アナリストの忙中閑話【第149回】

アナリストの忙中閑話

(2023年10月26日)

【第149回】イスラエル・ガザ戦争勃発、短い秋みつけた、2023年の世界平均気温は観測史上最高に、政界一寸先は闇、注目映画続々公開

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

パレスチナ自治区「ガザ」を実効支配するイスラム組織「ハマス」は10月7日、イスラエルに対し大規模奇襲攻撃を実施

地中海に面するパレスチナ自治区「ガザ」を実効支配するイスラム組織「ハマス:イスラム抵抗運動」は10月7日、イスラエルに対し、大規模な奇襲攻撃を行った。5,000発規模のロケット弾を発射。また、1,000人規模のハマスの戦闘員が境界を越えて、イスラエル領内に侵入、イスラエル兵や民間人を攻撃、約220人のイスラエル国民や外国人を人質としてガザ地区に連れ去った模様だ。

一方、ハマスによる大規模な攻撃への報復作戦を進めるイスラエルは、ガザ地区への空爆を続けるとともに、同地区を完全に封鎖し、圧力を強めている。

イスラエル国防軍は大規模空爆を継続、第4次中東戦争以来、過去50年で最大規模の36万人の予備役を動員

さらにイスラエル国防軍は、過去50年で最大規模の36万人の予備役を動員。動員規模は2014年にイスラエルがガザ地区に大規模な地上部隊を侵攻させたときの6倍に上る。

イスラエルメディアによると、これまでにイスラエル側で少なくとも1,400人が死亡。一方、ガザ地区の保健当局はイスラエル軍の攻撃によりこれまでに少なくとも6,500人が死亡したとしていて、双方の死者はあわせて8,000人近くに上る(25日現在)。

イスラエル側の被害は、今から50年前の1973年10月6日に発生した第4次中東戦争、欧米では「ヨム・キプール(贖罪の日)戦争」以来の規模に上ったとみられる。

今年の「ヨム・キプール」は9月25日だが、7日の土曜日はイスラエルでは「安息日」で、大規模攻撃への備えが手薄になっていたとみられる。

ハマスの大規模攻撃の背景、イランの治安当局者が立案に関わっていたと9日付け、WSJが伝える

今回、ハマスが50年前の第4次中東戦争と同じタイミングを狙ったか否かは不明だが、背景として、経済封鎖等によるガザ地区内での国民の不満増大に加え、イスラエルが湾岸諸国と接近、直近でも米国の仲介でサウジアラビアとの国交正常化に動いており、孤立感や焦りが強まった可能性がある。

一方、今回の大規模奇襲攻撃に関し、イランの治安当局者が立案に関わっていたと9日付け、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が伝えている。

レバノンの首都ベイルートで2日に開かれた会合でイラン当局者が攻撃を承認したと、ハマスとレバノンのシーア派組織ヒズボラの幹部が明らかにしたとのこと。両組織の幹部によると、イラン革命防衛隊(IRGC)の幹部はイスラエルへの陸海空からの侵入を立案するため、8月からハマスと協力していた。

米国のブリンケン国務長官は8日に放送されたCNNのインタビューで「われわれは今回の攻撃についてイランの指示や関与を示す証拠を確認していないが、長期的な関係は確かにある」と述べている。

イランは関与を否定しているが、現在、イランはロシアのウクライナ侵攻に関し、ドローン供与等で支援しているとみられている。ロシアの意向が背景にある可能性も否定できないだろう。

イスラエルはハマスの軍事部門と政治部門の壊滅を狙っているとされ、まもなく開始されるとみられる大規模な地上軍の侵攻では民間人にも大きな被害が出る可能性

今後の展開だが、世界でも最も近代的な軍であるイスラエル国防軍と、ゲリラ組織の延長線に過ぎないハマスでは勝敗は見えている。

2014年のイスラエル国防軍によるガザ侵攻時はパレスチナ側だけで、2,000人以上の死者が発生している。一方、イスラエル側は100人未満だった。

今回、イスラエルは今回の攻撃を「イスラエルにおける911」として、ネタニヤフ首相は7日、戦争状態にあると宣言し、ハマス幹部に対し経験したことがない代償を払うことになると警告した。8日、ネタニヤフ政権はハマスに対して宣戦布告を決定し、重大な軍事活動を解禁すると宣言した。

