アナリストの忙中閑話【第119回】

アナリストの忙中閑話

(2021年4月22日)

【第119回】感染者最多更新、第4波襲来、V’対V”の攻防はバリアントが逆襲、3度目の緊急事態宣言発令へ、日米モンスター映画が大ヒット

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

世界の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の週次の新規感染者は527万人と過去最多、感染第4波が襲来

WHO(世界保健機関)によると、4月12-18日の週の世界の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者は527万人超と、1月4-10日の週の約504万人を抜き、過去最多となった(図表1)。

増加は8週連続で、感染者累計は4月21日時点で、1億4,255万人と、1億4,000万人を超え、死者は303万人に達した。

足元ではインドやブラジルなどがエピ・センター(感染の中心地)になっている。

図表1. COVID-19の世界の週次の感染者数の推移

図表1.	COVID-19の世界の週次の感染者数の推移

  • 出所:WHO資料よりSMBC日興証券作成

テドルス事務局長によると、100万人が死亡するまでに9か月かかったが、200万人に達するには4か月、300万に達するには3か月と短期化。

また、感染者急増の背景には、感染力の強いバリアント(変異株)と若者の移動の増加があるとしている。

少なくとも、世界ベースでは、現在、COVID-19の感染第4波が襲来、今そこにある危機(Clear and Present Danger)に瀕していると言えそうだ。

2020年の対COVID戦争は、V対L、VIRUS(ウイルス)対LOCKDOWN(都市封鎖)の戦い

バリアントの脅威に関しては、本コラムでも早くから指摘してきたが、今後の感染動向は、「V’とV”の攻防」次第と言えそうだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との戦いは、2020年12月までは、伝統的な隔離政策、コリンズ・イングリッシュ・ディクショナリーの「2020年の単語:Word of the Year 2020」にも選出された「ロックダウン:Lockdown」が主要な武器となっていた。

「ロックダウン」は元々、刑務所から派生した単語で、騒ぎを起こした受刑者を監房に閉じ込める際に使われていた。今回のCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)では、「都市封鎖」と訳されている。

2020年の対COVID戦争は、V対L、VIRUS(ウイルス)対LOCKDOWN(都市封鎖)の戦いだった。

これは、我が国でも同様で、2020年春と2021年初に発出された2度にわたる新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」、また、当初、6都府県に適用され、20日から10都府県に拡大された改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」も、規模の差はあれど、同様な対策だ。

昨年末以来、対COVID戦争は、V対V’、つまり、VIRUS(ウイルス)対VACCINE(ワクチン)の戦いに、徐々に移行

対策に変化が現れたのが、2020年12月から、イスラエル、英国、米国等で接種が始まったワクチン接種だ。筆者はワクチンを2つ目のV、「V’」と命名している。

言わば、昨年末以来、対COVID戦争は、V対V’、つまり、VIRUS(ウイルス)対VACCINE(ワクチン)の戦いに、徐々に移行しつつあると言える。

尤も、イスラエルも英国も今月まではロックダウンを併用し、米国でもレストランや映画館が全米で再開されたのは今月に入ってからであり、ワクチンとロックダウンのダブル効果で、感染者の急減が実現できたとも言えそうだ。この点では、V対LV’連合軍の戦いとも言える。

今後は、V’対V”、つまり、VACCINE(ワクチン)対VARIANT(変異株)の戦いが本格化

但し、ワクチン接種を世界に先駆けて開始した英国が、なぜ、ロックダウンを継続せざるを得ず(緩和中だが現段階でもロックダウンは終了していない)、感染者累計が441万人、死者の累計が12万7千人と全世界で5番目の犠牲を出すに至ったのか。

背景には、3つ目のV、筆者は「V”」と命名しているが、V(VARIANT:変異株)の出現がある。

ウイルスにとって、変異は珍しい訳ではなく、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も、感染拡大の早い段階から、2週間に1度程度の頻度で変異が起きていると考えられてきた。

