アナリストの忙中閑話【第114回】

アナリストの忙中閑話

(2020年11月19日)

【第114回】レッド・ミラージュが消えブルーにシフトした米大統領選、秋の感染波が現実となった新型コロナウイルス、29年ぶり高値を付けた日経平均株価、庚子と辛丑

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

米大統領選では、トランプ氏の猛烈な追い上げ及ばず、バイデン氏が逃げ切り

11月3日に投票が行われた米大統領選は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染後回復した共和党のドナルド・トランプ大統領が最終盤で接戦州を精力的に遊説し、猛烈な追い上げを図ったが、序盤から選挙戦を優位に進めた民主党のジョー・バイデン前副大統領が逃げ切り、2021年1月20日正午に第46代アメリカ合衆国大統領に就任する見通しとなった。

大接戦となったジョージア州では、再集計が行われているものの調査会社エジソンリサーチの支援を受けるABC、CBS、NBC、CNNなどの米主要メディアは、選挙人獲得数(定数538)は、バイデン氏が306人、トランプ氏が232人となり、バイデン氏が当選確実になったと報じている。

なお、アリゾナ州でのバイデン氏の勝利を真っ先に報じたAP通信はジョージア州(選挙人16人)は未定とし、バイデン氏290人、トランプ氏232人としている。

前回2016年の大統領選では、選挙人獲得数はトランプ氏が306人、民主党のヒラリー・クリントン元国務長官が232人であり、ちょうど、勝敗が入れ替わった形だ。

バイデン氏は生まれ故郷のペンシルべニア州(20人)、ミシガン州(16人)、ウイスコンシン州(10人)のラストベルト3州を奪い返し、共和党の地盤州、いわゆる「レッド・ステート」のアリゾナ州(11人)及びジョージア州(16人)を奪取し、勝利を確実にした。

レッド・ミラージュ、(共和党の)赤い蜃気楼が消え、ブルー・シフト、(民主党の)青へのシフトが進み、バイデン氏が王手

但し、開票開始後の序盤では、トランプ氏が大票田のフロリダ州(29人)などで早々に勝利を確実にし、接戦州、いわゆる「スイング・ステート」の大半で得票率で優位に立ったため、日本時間4日段階では、わが国のメディア等では、トランプ氏再選との観測が流されていた。

結果的にこれは、レッド・ミラージュ、(共和党の)赤い蜃気楼であり、日本時間5日には、ブルー・シフト、(民主党の)青へのシフトが進み、バイデン氏が王手をかけることになった。

背景には、過去最多となった郵便投票がある。

フロリダ大学の選挙プロジェクトによると、今回の大統領選の期日前投票は1億0,142万人に達している。うち対面投票が3,593万人で、郵便投票が6,549万人。

トランプ氏は「郵便投票は不正の温床」と繰り返し非難していたため、トランプ氏の支持者は11月3日ないし期日前の対面投票が大半を占めたのに対し、バイデン氏や民主党はCOVID-19の感染拡大防止のため郵便投票の活用を呼び掛けたことから、バイデン氏に投票した有権者は郵便投票が多かった。

11月3日以前に開票と集計が認められていたフロリダ州など一部の州を除き、多くの州では署名の確認作業等が必要な郵便投票の開票が対面投票によりも後回しとなったことが、レッド・ミラージュとブルー・シフトの要因だ。

但し、今回の大統領選が米国建国以来、歴史的な大接戦となったのは、両氏の得票数や投票率が物語っている。

得票数はバイデン氏が7,900万票超、トランプ氏が7,300万票超と、歴史的大接戦に

AP通信によると、日本時間19日15時現在の得票数はバイデン氏が7,951万票(得票率51.04%)、トランプ氏は7,360万票(47.25%)。

前回はクリントン氏が6,584万票(48.2%)、トランプ氏が6,298万票(46.1%)であり、バイデン氏は1,370万票近く、トランプ氏は1,060万票以上、得票を増やしている。

