アナリストの忙中閑話【第128回】

アナリストの忙中閑話

(2022年1月20日)

【第128回】対COVID戦争は最後の大戦が本格化、3月までにオミクロン株に全人類の大半が感染?邦画が米アカデミー賞の有力候補に

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

WHOによると、COVID-19の新規感染者数は13週連続増加、前週比で約466万人増と、爆発的に増加、1週間の確認症例数は約2,032万人となり、過去最多を更新、週次の新規死者数は2週連続で増加

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新たなバリアント(変異株)であるオミクロン株(B.1.1.529)による感染爆発が止まらない。

WHO(世界保健機関)によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の週次(1月10日から1月16日)の新規感染者数は13週連続で増加(図表1)。前週比では+466万人と、爆発的に増加。

図表1. COVID-19の世界の週次の感染者数と死者数の推移

図表1.	COVID-19の世界の週次の感染者数と死者数の推移

  • 出所:WHO資料よりSMBC日興証券作成

オミクロン株(B.1.1.529)の感染拡大に加え、気温・湿度・UVの低下で、ウイルスの半減期が長期化する冬本番に北半球が入ったこと、年末・年始のイベントに伴う人流の増加等が背景にあると考えられる。

1週間の確認症例数は約2,032万人と、2千万人の大台を突破し、過去最多を更新。但し、軽症者の多いオミクロン株は、未確認の感染者も多いことから、実際の新規感染者は確認症例を大幅に上回り、10倍超に上っているとみられる。

一方、週次の新規死者数は2週連続で増加。

オミクロン株の感染例では、重症化率はデルタ株等に比べ低いものの、欧米諸国では医療ひっ迫が起きており、暫くは重症者数や死者数も増加傾向が続くと想定される。

WHOの6つの地域区分のうちアフリカを除く5つで増加、南北アメリカ、欧州、西太平洋で過去最多、インドでも、2020年夏、2021年春に続き、第3波が本格化

直近の1月10日から1月16日の週では、WHOの6つの地域区分のうち、南北アメリカ、欧州、南東アジア、東地中海、西太平洋の5つで増加、アフリカのみ微減。南北アメリカ、欧州、西太平洋で過去最多更新。南東アジアや東地中海も過去最多に近づいており、既に過去最多を更新済のアフリカを含め、第6波では、6つの地域区分全てで、週次の新規感染者数が最多を更新する可能性が高まっている。

2021年春にデルタ株の感染爆発が起きて以来、新規感染者数の減少傾向が続いていたインドも、週次の新規感染者数が約160万人と、前週から2.5倍に増加。

1万人を割っていた日次の新規感染者数も1月19日には28万2,970人と、2021年6月7日のピークの41万4,188人の7割に増加、インドでも2020年夏、2021年春に続き、第3波が本格化したと考えられる。

オミクロン株(B.1.1.529)は既に、世界中で市中感染拡大、米国内のオミクロン株の割合は99.5%に

WHOが2021年11月26日にVOC(懸念される変異株:Variant of Concern)に指定したオミクロン株(B.1.1.529)は、WHOによると、同年12月29日時点で、少なくとも、128の国・地域で確認されていたが、現在では、世界中に感染が拡大、大半の諸国で市中感染が急拡大していると考えられる。

