アナリストの忙中閑話【第115回】

アナリストの忙中閑話

(2020年12月17日)

【第115回】2021年(令和3年)の干支は「辛丑(かのと・うし)」、新勢力が台頭するが抵抗も大きい、女性活躍映画が有終の美を飾る

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

2021年(令和3年)の干支は「辛丑(かのと・うし、シン・チュウ)」

2021年(令和3年)の干支は「辛丑(かのと・うし、シン・チュウ)」。

「辛丑」は、「干支」の組み合わせの第38番目で、陰陽五行では、十干の「辛」は「金」の「弟(陰)」、十二支の「丑」は「土」の「陰」で、「相生(そうせい、そうじょう)」、「土生金(どしょうきん)」として、「土」が「金」を生じさせる関係にある。「鉱物、金属類は土の中の鉱脈の中に有り、人は土を掘る事によりこれらを得る事ができる」「土はかたまって金属を生じる」こと等を意味し、「土」が「金」を生み、助長する関係にある。

「辛」は「鋭い刃物」の象形で、草木が枯死して. 新しい世代が生まれようとする状態を表す

「辛」は十干の第8番目の干で、「辛」は「鋭い刃物」の象形とされる。甲骨文(殷代の文字)では、「辛」の古い字体は、把手のある大きな針の形をしており、殷の時代に奴隷や罪人に入れ墨をする道具に用いられたとされる。刃物で刺すような痛みから「からみ」や「つらい」「きびしい」等の意があり、また、「新」に通じる。「新」は「辛」と「木」と「斤」からできた会意文字。一方、「辛」は、「上」を「干す(おかす)」意味があり、「現状打破」、「革新」の意味があるともされる。草木が枯死して. 新しい世代が生まれようとする状態を表す。

「丑」は「曲がった腕を真直ぐに伸ばす」象形で、前年の「子」年に種子の中に生じた芽が十分に伸び切らず表面に出ていない状態を表す

「丑」は十二支の第2番目で季節は旧暦の12月、動物では「牛」に配されている。方角は北北東、時刻は午前1時から3時を表す。「右手を挙げた形ないし曲がった腕を真直ぐに伸ばす」象形との説がある。

「丑」は「紐」(ひも、曲がる、ねじる、からむ、はじめの意)で、前年の「子」年に種子の中に生じた芽が出かかっているが、十分に伸び切らず、表面に出ていない状態を表す。

2021年の「辛丑」には、2020年に生じた新勢力が表舞台に立つが、周囲の抵抗も大きく、伸び切れない可能性

(干支的に解説すると)「辛」と「丑」を合わせると、2016年の「丙申(ひのえ・さる)」に勢力を拡大した経済や政治権力等が、2017年の「丁酉(ひのと・とり)」には、一段と勢いを増すが、2018年の「戊戌(つちのえ・いぬ)」には、その極致に達し、2019年の「己亥(つちのと・い)」にはピークアウト。2020年の「庚子(かのえ・ね)」には、新たな変化、潮流が生じ、2021年の「辛丑(かのと・うし)」には、新勢力が表舞台に立つが、周囲の抵抗も大きく、伸び切れない可能性を表すということになる。

前回の「辛丑」は1961年

前回60年前の「辛丑」である1961年(昭和36年)には、国内では前年の12月に、池田勇人内閣が国民所得倍増計画を打ち出し、1961年10月15日にリリースされた坂本九さんの『上を向いて歩こう』が内外で大ヒット。

当時は、岩戸景気(1958年7月-1961年12月)の成熟期だった。

5月には資本取引が自由化され、11月には日米貿易経済合同委員会が開催され、貿易の自由化が決まった。

また、4月には国民年金特別会計法が成立し、国民皆年金制度が確立。6月には防衛2法と農業基本法が、9月には災害基本法が成立している。

9月には第2室戸台風が関西に上陸。大阪湾岸などに甚大な高潮被害などが発生した。なお、第2室戸台風の高知県上陸時の気圧は925hPaとわが国での1951年の統計開始以降で観測史上最低。

海外では、1月20日にジョン・F・ケネディ氏が第35代米大統領に就任。

4月には、「地球は青かった」の発言で有名なユーリイ・ガガーリン飛行士を乗せた人間衛星船ヴォストーク1号が地球一周に成功。

5月、キューバのカストロ首相が社会主義共和国の設立を宣言。南アフリカ連邦がイギリス連邦を離脱し、南アフリカ共和国になり、アパルトヘイト政策を打ち出した。

8月には、東ドイツが「ベルリンの壁」を構築、西ベルリンへの交通を遮断。

9月には第1回非同盟諸国会議で核実験停止などの共同宣言を発表。

1961年は、国内では国民皆年金制度が確立、1958年制定の国民健康保険法による国民皆保険制度とともに、わが国の社会保障制度の基盤が作られるとともに、資本及び貿易の自由化もスタート、海外との経済の枠組みも整備された年と言える。

