アナリストの忙中閑話【第143回】

アナリストの忙中閑話

(2023年4月20日)

【第143回】ディスコード・リークス、仏政治混乱、エルニーニョと正のIOD発生で高温・乾燥注意、パンデミック下でも地球温暖化トレンド不変、GW映画公開

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

米機密文書流出問題に関し、FBIは13日、21歳のマサチューセッツ州の空軍州兵を逮捕、14日起訴

ウクライナ情勢等に関する米政府の機密情報とみられる文書がSNS上に流出した問題に関し、米FBI(連邦捜査局)は4月13日、マサチューセッツ州の空軍州兵ジャック・テシェイラ容疑者(21)を逮捕した。

14日、テシェイラ容疑者は同州ボストンの連邦地方裁判所に初出廷し、スパイ法違反で起訴された。

機密文書を権限なく持ち出し、保管した罪で起訴されたテシェイラ被告は、有罪となれば、機密文書持ち出しについて最高10年、機密文書の保管について最高5年、最高計15年の禁錮刑となる可能性がある。

米ワシントンポスト(WP)やニューヨークタイムズ(NYT)によると、テシェイラ容疑者はマサチューセッツ州のオーティス空軍州兵基地で情報部門のIT専門官として従事、2021年以降「最高機密」を取り扱う権限を与えられ、国防総省のネットワークにアクセスすることが可能になっていた。

拡散された機密文書は数百点に上る可能性、米軍の機密管理の甘さが問題に

テシェイラ被告は、機密情報を「ディスコード」というオンライン・サービス上につくられた約20人の招待制のチャット・グループ「Thug Shaker Central」に、2022年夏から投稿。当初は内容を自ら要約し、テキストで打って投稿していたが、2022年の年末以降は、機密文書を撮影し、画像ファイルを投稿していた。

そうした画像は当初はチャット・グループ内でとどまっていたが、2月28日、10歳代の会員が他のSNSに転載したことで、3月に入り、他のSNS、「ユーチューブ」や「テレグラム」、「4chan」等で拡散され、3月下旬頃、当局が確認、捜査が進められていた模様だ。

NYTが機密文書流出問題を初めて報道したのは4月6日。

そうした写真画像やテキストファイルは、50〜100点以上とみられていたが、WPがチャット・グループの複数の会員にインタビューした内容からは、大量の文章や写真を「ディスコード」に上げていたとのことであり、拡散された機密文書は数百点に上る可能性がある。

21歳の州軍に属する一等空兵がこれだけの機密文書の持ち出しが可能だったことで、米軍の機密管理の甘さが問題となっている。

同問題を受けて、オースティン国防長官は13日、国防総省内の情報アクセス、説明責任、管理手続きについて見直しを行い、再発防止に向けた取り組みに反映させるよう指示したとの声明を出した。

ウクライナ情勢に加え、同盟国等に関する情報も含まれる

SNSに流出した機密の内容に関しては、ウクライナやロシア等、ウクライナ情勢に関するものが多いが、トルコやUAE、エジプト、イスラエル、韓国等、中東やアジアの諸国に関するものも含まれ、同盟国の間でも、問題となっている。

WPやNYT、WSJ(ウオールストリートジャーナル)によると、下記の内容が含まれる。

・文書はウクライナの防空システムの弱点と弾薬(ミサイル)供給の問題を指摘し、現在のウクライナの軍事力の評価を示している。ウクライナの防空システムに関しては配備位置等の詳細や種類別のミサイル数、弾薬の在庫がいつ切れるかの見通しについて記されており、5月までに在庫払底の可能性が指摘されている。

・米国や同盟国の偵察機が黒海上空を飛行するスケジュールやルート、米国がウクライナに供与した兵器の一部に関する脆弱性、反転攻勢に向けて米国や同盟国が訓練している9つのウクライナ軍部隊の構成や装備についての詳細な情報が含まれている。

・ロシアの戦闘機「Su(スホイ)27」が2022年9月29日にクリミア沖で、英国の偵察機に対し、ミサイルを発射し、撃墜しそうになった状況を説明する資料が含まれる。英国政府はミサイル発射を「誤作動」と結論付け、撃墜の恐れは公表していないが、当時は、公表内容よりも、はるかに危険だった可能性がある。