米CDCによると、1月16日時点で米国内のオミクロン株の割合は99.5%に達したとのことだ。

WHOのテドロス事務局長は1月18日の会見で、「オミクロンは世界を席巻し続けています。前週、1,800万件以上の症例が報告されました。死亡者数は今のところ安定していますが、オミクロンがすでに疲れ果てた医療従事者や過重な医療制度に与える影響を懸念しています。一部の国では、症例がピークに達したように見えます。この最新の感染波の最悪の事態が終結することを期待していますが、まだ、危機を脱した国はありません。予防接種を受けていない場合、人々は重症化や死亡のリスクが何倍も高くなるため、予防接種率が低い多くの国について、私は特に懸念を抱いています。もちろん、オミクロンはそれほど深刻ではないかもしれませんが、それが軽度の病気であるという説明は誤解を招き、対策を緩め、より多くの命を犠牲にします。 間違いなく、オミクロンは入院と死亡を引き起こしており、それほど深刻ではない症例でさえ医療施設に殺到しています。ウイルスは非常に激しく循環しており、多くの国にとって、今後数週間は医療従事者と医療システムにとって非常に重要なままです。システムへの圧力を取り除くのを支援し、感染のリスクを減らすために、最善を尽くすことを皆さんに強くお勧めします。今はあきらめて、白旗を振る時ではありません」と述べ、オミクロン株への警戒を緩めないよう求めた。

オミクロン株により、我が国でも感染が急拡大、新規感染者数は初めて4万人台となり、過去最多を更

オミクロン株の感染拡大により、我が国でも感染が急拡大している。19日の全国の新規感染者数は4万1,485人(NHKまとめ)となった。18日に3万2,195人と、初めて3万人台となり、2021年8月20日の第5波のピーク、2万5,992人を抜き、過去最多を更新したが、翌日には4万人台に到達した。

19日の東京都の新規感染者数は7,377人(東京都まとめ)と、2021年8月13日の第5波のピーク、5,908人を抜き、過去最多となった。

まん延防止等重点措置の実施区域に13都県を追加、16都県に

19日午前に開催された「基本的対処方針分科会」で、山際新型コロナ対策担当大臣は、東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬、新潟、愛知、岐阜、三重、香川、長崎、熊本、宮崎の13都県から、「まん延防止等重点措置」の適用の要請があったことを説明し、13都県について、今月21日から来月13日まで重点措置を適用する方針を諮った。

また、ワクチンの接種証明かPCR検査などによる陰性証明を確認して行動制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」について、2回の接種を済ませていても感染する人が多いことなどを踏まえ、一時的に停止することを原則とする一方、知事の判断で利用することも可能とする方針も諮った。

分科会では、こうした政府の方針について議論が行われ、了承。その後、政府は国会に、了承された方針を説明し、質疑が行われた。政府は19日夕方、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、13都県への重点措置の適用を正式に決定した。

これによって、重点措置の適用地域は、今月31日までとなっている沖縄、山口、広島の3県から、16都県に拡大される。

東京都でオミクロン株の「疑い」があるとされた割合は95.3%

東京都によると、1月11日から17日の1週間でオミクロン株の「疑い」があるとされた割合は95.3%となった。20日のモニタリング会議で公表された。

正確な感染率は全ゲノム解析の結果を待つ必要があるが、従来の主流であったデルタ株(B.1.617.2)が持つ変異であるL452R変異に関し、陰性である感染者をオミクロン株感染者とみなして集計した結果。

WHOによると、オミクロンの倍加時間は2日から3日とされている。わが国ではマスク着用率が高いこともあって、仮に倍加時間を3.5日とすると、1週間で4倍に新規感染者が増えることになる。今月末には数万人規模に増えてもおかしくない。

尤も、昨年夏に一時、検査での陽性率が24%と、異常とも言える水準に上昇したことを勘案すると、検査キャパシティの制約上、東京都では1万人を大きく超える確認症例が記録されるかは疑問も残る。

米国では、新規感染者が1月10日には、133万3,681人(CDC、改定後)確認されている。但し足元の検査件数は1日当たり、200万から300万件程度であり、確認症例は氷山の一角に過ぎないとみられる。

米国の感染波のピークアウトは1月下旬から2月初旬か、我が国は2月から3月か

なお、ミネソタ大学の感染症研究政策センターの所長であり、バイデン大統領のCOVID-19諮問委員会のメンバーであるマイケル・オスターホルム氏は、オミクロン変異株が衰退し始めるまでに、おそらく、あと3週間かかると、13日時点でワシントンポストに対し述べている(13日付けWP)。