一方、海外では、ベルリンの壁が一夜で作られ、英国のウィンストン・チャーチル元首相が1946年3月に演説した際の「鉄のカーテン」が完全に完成し、米ソの冷戦体制が確立、恒常化した年とも言える。

結果、第2次世界大戦の敗戦国であるわが国は、安全保障面では西側諸国のリーダーである米国の「核の傘」の下、戦前と異なり軽武装を基本方針とし、米英等の戦勝国に、経済面で、「追いつけ、追い越せ」と高度成長を邁進することになった。

但し、高度成長は1970年以降の2度のオイルショック(石油危機)で安定成長軌道に変更を余儀なくなれ、1980年代後半のバブル及び1990年代のバブル崩壊と金融危機後は、1995年の生産年齢人口のピークアウトに続き、2008年から2010年にかけた総人口のピークアウトにより、少子高齢化社会に完全に突入することになった。

2020年代は、米国と中国の二強時代への変化、米中の覇権争いの本格化を意味する?

前述の「庚子」の2020年の新たな変化は、米国ではトランプ政権、国内では安倍政権の終焉を意味するようにも思われるが、よりグローバルに見れば、戦後の冷戦体制が1989年のベルリンの壁の崩壊、1991年のソビエト連邦の解体により終焉後、米国一強時代が続いたが、2020年代は、米国と中国の二強時代への変化、米中の覇権争いの本格化を意味しているようだ。

その際、地政学的には中国に隣接するわが国が、両国との間合いをどのようにとるかは、今後、数十年間のわが国の安全保障面、また経済面にも大きな課題となりそうだ。

11月3日の大統領選・議会選では、民主党のジョー・バイデン前副大統領が選挙人306人を獲得、トランプ大統領の232人を抑え、2021年1月20日正午に第46代大統領に就任する見通しとなった。

トランプ氏は選挙結果は不正だとして、敗北を認めず、法廷闘争を継続しているが、12月14日には、全米50州とワシントンDCで計538人の大統領選挙人が一般投票結果に沿った内容で投票済である。選挙人団の投票の開票は2021年1月6日に、連邦議会の上下両院合同本会議で行われ、次期大統領が正式に決まる。

アメリカ・ファースト(米国第一主義)を掲げた共和党のトランプ氏に対し、民主党のバイデン氏は、大統領選の公約で「Build Back Better(より良い再建)」を掲げ、経済政策では「バイアメリカン」と「クリーンエナジー」を柱としている。一方、外交面では、パリ協定への復帰など、同盟国や国際機関との関係修復に努める構えを見せているが、オバマ政権の1期目やトランプ政権の発足時と比べ、議会での基盤は弱い。結果、経済面では保護主義的政策を強める可能性もある。

また、バイデン政権が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に手こずり、経済再建に時間がかかり、4年後にホワイトハウスを共和党に奪還されることになれば、19世紀の「モンロー主義」のように、米国は一段と内向き志向となり、国際的には不関与政策を強める可能性も否定できない。

なお、日本時間12月17日8時現在での得票数は、AP通信によると、バイデン氏が8,128万3,485票(得票率51.38%)、トランプ氏が7,422万3,744票(46.91%)に上る。

前回2016年の大統領選と比較し、バイデン氏は約1,500万票超(クリントン氏の得票数6,584万票との比較)、トランプ氏は約1,100万票超(前回6,298万票)増やしている。

米国の分断の根深さを勘案すると、米国が近い将来、孤立主義を選択する可能性もゼロとは言えないだろう。

丑つまずく?