世界中に感染が拡大、感染者数も過去最多となっている現在では、その発生頻度はより短くなっていると考えられる。

現在、我が国でもバリアント(変異株)が猛威を奮いつつあり、大阪府や兵庫県では感染者の8割から9割、東京でも8割から9割が変異株による感染と考えられる。

実際、東京都の資料による4月5日から11日の変異株のスクリーニングによると、従来株の16.3%に対し、E484K変異が45.9%、N501Y変異が37.8%と、変異株の割合が83.7%に達している。

我が国でもN501Y変異を持つバリアント、英国由来の「B.1.1.7」が猛威

N501Y変異を持つバリアントは、英国由来の「B.1.1.7」とみられ、フランスやイタリア、ドイツなどで猛威を奮い、3回目のロックダウンの原因ともなっている。

「B.1.1.7」に関しては、感染力が最大1.7倍増加するとされ(CDCは1.5倍増加と推定)、重症化率も高まるとされている。

また、従来株と異なり、10歳代以下の若年層にも成人並みの感染力を発揮しているとみられる。

米CDC(疾病管理予防センター)では感染力や重症化等を勘案し、懸念すべきバリアント(VOC:Variant of Concern)に認定している(図表2)。

一方で、現在、接種されているワクチン、具体的にはファイザー・ビオンテック製、モデルナ製、アストラゼネカ製、ジョンソン&ジョンソン製等は「B.1.1.7」に対し、感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果が確認されていることから、ワクチン接種を拡大すれば、英国のように、感染者を抑制し、重症化も防ぐ効果が期待される。

但し、「B.1.1.7」が発見されたのは、2020年11月に英国南東部地域が初めてだが、CDCによると、2020年9月に出現したと推定されており、既に、7カ月が経過していることになる。

米国でも、3月下旬には「B.1.1.7」が新型コロナウイルスの主流になっているが、半年後には、現時点では認識されていないバリアントが新たな脅威になっている可能性には留意が必要だろう。

なお、東京で最も多いバリアントは、E484K変異を持つ由来不明の「R.1」だ。

E484K変異は「逃避変異」と呼ばれるように、ウイルスが抗体に中和されることから逃げるための変異を意味し、ワクチンや感染により取得した免疫の効果が減殺される可能性がある。

但し、感染力が大きく増している訳ではないことから、「R.1」は米国由来の「B.1.525」同様、我が国では、関心あるバリアント「VOI:Variant of Interest」に認定されている。

図表2. CDCのバリアントの分類

関心あるバリアント(VOI) 最初の検出 E484K変異 N501Y変異 L452R変異
B.1.526 米NY(2020年11月) 一部
B.1.525 米NY(2020年12月)
P.2 ブラジル(2020年4月)
懸念すべきバリアント(VOC) 最初の検出 E484K変異 N501Y変異 L452R変異
B.1.1.7 英国 一部
P.1 日本/ブラジル
B.1.351 南アフリカ
B.1.427 米カリフォルニア
B.1.429 米カリフォルニア
重大被害をもたらすバリアント(VOHC)
未確認

出所:CDC資料よりSMBC日興証券作成

米国のCDCが懸念すべきバリアント(VOC)に認定しているのは、「B.1.1.7」の他に、E484K変異とN501Y変異の両方を持つ、ブラジル由来の「P.1」や南アフリカ由来の「B.1.351」だ。

「P.1」は、ブラジルのアマゾナス州マナウス市で昨年暮れに確認され、一旦、2020年4-11月までに、従来株の感染による集団免疫が達成されたとみられたマナウス市で12月から2021年1月にかけて、感染が急拡大し、再度、医療崩壊を招いた変異株である。

但し、E484K変異に対しも、ワクチンの効果は一定程度発揮されることが確認されている。ワクチン接種による獲得免疫は、「液性免疫」と「細胞性免疫」に分けられる。「液性免疫」は主に抗体を発生させることで、免疫効果が得られるが、こちらは、E484K変異により、抗体をすり抜ける可能性がある。