米国では1月下旬から2月初にピークアウトが訪れる可能性が高いが、我が国では、オミクロン株の感染スタートが遅く、感染対策も米国より強力に実施されているため、感染のピークは2月から3月となると見込まれる。

オミクロン株に関しては、デルタ株に対し、感染力が2〜4倍、ブレークスルー感染力は10倍近いとの推定もあるが、現時点では、重症化率はデルタ株を下回る可能性が高いと考えられる。

但し、そのことで、マスク着用率が低下したり、ワクチン接種率、特に、ブースター接種率が伸び悩むことになると、今冬、北半球の多くの国で、オミクロン株の感染爆発が発生する可能性が高まることになる。

世界全体のマスク着用率は55%と、ほとんど変化なし

ワシントン大学の推定では、マスク着用率は12月に入り、欧州でやや上昇したものの、世界全体では、1月4日時点で55%と、ほとんど変化がない。

ワシントン大学のIHME(保健指標評価研究所)はマスク着用率95%を「ユニバーサル・マスク・ターゲット」として、推奨しているが、その水準に近いのは、韓国の95%、日本の91%など、極めて少ないのが現実だ。わが国は2021年12月20日時点の93%から低下傾向にある。

IHMEは、現在、世界中で、1日当たり1億2,000万人以上がオミクロン株に感染、3月までに、世界人口の6割が感染すると予想

仮に、デルタ株に比較し、重症化率が低いとしても、感染者が急増すれば、医療体制が逼迫し、重症者や死者が増える可能性は否定できない。わが国でも第4波及び第5波でも経験済だ。

米国では既に、入院者数が急増、死者数も増加に転じている。致死率が低くとも、感染者が急増すれば、重症者数や死者数は増える可能性が高い。

なお、IHMEは、現在、世界中で、1日当たり1億2,000万人以上がオミクロン株に感染していると推定しており、3月までに、世界人口の6割が感染すると予想している。

一方で朗報もある。IHMEは、オミクロン株はデルタ株と比較し、無症候例が多いこと、入院率が半減すること、人口呼吸器の装着率や死亡率が80%から90%減少するとの見方を示している。

対COVID戦争は、「最後の大戦:ラスト・グレート・ウォー」の真っ只中

対COVID戦争は現在、「最後の大戦:ラスト・グレート・ウォー」の真っ只中にあると言えそうだ。

なお、「最後:ラスト」と名付けているのは、オミクロン株の感染は人類の大半に及ぶ規模に上ると予想しているからであり、収束時には一時的であれ、集団免疫が達成していると考えているからである。

収束時には集団免疫達成可能性も、COVID-19は収束しても終息は見込めず

但し、COVID-19は「収束」しても、「終息」せず、季節性コロナウイルス、言わば「季節性戦争:シーズナル・ウォー」への移行や他のバリアント(変異株)によるパンデミックの可能性は続くことになろう。

なお、感染症の「収束」とは、新規感染者が減少、回復者が増え、現患者が減少していくことを意味するが、「終息」とは、最後の感染者が死亡若しくは陰性になってから、最大潜伏期間の2倍の期間、新たな感染者が発生しないこと(WHO基準)であり、COVID-19の場合、最大潜伏期間は14日、28日間の経過観察期間が必要となる。

オミクロン第6波には、マスク・手洗い・3密回避に加え、ブースター接種と経口治療薬の投与等により、重症化と医療崩壊を避けつつ、社会経済活動を維持し、最終的には集団免疫を獲得するまで耐え忍ぶしかない

我が国では、第4波や第5波で医療崩壊が起きたことを教訓として、医療体制や検査体制の強化を行い、ワクチンのブースター接種の前倒しを促進するべきだろう。

オミクロン・バリアントによる第6波に関しては、マスク・手洗い・3密回避という従来の感染予防対策に加え、ワクチンのブースター接種と経口治療薬の投与等により、重症化と医療崩壊を避けつつ、社会経済活動を維持し、最終的には集団免疫を獲得するまで耐え忍ぶしかなさそうだ。