株式相場に関する格言では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁栄、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」とされている。

図表1のように、2019年までで見ると、相場格言と日経平均株価225種の年間騰落率は相当程度フィットしているようにも思われる。最近でも2012年と2013年は、「辰巳天井」の相場格言通り、日経平均株価は年末高で終えている。

2014年は「午尻下がり」の格言通り、地政学的リスクの台頭や欧州・新興国の景気低迷等を受けて、夏までは、本邦株価は調整局面が続いたが、10月末の日銀の追加緩和、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用見直し等を受けて急伸。

2015年は、株価は前半堅調を維持したが、夏には中国発の世界同時株安で急落、米国の利上げ開始を遅らせることとなった。その後、株価は反発基調となり、米国では12月に利上げが開始された。

2016年は、年明け後は原油安と中国株安で日本株も急落、その後持ち直すも、6月末には英国の国民投票でEU離脱が多数となったことで急落。11月には米大統領選の結果を受けて、急落と急反発を繰り返し、変動率の高い展開となった。日銀の年間6兆円に上るETF買いや公的年金の運用見直しの影響もあり、下値は相対的に堅いものの、方向感を掴みにくい展開となった。

2017年は、欧州の選挙等を控え下押す局面もあったものの、世界的な景気回復、好調な企業決算、米国主導の株高等を受け、本邦株価も10月の総選挙投票日前から急伸、日経平均株価は11月7日には1992年1月以来の高値となる2万2,937円で引け、年末も高値圏で推移した。

2018年、日経平均株価は10月2日に2万4,270円の高値を付けたが、米長期金利上昇と米中貿易戦争激化を嫌気した米株価の急落の影響等で年末に向け下落、年間の騰落率は▲12.1%で終えた。

2019年は、世界経済の減速観測が一段と強まったが、米FRBの利下げ転換等を受けて、米株価が堅調に推移、日経平均株価も11月には2万3千円台を回復した。

2020年は、COVID-19のパンデミックの影響で、3月に内外株価は暴落したが、空前絶後の規模の世界的な金融緩和と財政出動で反発。年末に向けて米国株価は過去最高値を更新、日経平均株価も1991年以来29年ぶりの高値水準に上伸した。

〇十二支ごとの日経平均年間騰落率(1950〜2019年平均)

十二支ごとの日経平均年間騰落率(1950〜2019年平均)

  • 出所:QUICK資料等よりSMBC日興証券作成

十二支毎の日経平均の騰落率で「丑年」は▲0.1%と「午年」の▲5.0%に次ぐ低パフォーマンスを示している。尤も、2009年は2008年9月に発生したリーマン・ショック後の株安の反動で、+19.4%と反発した。

前年末号で、「2020年は一転、高変動率相場となる可能性もあろう」と記したが、2021年も、COVID-19の感染波とワクチン接種開始や政策発動等の影響で、高変動率相場が継続する可能性もありそうだ。

「丑年」はスーパー台風や大雨・洪水等に加え、感染症にも注意を要する

子年の2020年は、COVID-19のパンデミックに加え、気候変動問題が世界的に注目されたが、丑年も過去、台風被害等に見舞われている。

1961年に高知県の室戸岬西側に上陸した第2室戸台風は上陸時の気圧が1951年の統計開始以来、観測史上最低となり、死者194名、行方不明者8名、負傷者4,972名が発生。その後の地球温暖化も勘案すると、引き続き、スーパー台風や大雨・洪水等に注意を要すると言えそうだ。

2020年、大西洋でのハリケーン等の発生数は過去最多となり、名前に付けるアルファベット名称が足りず、ギリシャ文字で9番目の「イオタ」まで使用された。ギリシャ文字が使われたのは今回が2回目。前回はハリケーン「カトリーナ」が大きな被害を出した2005年だが、当時は6番目の「ゼータ」までだった。

一方で、30年以内の発生確率が76%に達する南海トラフ地震、30年以内の発生確率が70%に達する首都直下型地震等、地震への備えも怠れないと言えそうだ。

また、現在、COVID-19のパンデミックが世界を襲っているが、前回の丑年の2009年には、春に新型インフルエンザウイルス(H1N1pdm09ウイルス)が出現した。

米国で最初に検出され世界に急速に感染。世界中で151,700〜575,400人が2009年に死亡。6月にパンデミックとなり、8月10日にWHOはパンデミックの終結を宣言。但し、H1N1pdm09ウイルスは季節性インフルエンザウイルスとして現在でも継続的に流行している。

2009年の新型インフルエンザ及びCOVID-19を含め、過去11年間でWHO(世界保健機関)は「国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」宣言を計6回発出している。背景にグローバル化と気候変動が影響している可能性があり、感染症にも引き続き、留意する必要がありそうだ。

2021年は、COVID-19のパンデミックとの闘いが当面の最重要課題だが、引き続き、内外で政治と金融市場・経済のリンケージが強まる可能性

2021年は、ワクチンの普及や効果の動向等含め、COVID-19のパンデミックとの闘いが当面の最重要課題となるとともに、近年同様、内外で政治と金融市場や経済のリンケージが強まる可能性が高そうだ。