一方、「細胞性免疫」は、CTL(細胞傷害性T細胞)やマクロファージが直接細胞を攻撃する免疫反応であり、こちらは、E484K変異株にも有効とみられている。

菅首相、ワクチンは「9月までに供給されるめどが立った」

菅首相は、日米首脳会談のため訪問した米国の首都、ワシントンで17日午前、ファイザー社のアルバート・ブーラCEOと電話協議を行い、ワクチンに関し、「日本の全ての対象者に9月までの確実な供給」(19日付け時事通信)を要請した。ブーラ氏は「日本へのワクチンの確実かつ迅速な供給に向けた協議を進める」(同)と応じた。

菅首相は帰国後の19日午前、「我が国の(接種)対象者に対し、確実にワクチンを供給できるよう追加供給を要請した。9月までに供給されるめどが立ったと考えている」(19日付け毎日新聞)と首相官邸で記者団に語った。

現在、アストラゼネカ製とジョンソン&ジョンソン製のウイルスベクターワクチンに関しては、血栓症問題から、接種停止や年齢制限の動きが欧米で広がっており、ファイザー・ビオンテック製とモデルナ製のmRNAワクチンには、世界中から注文が殺到しているとみられる。

我が国はファイザー社と、2021年1月20日に、年内に約1億4,400万回の供給を受ける正式契約を結んでいるが、実際に9月までに、ファイザー・ビオンテック製ワクチンが16歳以上の日本人全てに必要な量が供給されるか否かは定かではない。

我が国は、2020年10月29日に契約したモデルナ社(米国)とも、武田薬品工業による国内での流通のもと、2021年上半期に4,000万回、第3四半期に1,000万回の供給を受けることになっている。

また、アストラゼネカ社(英国)とは2020年12月10日に正式契約を行い、今年初頭から1億2,000万回のワクチン供給を受けることになっている。

但し、薬事承認済は2021年2月14日のファイザー社のみで、モデルナ社とアストラゼネカ社はこれからで、早くとも薬事承認は5月とみられる。アストラゼネカ社は血栓症問題で遅れる可能性が高そうだ。

ファイザー社との今回の合意は数量が明らかになっておらず、モデルナ製とアストラゼネカ製の両方の供給が遅れることになれば、9月までに、全量が揃わない可能性がある。

ワクチンの不足に加え、オペレーションの問題も勘案すると、高齢者向けの接種が6月までに完了する可能性は低い

また、当初、3月末を目途としていた、約480万人の医療従事者等向けの接種だが、4月20日現在で、接種回数は合計2,162,193回、うち1回目が1,361,693回、2回目が800,500回で、接種完了者は17%に過ぎない。

高齢者向け接種は20日現在で、接種回数は合計28,220回、全てが1回目であり、1回目の接種でも、高齢者全体約3,600万人の0.08%にも満たない。

米国ではワクチン接種が17日までに2億回を突破、バイデン氏の公約、「当初、大統領就任後100日以内に1億回、その後、2億回に倍増」を楽々達成した。

現在、米国では1日あたり、300万-400万回と全人口の約1%の接種が行われているが、我が国では、4月20日の1日で医療従事者向けが126,419回、高齢者向けが6,605回の計133,024回、全人口の0.1%程度に過ぎず、累計でも全人口の1.7%に過ぎない。

因みに、4月20日現在の人口100人当たりワクチンの接種回数を比較すると、英国の64.02回、米国の63.8回に対し、ドイツは27.37回、フランスは25.6回(Our World in Data)。

ワクチンの不足に加え、オペレーションの問題も勘案すると、高齢者向けの接種が政府が当初の目途としていた6月までに完了する可能性は低そうだ。

新型コロナウイルスワクチンの接種後1年以内に、再接種が必要になる可能性

なお、前述のファイザー社のブーラCEOは15日、インフルエンザワクチンのように、新型コロナウイルスワクチンも接種後1年以内に、再接種が必要になる可能性が高いとの見方を示している。