公開が延期されていた大作・注目作品が今後も続々と公開

第5波の収束後、感染が抑制されていた我が国では、2021年10月以降、映画館の定員や時間制限等も解除され、夜遅くまで作品が上映され、多くの観客で賑わっている。

集客に寄与しているのが、公開が延期されていた大作・注目作品の一斉公開だ。

前週末の映画の観客動員ランキングのトップ5は、何れも本コラムで特集した作品だが、共通点は「サプライズ」

前週末(1月15日-16日)の映画の観客動員ランキングのトップ5は、何れも本コラムで特集した作品だが、共通点は「サプライズ」。

12月号で特集した『コンフィデンスマンJP 英雄編』が初登場1位を獲得した(興行通信社調べ、以下同じ)。人気TVドラマの劇場版で、第1弾ロマンス編、第2弾プリンセス編に続く第3弾。

毎回、大どんでん返しが魅力だが、今回も、予想を上回る「サプライズ」が最後に起き、ハッとさせられた。なお、本作品の舞台は、マルタ島のバレッタだが、かつて訪問した際には、中世の街並みがそのまま残る絵のような光景があった。COVID-19収束後は再度、訪れてみたい場所だ。

2位には11月及び12月号で特集した『劇場版 呪術廻戦 0』が入った。累計では動員628万人、興収85億7,000万円を突破し、歴代興収64位に。100億円の大台突破が視野に。本作品は最終的な興収記録が「サプライズ」となると予想。

3位には、前週トップ・スタートとなった『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』がランクイン。累計動員167万人、興収25億円を突破。

同作品は世界全体で、既に16億3,052万ドルの興収(18日時点、Box Office Mojo調べ、以下同じ)を上げ、COVID-19パンデミック以降に公開された作品では最高となっている。中国映画を除けば、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が7億7,403万ドルで続く。

背景は「サプライズ」だ。ネタバレになるので、詳細は語れないが、ストーリー展開を含め、アメコミの実写映画は日本アニメや特撮物に毎年、似通ってくると感じている。その結果、『アベンジャーズ』シリーズのように、子供だけでなく、大人にもファンが増え、興行は大成功している。何れにせよ、スパイダーマンファンには見逃せない作品。

4位は、『99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE』。毎度、お馴染みの松本潤さん演じる弁護士・深山大翔のオヤジギャグに加え、プロレスやドラゴンボールへのオマージュなど盛り沢山。小ネタはテレビドラマ版をグレードアップ、ストーリー展開も「サプライズ」があって深くなり、見応えのある作品に仕上っている。ちなみに、オヤジギャグの筆者の最高得点は「熊本城」。但し、周りで声を出して笑っていたのは、筆者を含めオヤジのみだったが。

『ハウス・オブ・グッチ』が5位に初登場。巨匠リドリー・スコット監督が、『アリー/スター誕生』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたレディー・ガガさん、『スター・ウォーズ』シリーズのアダム・ドライバーさん、アル・パチーノさんほか豪華キャストで、ファッションブランド「GUCCI」一族の崩壊を描いた作品。

あまり、日本には関係ない作品かと思っていたが、アル・パチーノさん演じるアルド・グッチ氏が、「ゴテンバ」など、日本語を何回か話すシーンが出てくる。時代は1980年代後半から1990年代前半と、わが国はバブルの真っ只中。グッチにとって、いかに日本市場が重要だったかがわかる。これが、2010年代なら、中国語になっていたかもしれないが。「サプライズ」はアル・パチーノさんの日本語の発音。極めて上手で驚かされた。

