アナリストの忙中閑話【第151回】

アナリストの忙中閑話

(2023年12月14日)

【第151回】2023年のワードは「アレ(A.R.E.)」「AI」「rizz(リズ)」など、漢字は「税」、2024年の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」、政変の年、注目映画

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

2023年の新語・流行語年間大賞は「アレ(A.R.E.)」

2023年の世相を表す言葉を決める「2023年ユーキャン新語・流行語大賞」(自由国民社『現代用語の基礎知識』選)の年間大賞は「アレ(A.R.E.)」に決まった。

阪神タイガースの岡田監督が提唱したセリーグ優勝を意味する隠語と同チームのスローガン(えー・あーる・いー、注)を意味する言葉だ。

(注)個人・チームとしての明確な目標を意味する「Aim」の頭文字「A」、野球や諸先輩方への敬いの気持ちを意味する「Respect」の「R」、個々のパワーアップを意味する「Empower」の「E」を合わせたもの。

ちなみに、1985年以来38年ぶりとなった日本シリーズ優勝を意味する言葉は前月号で特集した「アレのアレ」だ。

同大賞は、2021年の「リアル二刀流/ショータイム」、2022年の「村神様」に続き、3年連続で野球関連が選ばれた。2020年は「3密(密閉、密集、密接)」、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防策を選出。

今年の漢字は「税」

一方、清水寺で毎年12月12日に発表される日本漢字能力検定協会が全国から募集し、最も選んだ人が多かった「今年の漢字」は、2022年は「税」となった。1年を通じて増税議論が活発に行われたほか、定額減税、ふるさと納税、インボイス等、税に関する話題が多かった。

同協会は1995年から、「いいじ・いちじ」と読む12月12日の「漢字の日」に「今年の漢字」を発表、2023年は29回目。

2022年は「戦」とロシアのウクライナ侵攻やサッカーW杯での日本代表の活躍などが意識された。2021年は「金」と東京五輪での日本選手や大谷選手の活躍等をイメージするスポーツ関連、2020年は「密」とCOVID-19関連が選出されている。

2023年の単語、コリンズ英語辞典は、「AI:人工知能」、オックスフォード英語辞典は「rizz(リズ):魅力」を選出

ところで、海外では、「2023年の単語」には何が選ばれたのだろうか。英国のグラスゴーに本部を置く英語辞典の「コリンズ・イングリッシュ・ディクショナリー」は、今年の単語(Word of the Year 2023)に「AI:人工知能」を選出した。

コリンズはAIを「コンピュータプログラムによる人間の精神機能のモデル化」と定義、「次なる大規模な技術革新と目されるAIは、2023年に急速な発展を遂げ、様々な分野で話題に上った」としている。2023年、使用数は4倍になったとのことだ。

パンデミックに伴う供給制約に加え、ウクライナ戦争の勃発で世界的に高インフレが進行した2022年の単語は「パーマクライシス:危機の長期化(長期にわたる不安定で安心できない状況)」だった。2021年は「NFT、non-fungible token:非代替性トークン」、2020年は「Lockdown:ロックダウン、都市封鎖」、2019年は「climate strike:気候ストライキ」だった。

一方、英オックスフォード大学出版局が出版する「オックスフォード英語辞典」は、今年の単語(Word of the Year 2023)として、「rizz(リズ)」を選出。

「rizz」は「charisma:カリスマ」の短縮形とみられ、主に「Z世代」など若者が「魅力」を表すスラングとしてインターネット上で使用している。オックスフォード大学出版局は「rizz」を「スタイル、魅力、愛嬌、ロマンチックなパートナーを引き付ける能力」と定義しており、筆者のような年代が使う「カリスマ的魅力」とはやや意味が異なるようだ。

2022年は「goblin mode:ゴブリンモード」、恥ずかしげもなく自分勝手で、怠惰で、ずぼらで、貪欲な行動」を指すスラング)。「オックスフォード英語辞典」は2022年から一般投票で絞り込まれ、辞書編集者が最終決定を行う方式に変更されたことで、若者が使用するスラングが上位に来るようになったと考えられる。なお、ゴブリンとは、人間に悪さをしたりトラブルを引き起こしたりする、緑色で醜い姿の架空の生き物。「ハリーポッター」シリーズ等などにも登場するが日本語では「小鬼」と訳されることが多い。