今回は、ハマスの軍事部門と政治部門の壊滅を狙っているとされ、11月までには開始されるとみられる大規模な地上軍の侵攻では、民間人にも大きな被害が出る可能性がある。

なお、地上侵攻の開始は、遅れる可能性が浮上している。

米国のバイデン政権や西側諸国、我が国を除くG7の6か国は、イスラエルに対し、地上侵攻の延期を要請していると、23日付け米ニューヨークタイムズ等が伝えている。

第1に、約220人とみられる人質救出のためと、ガザの民間人220万人への人道支援や南部への避難のための時間を稼ぐためだ。

米軍は空母ドワイト・D・アイゼンハワーを主力とする空母打撃群をペルシャ湾へ派遣、中東地域への空母派遣はジェラルド・R・フォードに続き2隻目

第2に、2隻目の米空母の到着を待つためだ。

戦線がレバノンやシリア、場合によってはイラン等に拡大するのを抑止するため、米国のオースティン国防長官は21日、原子力空母「ドワイト・D・アイゼンハワー」を主力とする空母打撃群をペルシャ湾へ派遣すると発表した。

実は、ドワイト・D・アイゼンハワーは当初、既に東地中海のイスラエル沖に展開している「ジェラルド・R・フォード」を主力とする空母打撃群同様、地中海に派遣される予定だった。

背景には中東情勢の緊迫化がある。

7日に、ハマスがイスラエルへの大規模奇襲攻撃を行って以降、レバノンのイスラム教シーア派武装組織「ヒズボラ」が呼応して、イスラエルに対し、ロケット弾等を発射。一方、イスラエル国防軍はヒズボラの拠点への空爆を続けている。

国際移住機関(IOM)は23日、イスラエルとヒズボラの交戦により、レバノン国内で1万9,646人が避難を強いられていると明らかにした。

ハマスの兵員は2万人程度とみられ、装備もロケット弾を除けば、小火器や対戦車砲レベルとみられるが、ヒズボラは自らの兵力は10万人規模と称している。

装備もイランから供与された弾道ミサイル等も保有し、2011年からのシリア内戦には、同じくシーア派のアサド政権を支援するため参戦、戦闘員は実戦経験豊富だ。

そのシリアには、イスラエルが度々、空爆を行っている。

シリア国営通信(SANA)によると、イスラエルは10月12日と22日の2回、シリアのダマスカスとアレッポの両国際空港をミサイル攻撃し、両空港の運用が停止状態となっている。

一方、ヒズボラ同様、イランの支援を受けるイエメンの武装勢力フーシ派は、イスラエルに向け、巡航ミサイルや無人機を発射した可能性がある。

米国防総省のパット・ライダー報道官(空軍准将)は19日の会見で、紅海北部を航行中の誘導ミサイル駆逐艦「カーニー」が19日、イエメンのフーシ派が発射した巡航ミサイル3発と無人機数機を撃墜したと発表。報道官は、目標は不明なるも、イスラエルを標的にしていた可能性があると指摘した。

また、ライダー報道官は、18日、シリアの米軍のアル・タンフ駐屯地が無人機の2機から攻撃を受けたことを明らかにしている。

今後、イスラエルによるガザへの地上侵攻が開始され、ハマスの戦闘が激化することになると、中東情勢が緊迫化、紛争拡大の可能性が一段と高まることになろう。

10月14日に母港のノーフォーク海軍基地(バージニア州)を出港したドワイト・D・アイゼンハワーは、まもなく、大西洋から地中海に入るとみられる。

但し、ペルシャ湾に向かうには、スエズ運河を抜ける必要があり、到着まで数週間は必要とみられる。

第4次中東戦争とブラックマンデー

9日の米金融市場では株価は下落して始まったが、次回FOMCでの追加利上げ観測が後退したこともあり、その後反発、10日の東京株式市場でも株価は大幅反発して終えたが、その後は、日米株式市場とも調整局面が続いている。

