶然知り、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。満州から連れ帰った謎の女、油紙に包まれたノート、金庫に隠されたフィルム。聡子(蒼井優)の知らぬところで別の顔を持ち始めた夫、優作。それでも、優作への愛が聡子を突き動かしていく。

23日公開の『きみの瞳が問いかけている』は、韓国映画『ただ君だけ』の日本版リメイク作品。

目は不自由だが明るく愛くるしい明香里(吉高由里子)と、罪を犯しキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)。小さな勘違いから出会った2人は惹かれあい、ささやかながらも掛け替えのない幸せを手にしたかに見えた。ある日、明香里は、誰にも言わずにいた秘密を塁に明かす。彼女は自らが運転していた車の事故で両親を亡くし、自身も視力を失っていたのだ。以来、ずっと自分を責めてきたという明香里。だが、彼女の告白を聞いた塁は、彼だけが知るあまりに残酷な運命の因果に気付いてしまっていた。

23日公開の『空に住む』は『EUREKA ユリイカ』の青山真治監督が多部未華子さんと初タッグを組んだ作品。

郊外の小さな出版社に勤める直実は、両親の急死を受け止めきれないまま、叔父夫婦の計らいで大都会を見下ろすタワーマンションの高層階に住むことになった。長年の相棒・黒猫ハルとの暮らし、ワケアリ妊婦の後輩をはじめ気心のしれた仲間に囲まれた職場、それでも喪失感を抱え、浮遊するように生きる直実の前に現れたのは、同じマンションに住むスター俳優・時戸森則だった。彼との夢のような逢瀬に溺れながら、先は見えないことはわかっている。そんな日常にもやがて変化が訪れる。直実が選ぶ自分の人生とは。

一方、洋画では、9月25日公開の『ウルフズ・コール』と10月23日公開の『ナイル殺人事件』に注目。

年末年始には短時間でも帰省が可能な態勢を整えて、切実な『望み』

9月19日から22日の4連休「シルバーウイーク」には、全国で5月の「ゴールデンウィーク」やお盆を上回る人出がみられた。

東京都や政府が自粛要請の緩和に動いたこともあるが、半年に及ぶ「自粛疲れ」の影響も大きそうだ。

一方で、北半球が秋に入ったことで、欧州など世界的には、「感染第2波」の兆しも見え始めた。

世界保健機関(WHO)は21日、COVID-19の20日までの1週間の新規感染者が199万8,897人と、週間ベースで過去最多となったと発表した。前週比では6%増で、欧州(+11%)やアメリカ大陸(+10%)での増加が著しい。一方、週当たりの死者数は前週比で10%減となった。

世界的に、足元では若年層の感染者が増えていることもあり、致死率は低下しているものの、今春、欧米では、家庭内感染や介護施設等でクラスター(感染者集団)が発生したことで、高齢者の死亡が急増した経緯にある。

COVID-19の場合、重症化リスクの高い基礎疾患を持つ人や高齢者への感染を抑制することが肝要だが、お盆に続き、年末・年始も両親や祖父母に会えないことになると、精神面等別の問題も浮上することになりそうだ。

初秋の今のうちに、インフルエンザワクチンの接種を進め、検査や医療体制の拡充等により、どうにか、年末年始には短時間でも帰省が可能な態勢を整えてほしいものである。高齢の母親を地方の実家に一人残す筆者としても切実な『望み』である。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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