・米国の諜報機関員がロシア軍に潜入しており、ウクライナに対し、今後の攻撃を警告できることを示唆。また、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)と、民間軍事会社「ワグネル・グループ」の内部計画についての議論も含まれる。

・文書には、高度な衛星画像システムを含む、ウクライナを支援するために米国が使用している新しい監視技術に関する詳細が含まれている。

・ある文書には、NATOの同盟国であるトルコが、兵器等の物資の調達を支援するために「ワグネル・グループ」から連絡を受けたとしている。

・別の文書によると、韓国の国家安全保障会議は3月初旬、ウクライナに大砲の弾薬を送るよう求める米国の要請を検討したとし、ポーランド経由で155ミリ榴弾砲の砲弾を送付するプランを示唆する図表も流出。図表には、韓国の155ミリ榴弾砲の砲弾330,000万発のポーランドへの移送プランが表示。

・イスラエルでは、モサドの幹部が2月、ネタニヤフ首相が進める司法改革に対し、モサドの要員やイスラエル市民が抗議することを提唱したとしている。

米メディアは今回の情報漏洩を「ディスコード・リークス」と銘打ち特集

なお、WPは今回の情報漏洩を2006年に開始された「ウィキリークス」に倣ってか、「ディスコード・リークス」と銘打って、特集している。

前週末に、WPが新たに報道した内容では、ロシアによる「TikTok」、「ツイッター」、「テレグラム」等SNSの偽アカウントによるウクライナ軍やワクチンの副作用に関するフェイクニュースの拡散は僅か1%しか検出されていないとロシア側が自慢しているとの分析結果や、台湾の防空体制に関する課題を挙げた機密文書も流出したようだ。

うち、台湾の防空体制に関しては、米国側の分析として、現在、中国の弾道ミサイル1発に対し、2発の防空ミサイルで迎撃する台湾の防空体制に関し、中国側が複数の移動発射プラットフォームに分散された短距離弾道ミサイルシステムからの「大量の発射の下で緊張するだろう」と記載されている。

すなわち、飽和攻撃に対する台湾の防空体制への懸念が示されている模様だ。

また、台湾進攻の兆候も、中国側が大量の民間船舶等を活用することで、米国の情報機関が検出するのを損なう可能性があるとしている。

加えて、台湾の航空機の半数以上が完全に任務遂行可能な状況にはなく、ジェット機をシェルターに移動させるのに少なくとも 1 週間はかかるだろうとしている。台湾がそれらの航空機を分散させる前に中国がミサイルを発射した場合は大きな被害が出る可能性があるとしている。

バーンズCIA長官は本年2月、CBSの「Face the Nation」に出演した際、中国の習近平国家主席が、2027年の人民解放軍の創設100周年までに人民解放軍が台湾を占領できるように準備するよう指示したと述べている。

ウクライナの大規模な反転攻勢は夏以降、ウクライナ戦争の長期化は必至か

今回、大量に流出した機密文書の内容は、ウクライナ情勢等に関しても、従来の想定から大きくはずれる内容はなかったものの、ウクライナの防空体制や対空ミサイルの枯渇等が指摘されたことで、ウクライナ側の大規模な反転攻勢のタイミングは、準備を整えるため、今春は困難となり、前月号でも記したように、今夏から今秋となる可能性が高そうだ。

なお、ウクライナ戦争の行方に関しては、今回、漏洩した機密文書でも言及されているが、米国防情報局(DIA)の分析として、「ウクライナとロシアの間の激しい戦争は、2024年まで続き、どちらの側も勝利を確保することはできないが、どちらも紛争終結の交渉を拒否する」(WP)とされている。

また、「検討されているすべてのシナリオにおいて、2023年中に紛争を終わらせるための交渉が行われる可能性は低い」(同)と、長期化必至と、予想されている。

機密文書からは、米国が同盟国を含む外国の要人等の通信傍受の可能性示唆

一方、今回、流出した機密文書からは米国が同盟国を含む外国の要人等の通信を傍受している可能性が示唆されている。

WPの報道によると、国連のグテレス事務総長も対象だった可能性がある。

報道を受けて、ドゥジャリク事務総長報道官は18日の記者会見で不快感を示し、米国連代表部に口上書で懸念を伝えたと明らかにした。

同問題は、今から10年前の2013年に起きたスノーデン元NSA及びCIA局員による、NSA(国家安全保障局)による国際的監視網(PRISM)の告発時にも、問題となった。