投票率は、フロリダ大学の選挙プロジェクトの試算では、実質的に過去最高に

投票率は、選挙プロジェクトの試算では、今回の大統領選の投票数は、1億5,883万票、米国の18歳以上の有権者総数2億3,925万人に対する投票率は66.4%に達したとのことだ。

選挙プロジェクトによると、73.7%だった1900年以降で最高とのこと。但し、当時は女性の参政権がなく、黒人の参政権も制限付きで一部認められているだけだった。

米国で女性の参政権が認められたのは1920年。合衆国憲法修正第19 条[女性参政権]が1920 年に各州で批准され、成立した後であり、今から100年前の1920年の大統領選から参加している。

一方、黒人男性は、南北戦争(1861-1865年)後の1870年に成立した合衆国憲法修正第15 条[選挙権の拡大]により、参政権が認められていたが、有権者登録等に制限があり、完全獲得は、1964年の「1964年公民権法(Civil Rights Act of 1964)」と、1965年の「1965年投票権法(Voting Rights Act of 1965)」の成立後だ。但し、現在でも、黒人等マイノリティーに対する有権者登録の妨害や投票所での威嚇等、投票抑圧が指摘されている。

なお、2016年の大統領選当時の米国の18歳以上有権者総数は2億2,406万人だが、有権者登録を行った人は1億5,760万人(有権者登録率:70.3%)、投票者総数は1億3,754万人(投票率61.4%)だった。

投票率の推定が正しければ、今回の大統領選の投票率は、米国建国史上、実質的に過去最高と言えそうだ。

上院選は、民主党48人、共和党50人、ジョージア州の定例選挙と特別選挙が1月に決選投票

一方、米主要メディアによると、上院選(定数100人)は、民主党48人、共和党50人が当選確実となった。

残すは、過半数を得た候補がなく、2021年1月5日に決選投票が実施されるジョージア州のクラス2の定例選挙と同州のクラス3の特別選挙。

来年1月の決選投票で2勝すれば、民主党は上院で50議席を確保し、多数派(50対50の場合は、上院議長を兼務する副大統領が1票投じるため)を奪還することが可能となる。

ジョージア州は伝統的に共和党が強い「レッド・ステート」だが、大統領選では、バイデン氏が0.2ポイントの差で、トランプ氏に対し、優位に立っているため、トランプ大統領なき来年の上院選では、民主党が勝利する可能性もある。ジョージア州の上院決選投票に注目が集まりそうだ。

下院選は、改選前から減らすも民主党が多数派維持

なお、下院選(定数435人)は、リアル・クリア・ポリティクスによると、民主党が過半数の218議席を上回る221人、共和党が209人を確保したと伝えており、民主党は改選前から議席を減らしたものの(▲8人)、引き続き、多数派を維持する見込みだ。

バイデン氏は7日夜に勝利宣言、トランプ氏は自らが勝者と主張、選挙で不正があったとして裁判で争う姿勢継続

バイデン氏は、主要メディアによる当確報道を受けて、11月7日夜(日本時間8日昼)、勝利宣言を行い、「分断でなく団結させる大統領になる」と誓った。

一方、トランプ大統領は直後に声明を発表し、「大統領選挙はまだ終わっていない」とした。

また、ツイッターには、「私は7,100万の合法な票を獲得し、選挙に勝った」と投稿し、敗北を認めず、自らが勝者と主張、選挙で不正があったとして裁判で争う姿勢を示した。

その後も現在に至るまで、敗北宣言を行わず、政権移行作業も拒否したままだ。

さすがに、選挙人獲得数の差が大きいため、裁判で選挙結果がひっくり返る可能性は低いと見られる。

但し、COVID-19対策をはじめ、気候変動対策、人種差別問題への対応、同盟国を含めた外交、オバマケア等社会保障政策、TPP等通商・貿易政策等で、主張が大きく異なるバイデン氏とトランプ氏の投票数が各々7,000万票台に上ったことは、米国の分断が一層、鮮明になったことの証左と言える。

