アナリストの忙中閑話【第123回】

アナリストの忙中閑話

(2021年8月26日)

【第123回】東京夏季五輪では史上最多メダル、対COVID戦争に局面変化、内外の注目映画が続々公開

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

東京夏季オリンピック、日本のメダル獲得数は、金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個の計58個と過去最多に

様々な面で異例の開催となった東京夏季オリンピックは8月8日に無事、閉幕した。

日本のメダル獲得数は、金メダルが27個、銀メダルが14個、銅メダルが17個の計58個と、これまで最多だったリオデジャネイロ大会の41個を17個上回り、史上最多のメダル数に。

前月号の途中経過でもお伝えしたように、新競技・新種目主体に若手の活躍が目立ち、次回2024年のパリ大会への期待が繋がる内容となった。

なお、筆者も大会ボランティアとして参画。当初は国立競技場が持ち場だったが、無観客開催となり、築地デポでボランティア・ドライバーの受付・案内等を担当した。

図表1. 夏季五輪における我が国のメダル獲得数

図表1. 夏季五輪における我が国のメダル獲得数

  • 出所:JOC資料よりSMBC日興証券作成

東京パラリンピック開幕、同じ都市で史上初2度目の夏季大会

一方、東京パラリンピックの開会式が8月24日に行われ、9月5日まで、13日間にわたるパラスポーツの祭典が開幕した。

第1回パラリンピックは1960年のローマ大会(国際ストーク・マンデビル大会)だが、これは、IPC(国際パラリンピック委員会)の1989年の設立後に位置付けられたものであり、パラリンピックの愛称がつけられたのは、後に第2回パラリンピックに位置づけられた1964年の東京大会からだ。

パラリンピックが正式名称となったのは、1988年のソウル大会からで、東京大会は同じ都市で史上初2度目の夏季大会に。

東京パラリンピックには、161の国・地域と難民選手団の選手約4,400人が参加、9月5日までの13日間、22競技539種目でメダルを争う。

東京パラリンピックでは、感染防止のため、全ての会場が原則として無観客となった一方、教育的な意義を重視して学校連携観戦チケットによる子どもたちの観戦が認められている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下での大会開催で、感染拡大が心配されたが、幸いにも、オリンピック・パラリンピック関連施設等での大規模な感染は確認されていない。

筆者は晴海の選手村至近に居住しているが、近所で関連のクラスター等が発生したとの話も聞こえてこない。

弊害を敢えて言えば、マッカーサー道路(環状2号線)が通行止めとなり、晴海通りなどの渋滞が激しくなったことか。

東京都ではCOVID-19の感染爆発、全国に拡大

直接的にオリンピックに関連する「感染爆発」は起きなかったが、東京都などの首都圏では事実上の「感染爆発」が7月以降発生、現在では全国に拡がっている。

背景には、本コラムでも特集している変異株(バリアント)の影響に加え、人々の気の緩みがありそうだ。

後者にはワクチン接種による安心感、1年半にわたるパンデミックへの慣れや自粛疲れに加え、オリンピック開催によるアナウンスメント効果も否定できないだろう。

実際、東京都では日々、5,000人前後の新規感染者の発表が続いているが、昨年春の第1波や今年初めの第3波当時と比較すると、人流が抑制されているとは言い難い状態だ。

緊急事態宣言対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を追加、まん延防止等重点措置を、高知、佐賀、長崎、宮崎の4県に新たに適用

こうした中、政府は8月25日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の対象地域に、北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を追加し、まん延防止等重点措置を、高知、佐賀、長崎、宮崎の4県に新たに適用することを決めた。

期間は、何れも8月27日から9月12日まで(図表2)。

図表2. 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の実施期間と実施区域

図表2. 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の実施期間と実施区域

  • 出所:内閣官房資料よりSMBC日興証券作成

宣言は21都道府県、重点措置は12県対象に、47都道府県の7割、人口では9割近くが対象に

今回の拡大で、宣言の対象地域は21都道府県に、重点措置の適用地域は12県となる。

47都道府県の7割に当たる33都道府県が対象となるが、人口は緊急事態宣言対象の21都道府県が約95百万人、まん延防止等重点措置の12県が約15百万人の計約1億1千万人を占めており、全人口の9割近くが対象地域となる。