今のところ、通信を傍受された可能性のある同盟国各国は内容自体が虚偽として、傍受問題に関しては、スルーする構えのようだが、同盟関係にひびが入る可能性とともに、年末に控える外国情報監視法(FISA)第702条の議会承認の延長問題にも影を落とすことになりそうだ。

米政府機関による外国での通信傍受は、外国情報監視法第702条に基づき、グーグルやメタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、アップルなど、米国のプラットフォームを経由する外国人の通信をNSAが傍受対象にすることを認めている。但し、議会が同プログラムを再承認しなければ、2023年末に効力を失う。

外国人の傍受の際に、米国人の通信も傍受されることはあり、民主党内でもリベラル派や共和党内にも、同法への反対論はある。今回、追加で米国人関連の通信傍受に関する機密文書が確認されることになれば、議会審議にも影響が及ぶ可能性があろう。

フランスのマクロン大統領の台湾関連の発言が物議

一方、前述のように、台湾問題に関しても、機密文書は防空体制等に関し懸念を示しているが、フランスのマクロン大統領の発言が物議を醸している。

マクロン大統領は中国訪問中の7日、仏紙などのインタビューで「最悪なのは、この問題で欧州が追随し、米国のペースや中国の過剰反応に合わせなければならないと考えること」と述べた。さらに「台湾に加勢することが我々の利益になるのか。ならない」とし、欧州連合(EU)の「戦略的自立」の重要性も訴えた。

台湾問題への不介入を示唆したともとれる発言で、台湾に加え、日米などからの反発が予想される。

マクロン大統領の支持率急落、年金受給開始年齢の引き上げを巡る強硬姿勢で

但し、そのマクロン大統領、国内では支持率が急落、世論調査会社「Elabe」の4月調査では、25%と、燃料税の引上げなどに発した「黄色いベスト運動」最盛期の2018年12月の23%に次ぐ低さとなった。

背景には年金受給開始年齢引き上げを巡る強硬姿勢がある。

マクロン大統領は15日、年金受給開始年齢を現在の62歳から段階的に64歳に引き上げる年金改革法案に署名し、官報で公布した。9月1日施行となる。

フランスの憲法院は14日、年金制度改革法案について、年金受給年齢引き上げなど法案の主要部分について合憲との判断を下していた。

但し、年金改革法には国民の7割が反対しており、世論調査結果にも反映された格好だ。

マクロン氏は2022年春の大統領選では、年金制度見直しを公約に掲げ、再選。

2023年1月に年金改革を正式提案。元老院(上院、定数348)は3月11日、年金改革法案を195対112の賛成多数で可決。但し、下院での過半数確保が危うくなると、憲法の財政関連法に関する特例規定を行使し、投票なしで通過させる強行措置に踏み切った。

強権発動は火に油を注ぎ、若者や過激派による夜間の抗議がエスカレート。抗議活動が収まらないことから、3月26-29日に予定されていたチャールズ英国王のフランス公式訪問は、警備上の懸念から急きょ延期となり、ドイツが即位後、初の訪問国となった。

政府が議会で強行採択した同法案について、労組は国内の緊張を和らげるために公布を待つよう政府に求めた。しかし、政府が憲法院の判断が出てから間もなく公布したため、強く反発している。

労組は5月1日のメーデーの大規模なデモ行進を呼びかけており、仏労働総同盟(CFDT)を率いるソフィー・ビネ氏は4月20-28日にも他の行動を計画していると述べた。鉄道労働者の組合は20日を「怒り」の日にするよう呼びかけている。

2027年の大統領選でルペン氏が勝ち抜く可能性も

マクロン氏は大統領を2027年には退任するが、次回、2027年の大統領選では、極右「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏が勝ち抜く可能性が高まったと言えそうだ。

なお、「Elabe」の最新の世論調査結果では、最も人気の高い政治家は、フィリップ元首相(現ル・アーブル市長、共和党)の42%で、ルペン氏は33%で2位につけている。