今後、トランプ氏が敗北宣言を行わず、法廷闘争を継続することになると、支持者間の対立が、暴動等に発展するおそれもあり、警戒が必要だろう。

「分断」の修復は容易ではない

バイデン氏は「分断」の修復を目指すとみられるが、トランプ氏の支持者がバイデン氏をいつまでも大統領として認めないとすると、容易ではない。

選挙戦の間、ミシガン州では民主党の知事を拉致し殺害する計画を企てたとして、トランプ支持とみられるクループが起訴されている。

大統領の正式決定までの今後のスケジュールは、12月8日(火)の選挙人決定期限(セーフ・ハーバー)までに、選挙人を確定し、12月14日(月)に選挙人が投票し、その結果を23日までに連邦議会に送付する。

なお、接戦となった各州の選挙人の確定日は、ジョージア州が11月20日、ミシガン州が11月23日、ペンシルベニア州が11月23日、ネバダ州が11月24日、アリゾナ州が11月30日、ウィスコンシン州が12月1日を予定しているため、来週までの法廷闘争の結果で大勢が決まることになりそうだ。

2021年1月6日に上下両院合同会議で各州の結果を集計し、過半数を得た候補が1月20日正午に大統領に正式就任する。但し、選挙人が実際に誰に投票したかは6日までわからない。2016年の大統領選でも、選挙人獲得数はトランプ氏が306人、クリントン氏が232人だったが、選挙人による実際の投票結果は304人対227人だった。

1月20日正午までに、トランプ氏がホワイトハウスを退出するか否かも注目点だ。

米国では、21世紀に入ってからの貧富の格差拡大や移民の流入等を受けて、底流にあった「分断」の潮流が表面化、それがトランプ大統領を誕生させ、トランプ氏によって、その流れが一段と強まったと評価できる。

今回の大統領選では、反トランプの有権者の投票行動によって、トランプ氏の再選は阻まれた訳だが、その傷跡は深い。何れにせよ、米国の分断の修復には、相当な時間とコストを費やすことになりそうだ。

米国では選挙キャンペーンの影響もあり、COVID-19の感染が急拡大

一方、懸念されるのが、COVID-19の感染拡大だ。

既に、欧州では「秋の感染第2波」が、少なくとも新規感染者数では「春の感染第1波」を大きく上回る形で来襲し、各国は春以来2回目のロックダウン(都市封鎖)を実施しているが、米国でも今回の選挙キャンペーンが感染を拡大させた可能性が高い。

特に、トランプ陣営はマスクの着用率が低い中で大規模な選挙集会を多数開催、投票日後は各地で、両氏の支持者のデモ等も行われている。

米CDC(疾病管理予防センター)によると、米国の新規感染者は、11月12日には、19万4,610人に上り、17日現在で、累計感染者数は1,130万人台に、累計死者数は24万7,834人に達している。

なお、米国で「感染第2波」となった夏場の新規感染者のピークは、7月24日の7万4,861人であり、今回の「感染第3波」はそれを大きく上回っている。

COVID-19の累積感染者総数は5,600万人突破、死者の累計は134万人、実際の感染者は7.7億人?

米ジョンズ・ホプキンス大学によると、日本時間19日15時現在、世界のCOVID-19の累積感染者総数は、5,624万7,982人と、5千600万人を突破。死者の累計は134万9,380人。

なお、WHOの幹部は10月5日、実際の世界の累積感染者数は全人口の10%に上るとの推計を発表している。その推計が正しければ、累積感染者数は7億7,000万人と、同日時点の確定症例の約20倍に膨らむことになる。

ジョンズ・ホプキンス大学によると、累積感染者数が多い国は、第1位が米国の1,152万人超、2位がインドの895万人超、3位がブラジルの594万人超、4位がフランスの211万人超、5位がロシアの197万人超、6位がスペインの152万人超、7位が英国の143万人超、8位がアルゼンチンの133万人超、9位がイタリアの127万人超、10位がコロンビアの121万人超。