2021年は「vax、a vaccine or vaccination:ワクチンまたはワクチン接種」を選出。

2020年は「2020、Words of an Unprecedented Year(前例のない年となった2020年の単語群)」を選出。トランプ前米大統領の「impeachment:弾劾」などに加え、「Covid-19」、「lockdown(都市封鎖)」、「shelter-in-place」、「remote」、「social distancing(社会的距離の確保)」、「reopening(経済活動の再開)」、「WFH(在宅ワーク)」など、COVID-19関連が多く選出されている。

2019年は「climate emergency:気候緊急事態」だった。

メリアム・ウェブスターは「Authentic:本物」を、ケンブリッジ英語辞典は、「hallucinate(幻覚を起こす)」を主に検索数から選出

ウェブスター辞典を発行している英国の出版社「メリアム・ウェブスター」は「Word of the Year 2023:2023年の単語」に「Authentic(オーセンティック):本物、正真正銘」を選出した。

同社によると、「オーセンティック」は今年、検索数が大幅に増加。「AI(人工知能)の台頭がこの言葉への関心を後押しした」とし、本物と偽物の境界線がますます曖昧になっているとの見方を示した。

他に今年、検索が多かった単語は、前述の「rizz」、改ざんされた画像や音声を指す「deepfake(ディープフェイク)」、チャールズ英国王の戴冠式で検索が多かった「coronation(コロネーション)」などがあった。

一方、英国のケンブリッジ英語辞典は、「Word of the Year 2023:2023年の単語」に、やはり検索数の多さから「幻覚を起こす」という意味の「hallucinate(ハルシネイト)」を選出。

「2023年の単語」の潮流は、AI関連が多い、若年層が長時間滞留するインターネット空間にAIが進出してきたことが影響か

2023年の「今年の単語」の潮流は、AI関連が多いが、以前と異なるのは、科学技術の進歩という意味での話題性ではなく、「ChatGPT」等の普及で日常生活、特に若年層が長時間滞留するインターネット空間にAIが進出してきたことが大きく影響したようだ。

実際、過去数年間で、「今年の単語」は世界中に大きな影響を与えた「気候危機」や「パンデミック」等から、私的なスラングが多くを占めるようになった。

2022年には、「コリンズ・イングリッシュ・ディクショナリー」でも、「quiet quitting」がノミネーされていた。

「quiet quitting」は直訳すれば、「静かな退職」となるが、実際には、必要最低限の仕事しかしない、必要以上に働かない、がんばり過ぎない働き方を意味し、欧米では「Z世代」を中心に共感されている。

背景には、COVID-19のパンデミックを契機に、リモートワーク(テレワーク)等が拡がり、仕事のスタイルが大きく変化したことが挙げられる。パンデミックでの多数の死者や後遺症が発生、党派対立の深刻化、ウクライナ戦争等で多数の犠牲者が出る中、厭世的な気分が高まった面もありそうだ。

COVID-19パンデミックやウクライナ戦争、高インフレ等、危機の長期化により、若者の意識変化は構造的なものになる可能性

我が国でも近年、ワークライフバランスや働き方改革が叫ばれる中、東京五輪の2020年開催(当初予定)を控え、混雑防止の観点から、2019年にはリモートワークの普及が呼びかけられたが、当時は一向に進まなかった。但し、2020年4月、政府から緊急事態宣言が出されると、一気にリモートワークが普及、在宅勤務が当たり前に。業種や職種によるものの、2020年春以降に就職した社会人にはそうした環境しかしらない者も多い。

ゴブリンモード同様、COVID-19パンデミックやウクライナ戦争、第2次オイルショック以来40年ぶりの高インフレ等危機の長期化が、人々特に若者の意識変化を促したようだ。

2023年に入っても、世界的にインフレは高止まりしており、欧米の中央銀行は政策金利を20年ぶりの高水準に維持したままだ。特に我が国では消費者物価はバブル期以来30年ぶりの上昇幅のままだ。

世界の社会・経済・安全保障環境は、1989年のベルリンの壁崩壊やその後のソ連邦の崩壊、中国の改革開放政策導入で、特に21世紀に入り、大きく変化

筆者は世界の社会・経済・安全保障環境は、1989年のベルリンの壁崩壊やその後のソ連邦の崩壊、中国の改革開放政策(1989年の天安門事件により同政策は一旦中断)導入の影響で、特に21世紀に入り、大きく変化したと認識している。