G7広島サミットでは、欧米諸国との間で、結束をアピール出来るか否か、岸田首相のリーダーシップが問われることに

今年は我が国がG7の議長国となり、既にG7外相会合や気候・エネルギー・環境大臣会合等が開催されたが、石炭火力発電の廃止時期や原発等については、我が国と欧州との間で意見の違いもみられた。

5月19-21日のG7広島サミットでは、米国のみならず、欧州等との間で、結束をアピール出来るか否か、岸田首相のリーダーシップが問われることになりそうだ。

映画観客動員ランキングで『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』が今年最高のオープニング成績をあげ初登場第1位に

前週末(4月14日-16日)の映画の観客動員ランキングでは、劇場版シリーズ26作目となる『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』が2023年最高のオープニング成績をあげて初登場第1位に。初日から3日間で動員217万6,400人、興収31億4,600万円を記録し、シリーズ歴代1位のヒット作である前作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(興収97.8億円)対比で164%の好スタート(興行通信社調べ、以下同じ)。

公開直後に視聴したが内容は大人向けのサスペンス物。『007』ばりの展開で、幼い子供に理解できるのか、やや心配になったが、家族で楽しめるエンターテイメントに仕上がっている。

第2位は公開7週目となった『ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』が5週連続第1位の後、ワンランクダウン。累計動員337万人、興収40億円を突破。

第3位はやはり、前週よりワンランクダウンとなった『わたしの幸せな結婚』。累計動員176万人、興収23億円を突破。

第4位は庵野秀明氏が監督・脚本を務めた『シン・仮面ライダー』。こちらもワンランクダウン。

第5位は公開20週目に突入した『THE FIRST SLAM DUNK』。累計興収131億円突破。

GW映画公開、大作・注目作に加え、日本由来の洋画も複数公開

今月は、ゴールデン・ウィーク(GW)向けの映画等、内外の注目作品が相次いで公開される。

4月21日公開の『ヴィレッジ』は、『新聞記者』『余命10年』などを手掛けたの藤井道人監督のオリジナル脚本を、横浜流星さん主演で映画化。

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村(かもんむら)。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃よりこの村に住んでいる片山優(横浜流星)は、美しい村にとって異彩を放つ、このゴミ処理施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ、ゴミ処理施設で働く作業員に目をつけられ、希望のない日々を送っていた。そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す。

劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』

『劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』』
2023年4月28日全国東宝系にてロードショー
©2023劇場版『TOKYO MER』製作委員会

4月28日公開の『劇場版「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」』は、オペ室を搭載した大型車両=ERカーで事故や災害現場に駆け付け、自らの危険を顧みず患者のために戦う、都知事直轄の救命医療チームの活躍を描いたテレビドラマ「TOKYO MER 走る緊急救命室」の劇場版。

「TOKYO MER」、彼らの使命はただ一つ『死者を一人も出さないこと』。横浜・ランドマークタワーで爆発事故が発生。数千人が逃げ惑う前代未聞の緊急事態に。「待っているだけじゃ、救えない命がある」チーフドクター・喜多見はいち早く現場に向かうべきと主張するが、厚生労働大臣が新設した冷徹なエリート集団「YOKOHAMA MER」の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と真逆の信念を激突させる。

地上70階、取り残された193名。爆発は次々と連鎖し、人々に炎が迫る。混乱のなか重傷者が続出するが、炎と煙で救助ヘリは近づけない。まさに絶体絶命の危機。さらに、喜多見と再婚した千晶もビルに取り残されていることが判明。千晶は妊娠後期で、切迫早産のリスクを抱えていた。

キャストには鈴木亮平さん、賀来賢人さん、中条あやみさんらドラマ版の俳優陣が再結集したほか、鴨居役で杏さん、研修医役で「SixTONES」のジェシーさんが新たに参加。

なお、映画公開に先駆けて4月16日(日)夜9時から、TBS系で、新作SPドラマ「TOKYO MER〜隅田川ミッション〜」が放送され、テレビドラマと劇場版の橋渡しが行われた。

同じく、28日公開の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、任天堂のアクションゲーム「スーパーマリオ」シリーズを、『ミニオンズ』『SING シング』シリーズなどのヒット作を手がけるイルミネーション・スタジオと任天堂が共同でアニメーション映画化。