1月及び2月公開の注目作品

1月28日公開の『ノイズ』は筒井哲也氏の同名コミックを、『デスノート』シリーズで共演した藤原竜也さんと松山ケンイチさんの主演で実写映画化したサスペンス。

広い海にぽつりと浮かぶ、猪狩(ししかり)島。世間から見捨てられ過疎化が進む中で、この島が突然、注目される。島の復興を願う泉圭太が生産に成功した色鮮やかな「黒イチジク」がSNSで大人気となり、国からの交付金5億円が内定したのだ。復興のきざしが見え始めたある日、圭太、彼の幼なじみの田辺純、島の新米警察官の守屋真一郎は、島に突如現れた不気味な男を誤って殺してしまう。島の復興と家族の生活を守るため、3人は死体を隠すことを決意する。ところがその男は、出所したばかりの元受刑者のサイコキラーで、彼の足取りを追う刑事が島を訪れる。

1月28日公開『アダムス・ファミリー2 アメリカ横断旅行!』は、お化け一家のアダムス家が巻き起こす騒動を描き、過去には映画やドラマで実写化もされたチャールズ・アダムス氏のコミックをアニメーション映画化した「アダムス・ファミリー」の第2弾。

思春期を迎え、家族の食卓に顔を見せない長女ウェンズデーを心配したゴメズが、妻のモーティシア、ウェンズデー、パグズリー、フェスターおじさん、執事のラーチ、ハンドとペットのキティを連れて、家族の絆を深めるドライブ旅行をすることに。さまざまな騒動を巻き起こしながら、ナイアガラの滝、マイアミビーチ、グランドキャニオンと名所をめぐる旅を続けるアダムス家。しかし、そんな彼らの後を、怪しい男たちが追いかけてきていた。

同じく、1月28日公開の『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』は、ミラ・ジョボビッチさん主演の実写映画シリーズが大ヒットを記録したカプコンの人気ゲーム「バイオハザード」を、新たなキャスト&スタッフで映画化。

巨大複合企業「アンブレラ社」の拠点がある街、ラクーンシティ。この街の孤児院で育った主人公クレア・レッドフィールド(カヤ・スコデラリオ)は、アンブレラ社がある事故を起こしたことで、街に異変が起きていると警告する不可解なメッセージを受け取り、ラクーンシティへと戻ってきた。ラクーン市警(R.P.D)の兄クリス・レッドフィールド(ロビー・アメル)はクレアの言うことをありえない陰謀論とあしらうが、やがて二人は街中を彷徨う住民たちの変わり果てた姿を目の当たりにする。次々と襲い掛かってくる住民たち。そんな中、二人はアンブレラ社が秘密裏に人体実験を行ってきたことを知る。クリスのほか、ジル・バレンタイン、アルバート・ウェスカー、レオン・S・ケネディといった原作ゲームの主要キャラクターが登場するなど、ゲームにより忠実な作品。

鹿の王 ユナと約束の旅

『鹿の王 ユナと約束の旅』
全国東宝系にてロードショー
©2021「鹿の王」製作委員会

2月4日公開の『鹿の王 ユナと約束の旅』は、上橋菜穂子氏による「2015年本屋大賞」を受賞したファンタジー小説をアニメ映画化。

最強の戦士団「独角」の最後の頭であったヴァンは、強大な帝国・東乎瑠(ツオル)との戦に敗れ、奴隷となり岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不思議な山犬の群れが岩塩鉱を襲い、死に至る謎の病「黒狼熱(ミツツァル)」が発生。その隙に逃げ出したヴァンは、幼い少女ユナを拾う。一方、東乎瑠の民だけが病にかかると噂される王幡領では、天才医師ホッサルが懸命にその治療法を探していた。

戦士ヴァンを堤真一さん、医師ホッサルを竹内涼真さん、ヴァンを追う謎の戦士サエを杏さんが声優として出演。『もののけ姫』『君の名は。』などの作画監督として知られる安藤雅司氏が初監督・キャラクターデザイン・作画監督を手がけた。