1週間で対象地域再拡大、デルタ株の感染拡大で医療体制が逼迫

宣言や重点措置の対象地域は今月20日に拡大されたばかりだが、1週間で再拡大となる。

菅首相は25日の会見で「新規感染者数は過去最大の水準を更新し続けています。特に中部圏などにおいて高い増加を示しています。全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験のない感染拡大が継続いたしております。保健所の体制や医療提供体制も厳しい状況が続いています」「デルタ株によって世界中で経験のない感染が広がって、我が国でも一変しております」(首相官邸HP)と指摘、デルタ株の感染拡大で医療体制が逼迫していることなどを理由に挙げている。

全国で感染拡大、第3波以前と第4波及び第5波の違いは変異株(バリアント)の影響

全国の新規感染者は7月下旬から急増、8月20日の全国の新規感染者は2万5,868人(NHK調べ)と、過去最多を更新。重症者数も26日時点で1,974人(厚生労働省)と過去最多、ここまで抑制されてきた死者数も拡大傾向に転じている。

我が国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染第5波は、6月下旬から7月上旬を起点に、東京都を主体にスタートしたが、現在、全国に感染が拡大している。

これは、過去の感染波同様、春休み、GW、夏休み、お盆や年末・年始等の連休後に、感染が大都市部から地方部に拡がったケースと同様と考えられる。

なお、今春の第4波では、大阪府など近畿圏がエピ・センター(感染の中心地)となり、東京の感染は年初の第3波と比較し、抑制されることなった。

背景に、東京都では大阪府などと比べ、緊急事態宣言の解除が遅かった一方、まん延防止等重点措置が早期に適用されたという面もあるが、変異株(バリアント)の影響が大きかったと考えられる。

我が国では感染第3波までは、中国や欧州由来の従来株の感染が主体で、変異株の感染が主体となったのは第4波からだ。

なお、第1波及び第2波に対し、第3波がより大きな感染波となったのは、気温・湿度・UV(紫外線)の低下による新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の半減期の長期化、つまり、季節要因が大きかったと考えている。

今春の第4波では、大阪府や兵庫県では英国由来のアルファ株(B.1.1.7)の感染が急拡大、一部で医療崩壊に近い状況に

一方、今春の第4波では、大阪府や兵庫県では英国由来のアルファ株(B.1.1.7)の感染が急拡大、一部で医療崩壊に近い状況になった。

アルファ株は、WHO(世界保健機関)や米CDC(疾病管理予防センター)でも、懸念される変異株(VOC)に指定されている。N501Y変異を持ち、従来株の1.3倍から1.5倍の感染力を持つとされる。米CDCは1.5倍と推定している。

図表3. WHOのバリアントの分類

図表3. WHOのバリアントの分類

  • 出所:WHO資料よりSMBC日興証券作成

但し、東京都など首都圏での感染拡大は、前述の通り、第4波では、近畿圏と比較して相対的に抑制された。

実は、今春、東京都などでは、アルファ株の感染拡大以前に別の変異株の感染が拡大していた。

由来不明のE484K単独変異を有する「R.1」系統株だ。「R.1」は、東京都では3月中旬から4月中旬まで主流となっていた。「R.1」は米国等でも一部の地域で流行したが、感染力や重症化率が際立って高い訳ではないことから、米国では懸念される変異株(VOC)や関心ある変異株(VOI)には指定されていない。