全米週末興収ランキングで3週連続一位と大ヒット中。

4月28日公開の『聖闘士星矢 The Beginning』は、車田正美氏原作の漫画「聖闘士星矢」をハリウッドで実写映画化。『パシフィック・リム アップライジング』にも出演した新田真剣佑さんが主演を務めた。米国での公開は5月12日。

自らの体に「小宇宙(コスモ)」という力が宿っていることを知らない若者、星矢。地下格闘場でその日暮らしをしながら生き別れた姉を探していた彼は、ある日闘いの最中にその「小宇宙」を発したことで謎の集団から狙われることに。彼らは強い「小宇宙」の持ち主と、シエナという女性の命を狙っていた。ペガサスの星の元に生まれた星矢の使命は「知恵」と「戦い」の女神アテナの生まれ変わりであるシエナを守り、世界を救うこと。自らの秘めた力に気づいた時、彼はこの世界を救う「聖闘士(セイント)」になる。

5月3日公開の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の活躍を描く、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のシリーズ第3弾。

アベンジャーズの一員としてサノスを倒し、世界を救ったものの、最愛の恋人ガモーラを失ったショックから立ち直れないスター・ロードことピーター・クイルと、ガーディアンズの仲間たち。そんな彼らの前に、銀河を完璧な世界に作り変えようとする恐るべき敵が現れ、ロケットが命を失う危機にさらされる。固い絆で結ばれた大切な仲間の命を救おうとするガーディアンズだったが、ロケットの命を救う鍵は、ロケット自身の知られざる過去にあった。全銀河の運命とチームの存続を懸けた、最強の落ちこぼれチームvs最凶の完璧主義者の感動のラスト・バトルが今、始まる。

監督・脚本はジェームズ・ガン氏が続投。クリス・プラットさん、ゾーイ・サルダナさん、デイブ・バウティスタさんらおなじみのキャストが集結。

5月5日公開の『銀河鉄道の父』は、小説家・門井慶喜が宮沢賢治の父である政次郎を主人公に家族愛をつづった直木賞受賞作「銀河鉄道の父」を、『八日目の蝉』の成島出監督のメガホンで映画化。

質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を「弱い者いじめ」だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回す。さらに、宗教に身を捧げると東京へ家出してしまう。 そんな中、賢治の一番の理解者である妹のトシが、当時は不治の病だった結核に倒れる。賢治はトシを励ますために、一心不乱に物語を書き続け読み聞かせる。だが、願いは叶わず、みぞれの降る日にトシは旅立ってしまう。「トシがいなければ何も書けない」と慟哭する賢治に、「私が宮沢賢治の一番の読者になる!」と、再び筆を執らせたのは政次郎だった。「物語は自分の子供だ」と打ち明ける賢治に、「それなら、お父さんの孫だ。大好きで当たり前だ」と励ます政次郎。だが、ようやく道を見つけた賢治にトシと同じ運命が降りかかる。

役所広司さんが政次郎役で主演を務め、長男・賢治を菅田将暉さん、賢治の妹・トシを森七菜さん、母・イチを坂井真紀さん、祖父・喜助を田中泯さん、弟・清六を豊田裕大さんが演じる。

5月12日公開の『TAR/ター』は、ケイト・ブランシェットさん主演で、天才的な才能を持った女性指揮者の苦悩を描いたドラマ。

世界最高峰のオーケストラの一つであるドイツのベルリン・フィルで、女性として初めて首席指揮者に任命されたリディア・ター。彼女は天才的な能力とそれを上回る努力、類稀なるプロデュース力で、自身を輝けるブランドとして作り上げることに成功する。今や作曲家としても、圧倒的な地位を手にしたターだったが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。そんな時に、かつてターが指導した若手指揮者の死から彼女の完璧な世界が少しずつ崩れ始める。

第80回ゴールデングローブ賞でブランシェットさんが主演女優賞(ドラマ部門)を受賞。

5月19日公開の『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』は全世界累計興収9,000億円を突破した『ワイルド・スピード』シリーズ第10作。

ドミニクはレティと息子ブライアンの3人で静かに暮らしていたが、彼らの前に未だかつてないほどの破壊的な敵が現れる。ダンテ(ジェイソン・モモアさん)は昔ドミニクたちがブラジルで倒した麻薬王レイエスの息子であり、家族も未来も奪われた代償を払わせるため、復讐の炎を12年間燃やし続けていたのだった。ダンテの陰謀により散り散りに仲を引き裂かれる「ファミリー」たち。そしてドミニクが愛する全ての者を奪おうとするダンテが最後に向けた矛先は、果たしてファミリーの運命は?