特に、米国では民主党のバイデン次期大統領の政策動向、我が国では、東京オリンピックと衆院選の行方に注目が集まろう。

歴代最長となった安倍政権の後継の菅政権は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済の回復を最優先課題に掲げているが、足元では、わが国でも感染が急拡大し、難しい舵取りを迫られている。

夏場と違い、気温・湿度・UV(紫外線)の低下に伴い新型コロナウイルスの半減期が長期化、つまり感染力が強まっていることもあり、家庭内感染の増加から高齢者にも感染が拡大、重症者や死者が「春の感染第1波」を上回り、過去最多となっている。

感染拡大を受けて、菅首相は14日、年末年始にあたる12月28日から2021年1月11日までの間、GoToトラベルキャンペーンの利用を全国で一斉に停止すると急遽発表するなど、まさに、「12月は正念場」の状況にある。

結果、1月18日に召集見込みの通常国会冒頭の衆院解散の可能性は低下したと考えられる。

7月頃に予定されている東京都議会選挙や夏場のオリンピック・パラリンピックの日程等を考慮すると、10月21日の衆院議員の任期満了近くのタイミングでの解散・総選挙の可能性が強まっていると言えそうだ。

但し、1年延期された東京夏季オリンピック・パラリンピックの実施・再延期の有無や有観客か無観客かといった態様等は、今後の世界的なCOVID-19の感染動向次第の面も大きい。

菅政権にとっては、COVID-19の感染拡大防止と経済回復の二兎を着実に追えるか否かが、長期政権化の鍵と言えそうだ。

2015年は「少子高齢化本格化元年」

我が国では、指摘されて久しい「少子高齢化」が足元で一段と本格化している。

2019年の日本人の出生数は86.5万人となったが、減少ペースは国立社会保障・人口問題研究所の2017年の人口推計(中位推計)よりも3年以上早かった。出生数はパンデミックの影響で、2020年は80万人台前半に、2021年は80万人を割るおそれも出てきている。

筆者は2015年を「少子高齢化本格化元年」と名付けている。

背景には、1947年から1949年生まれの「団塊世代」が2014年末で全員65歳以上の「前期高齢者」となったのに加え、1971年から1974年生まれの「団塊ジュニア世代」が全員40歳代に達したことがある。

2025年には、前者は全員75歳以上の「後期高齢者」、後者は全員50歳代となる。医療・介護問題に加え、雇用問題(若年層の減少と役職定年層ないし生活保護層の増大)が深刻化するおそれもある。

2021年を我が国の新陳代謝を高めるための「構造改革政策発動元年」に

日本経済の長期的な成長のためには、少子高齢化対策や将来的にも国際競争力が維持・強化可能な分野への重点的・戦略的な投資、規制改革や税制改革、行財政改革、財政健全化等、長期的な視点に立った政策の策定と実行が重要だろう。

筆者はそれらを「アンチ・エイジング政策」と総称している。パンデミックの封じ込めとともに、2021年を我が国の新陳代謝を高めるための「構造改革政策発動元年」としたいものである。

COVID-19のパンデミックに伴いハリウッドの大作映画は3月以降、軒並み公開延期、春以降に公開された大作は『TENET テネット』のみ

前月号でもお伝えしたように、COVID-19のパンデミックに伴いハリウッドの大作映画は3月以降、軒並み公開延期となっており、春以降に公開された大作は、わが国でも公開中のクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』のみとなっている。

但し、製作費は2億0,500万ドルに上るが、現時点での世界興収3億6,140万ドルに対し、多くの映画館が休館中の米国及びカナダでの興収は5,780万ドルにとどまっている(12月17日付けIMDb)。

こうした状況が、大作の一段の延期を促す格好となり、9月25日から公開予定だった『キングスマン:ファースト・エージェント』は、2021年2月21日に公開(世界同時公開)に大幅に延期されることになった。

1998年のディズニー・アニメ『ムーラン』を実写化した『ムーラン』は、当初は今春に公開予定だったが、延期後、劇場公開を断念、2020年9月4日から「Disney+」での独占配信に切り替えられた。

一方、「アベンジャーズ」の一員を主人公とし、5月1日に公開予定だった『ブラック・ウィドウ』は、11月6日(日米同時公開)に延期されたが、2021年5月7日(日本公開は2021年4月29日)に再度の延期となった。これで、マーベル作品の公開は2020年中全て無くなった。