今回のハマス・イスラエル戦争は今から50年前の1973年10月6日に発生した第4次中東戦争とタイミングが似ているが、当時とは中東情勢には大きな変化がある。

OAPEC(アラブ石油輸出機構)が親イスラエル国に石油禁輸措置を実施したり、OPEC(石油輸出機構)がカルテルで石油価格の大幅引き上げを行い、第1次オイルショック(石油危機)が起きたような状況に、現在はない。

一方で、今回の状況は「卯年」の1987年に起きた世界同時株安、いわゆる「ブラックマンデー」や2008年夏に原油価格が急騰した環境とは類似点もある。

「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」は、1987年10月19日(月曜日)に、ニューヨーク市場で発生した株価の大暴落をさす。それは、1929年の10月24日の暗黒の木曜日(ブラックサーズデー)と、続く10月28日(暗黒の月曜日)の下げ率(12.8%)を大きく上回る、率にしてマイナス22.6%、価格で508ドル安(ダウ工業株30種平均)という前代未聞の大暴落であった。

暴落の原因は、日米欧の金融政策をめぐる不協和音に加え、米国のイラン海上油田攻撃等がきっかけとされるが、下げ幅を拡大させたのは、プログラムトレーディングと言われている。

プログラムトレーディングとは、その名のとおりコンピュータプログラムの指示に基づいて株式を売買する手法であるが、主に先物と現物の価格差による値鞘を稼ぐアービトラージ等が主体である。

ブラックマンデーから1年以上前の1986年9月11日(木曜日)ダウ工業株は、史上最大の下げ幅(当時)を記録した。トリプルウィッチングデー(3か月に1度、株価指数先物・株価指数オプション・株式現物オプションの決済日が重なる日。魔の金曜日)を次週に控え、アービトラージの手仕舞い(SECが9月19日より規制策を実施する予定になっていた。)が入り易いところに、西独の利下げ見送り等の要因が重なり、機関投資家の先物売りが殺到、株価指数の下げが、先物買い・現物売りのプログラム売りを呼び込んだといわれている。この日のことを、ブルーサーズデー(憂鬱な木曜日)と人は呼んだ。

ブルーサーズデーから1年、SEC・CFTC・議会では、株価乱高下の犯人として「プログラムトレーディング」を規制するかどうか議論を進めたが、犯人説は否定され、さしたる規制はなされなかった。

そして、1987年10月、ブラックマンデーは起きた。ブルーサーズデーから1年、年金資金を主体に広まったポートフォリオ・インシュアランス(フロアーを確保すべくダイナミック・ヘッジ・オペレーションを実施)の手法は、アービトラージと相まって、史上最大の株価暴落を演出したのである。

今回の戦争にイランが当事者として関与するか否かで大きく変化

ブラックマンデーのきっかけの一つは、米国によるイラン海上油田の攻撃だったが、今回、同様なリスクが浮上している。

一方、原油先物価格(WTI)が過去最高をつけたのは2008年7月の1バレル147.27ドルだが、背景には、イスラエルがイランの核施設の空爆計画を企て、イラン側は攻撃が実施された場合、ホルムズ海峡を封鎖すると宣言したことがあった。

なお、なぜ、空爆計画が夏となったかというと、ロシアが当時イランに対し、「S300」地対空ミサイルシステムの売却契約を締結し、年末には実践配備されるとみられていたことがある。なお、「S300」地対空ミサイルシステムの売却契約は米国とロシアの交渉の結果、破棄され、空爆も中止されたとされる。

但し、イラン核合意後、「S300」地対空ミサイルシステムの売却契約は再締結され、現在では実戦配備されている。

つまり、過去の事例に基づけば、原油市場や金融市場への影響は、今回の戦争に、イランが当事者として関与するか否かで大きく変化することになりそうだ。

当面、事態の推移を注意深く見守る必要がありそうだ。

東京都心で猛暑の記録を大幅更新、「猛暑日」22日、「真夏日」90日と、年間の過去最多を大幅更新、26日時点で「夏日」も140日と過去最多タイ

「誰かさんが、誰かさんが、誰かさんがみつけた、小さい秋、小さい秋、小さい秋みつけた」というのは、サトウハチローさん作の懐かしい動揺だ。筆者が若い頃は9月になると、テレビやラジオでよく流れていたが、そういえば最近はあまり聞かない。