本コラムでも指摘したように、免疫に関しては、はしか、ジフテリアや百日咳などは、ワクチン接種で終生免疫を得られる。また、重症化率の高い腸チフスやペスト、コレラなどは数年から数十年の抗体持続期間があると言われている。

一方、致死率が低いインフルエンザの抗体持続期間は5ヶ月程度とみられ、変異も早いことから、毎年、ワクチンの中身は変えて接種している。

コロナウイルスに関しては、致死率34.5%のMERSの抗体持続期間は3年、致死率9.6%のSARSの抗体持続期間は2年との見方がある。変異も早く、致死率1%未満とみられる新型コロナウイルスの場合、抗体持続期間が1年に満たない可能性は十分想定される。

米カリフォルニア由来のバリアント「B.1.427」及び「B.1.429」は、日本人の6割に脅威となる可能性

加えて、我が国では、米カリフォルニア州で感染が拡大しているバリアント「B.1.427」及び「B.1.429」への警戒が怠れないと言えそうだ。

査読前の論文ではあるが、バリアント「B.1.427」及び「B.1.429」が持つ「L452R」変異やバリアント「B.1.298」が持つ「Y453F」変異は、日本人の6割は免疫の効果を低くする可能性があるとする解析結果を、東京大学医科学研究所や熊本大学などの新型コロナ研究コンソーシアムが明らかにしている。

バリアント「B.1.427」及び「B.1.429」は、米カリフォルニア州で確認され、CDCは、懸念すべきバリアント(VOC)に指定している。

CDCによると、米カリフォルニア州では3月中旬時点で感染者の56%を占めた。わが国でも、空港検疫を除き、3月下旬に、沖縄県で1例確認されている。

一方、「B.1.298」は、デンマークで殺処分されたミンクから発見されている。

同コンソーシアムは、新型コロナウイルスに対し、CTL(細胞傷害性T細胞)やマクロファージが直接細胞を攻撃する免疫反応である細胞性免疫のうち、日本人の6割が持つとされる白血球の型「HLA(ヒト白血球抗原)-A24」が強く認識することを免疫学実験によって実証。

但し、「B.1.427」及び「B.1.429」では「L452R」変異、「B.1.298」では「Y453F」変異というスパイク・タンパク質のアミノ酸変異があり、これらの変異は「HLA-A24」による細胞性免疫から逃避、つまり免疫細胞の働きを抑制するなど、免疫の効果を弱めることを実証。

さらに、これらの変異が感染と複製効率に与える影響をウイルス学実験で検討した結果、「L452R」変異は、ウイルスの感染力を増強させることも判明したとのこと(2日付けbioRxiv)。

今回の結果を受けてコンソーシアムでは、「L452R」変異は、日本人に多い「HLA-A24」による免疫から逃避するだけでなく、ウイルスの感染力を増強しうる変異であることから、日本人あるいは日本社会にとって、他の変異株よりも危険な変異株である可能性が示唆されるとしており、この変異株へのリスク対応のためにも、流行株のサーベイランスや空港での水際対策の強化の必要性が考えられるとしている。

来年以降のワクチン接種継続も前提とした、ICT化による安定的なシステムの早期構築が肝要

4月20日現在の人口100人当たりワクチンの接種回数が69.85回に達しているチリ(接種ワクチンは主に中国製)では、感染対策の緩みから足元、新規感染者が急増している。

ワクチンも万能とは言えないが、少なくとも重症化率を抑制することは期待される。

来年以降の接種継続も前提とした、ICT化による安定的なシステムの早期構築が肝要だろう。

ゴールデンウィークを控え、3度目の緊急事態宣言発令へ

大阪府の吉村知事は19日、緊急事態宣言の発令を政府に要請する考えを記者団に明らかにした。20日に本部会議を開き、正式決定し、政府に正式に要請した。

兵庫県の井戸知事、京都府の西脇知事も大阪府に追随、21日、政府に対し、発令を要請した。

また、東京都の小池知事も21日夜に緊急事態宣言の発令を政府に要請した。

菅義偉首相は21日夜、緊急事態宣言について、「自治体と連携し、中身を精査した上で今週中にも決定したい」(21日付け時事通信)と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