コロナ化禍の2021年、最後は女性活躍映画で有終の美を飾ることに

こうした中、注目されていたマーベルと並ぶアメコミの2大ブランド、DCの大作『ワンダーウーマン 1984』が明日の12月18日、全米に先駆けて我が国で公開されることとなった。

当初の6月12日から10月9日へ、次に12月25日に延期されたが、最後は1週間前倒しとなった。

なお、全米では12月25日に公開されるが、休館中の映画館が多いため、動画配信サービス「HBO Max」で同時配信の予定。

スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、アマゾン族の戦士「ワンダーウーマン」という、もうひとつの顔があった。1984年、そんな彼女の職場に、古代の天然石が持ち込まれる。この石こそ、人間の願望を成就させる神秘の宝石「シトリン」で、思いがけず願いを唱えたダイアナのもとに、世界を救うために犠牲となったスティーブが現れる。人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。

パティ・ジェンキンス監督に加え、主人公ダイアナ=ワンダーウーマンを演じるガル・ギャドットさんが続投し、前作でクリス・パインさんが演じたダイアナの恋人スティーブも再び登場する。

2017年公開の前作で、パティ・ジェンキンス監督(49)は女性監督として、世界最高興収記録を樹立したが、ウォルト・ディズニー社は12月10日、『スター・ウォーズ』の新作について、同氏を起用すると発表している。

2023年12月公開予定の『ローグ・スクアドロン:Rogue Squadron』(原題)では、銀河系を舞台に戦闘機パイロットの活躍を描く。『スター・ウォーズ』シリーズの長編作品で女性が主監督を務めるのは初めて。

11月3日の米大統領選では、カマラ・ハリス氏(56、連邦議会上院議員)が史上初めて、女性の副大統領として選出されたが、映画の世界でも、コロナ化禍の2021年、最後は女性活躍で有終の美を飾ることになりそうだ。

邦画は『鬼滅の刃』が歴代興収ランキングで第2位に、記録更新は時間の問題か

前週末(12月12日-13日)の観客動員ランキングでは、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が9週連続で第1位となった(興行通信社調べ、以下同じ)。

累計では動員2,253万人、興収302億円を突破。歴代興収ランキングでは『タイタニック』の262.0億円を抜いて第2位に浮上。

なお、歴代第1位の『千と千尋の神隠し』の興収は308.0億円とされていたが、パンデミックの影響で新作の公開が軒並み延期となる中、6-8月に劇場再上映された影響で316.8億円となったことが、15日に配給元の東宝から発表された。

但し、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が興収記録を更新し第1位となるのは時間の問題か。

コミック最終巻の発売に加え、筆者のように、映画鑑賞後に遡って、TVアニメを動画配信サービスで視聴したようなファンが再度鑑賞することも予想されるからだ。

2021年は動画配信サービスが、映画界でも「台風の目」となる可能性

2021年は、パンデミックの影響で米国で一般化しつつある動画配信サービスが、映画界でも「台風の目」となる可能性が高そうだ。

なお、前週末の観客動員ランキング第2位は前月号で特集した『新解釈・三國志』、第3位は10月号で特集した『STAND BY ME ドラえもん 2』となった。

なお、11月号で特集したが、12月18日公開の『約束のネバーランド』は、「鬼滅の刃」とほぼ同時期に集英社の「週刊少年ジャンプ」に連載され、テレビアニメ化もされた「約束のネバーランド」を実写映画化。

従来、クリスマス休暇から年末には、内外の大作・注目作が多数公開されるが、今年はパンデミックの影響で洋画の公開は少ない。

前述の『ワンダーウーマン 1984』と『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』が12月18日に公開される。

『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』は『マトリックス』のキアヌ・リーブスさんが若かりし日に主演し、ロックスターにあこがれる高校生のビルとテッドが時空を超えた冒険を繰り広げる姿を描いたコメディ『ビルとテッドの大冒険』のシリーズ第3作で前作から29年ぶりの作品。

2020年、時空のゆがみによって、人類は滅亡の危機に瀕していた。ビルとテッド、そして彼らの娘たちは「世界を救う音楽」を完成させるため、モーツァルトやルイ・アームストロング、ジミ・ヘンドリックスなど、伝説のミュージシャンを集めて歴史上最強のバンドを結成しようと、過去へ未来へ時空を駆け巡る。