その後、東京都でも、4月中旬にはアルファ株が主流となるが、「ウイルス干渉」(注)の影響からか、東京都など首都圏では感染爆発には至らなかったと考えられる。

  • (注)先にあるウイルスが流行していると、感染に必要な受容体(レセプター)が占領されることで、他のウイルスの流行が抑制される現象。

デルタ株の感染力を米CDCは公式HPで2倍超とし、7月29日付けの内部資料では3倍程度との見方、アジア人にはより高い感染力を持つ可能性も

変異株による最初の感染波である第4波の経験が、その後の政府や東京都、特に東京都の油断を招くことになったのかもしれない。

本コラムでは4月以来、インドで感染爆発が生じたデルタ株(B.1.617.2)及び同変異株が持つ「L452R」変異への警戒を呼び掛けてきたが、政府や東京都には届かなかったようだ。

ちなみに、インドにおけるCOVID-19による累積死者数は公式には、43万5千人だが、米シンクタンクの「世界開発センター」はその10倍の400万人台に及ぶ可能性を指摘している。

インド由来のデルタ株(B.1.617.2)は世界中で感染が拡大、WHO(世界保健機関)によると、8月24日現在で、163カ国・地域で確認されている。ペルー等一部の地域を除き、大半の地域で主流となっている。

デルタ株はWHOや米CDCなどが「懸念される変異株(VOC)」に指定しているが、感染力は従来株の2倍から3倍に及ぶとみられる。日本政府は従来株に対し2倍程度の感染力としているが、米CDCは公式HPで2倍超とし、7月29日付けの内部資料では3倍程度との見方を示している。

但し、日本人などアジア人においては、その感染力は従来株の3倍以上に及ぶ可能性がある。デルタ株が持つL452R変異は、日本人の6割に対し、細胞性免疫の効果を低くする可能性があるからだ。

新型コロナウイルスに対し、CTL(細胞傷害性T細胞)やマクロファージが直接細胞を攻撃する免疫反応である細胞性免疫のうち、日本人の6割が持つとされる白血球の型「HLA(ヒト白血球抗原)-A24」は強く認識するものの、「L452R」変異は「HLA-A24」による細胞性免疫から逃避、つまり免疫細胞の働きを抑制するなど、免疫の効果を弱めるとともに、ウイルスの感染力を増強させる可能性が指摘されている。

実際、インド主体となった第4波に続き、第5波の特徴は、WHOの地域区分では西太平洋地域である東アジアや東南アジアで感染が急拡大しており、従来株に耐性が強かったアジアが、デルタ株には極めて脆い状況にある。

また、デルタ株はワクチン完全接種後のブレイクスルー感染の拡大も指摘されている。ワクチン接種により重症化は大きく抑制されるものの、抗体価の低下で今春に接種した高齢者の再感染率も徐々に上昇する可能性が高い。

デルタ株の登場で、米CDCは「戦争の局面が変化したと認識すべき」と指摘しているが、デルタ株への対応は、特にアジアでは、従来とは異なる対応が必要と考えられる。

東京都の新規感染者の確認症例数は足元、ピークアウト感も、今後は高止まりか

尤も、東京都の新規感染者の確認症例数は足元、ピークアウト感もみられる。発熱等相談件数もお盆の時期がピークとなっている。

但し、当面、確認症例数は高止まりとなりそうだ。なぜなら、実際の感染者数は確認症例数を大きく上回っている可能性が高いからだ。東京都の足元の検査の陽性率は20%台前半(7日移動平均)だが、陽性率は8月2日以降、継続して20%台にある。陽性率が過去20%を超えたのは2020年4月の第1波の検査体制が未整備の時のみだ。

現在、東京都や首都圏の各県などは、保健所業務の逼迫を受け、濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」の規模を縮小しており、本来必要な検査が行われていないとみられる。

結果、無症候性感染者ないし軽症の感染者への十分な検査が出来ず、隔離が行われていないため、感染を周囲に拡大させている可能性が高い。一見、感染がピークアウトに見えても、水面下の感染者が高止まりすることが予想される。