大怪獣のあとしまつ

『大怪獣のあとしまつ』
2022年2月4日全国公開
©2022「大怪獣のあとしまつ」製作委員会

同じく、4日公開の『大怪獣のあとしまつ』は、山田涼介さん主演で、巨大怪獣の死体処理を題材に描いた空想特撮映画。

人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死んだ。国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど国全体が安堵に浸る一方で、河川の上に横たわる巨大な死体は腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが判明。大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねない。

終焉へのカウントダウンは始まった。しかし、首相や大臣らは「大怪獣の死体処理」という前代未聞の難問を前に、不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり。絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは、数年前に突然姿を消した過去をもつ首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタだった。そして、この死体処理ミッションには環境大臣の秘書官として、アラタの元恋人である雨音ユキノも関わっていた。

同じく、4日公開の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は、幽霊退治に挑む冴えない科学者たちの奮闘をユーモラスに描き、1980年代に世界的ブームを巻き起こした『ゴーストバスターズ』及び『ゴーストバスターズ2』の続編。前2作の監督アイバン・ライトマン氏の息子で、『JUNO ジュノ』などで知られるジェイソン・ライトマン氏がメガホンをとった。

活断層がないにも関わらず、原因不明の地震が30年間続く田舎町に、突如ゴーストが出現。奴らは30年前に、あのゴーストバスターズによってニューヨークで封印されたはずだった。世界の終焉かのように、ゴーストが街中に溢れかえる。そんな中、少女フィービーは兄が祖父が遺した屋敷の納屋で発見したキャデラック「ECTO-1」に乗り込み、ゴースト達に立ち向かう。懐かしの音楽が筆者の青春時代を思い起こさせる作品だ。

同じく、4日公開の『355』は、ジェシカ・チャステインさん、ペネロペ・クルスさん、ファン・ビンビンさん、ダイアン・クルーガーさん、ルピタ・ニョンゴさんら豪華キャストが集結、世界各国の凄腕エージェントによるドリームチームの活躍を描いたスパイアクション。なお、「355」は18 世紀アメリカの独立戦争時代に実在した女性スパイのコードネーム。

格闘術のスキルが高い CIAのメイス、過去にトラウマを抱える BND/ドイツ連邦情報局のマリー、最先端のコンピューター・スペシャリストでMI6のハディージャ、コロンビアの諜報組織に所属の優秀な心理学者グラシー、中国政府で働くリン・ミーシェン。秘密兵器を求め各国から5人の女性エージェントが集結、ライバル同士からチームとなり、コードネーム「355」を結成する。それぞれの才能を駆使して、世界をカオスに陥れるテクノロジーデバイスを利用しようとする国際テロ組織に立ち向かっていく。果たして第3次世界大戦を阻止することはできるのか。

2月11日公開の『嘘喰い』は、「週刊ヤングジャンプ」で2006〜17年に連載された迫稔雄氏の人気ギャンブル漫画「嘘喰い」を横浜流星さん主演で実写映画化。『リング』『スマホを落としただけなのに』の中田秀夫監督がメガホンをとった。

国家をも凌ぐ支配力を誇る闇ギャンブル倶楽部「賭郎」。その頂点を決する一世一代の大勝負でお屋形様・切間創一に敗れ、「賭郎」の会員権を剥奪された天才ギャンブラーの「嘘喰い」斑目貘は、新たな会員の佐田国一輝が倶楽部を荒らしているという噂を聞きつけ、再び姿を現す。闇金から貘に救われた人生負け組の青年・梶隆臣、闇カジノのオーナーでヤクザ組長・鞍馬蘭子と協力して挑むのは、欲望にまみれた超一流のイカサマ師たちが仕掛ける絶望的なギャンブル勝負の数々。もし負ければ、「賭郎」の立会人・夜行妃古壱や目蒲鬼郎が、命を含む代償を容赦なく取り立てる。殺しにイカサマ、裏工作が当たり前の頭脳心理戦で、貘は嘘を見破り、勝ち残ることができるのか。梶隆臣役に佐野勇斗さん、鞍馬蘭子役に白石麻衣さんが共演。