邦画はアニメの注目作品が公開

一方、邦画はアニメの注目作品が公開される。

劇場版ポケットモンスター ココ

『劇場版ポケットモンスター ココ』
2020年12月25日全国東宝系にてロードショー
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon ©2020 ピカチュウプロジェクト

12月25日公開の『劇場版ポケットモンスター ココ』は、人気アニメ「ポケットモンスター」の劇場版第23作。

人里から遠く離れたジャングルの奥地。そこに、よそ者が足を踏み入れることを許さない、厳しい掟で守られたポケモンたちの楽園、オコヤの森があった。その森で、幻のポケモン・ザルードに、ポケモンとして育てられた少年ココ。自分のことをポケモンだと信じて疑わないココは、ある日、サトシとピカチュウに出会い、初めての「ニンゲンの友達」ができる。自分はポケモンなのか?それとも人間なのか?オコヤの森に危機が迫った時、ポケモンと人間、親子の愛が試される。

少年ココ役で上白石萌歌さん、ココを育てたザルード役で歌舞伎俳優の中村勘九郎さんが声優出演。

25日公開の『ジョゼと虎と魚たち』は、2003年に犬童一心監督により実写映画化された田辺聖子氏の同名小説を、新たに劇場アニメ化。

趣味の絵と本と想像の中で、自分の世界を生きるジョゼ。幼いころから車椅子の彼女は、ある日、危うく坂道で転げ落ちそうになったところを、大学生の恒夫に助けられる。海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコにしか生息しない幻の魚の群れをいつかその目で見るという夢を追いかけながら、バイトに明け暮れる勤労学生。そんな恒夫にジョゼとふたりで暮らす祖母チヅは、あるバイトを持ち掛ける。それはジョゼの注文を聞いて、彼女の相手をすること。しかしひねくれていて口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たり、恒夫もジョゼに我慢することなく真っすぐにぶつかっていく。

やはり25日公開の『映画 えんとつ町のプペル』は、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんのプロデュースにより、イラスト、着色、デザインなど総勢33人のクリエイターによる分業体制、クラウドファンディングを使い資金を募って制作されたベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」をアニメ映画化。

厚い煙に覆われた「えんとつ町」。煙の向こうに「星」があるなんて誰も想像すらしなかった。一年前、この町でただ一人、紙芝居に託して「星」を語っていたブルーノが突然消えてしまい、人々は海の怪物に食べられてしまったと噂した。ブルーノの息子・ルビッチは、学校を辞めてえんとつ掃除屋として家計を助ける。しかしその後も父の教えを守り「星」を信じ続けていたルビッチは町のみんなに嘘つきと後ろ指をさされ、ひとりぼっちになってしまう。そしてハロウィンの夜、彼の前に奇跡が起きた。ゴミから生まれたゴミ人間・プペルが現れ、のけもの同士、二人は友達となる。そんなある日、巨大なゴミの怪物が海から浮かび上がる。それは父の紙芝居に出てきた、閉ざされたこの世界には存在しないはずの「船」だった。父の話に確信を得たルビッチは、プペルと「星を見つけに行こう」と決意する。

2021年は新たな時代の幕開け

冒頭、ご紹介したように、2021年の干支は「辛丑(かのと・うし、シン・チュウ)」。干支的には、新たな潮流が表面化し、新たな勢力が台頭する年となる。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは世界中で社会経済の様式を大きく変化させることになった。

スギ花粉症と30年以上おつきあいしている筆者にはマスクの着用はそれほど苦にならないが、出社せずテレワークではどうも気が入らず、飲みニケーションも「ズーム」では盛り上がらない。

仕事とプライベートのメリハリが効かず、悶々とした日々を送っているが、2021年には、感染波が継続し「ウイズコロナ」となろうが、ワクチンの普及で「アフターコロナ」「ポストコロナ」となろうが、「ビフォアコロナ」に完全に戻ることはないだろう。ニューノーマル(新常態)に適応するしかなさそうだ。

実は筆者は前回の「辛丑」である1961年の生まれで、2021年には還暦となる。なお、還暦(かんれき)とは、干支(十干十二支)が60年で一巡し、誕生年の干支の「暦に還る」ことを意味する。

新たな人生の幕開けと観念し、新たな生活様式に順応するしかなさそうだ。まずは、手始めに年末年始は映像配信サービスで新作アニメを開拓することにしたい。

年末のご挨拶

最後に、1年間、「アナリストの忙中閑話」におつきあい頂き誠にありがとうございました。来年もよろしくお願い申し上げます。

それでは、健康にご留意しつつ、良いお年をお迎えください。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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