ドミニク役のビン・ディーゼルさんらお馴染みのキャストが集結。

同作品の原題は「Fast & Furious」、2001年公開の第1作では、スポーツコンパクトと呼ばれる日本車の改造車が多数登場。まさに、ガソリンをばらまきながら高出力を上げて競う当時のアメリカのストリート・レース文化を象徴していた。

但し、大ヒットの連続にも関わらず、『ワイルド・スピード』シリーズは全11作で完結、2024年公開の次作でフィナーレを飾る見通しだ。詳細な背景は不明だが、EV化の流れ等も影響か?

5月8日、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が、現状の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移行

GW明けの5月8日(月)からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の分類が、現状の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する。

今後は感染者の全数把握は終了、一部の医療機関での「定点把握」による内容が週1回、発表されることになる。死者数も毎日の発表は終了し、人口動態統計をもとに、死者の総数の把握は2か月後に、詳細な死因別では5か月後になる見込みだ。

過去3年間の感染動向を見ると、2020年及び2021年は、春、夏、冬に感染が拡大したが、2022年は冬と夏の2回となった。今後は、自然感染率やワクチン接種率の上昇、抗体持続期間等から、感染拡大は密になりやすい環境となる冬と夏の年2回となることが想定される。

我が国では、自然感染率(抗N抗体保有率)が本年2月時点で全国平均で42.3%にとどまり、欧米諸国などと比べ相当低い。

COVID-19は収束に向かっているが、終息とはならず、インフルエンザ同様、季節性コロナウイルスと化す可能性が高そうだ。

高齢者や基礎疾患ある方は引き続き、注意が必要だろう。

実体経済や金融市場への影響も、完全な収束とはいかず、ウイズ・コロナ状態が続くことになりそうだ。

日米豪の気象当局が今夏に向けて、エルニーニョ現象発生の可能性を指摘

なお、我が国では今夏は高温・乾燥、今冬は暖冬となり、世界全体の年間平均気温は記録的な高温となる可能性がある。

米海洋大気局(NOAA)傘下の気象予報センター(CPC)は4月13日、「エルニーニョ・ウォッチ」を発動した。

「エルニーニョ・ウォッチ」は、今後 6 か月以内にエルニーニョ現象が発生する条件が整ったときに発表される。現在は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も存在しない中立状態にあるが、5 月から 7 月の間にエルニーニョ現象が発生する可能性は62%としている。

気象庁も4月10日発表のエルニーニョ監視速報(No. 367)で、「エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態になっている。今後、夏にかけて平常の状態が続く可能性もある(40%)が、エルニーニョ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)。」とした。

オーストラリア気象局(BOM)は4月11日付けレポートでは、「現在は中立状態」とし、中立状態が南半球の秋(北半球の春)まで持続する可能性が高いとしている。

但し、エルニーニョが年内に発生する兆候がいくつかあるとし、3月28日付けレポートで「エルニーニョ・ウォッチ)」を発動。

これは、2023年にエルニーニョが発生する可能性が50%であることを意味する。50%は通常の2倍の発生確率。

4月11日段階では、BOMに加え、欧米の気象予測機関等、具体的には、カナダのCanSIPS、欧州中期予報センター:ECMWF、フランス気象局:METEO、米海洋大気局:NOAA、英国気象庁:UKMOが全て、8月までにエルニーニョの発生を予想している。

世界全体の年間平均気温は記録的な高温となる可能性

NOAAは、CPCの発表を受けて、4月13日付けのブログで、「今年、エルニーニョ現象が発生した場合、地球の気温が記録的な高温になる可能性が高くなる」と発表している。