背景には、季節感の変化があるのかもしれない。前月号でも特集したが、今年は9月も猛暑が続き、10月に入っても夏日が頻発している。

今夏は東京都心(千代田区)でも様々の記録を更新、最高気温が35度以上となる「猛暑日」は8月29日で、22日目となり、2022年の16日を抜き、年間の過去最多を更新した。

一方、最高気温が30度以上となる「真夏日」の「連続記録」は台風13号の接近で気温が低下したことで、9月7日で途切れたが、それでも、7月6日から9月7日まで64日間と、記録を大幅更新した。これまでの最長は、2004年7月6日から8月14日の40日連続だった。

東京都心の「年間真夏日日数」はこれまで、2010年の71日間が最多だったが、今年は9月28日で90日目となり最多記録を更新した。

なお、最高気温が25度以上となる「夏日」は、東京都心ではこれまで、2022年の140日が最多だったが、今年は10月20日に27.1度を記録、140日となり並んだ(26日時点)。今後、記録を更新する可能性もある。

東京の例では、「真夏」は3か月間、「夏」は5か月間近くに、今後は「短い秋みつけた」?

今年の東京の例では、「真夏」は3か月間、「夏」は5か月間近くとなり、その分、秋や春が短くなっているが、この傾向は地球温暖化の進行で一段と強まりそうだ。

今後は「短い秋みつけた」ということになるかもしれない。

今年の9月は、観測史上最も暑い9月となり、現時点では、2023年は観測史上最も暖かい年となる見込み

世界気象機関(WMO)は10月5日、今年の9月は、観測史上最も暑い9月となったと発表した。また、現時点では、2023年は観測史上最も暖かい年となる見込みとした。

米海洋大気局(NOAA)も10月13日、今年の9月は、NOAAの174年間の観測史上最も暑い9月となったと発表。また、2023年が観測史上最も暖かい年となる確率は99%超とした。

欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、2023年9月の平均表面温度は16.38℃となった。これまで最も暖かかった2020年の9月の気温より0.5℃高く、産業革命以前の基準である1850年から1900年と比較して9月としては約1.75℃高かった。農業など気候に敏感な分野で実用的なツールとして使用される1991年から2020年の9月の平均気温を0.93 ℃上回った。

「6月以来、世界は陸と海で前例のない暑さを経験している。気温の異常は非常に大きく、これまでに観測されたものよりもはるかに大きい。南極の冬の海氷の面積は、この時期としては観測史上最低となった。特に懸念されるのは、温暖化効果のあるエルニーニョ現象がまだ進行中であり、この記録的な気温が数カ月間続き、環境や社会に連鎖的な影響を与えることが予想されることだ」とWMO事務局長のペテリ・ターラス教授は述べた。

2023年1月から9月の地球の気温は、これまで歴年として最も暖かかった2016年の同期間よりも0.05℃高く、産業革命以前の平均(1850年から1900年)よりも1.40℃高かった。1991年から2020年の平均よりも0.52°C高かった。

南緯60度から北緯60度(外極海洋)にかけての9月の平均海面水温は20.92℃に達し、9月としては過去最高を記録し、月全体では2023年8月に次いで2番目に高い値となった。

2023年よりも2024年の世界の平均気温が高くなる可能性

実は、今年は5月頃にエルニーニョ現象が発生したが、WMOは、同現象の温暖化の影響は翌年より大きくなるとしており、2023年よりも2024年の世界の平均気温が高くなる可能性が大きいとしている。

まさに、「異常気象は新常態(ニューノーマル)」と言えそうだ。

映画観客動員ランキングで『ONE PIECE FILM RED』が、約1年ぶりに1位を獲得

前週末(10月20日-22日)の映画の観客動員ランキングでは、2022年8月に公開され大ヒットを記録し、1ヵ月限定のアンコール上映が始まった『ONE PIECE FILM RED』が、約1年ぶりに1位を獲得(興行通信社調べ、以下同じ)。累計成績は動員1,440万人、興収198億7,100万円を突破。