ちなみにG7にロシアが加入し、G8となっていたのは、1998年のバーミンガムサミットから2014年のロシアのクリミア併合までだった。

東西冷戦の終焉・軍縮により、「ヒト・モノ・カネ」のコストが大きく低減し、市場が急拡大、軍事技術・科学者が民間に移転し、ICT化等技術革新が進んだことで、低物価・低金利・高成長のビジネスモデルが生まれた。その恩恵を最も受けたのが米国である。

ちなみに筆者が80年代初頭の学生時代に全米を2か月かけて訪問した際、主要都市の多くは浮浪者であふれ、治安も悪かった。但し、物価は当時の日本の半分程度と安かった。

その後、1980年代から1990年代初頭のバブル期には、日本は名実ともに「ジャパン・アズ・ナンバーワン」となった。筆者の記憶では、一時的ではあるものの、バブル期には、NTTの時価総額がニューヨーク証券取引所の時価総額に、東京都の山の手線の内側の地価総額がカナダの地価総額に、23区の地価総額が米国の地価総額に並ぶことになった。

一方、近年は米国の「荒野の七人:The Magnificent Seven」と呼ばれるアルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、エヌビディア、テスラの7社のうち、上位2社、現在はアップルとマイクロソフトの時価総額が東証のプライム市場の時価総額とほぼ同等となっている。

但し、東西冷戦再燃とグローバル化の巻き戻し、地経学(geo-economics)的分断の深化は、国際情勢を大きく変化させつつある。COVID-19のパンデミックとロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ガザ戦争の勃発、中国の新体制が懸念される中、大戦前や冷戦期のようなブロック経済化が進展すると、インフレ長期化の可能性も想定される。気象災害の激甚化、頻発化やグリーンフレーションもコストアップ要因だ。

加えて、我が国では、少子高齢化の進展による人手不足等供給不足の深刻化、南海トラフ地震等巨大地震・噴火・スーパー台風等もリスク要因だ。

2024年に向けても、構造変化への対応が急務と言えそうだ。

2024年(令和6年)の干支は「甲辰(きのえ・たつ、コウ・シン)」

2024年(令和6年)の干支は「甲辰(きのえ・たつ、コウ・シン)」。

「甲辰」は、「干支」の組み合わせの第41番目。

「甲」は十干の最初の干で、「甲」の古代文字は、亀の甲羅の文様の象形文字とみられる。そこから、固い殻を破った物の総称となり、植物では「よろい」をつけた草木の芽(鱗芽)が、その殻を破って頭を少し出した状態を表す。「甲」は「はじめ・はじまり」を意味し、「はじめ」とも読む。「甲」は新たな生命、新たなる創造に通ずる。方角は東(東北東)を指す。植物が若芽をなびかせて動き、盛んに成長するさまを表す。

一方、「辰」は十二支の第5番目で、動物では「龍」、方角は東南東、時刻は午前8時、月では旧暦3月を表す。「辰」は、手で岩石を動かす象形や、「蜃(しん:大はまぐり)」の象形文字で、大蛤が足の肉を動かしている姿とされている。「蜃」は、「みずち」といわれる「蜃気楼」を作り出すといわれる伝説上の生き物である。「辰」は、「振」や「伸」、「震」に通ずるとされる。植物が若芽をなびかせて動き、盛んに成長するさまを表す。

2023年の「癸卯」の年には、指導力が問われ、2024年の「甲辰」には、新たな体制が始まる可能性、新たな政策の旗頭が必要に

(干支的に解説すると)「甲」と「辰」を合わせると、2016年の「丙申(ひのえ・さる)」に勢力を拡大した経済や政治権力等が、2017年の「丁酉(ひのと・とり)」には、一段と勢いを増すが、2018年の「戊戌(つちのえ・いぬ)」には、その極致に達し、2019年の「己亥(つちのと・い)」にはピークアウト。2020年の「庚子(かのえ・ね)」には、新たな変化、潮流が生じ、2021年の「辛丑(かのと・うし)」には、新勢力が表舞台に立つが、周囲の抵抗も大きく、伸び切れない。2022年の「壬寅(みずのえ・とら)」には、新たな勢力がようやく伸長。但し、2023年の「癸卯(みずのと・う)」の年には、指導力が問われ、2024年には、新たな体制が始まる可能性を意味することになる。