一般に、10 年タームで最も暖かい年はエルニーニョ発生年であり、最も寒い年はラニーニャ発生年となっている。

但し、地球温暖化は「エルニーニョの年は、ラニーニャの年よりも暖かい」と言えない状況にしている。

最近のラニーニャの年(過去3年間)は、過去のエルニーニョの年よりも、はるかに高い世界平均気温となっているためだ。

ラニーニャが通年で発生した昨年(2022年)は、1880年に記録が開始されて以来、過去6番目に平均気温が高い年となり、ラニーニャ通年発生年の中では2022年は過去最高となった。

本年3月の世界の平均気温は2016年3月以来、過去2番目の高温に

ラニーニャが発生すると、東アジアや米東海岸等では寒い冬となることが多く、昨冬も我が国ではそれなりに寒い冬となった。但し、2月以降は気温が上昇。気象庁によると、本年3月は、1946年の統計開始以降で3月として、北日本と東日本で1位、西日本で1位タイの高温となった。

3月は世界全体でも高温となり、世界気象機関(WMO)によると、本年3月の世界の平均気温は2016年3月以来、過去2番目の高温となった。2016年は年間平均気温が1891年の統計開始以降で最高。

一方、エルニーニョが発生すると、北半球では世界的に暖冬となりやすい傾向がある。

今年、エルニーニョが発生すると、世界的に平均気温が記録的な高温になる可能性が高くなりそうだ。

インド洋ダイポールモード現象(IOD)は中立状態、7月以降、正のIODが発生する可能性

オーストラリアのBOMによると、インド洋ダイポールモード現象(Indian Ocean dipole mode:IOD)は現在、中立状態だが、今後、数カ月間で、正(ポジティブ)のIODが発生する可能性があるとしている。

インド洋熱帯域の海面水温が南東部で平常より低く、西部で平常より高くなる場合を正のIOD、逆の場合を負IODと呼ぶ。

BOMを含め前述の欧米の気象機関全てが、7月までに、正のIOD発生を予想している。

我が国では、正のIOD発生時は降水量が減少し、気温が高くなる傾向、エルニーニョ現象の発生も予想され、今夏は高温・乾燥、今冬は暖冬に注意する必要

日本への影響は、正のIOD発生時は降水量が減少し、気温が高くなる傾向がある。

一方、エルニーニョ現象が「冷夏・暖冬」を招きやすいとされるのに対し、ラニーニャ現象は「猛暑・厳冬」と反対の特性がある。

但し、近年は地球温暖化の影響で、エルニーニョ現象が発生すると、冬は記録的な暖冬、夏は平年並の暑さとなることが多く、一方、ラニーニャ現象が発生すると、夏は記録的な猛暑、冬は平年並の寒さとなることが多い。

気象庁が2月21日に発表した暖候期予報によると、「夏の天候の見通し、全国 (06月〜08月)」は、暖かい空気に覆われやすいため、気温は北・東・西日本で平年並か高い見込み。

全国的に、梅雨の時期(北・東・西日本では6月から7月、沖縄・奄美では5月から6月)と夏の降水量は、ほぼ平年並の見込みとなっている。

今夏も近年同様の猛暑となり、今夏は高温・乾燥、今冬は暖冬に注意する必要がありそうだ。

温室効果ガスの増加継続、地球温暖化のトレンドは2023年も変化なし、社会経済活動への影響も今後、拡大・加速が不可避か

我が国では、16日まで、G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合が開催されていたが、EVなど自動車分野の脱炭素化や石炭火力発電等の分野では我が国と欧米諸国で不協和音も聞かれた。

2020年以降のCOVID-19パンデミックの中でも、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)及び亜酸化窒素(N2O、一酸化二窒素)の3つの温室効果ガスのレベルは、歴史的に高い大気中の増加率を維持しており(NOAA)、地球温暖化のトレンドに変化はみられない。

前週末、米国のフロリダ州では、「1000年に1度」の大雨が街を襲い、街全体が水没することになった。

ウクライナ戦争の影響もあり、地球温暖化対策には足踏みもみられるが、グリーンランドの氷床の融解等、大きな気象災害に繋がりかねない地球温暖化はむしろ加速している。

このままでは、気象災害の被害拡大に加え、反動によるグリーンフレーション等、国民生活含め、社会経済活動への影響は拡大・加速が不可避と言えそうだ。

気候変動対策においても、G7広島サミットで議長を務める岸田首相の指導力に期待したい。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。同投資戦略室長、大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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