第2位は8月号で特集し、5週連続1位となっていた『ミステリと言う勿れ』がワンランクダウン。累計成績は動員298万人、興収40億円を突破。

第3位は前月号で特集した『ザ・クリエイター/創造者』が初登場ランクイン。公開日に鑑賞したが、ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』(2014年公開)を手掛けるなど親日家のギャレス・エドワーズ監督だけあって、看板等に日本語の表記も多く、渡辺謙さん演じるAIが時折、日本語を話すなど、最新のテクノロジーとアジアテイストが融合した作品に仕上がっている。

第4位には『おまえの罪を自白しろ』が初登場ランクイン。真保裕一氏の同名小説を基に、警察VSマスコミVS国家の巨大な闇に切り込むタイムリミットサスペンス。前週末鑑賞したところ、中島健人さん演じる議員秘書「宇田晄司」の名刺が配布された。裏側は写真付きだが、名刺は珍しい。筆者の経験では初めて。出演は他に、堤真一さん、池田エライザさんら。

第5位は前月号で特集した『アナログ』が前週の5位からランクダウン。切ない映画だが、最後に希望の光も。二宮和也さんや波瑠さんの演技力も秀逸。

この時期は、映画興行においては、端境期だがパンデミックの影響もあり、昨年同様、今秋も内外の注目作品が公開

10月も下旬となり、ようやく、秋の風情が強まってきた。

この時期は、映画興行においては、夏休み明けからクリスマス休暇前の端境期で、通常は大作映画の公開は少ない。

但し、昨年同様今秋も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで公開が遅れた作品の影響もあり、今後も内外の注目作品の公開が予定されている。

尤も、来年に関しては、米国の俳優組合のストライキの影響で、ハリウッドの大作映画の公開は遅延が予想される。

10月27日公開の『 唄う六人の女』は、竹野内豊さんと山田孝之さんダブル主演のサスペンススリラー。

ある日突然、40年以上も会っていない父親の訃報が入り、父が遺した山を売るために生家に戻った萱島と、その土地を買いに来た開発業者の下請けの宇和島。契約の手続きを終え、人里離れた山道を車で帰っている途中に、二人は事故に遭い気を失ってしまう。目を覚ますと、男たちは体を縄で縛られ身動きができない。そんな彼らの前に現われたのは、この森に暮らす美しい六人の女たち。何を聞いても一切答えのない彼女たちは、彼らの前で奇妙な振る舞いを続ける。異様な地に迷い込んでしまった男たちは、この場所からの脱走を図るが。

27日公開の『ドミノ』は、ベン・アフレックさんとロバート・ロドリゲス監督がタッグを組んだアンリアル・エンターテイメント作品。

最愛の娘が行方不明になってしまった刑事ダニー・ロークは、心身のバランスを崩しているが、正気を保つために現場の職務に復帰する。そんな彼のもとに、銀行強盗を予告するタレコミが入る。現場で不可解な動きをする容疑者が娘の行方に関与している手がかりを見つけたロークは、ふたりの警官を伴って屋上まで男を追い詰めるも、警官は突然暗示をかけられたようになってお互いを撃ち殺し、男は屋上から飛び降り姿を消す。決して捕まらない男を追い、現実と見紛う世界に踏み込みが、打つ手がないロークは、占い師のダイアナ・クルスに協力を求める。ダイアナによれば、ロークの追う男は相手の脳をハッキングしていると言う。

やはり、27日公開の『SISU シス 不死身の男』は第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老兵とナチス戦車隊の死闘を描いたマッド・エンターテインメント作品。

ナチスの侵攻により焦土と化したフィンランドを旅する老兵アアタミ・コルピと愛犬ウッコは、掘り当てた金塊を運ぶ途中でナチスの戦車隊に目をつけられ、「おたずね者」として追われる。アアタミが手にしているのはツルハシ1本だけ。それでも戦場に落ちている武器と知恵をフル活用し、ナチス戦車隊に囲まれて銃弾の雨を浴びながら地雷原を駆け抜けても、荒野で縛り首にされ窮地に陥っても、上空で戦闘機にツルハシを引っ掛け宙吊りになっても絶対に死なない。多勢の敵を相手にアアタミはいかにして戦い、そして生き抜くのか?