4都府県に対し、人流が活発化するゴールデンウィークを控え、早ければ今週末にも、昨年4月、本年1月に続き、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく3度目の緊急事態宣言発令の現実味が一気に増してきた。

なお、20日から「まん延防止等重点措置」が適用された神奈川・埼玉・千葉・愛知の4県のうち、東京圏の3県も今後対象となる可能性がある。

今回の緊急事態宣言は昨年春と年初の中間型か

昨年の緊急事態宣言発令時は、スポーツやイベントに加え、デパートや遊園地、映画館等、広範囲に休業要請が出され、東京銀座も閑古鳥が鳴いていた。学校も休校となった。

一方、年初の緊急事態宣言発令時には、営業時間の短縮はあったものの、映画館もフル座席で飲食も提供されていた。

今回は、年初よりは、短期で厳格な宣言になるとの見方もあり、GW中の映画興行等がどうなるのか気になるところである。

コナン新作が初登場首位に、2位のシン・エヴァはシリーズ最高興収記録更新中

前週末(4月17日-18日)の映画の観客動員ランキングでは、『名探偵コナン 緋色の弾丸』が初登場第1位となった(興行通信社調べ、以下同じ)。

前月号で特集したが、青山剛昌氏による大人気コミックの劇場版シリーズで、新型コロナウィルスの感染拡大により、1年の公開延期を余儀なくされたファン待望の劇場版24作目。

土日2日間で動員112万2000人、興収16億900万円。初日から3日間の累計では動員153万人、興収22億円を突破する大ヒットスタートを切った。このオープニングはシリーズ最高興収93億7,000万円を記録した前作『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』の117.5%にあたる。

既に鑑賞したが、「東京2020オリンピック」と「リニア中央新幹線」をモチーフにした作品だけに、ハラハラ感含め1年待った甲斐のある作品に仕上がっていた。

第2位は、公開から5週連続でトップに君臨し続けた『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。累計動員508万人、興収77.9億円を突破、シリーズ最高記録を更新中。

こちらも、前月号でかつてない長文の特集をしたが、当初の公開予定日2020年6月27日が、COVID-19のパンデミックにより、2021年1月に延期。但し、年初の緊急事態宣言発令に伴う再延期を経て、3月8日(月)と異例の月曜公開となった。

既に、4回鑑賞。うち2回は、3月28日の声優陣の舞台挨拶付き上映会と4月11日の庵野秀明総監督らが登場した舞台挨拶付き上映会(何れも自宅至近の映画館でライブ・ビューイング鑑賞)。

庵野氏の舞台挨拶は、ご自身によると、1作目の制作発表時と延期に伴う謝罪会見以来、過去3度目。今回はシリーズラストのため皆さまに御礼を申し上げるため登壇したとのこと。

前月号でも取り上げたNHKが3月22日に放送した「プロフェッショナル、仕事の流儀『庵野秀明スペシャル』」も舞台挨拶で話題になったが、庵野氏は番組最長4年間、1214日にわたった密着取材に関し、途中、スタッフが密着しなかった期間があったことがご不満だったらしい。

モーションキャプチャーを利用し実写の動きを撮影したシーンも、「初日は来てたけど、最終日はいなかった。最終日が良かったのに」と嘆いていたが、最終日がいつになるかは庵野氏の気まぐれ次第。「働き方改革」が叫ばれる昨今、さすがに毎日は無理だろう。

庵野氏は興収について、「80億超えて、シン・ゴジラを抜き、ロボットアニメとして、初の100億超えを達成したい」と目標を語っていたが、既に、4月18日現在で、『シン・ゴジラ』(2016年公開)の最終興収82.5億円にあと4億円と迫っており、GW中も上映が続けば、100億円台も夢ではない。筆者もGW中に、感染防止に留意しつつ、県境を跨がず、自宅至近の映画館で5回目をトライするつもりだ。