感染者の多い上位10か国に、4位のフランス、5位のロシア、6位のスペイン、7位の英国、9位のイタリアと、欧州諸国が5か国ランクイン。1位の米国や2位のインド含め、季節が夏から秋に変わった北半球の諸国で足元、急増し、大部分を占めることになっている。

東京都の18日の新規感染者は493人、全国では2,201人と何れも過去最多に

東京都は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が増加していることを受けて、19日に専門家が出席する「モニタリング会議」を開き、感染状況を4段階のうち最も高い警戒レベルに引き上げた。都内の感染状況の警戒レベルは9月10日に最も高いレベルから2番目に引き下げられていた。

通常、東京都の新規感染者数は、週末の検査数の減少を受け、月曜日及び火曜日は減少することが多いが、16日(月)は180人、17日(火)は298人と何れも、曜日としては、感染がピークだった8月以来の水準となった。

なお、18日の東京都の新規感染者は493人と、8月1日の472人を上回り、過去最多となった。

全国では2,201人と、こちちらも過去最多(NHK調べ)。19日の東京都の新規感染者は534人と再度更新。

前述の通り、わが国よりも緯度が高い欧州、また米国では、新規感染者が急増しており、わが国における感染者の増加も、10月下旬以降、気温、湿度、UV(紫外線)が低下し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の半減期が長期化、つまり、感染力が強まったことが大きいと考えられる。

ヒトに感染するコロナウイルスの特徴

なお、今後の動向だが、世界的には11月から12月、わが国では12月が正念場と言えそうだ。

「ヒト」に感染するコロナウイルスは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が確認された7例目である。

「HCoV-229E」、「HCoV-OC43」、「HCoV-NL63」、「HCoV-HKU1」の4種は風邪コロナウイルスとして知られ、冬場に流行する風邪の15%程度を占める。

一方、重症肺炎ウイルスの2種類は、2002年から2003年に蔓延した「SARS-CoV(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)」と2012年以降現在でも稀に発生が続いている「MERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)」で、新型が3例目となる。

SARSが蔓延した2003年当時、患者数(累積感染者数マイナス回復者数)は5月上旬がピークとなり、7月5日には、WHOは終息宣言を出している。

MERSも過去の流行は、秋から春頃に流行し、夏から秋には一旦、沈静化しているケースが多い。

コロナウイルスもインフルエンザウイルスもRNAウイルスであり、何れも風邪の症状をもたらし、主に接触及び飛沫感染で伝播する点では同様である。

わが国における「スペイン風邪」の感染のピークは1918年11月

過去、感染症のパンデミック(世界的大流行)と言えば、新型インフルエンザのパンデミックが、20世紀以降4回発生している。

最も感染者や死者が多かった「スペイン風邪:H1N1ウイルス」の場合、わが国では第1波は1918年秋に、第2波は1920年冬に来襲しているが、第1波のピークは1918年11月、第2波のピークは1920年1月であった。

一方、最も直近のパンデミックである2009年の「新型インフルエンザ:H1N1pdm09ウイルス」は、世界的に2009年の10-11月頃がピークとなっている。但し、現在では新型インフルエンザは季節性のインフルエンザとなり、毎年1-2月頃に流行のピークをつけている。

これは、新興感染症の場合、免疫や免疫の痕跡を持つ人が少ないため、冬の流行が前倒しとなったと考えられる。

気象庁の全国3か月予報、11-1月期の平均気温は全国的に平年並、特に12月が低い見込み

気象庁が発表した「全国3か月予報(11月から1月までの天候見通し)」によると、向こう3か月の気温は、北日本では寒気の影響を受けにくいため、平年並か高く、東・西日本と沖縄・奄美は、ほぼ平年並の見込みなるも、11月は平年並か高く、12 月は平年並か低い見込みとなっている。