タイトルの「SISU(シス)」とは翻訳不可能とされるフィンランドの古き良き精神。あえて言うならば、想像を絶するほどの意志の強さ、何があっても折れない心。かつては、少数で多勢の敵軍を打ち破った実在の軍人たち、フィンランドの狙撃手シモ・ヘイヘ(敵国からは白い死神として恐れられた)をはじめ、母国の独立を守り抜いた偉人達が大切にしてきた、反骨精神である。

「ゴジラ-1.0」

「ゴジラ-1.0」
全国東宝系にてロードショー
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11月3日公開の『ゴジラ-1.0』(ゴジラ・マイナスワン)は、「ゴジラ」生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴監督が監督・脚本・VFXを手がけた。

舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。残された名もなき人々に、ゴジラに対して生きて抗う術はあるのか。

主演を神木隆之介さん、ヒロイン役を浜辺美波さんが務め、山田裕貴さん、青木崇高さん、吉岡秀隆さん、安藤サクラさん、 佐々木蔵之介さんら実力派俳優が集結。

11月10日公開『マーベルズ』は、「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」に属する作品で、アベンジャーズ最強の女性ヒーロー、キャプテン・マーベルを主役に描いた『キャプテン・マーベル』に続くシリーズ第2弾。

キャプテン・マーベルとの「ある過去」の因縁から復讐を誓う謎の敵が現れる。その狙いは、地球をはじめ彼女が守ってきたすべてを滅ぼすことだった。最凶最悪の敵サノスを圧倒する力でも救えない危機が迫るなか、彼女を家族のように慕う敏腕エージェント「モニカ・ランボー」、彼女に憧れるアベンジャーズオタクの高校生ヒーロー「ミズ・マーベル」と、3人が入れ替わる謎の現象が発生。これまで一人で戦ってきたキャプテン・マーベルは仲間との運命的な繋がりからチームを結成し、新たな「強さ」に目覚めてく。

キャプテン・マーベル役はオスカー俳優のブリー・ラーソンさん。ミズ・マーベルことカマラ・カーンをドラマシリーズ『ミズ・マーベル』に続きイマン・ベラーニさん、モニカ・ランボー役をドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』に続きテヨナ・パリスさんが演じる。サミュエル・L・ジャクソンさん扮するニック・フューリーも登場。

11月10日公開の『法廷遊戯』は第62回メフィスト賞を受賞した作家・弁護士の五十嵐律人氏による法廷ミステリー小説を永瀬廉さん主演で映画化。

法律家を目指し、法科大学院に通うセイギこと久我清義(きよよし)と、同級生の織本美鈴、2人の同級生で校内で模擬裁判する「無辜(むこ)ゲーム」の主宰者・結城馨は、共に勉強漬けの毎日を送っていた。無事、司法試験に合格し、弁護士となった清義のもとに、馨から無辜ゲームをやろうという誘いがくる。しかし、呼び出された場所へ行くとそこには血の付いたナイフを持った幼なじみの美鈴と、すでに息絶えた馨の姿があった。この事件をきっかけに、暴かれてゆく封印されていた3人の秘密。追い込まれた清義は究極の決断をするが。二転三転する真実、四転五転する真相、そして驚愕の結末が待つ、予測不能のノンストップ・トライアングル・ミステリー、開廷。

11月17日公開の『スラムドッグス』は、捨てられた犬たちが飼い主に復讐を企てる姿を描くコメディ映画。

ある日、犬のレジーは、飼い主ダグに家から遠い場所に捨てられてしまう。しかしピュアなレジーは、投げられたボールを取りに行く、いつもの「取ってこいクソッタレ」ゲームだと信じていた。家を目指してさまよっていると、ノラ犬界のカリスマ・バグと出会う。レジーの話を聞いたバグは「捨てられたんだよ。お前は今日から『ノラ犬』だ」と断言する。飼い主ダグが最低なヤツだと気付いたレジーは、まさかの方法で復讐することを決意。「あいつの大切なチ○コを噛みちぎってやる」大胆なレジーの計画に賛同したバグの友達であるマギーとハンターも仲間に加わる。