季節的な要因やワクチン接種のタイミング的にも、第5波が長期化したり、早期に、第6波が発現する可能性

また、季節的な要因やワクチン接種のタイミング的にも、第5波が長期化したり、早期に、第6波が発現する可能性がある。

第5波では、デルタ・バリアントとワクチンとの攻防が繰り広げられているが、ワクチン接種率が向上することで、今後、重症化率の低下が期待される。一方で、季節要因による新型コロナウイルスの半減期の長期化に加え、ワクチン接種からの時間経過により、高齢者等で抗体価が徐々に低下、ブレイクスルー感染(ワクチンの完全接種後の感染)が拡大することも見込まれる。

結果、感染者が大きく減少せず、第5波が長期化したり、早期の第6波の出現の可能性が強まることが想定される。

デルタ株の出現で、対COVID戦争は局面が変化、戦線の立て直しのためには、総動員体制の構築が必要

引き続き、ワクチン接種を推進するとともに、医療体制の立て直しのため、COVID-19の重症や中等症患者の専門病院の設立、民間のクリニック等も含めた総動員体制を早期に構築することが肝要だ。

この場合、大規模病院においては、COVID-19の患者の受け入れを要請することになろうが、中小病院や各クリニックはCOVID-19の患者に直接接触するのではなく、重症者や中等症患者の専門病院のレッドゾーン以外のクリーンゾーンでの支援及び、宿泊療養者や自宅療養者への電話ないしリモートでの支援等を担当することで、クラスター発生を防止するとともに、日常の医療業務との両立を図ることが可能になると認識している。

繰り返しになるが、デルタ株の出現で、対COVID戦争は局面が変化した。戦線の立て直しのためには、総動員体制で臨むしかなさそうだ。

4度目の緊急事態宣言の発令で、7月12日から東京都では、観客数上限50%で映画上映

4度目の緊急事態宣言の発令で、7月12日から東京都では、再度、観客数上限50%で映画の上映が行われている。

前週末(8月21日-22日)の映画の観客動員ランキングでは、初登場の『かぐや様は告らせたい−天才たちの恋愛頭脳戦−ファイナル』が初登場第1位に輝いた(興行通信社調べ、以下同じ)。

赤坂アカ氏による同名ラブコメ漫画を実写映画化した『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦』(2019年公開)の続編。既に鑑賞したが、前作をストーリー的にもバージョンアップ、見応えのある作品に仕上がっていた。引き続き、私立・秀知院学園生徒会長・白銀御行を「King&Prince」の平野紫耀さん、副会長・四宮かぐやを橋本環奈さんが演じる。

第2位は、前月号で特集した『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』、第3位は、同じく特集した『竜とそばかすの姫』。

第4位は、『孤狼の血 LEVEL2』。柚月裕子氏の同名原作を白石和彌監督が映画化し大ヒットしたやくざ映画『孤狼の血』の続編。主演は前作に引き続き松坂桃李さん、共演に鈴木亮平さんが出演。

鈴木さんは役柄に合わせ、作品ごとに体重を数十キロも増減させることで有名だが、現在放映中のTBS日曜劇場『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』の医師役と真反対の役柄の熱演が印象に残った。

第5位は『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』。「週刊少年ジャンプ」連載中の人気ヒーローアクション漫画を原作とするアニメシリーズの劇場版第3弾。

内外の注目作品が続々公開

アーヤと魔女

『アーヤと魔女』
2021年8月27日全国東宝系にてロードショー
©2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

8月27日公開の『アーヤと魔女』は『ハウルの動く城』の原作者でもあるダイアナ・ウィン・ジョーンズ氏の同名児童文学をスタジオジブリ初のフル3DCGで映像化した長編アニメーション。

孤児院育ちの少女アーヤが、引き取られた魔女の家で自分の思いを貫くためにしたたかに振る舞っていくたくましい姿を描く。声の出演はアーヤ役に平澤宏々路さん、魔女ベラ・ヤーガ役に寺島しのぶさん。豊川悦司さん、濱田岳さんらも参戦。