邦画で初の興収400億円台乗せとなるか注目

前週末の映画ランキング第3位は『劇場版 シグナル 長期未解決事件捜査班』。

第4位は前月号で特集した『モンスターハンター』。こちらは、3月26日の映画封切りと同タイミングで「Nintendo Switch」向けに発売されたゲームソフト「モンスターハンターライズ」の勢いも凄い。全世界出荷は既に500万本突破。

第5位は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。累計で動員2,878万人。興収は397億円を突破。邦画で初の400億円台乗せとなるか注目される。

GW控え、話題作が続々公開

明日、4月26日公開の『るろうに剣心 最終章 The Final』は、和月伸宏氏の人気コミックを佐藤健さん主演、大友啓史監督で実写映画化した大ヒットシリーズ「るろうに剣心」の完結編2部作の第1弾。原作では最後のエピソードとなる「人誅編」をベースに、剣心の十字傷の謎を知る上海マフィアの頭目・雪代縁(えにし)との死闘を描く。

キャストには緋村剣心役の佐藤健さん、神谷薫役の武井咲さん、相楽左之助役の青木崇高さん、高荷恵役の蒼井優さん、斎藤一役の江口洋介さんらシリーズのメインキャラクターが再結集。新たなメンバーとして、史上最恐の敵となる縁役を新田真剣佑さん、かつての剣心の妻で、剣心が「不殺の誓い」を立てる理由となった女性・雪代巴役を有村架純さんがそれぞれ演じる。

かつて激動の幕末に「人斬抜刀斎」と恐れられた緋村剣心は新時代を迎え、斬れない「逆刃刀」を手に「不殺の誓い」を立て、志々雄真実との死闘を乗り越えた今は、仲間たちと平穏な日々を送っていた。しかしやがて、そんな剣心の前に雪代縁が現れ、剣心のすべてを破壊すべく恐るべき復讐心とともに冷酷無比な「人誅」を仕掛けてきた。

アーヤと魔女

『アーヤと魔女』
2021年4月29日全国東宝系にてロードショー
©2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

4月29日公開の『アーヤと魔女』は『ハウルの動く城』の原作者でもあるダイアナ・ウィン・ジョーンズ氏の同名児童文学をスタジオジブリ初のフル3DCGで映像化した長編アニメーション。

孤児院育ちの少女アーヤが、引き取られた魔女の家で自分の思いを貫くためにしたたかに振る舞っていくたくましい姿を描く。声の出演はアーヤ役に平澤宏々路さん、魔女ベラ・ヤーガ役に寺島しのぶさん。豊川悦司さん、濱田岳さんらも参戦。

宮崎駿氏が企画、監督は『ゲド戦記』『コクリコ坂から』の宮崎吾朗氏。2020年12月30日にNHK総合で放映後、一部シーンを追加し劇場公開。

ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜

『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』
2021年5月7日全国東宝系にてロードショー
©2021映画『ヒノマルソウル』製作委員会

5月7日公開の『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』は、1998年長野冬季オリンピックでのスキージャンプ団体の金メダル獲得を陰で支えたテストジャンパーたちの知られざる実話を田中圭さんの主演で映画化。

長野オリンピック・ラージヒル団体で日本初の金メダルを狙うスキージャンプチーム。そこに、エース原田のジャンプを複雑な想いで見つめる男、元日本代表・西方仁也がいた。前回大会・リレハンメルオリンピックで、西方は原田とともに代表選手として出場するも、結果は銀メダル。

4年後の雪辱を誓い練習に打ち込んだが、代表を落選。失意の中、テストジャンパーとしてオリンピックへの参加を依頼され、屈辱を感じながらも裏方に甘んじる。そして迎えた本番。団体戦の1本目のジャンプで、日本はまさかの4位に後退。しかも猛吹雪により競技が中断。メダルの可能性が消えかけた時、審判員たちから提示されたのは、「テストジャンパー25人全員が無事に飛べたら競技を再開する」という前代未聞の条件だった。命の危険も伴う悪天候の中、金メダルへのかすかな希望は西方たち25人のテストジャンパーに託された。