「史上初」は国際政治の世界でも頻発、米下院議長が初めて解任、3週間経っても後任決まらず、機能停止状態続く

前述の通り、気候においては、観測史上初というのは今やありふれた話題になりつつあるが、最近は国際政治の世界でも頻発している。

今月は米政治において、史上初の事態が発生、今なお、混乱が続いている。

米下院議長が史上初めて解任されたのだ。米下院は2022年11月の中間選挙で共和党が多数派を奪回したが、トランプ前大統領に近い保守強硬派が台頭したことで、1月の議長選挙時にも、計4日間15回の投票の後、ケビン・マッカーシー氏が議長に選出された。10回以上の採決を要したのは、1859年12月5日から1860年2月1日にかけて、44回の投票で選出されて以来、163年ぶりだった。

そのマッカーシー氏だが、政府機関閉鎖を避けるため、9月末に超党派の歳出継続法案を下院で可決させたことに、保守強硬派が激怒し、10月3日に共和党のマット・ゲーツ議員から解任動議が提出され、民主党と共和党の保守強硬派の賛成で可決され、解任されてしまった。

解任動議の提出自体が過去2回しかなく、本会議で採決されたのは1910年のジョセフ・キャノン議長に対するもの1回だけで113年ぶりとなった。但し、1910年は否決されたため、下院議長が解任されたのは米政治史上初めて。

しかも、その後、共和党の議長候補に最初に選出されたスティーブ・スカリス院内総務は自ら撤退。

その後に議長候補に選出された保守強硬派のジム・ジョーダン氏は下院本会議で行われた本選で3回の投票とも過半数を得られず、造反票が拡大した。その後、下院共和党内で議長候補から投票で除外され、議長解任から3週間を経て、下院議長選は振出に戻ることになった。

24日に3人目の議長候補に選出されたトム・エマー院内幹事は過半数確保の目途立たず、スカリス氏同様、直後に撤退。

同日夜にジョーダン氏と同じく保守強硬派のマイク・ジョンソン議員が4人目の議長候補に選出された。

25日の下院本会議で第56代議長に選出されたが、先行きは不透明だ。

ジョンソン氏は51歳。弁護士でトランプ氏が大統領に選出された2016年の議会選で下院ルイジアナ第4区から初当選し、現在4期目で6年10カ月しか経験がない。

議長就任としては、1883年12月に下院議員4期目で議長に就任したジョン・G・カーライル氏以来のキャリアの短さだ。

バイデン氏が勝利した2020年の大統領選の結果に異議を唱え、全国的な中絶禁止を支持、同性婚に反対。2019年からは2021年は保守派議員団体である共和党調査委員会の委員長を務め、民主党から「極右」と呼ばれている人物だ。

11月17日には、歳出継続法が期限切れ、バイデン政権は1,060億ドルの追加予算を要請

11月17日には、歳出継続法の期限が切れ、政府機関閉鎖のリスクが再燃する。

一方、バイデン政権はイスラエル・ガザ戦争の勃発と、ウクライナ支援資金切れが12月上旬に迫っていることを受け、20日、連邦議会に対し、1,060億ドル(約16兆円)規模の追加予算を議会に要請した。ウクライナやイスラエルへの支援、国境警備、人道支援、台湾支援等広範囲な対策資金が含まれる。

ウクライナ支援には614億ドル。半分以上は軍事支援で、残りは経済支援や人道支援等に充てられる。

イスラエル支援には143億ドル。大半が軍事支援で、イスラエルの近接防空システム「アイアンドーム」のミサイルやF-16戦闘機等から投下する精密誘導爆弾、155ミリ榴弾砲用の砲弾等が含まれる。

国境警備には136億ドル。国境警備隊員や入国審査官、拘置所の要員の増員やフェンタニル密売対策費等が含まれる。

人道支援には91億5,000万ドル。パレスチナ、イスラエル、ウクライナ等の民間人への支援が含まれる。

台湾とインド太平洋に74億ドル。台湾への軍事支援等、途上国やインド太平洋での中国への対抗措置に40億ドル(外国への軍事資金として20億ドル)。米国の潜水艦建造資金に34億ドルが充当される。

「政界、一寸先は闇」は、世界共通語

議長解任から22日目にようやく、ジョンソン氏が議長に選出されたが、同氏を含め共和党の保守強硬派は大幅歳出削減を要求、ウクライナ支援にも反対姿勢を示しており、法案の行方は見通せない。

我が国でも年内解散観測が依然燻っているが、「政界、一寸先は闇」は、世界共通語のようだ。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。同投資戦略室長、大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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