宮崎駿氏が企画、監督は『ゲド戦記』『コクリコ坂から』の宮崎吾朗氏。当初は4月29日公開予定だったが延期となっていた。

同じく27日公開の『鳩の撃退法』は、直木賞作家・佐藤正午氏の同名ベストセラーを藤原竜也さん主演で映画化。

かつては直木賞も受賞した天才作家の津田伸一(藤原竜也)。津田は都内のとあるバーで担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に、書き途中の新作小説を読ませていた。富山の小さな街で経験した「ある出来事」を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが、話を聞けば聞くほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。神隠しにあったとされる家族、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の運命を狂わせた雪の一夜の邂逅。鳥飼は津田の話を頼りに小説が本当にフィクションなのか検証を始めるが、そこには驚愕の真実が待ち受けていた。

同じく27日公開の『オールド』は、『シックス・センス』『スプリット』のM・ナイト・シャマラン監督が、異常なスピードで時間が流れ、急速に年老いていくという不可解な現象に見舞われた一家の恐怖とサバイバルを描いたスリラー作品。

9月3日公開の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』はマーベル・スタジオが、最強の力を持ちながらもそれを封印してきた心優しきヒーロー、シャン・チーを主人公に描くアクション大作。

悪に染まった父から授かった最強の力を封印し、二度と戦わないと誓った優しすぎる男、シャン・チー。父が伝説の腕輪「テン・リングス」を操り世界を脅かす時、シャン・チーは自らの力を解放し、宿命の敵となった父に立ち向かえるのか?

本作では『アイアンマン』シリーズなど、これまでのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品で名前が登場していた犯罪組織「テン・リングス」の謎が明らかにされる。MCU史上初のアジア系ヒーローのシャン・チー役には中国系カナダ俳優のシム・リウさんが抜てきされた。

科捜研の女 -劇場版-

『科捜研の女 -劇場版-』
2021年9月3日公開
©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会

同じく9月日公開の『科捜研の女 -劇場版-』は、1999年放送開始のテレビ朝日の人気ドラマ「科捜研の女」の初の劇場版。

これまで数々の難事件を解明してきた京都府警科学捜査研究所(通称・科捜研)の面々が、現代科学では解けないトリックを操るシリーズ史上最強の敵に挑む姿を描く。京都・洛北医科大学で女性教授が転落死する事件が発生。科捜研のマリコたちは早速鑑定を開始するが、殺人の決定的な証拠は見つからず、自殺として処理されそうになる。そんな矢先、国内外の各地で同様の転落死が相次ぎ、京都府警は再捜査に乗り出す。やがて、捜査線上にある人物が浮かび上がる。

沢口靖子さん、内藤剛志さん、風間トオルさんらテレビ版のメンバーがそろい、シリーズ最大の敵役となる天才科学者・加賀野亘役で佐々木蔵之介さんが参戦。

鹿の王 ユナと約束の旅

『鹿の王 ユナと約束の旅』
2021年9月10日全国東宝系にてロードショー
©2021「鹿の王」製作委員会

9月10日公開の『鹿の王 ユナと約束の旅』は、上橋菜穂子氏による「2015年本屋大賞」を受賞したファンタジー小説をアニメ映画化。

最強の戦士団「独角」の最後の頭であったヴァンは、強大な帝国・東乎瑠(ツオル)との戦に敗れ、奴隷となり岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不思議な山犬の群れが岩塩鉱を襲い、死に至る謎の病「黒狼熱(ミツツァル)」が発生。その隙に逃げ出したヴァンは、幼い少女ユナを拾う。一方、東乎瑠の民だけが病にかかると噂される王幡領では、天才医師ホッサルが懸命にその治療法を探していた。

戦士ヴァンを堤真一さん、医師ホッサルを竹内涼真さん、ヴァンを追う謎の戦士サエを杏さんが声優として出演。『もののけ姫』『君の名は。』などの作画監督として知られる安藤雅司氏が初監督・キャラクターデザイン・作画監督を手がけた。