同シーンは筆者も当時在籍していた証券会社の会議室で密かにTVライブ中継を見ていたが、今なお感動が脳裏に蘇る。

ゴジラvsコング

『ゴジラvsコング』
2021年5月14日全国東宝系にてロードショー
©2021 WARNER BROTHERS ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

5月14日公開の『ゴジラvsコング』は、ハリウッド版『ゴジラ』シリーズの『GODZILLA ゴジラ』(2014)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)と、『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)をクロスオーバーして描く「モンスターバース」シリーズの第4作で、ゴジラとキングコングという日米の2大モンスターが激突。

モンスターの戦いによって壊滅的な被害を受けた地球。人類が各地の再建を計る中、特務機関モナークは未知の土地で危険な任務に挑み、巨大怪獣(タイタン)の故郷(ルーツ)の手がかりを掴もうとする。そんな中、ゴジラが深海の暗闇からその姿を現し、世界を再び危機へと陥れていく。その怒りの原因は何なのか。人類は対抗措置として、コングを髑髏島(スカルアイランド)から連れ出す。人類の生き残りをかけた争いは、ゴジラ対コングという最強対決を引き起こし、人々は史上最大の激突を目にすることとなる。

『GODZILLA ゴジラ』『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で渡辺謙さんが演じた芹沢猪四郎博士の息子・芹沢蓮役で小栗旬さんが出演し、ハリウッドデビューを飾った。

日米モンスター映画がパンデミック後、米国で最大のヒット

バイデン氏の公約でもあるワクチン接種2億回を達成し、19日には、16歳以上の全てが接種対象となった米国では、映画館も3月15日までに全州で再開した。但し、収容人数は25%以下等に制限されている。

COVID-19のパンデミック後、最大のヒットとなっているのが、前述の『ゴジラvsコング』(原題:Godzilla vs. Kong)だ。

米国内の累計興収はパンデミック以降の最高記録となる8,065万ドル(21日現在、BoxOfficeMojo)となり、北米以外でも3億1,000万ドル以上を稼ぎ、全世界興収も『TENET テネット』の3億6,365万ドルを抜いて約3億9,096万ドルを記録、最大のヒット作となった。週内に全世界興収は4億ドルを超える見込み。

日米で協力して、パンデミックに打ち勝ってもらいたい

4月16日にワシントンのホワイトハウスで開催されたバイデン大統領と菅首相の初の日米首脳会談は、バイデン氏にとっては大統領就任後、初の対面での外国首脳との会談となった。

会談後の共同記者会見では、バイデン大統領は、COVID-19パンデミックに加え、「次のパンデミック」も視野に、日米で連携して備えを進めると表明した。

映画同様、是非、日米で協力して、パンデミックに打ち勝ってもらいたいものである。

また、バイデン氏からは、マスターズでの松山英樹氏の優勝を称える言葉が聞かれた。

一方、菅首相からは、世界の団結の象徴として、東京オリンピック・パラリンピックを実現する決意を伝え、大統領から支持を表明して頂いたとの発言があった。

パンデミックで1年延期された7月23日の東京オリンピック開会式まで、残り3カ月となったが、個人的には複雑な気分だ。

オリンピックの舞台で、松山さん、池江璃花子さん、大坂なおみさんらの活躍を見たい一方、大会ボランティアに応募し、選手村至近のマンション管理組合の理事(副理事長)を務める身としては、変異株等への感染防止対策も気になるところだ。

それにしても、開会式3カ月前の雰囲気がしない。晴海通りを走る都営バスからは開催期間中の路線変更のアナウンスが流れているが、その他のスケジュール等は不明のままだ。

既に無観客の方針が決まっているのか定かではないが(報道では6月に観客数等の最終決定方針とのこと)、情報不足もあり、ワクワク感よりも、モヤモヤ感が勝っているのは筆者だけであろうか。

IOCのバッハ会長は5月17日から2日間の日程で来日予定。来月号発刊時には、もう少しクリアになってほしいものだ。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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