近年は地球温暖化等の影響で暖冬が続いていたが、今夏にラニーニャ現象が発生した影響で、今冬、特に12月は平年を下回る気温となることが予想されている。

17日には、日経平均株価は約29年ぶりに2万6千円台を回復

前週来、ファイザー社及びモデルナ社によるCOVID-19ワクチンの第3層試験の中間報告等で好調な結果が明らかとなったことを好感し、内外の株式市場は大幅高となった。

17日には、日経平均株価は前日比107円高の2万6,014円と、1991年5月14日以来、約29年ぶりに2万6千円台を回復しして引けた。

ワクチンの一般接種は今冬には間に合わず、12月が正念場

但し、このまま、医療従事者向け等の第4層試験が順調に進展したとしても、一般向けの接種が可能となるのは、早くとも来春以降とみられる。今冬の流行期には間に合わない可能性が高い。

新型コロナウイルスとの闘いは、わが国においては、12月が正念場と言えそうだ。

COVID-19のパンデミックに伴いハリウッドの大作映画は3月以降、軒並み公開延期、春以降に公開された大作は『TENET テネット』のみ

前月号でもお伝えしたように、COVID-19のパンデミックに伴いハリウッドの大作映画は3月以降、軒並み公開延期となっており、春以降に公開された大作は、わが国でも公開中のクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』のみとなっている。

但し、製作費は2億0,500万ドルに上るが、現時点での世界興収3億5,370万ドルに対し、米国及びカナダでの興収は5,630万ドルにとどまっている(11月17日付けIMDb)。

こうした状況が、大作の一段の延期を促す格好となり、9月25日から公開予定だった『キングスマン:ファースト・エージェント』は、2021年2月11日に公開(21日の世界同時公開から変更)に大幅に延期されることになった。

1998年のディズニー・アニメ『ムーラン』を実写化した『ムーラン』は、当初は今春に公開予定だったが、延期後、劇場公開を断念、2020年9月4日から「Disney+」での独占配信に切り替えられた。

一方、「アベンジャーズ」の一員を主人公とし、5月1日に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』は、11月6日(日米同時公開)に延期されたが、2021年5月7日(日本公開は2021年4月29日)に再度の延期となった。これで、マーベル作品の公開は2020年中全て無くなった。

今後の焦点は、マーベルと並ぶアメコミの2大ブランド、DCの大作『ワンダーウーマン 1984』(12月25日公開予定、10月9日から延期)が、延期後の公開予定日に無事公開できるかどうかだ。

邦画は『鬼滅の刃』が歴代興収ランキングで第5位に

前週末(11月14日-15日)の観客動員ランキングでは、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が5週連続で第1位となった(興行通信社調べ、以下同じ)。

累計では動員1,750万人、興収233億円を突破。歴代興収ランキングでは第5位に浮上。第4位の『君の名は。』の250.3億円、第3位の『アナと雪の女王』の255.0億円、第2位の『タイタニック』の262.0億円を射程内に収め、歴代第1位の『千と千尋の神隠し』の308.0億円すら凌駕する勢いだ。

なお、前週末の観客動員ランキング第2位は『ドクター・デスの遺産−BLACK FILE−』。第3位は前月号で特集した『罪の声』。

邦画の新作の公開続く

COVID-19の感染がここまで欧米に比べ抑制されていた我が国では、邦画の新作が続々と公開されている。

サイレント・トーキョー

『サイレント・トーキョー』
2020年12月4日公開
©2020 Silent Tokyo Film Partners

12月4日公開の『サイレント・トーキョー』は、世界的なXmasの名曲「Happy X-mas (War Is Over)」にインスパイアされた秦建日子氏の小説「サイレント・トーキョーAnd so this is Xmas」を映画化したクライムサスペンス。