同じく、11日公開の『ウエスト・サイド・ストーリー』は、スティーブン・スピルバーグ監督が、1961年にも映画化された名作ブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド物語」を再び映画化。

1950年代のニューヨーク。マンハッタンのウエスト・サイドには、夢や自由を求めて世界中から多くの人々が集まっていた。しかし、差別や偏見による社会への不満を抱えた若者たちは、やがて仲間と集団を作り激しく敵対し合っていく。ある日、「ジェッツ」と呼ばれるチームの元リーダーのトニーは、対立する「シャークス」のリーダーの妹マリアと出会い、瞬く間に恋に落ちる。この禁断の愛は、多くの人々の運命を変える悲劇の始まりだった。

昨年のトラブルの影響で今年は地味な扱いとなった第79回ゴールデングローブ賞だが、本作品はミュージカル・コメディ部門で、作品賞、主演女優賞(レイチェル・ゼグラー)、助演女優賞(アリアナ・デボーズ)を受賞。

『ドライブ・マイ・カー』が米アカデミー賞の有力候補に浮上

同じく、第79回ゴールデングローブ賞のドラマ部門の非英語映画賞を受賞したのが、2月11日に一部映画館で再公開される『ドライブ・マイ・カー』。村上春樹氏の短編小説集「女のいない男たち」に収録された短編「ドライブ・マイ・カー」を、『偶然と想像』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した濱口竜介監督・脚本により映画化。

舞台俳優であり、演出家の家福悠介。彼は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻はある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車のサーブで広島へと向かう。そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすなか、それまで目を背けていたあることに気づかされていく。

主人公・家福を西島秀俊さん、ヒロインのみさきを三浦透子さん、物語の鍵を握る俳優・高槻を岡田将生さん、家福の亡き妻・音を霧島れいかさんが演じる。2021年第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞。ほか、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の3つの独立賞も受賞した。

『ドライブ・マイ・カー』は、米国では、第56回全米批評家協会賞で作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の4冠に輝いた。主演男優賞はアジア人として初。他に、ニューヨーク映画批評家協会賞作品賞、ボストン映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞で作品賞を受賞しており、アカデミー賞の有力候補に浮上している。ちなみに、全米批評家協会賞の作品賞受賞作品は2020年、2021年とも、アカデミー賞作品賞を受賞している。

昨年8月の公開時に鑑賞したが、上映時間は179分で、物語の展開も淡々としているが、長く感じず、じわじわと引き込まれる作品だった。

今後、1-2カ月間が対COVID戦争の最後の山場か

12月号でも特集したように、ある意味、想定通りではあるが、オミクロン株の感染爆発が世界同様、我が国でも本格化した。

筆者は今冬の感染第6波を「ラスト・グレート・ウォー:最後の大戦」と定義し、世界同時に、全人類の大半が感染することで、集団免疫が初めて成立する可能性があると予想している。

今回ばかりは、どんなに感染対策をしていても、新型コロナウイルスに感染するリスクは高いと言わざるを得ない。尤も、大半の人は感染を検査等で確認できず、自覚症状すらない人も多いと考えられるが。

それでも、ワクチン未接種者や高齢者、基礎疾患がある人などの中には、重症化し、死に至るケースもあり得るだろう。

既に、全国の1日の新規感染者は昨年夏の第5波のピークを超え、4万人台に増加している。

政府や地方公共団体には、昨年の第4波や第5波を教訓とし、ワクチンのブースター接種の前倒しに加え、経口治療薬の配布、重症化リスクのある人のフォローと医療体制の強化を迅速に進め、少なくとも医療サービスにアクセスできないことで、生命の危険に晒されることのないように対応願いたいものだ。

何れにせよ、今後、1-2カ月間が対COVID戦争の最後の山場になりそうだ。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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