9月17日公開の『マスカレード・ナイト』は、東野圭吾氏のベストセラー小説を木村拓哉さんと長澤まさみさんの共演で映画化した『マスカレード・ホテル』のシリーズ第2弾。

ある日、警察に届いた匿名の密告状。それは、数日前に都内マンションの一室で起きた不可解な殺人事件の犯人が、12月31日にホテル・コルテシア東京で開催される年越しカウントダウン・パーティー、通称「マスカレード・ナイト」に現れる、というものだった。大晦日当日、捜査本部に呼び出された警視庁捜査一課の破天荒な刑事・新田浩介は、かつての事件同様、潜入捜査のためホテルのフロントクラークとして働くハメに。優秀だがいささか真面目過ぎるホテルマン・山岸尚美と事件解決にあたるが、パーティーへの参加者は500名、全員仮装し、その素顔を仮面で隠している。次から次へと正体不明の怪しい人間がホテルを訪れる状況に、二人はわずかな手がかりすら掴めずにいた。刻一刻と迫り来るタイムリミット。増え続ける容疑者。犯人の狙いは?密告者とは?残されたわずかな時間で、新田と山岸は顔も姿もわからない殺人犯の「仮面」に隠された「真実」に辿り着くことができるのか?

9月17日公開の『レミニセンス』は、ヒュー・ジャックマンさん主演のSFサスペンス大作。『インターステラー』『ダークナイト』などクリストファー・ノーラン作品で脚本を担当してきた、クリストファー・ノーラン氏の弟ジョナサン・ノーラン氏が製作を手がけ、ジョナサンの妻でテレビシリーズ「ウエストワールド」のクリエイターとして知られるリサ・ジョイ氏がメガホンをとった。

都市が海に沈み、世界は水に支配され、街も人々も荒んでいった。人の記憶に潜入し事件を解決する、レミニセンス(記憶潜入)エージェント、ニック(ヒュー・ジャックマン)。彼はその記憶を360度の空間で再現することができた。彼のミッションは失踪した女性メイ(レベッカ・ファーガソン)を探すこと。水に支配された都市で、数々の人達の記憶に潜入するにつれて、ニックは巨大な陰謀に巻き込まれていく。

国際的な感染拡大から1年半、足元の感染第5波に加え、今冬を乗り切ることに全力を挙げることが必要

新型コロナウイルス感染症、COVID-19の19は2019年に確認されたことを意味する。WHOが国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言したのは2020年1月30日。テドロス事務局長がパンデミック(世界的な大流行)を宣言したのは3月11日。

世界に感染が拡がってから1年半となるが、未だ収束の目途は立たない。

米政府の首席医療顧問をつとめるアンソニー・ファウチ博士は8月24日、NBCなどとのインタビューで、米国内でワクチンを接種していない9,000万人のほとんどが、今後接種を完了し、今冬を乗り切れば、来年春にウイルスの制御が可能となり、正常化に向かうとの見方を示した。一方で、ワクチン接種が進まない場合、問題は長引き、別の変異株が出現し、事態を複雑にするとも警告している。

昨年段階では、ワクチン接種が人口の6-7割程度に進めば、集団免疫が成立するとの見方もあった。ファウチ氏も2021年夏段階での正常化の可能性を指摘していた。

但し、デルタ株の出現で、そのハードルは8-9割程度に上昇した可能性がある。

また、ワクチンの効果を大きく減じるような新たな変異株が今後出現すれば、集団免疫の構築は不可能となる可能性もある。

何れにせよ、我が国でもワクチン接種が進み、北半球に冬が訪れる数カ月後にはそのヒントが見えて来そうだ。

100年前のスペイン風邪(H1N1インフルエンザウイルス・パンデミック)の際も、わが国では2回の冬を乗り切ることで感染は収束した。尤も、2回目は変異株の出現で致死率が上昇したが。まずは、足元の感染第5波に加え、今冬を乗り切ることに全力を挙げることが必要だろう。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。同投資戦略室長、大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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