クリスマスの東京を突如襲った「連続爆破テロ」に翻弄される国家と人々の姿を、佐藤浩市さん、石田ゆり子さん、西島秀俊さんらをキャスト陣に迎え、『SP』シリーズの波多野貴文監督が描いた。

新解釈・三國志

『新解釈・三國志』
2020年12月11日全国東宝系にてロードショー
©2020映画「新解釈・三國志」製作委員会

12月11日公開の『新解釈・三國志』は、『今日から俺は!!』や『銀魂』シリーズの福田雄一監督が中国の「三國志」に独自の解釈を加え、大泉洋さんを主演に迎えて描いた歴史エンターテイメント。

いまから1800年前。中華統一を巡り、「魏」「蜀」「呉」の三国が群雄割拠していた時代。民の平穏を願い、後に英雄と呼ばれる一人の男・劉備が立ち上がった。激動の乱世を経て、物語はやがて「魏軍80万」と「蜀・呉連合軍3万」という、圧倒的兵力差が激突する「赤壁の戦い」に突入していく。

劉備を演じる大泉洋さんのほか、ムロツヨシさん、山田孝之さん、佐藤二朗さん、賀来賢人さん、橋本環奈さん、山本美月さん、岩田剛典さん、渡辺直美さん、小栗旬さんらが集結。なお、本作品は「完全オリジナル映画」とのこと。

約束のネバーランド

『約束のネバーランド』
2020年12月18日全国東宝系にてロードショー
©白井カイウ・出水ぽすか/集英社
©2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

12月18日公開の『約束のネバーランド』は、「鬼滅の刃」とほぼ同時期に集英社の「週刊少年ジャンプ」に連載され、テレビアニメ化もされた「約束のネバーランド」を実写映画化。

自然の中に建てられた楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」。そこで暮らす子どもたちは、母親代わりの優しいイザベラを「ママ」と呼んで慕い、いつか里親に引き取られる日を待ちわびている。年長者のエマ、レイ、ノーマンも、外の世界で待つ幸せな暮らしを信じていた。但し、孤児院で幸せに育てられていた子どもたちは、実は食用児として鬼に献上されるために飼育されていたのだ。

エマを『君の膵臓をたべたい』の浜辺美波さん、レイを『万引き家族』の城桧吏さん、ノーマンを『仮面ライダージオウ』の板垣李光人が演じ、イザベラ役には北川景子さん、イザベラの補佐役(シスター)・クローネ役には渡辺直美さんがキャスティングされた。『僕だけがいない街』の平川雄一朗監督がメガホンをとった。

なお、同じく「鬼もの」だが、筆者は「週刊少年ジャンプ」では、「鬼滅の刃」よりも、先に本作を読んでいた経緯あり。

2020年の干支は「庚子(かのえ・ね、コウ・シ)」、2021年の干支は「辛丑(かのと・うし、シン・チュウ)

2020年の干支は「庚子(かのえ・ね、コウ・シ)」。

2019年12月号では、「2020年の『庚子』には、新たな変化、潮流が生まれる可能性、レジーム更新や世代交代等に注目」とし、株式相場に関しては、「2020年は一転、高変動率相場となる可能性もあろう」と記したが、わが国では、過去最長となった安倍政権が終焉し、米国ではトランプ大統領も再選が阻まれた。

株式相場は、COVID-19のパンデミックと、全世界での空前絶後の規模の金融緩和と財政出動の結果、2019年12月30日に2万3,656円で引けた日経平均株価は、3月19日には1万6,552円まで下落した一方、前述の通り、11月17日には2万6,014円まで上昇して引けるなど、高安で1万円近い、荒っぽい値動きとなった。

【第103回】2020年(令和2年)の干支は「庚子(かのえ・ね)」。新たな変化・潮流が生まれる可能性、年末・年始の注目映画

2021年の干支は「辛丑(かのと・うし、シン・チュウ)。

株式相場に関する格言では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁栄、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」とされている。

さて、来年、2021年(令和3年)がどのような年となるかは、次回12月号をご覧ください。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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