2024年には、新たな政策の旗頭が必要になりそうだ。岸田首相にとっては、優先順位を明確にし、「決断と実行」に加え、自らの発信力も重要となろう。

辰年は政変の年

辰年は政変の年でもある。

前回、60年前の「甲辰」である1964年(昭和39年)には、東海道新幹線が開業、東京オリンピックが開催され、高度成長を謳歌。但し、宏池会を旗揚げした池田勇人首相はオリンピック閉会式翌日の10月25日に癌のため退陣表明、佐藤栄作氏を後継に指名し、11月に第1次佐藤政権が発足することになった。

1976年(昭和51年)には、オイルショック後の混乱の中、ロッキード事件が表面化、政界が徐々に流動化。12月には衆院選で自民党が過半数を割り込み、三木武夫内閣に代わり、福田赳夫内閣が発足。

バブル真只中の1988年(昭和63年)には、リクルート事件が表面化、その後の細川非自民政権の成立に繋がって行く。

2000年(平成12年)には、小渕恵三首相死去に伴い第1次森喜朗内閣が発足。

2012年(平成24年)には、野田首相率いる民主党が総選挙で大敗、自民党の第2次安倍晋三内閣が発足、その後、第1次政権とあわせ歴代最長政権となった。

「辰年」は中国にまつわる話題が多い、2012年には習近平氏が中国共産党中央委員会総書記に就任

海外では、辰年は中国にまつわる話題が多い。

1964年には中国で初めての原爆実験が行われ、1976年には毛沢東中国共産党中央委員会主席が死去し、華国鋒氏が党主席に就任、いわゆる「4人組」を追放し、毛沢東路線が実質的に終焉した。

1988年の前年の1987年には胡耀邦党主席が解任され、1989年に死去したことで、同年の天安門事件に繋がることになった。

2000年には台湾で総統民選により初めて中国国民党以外の総統である陳水扁総統が誕生、独立志向が強いとされる民進党政権の樹立で中国と台湾との関係が変化。

2012年には習近平氏が中国共産党中央委員会総書記に就任、2022年には3選、次回2027年の中国共産党全国代表大会では4選ないし毛沢東氏が就いていた中央委員会主席のポストを復活し就くとの観測も根強い。

2024年はパリで夏季オリンピック開催、3つの大統領選

2024年は、7月26日(金)から8月11日(日)まで、パリで第33回夏季オリンピックが開催される。パリでの開催は1900年、1924年に続き、3回目。

なお、サッカーとラグビーは7月24日、ハンドボールは25日から試合が行われる。

3週間余りのこの期間中、32競技329種目が行われ、難民選手団と合わせて206のNOCが参加する。

夏季オリンピックの開催年は、米大統領選等、選挙の年でもある。

2024年も、1月13日には台湾総統選、3月17日にはロシア大統領選、11月5日には米大統領選と、我が国と海を挟んで接する3つの国・地域で重要な選挙が行われる。

プーチン氏がロシア大統領選に出馬表明、83歳まで続投の可能性

ウラジーミル・プーチン大統領(71歳)は12月8日、ウクライナ侵攻に参加する軍人らへの勲章授与式で、出馬表明を行った。支持率は8割程度あり、当選はほぼ確実だ。

ロシア大統領の任期は6年で2期まで可能。3年前の改憲で自らの任期はリセットされたため、最も長くて2期12年、83歳まで続投が可能となった。独裁色が一段と強まることになりそうだ。

一方、ロシア大統領選は、「ラスプティッツア(雪解け)」の影響で2023年11月以降、膠着状態にあるウクライナ戦争に関しても、硬軟両面で局面変化をもたらす可能性がある。

米大統領選、予断を許さない展開、分断深化も

11月5日には、米大統領選、議会選が実施される。支持率等を勘案すると、民主党の候補は現職のバイデン大統領、共和党の候補はトランプ前大統領と、2020年の再現となる可能性が高い。

4回の共和党候補者討論会(トランプ氏は欠席)を経て、足元では元国連大使のニッキ・ヘイリー氏の支持率が上昇、フロリダ州知事のフロリダ州知事のロン・デサンティス氏に並ぶ状況だ。

RCPによると、11月26日から12月11日の平均支持率では、トランプ氏の60.5%に対し、デサンティス氏が12.5%、ヘイリー氏は12.3%。テレビ討論会の影響もあり、2位と3位は拮抗。

但し、トランプ氏は熱狂的な支持者を多く抱えていることに加え、代議員の総取り方式が多い共和党予備選のシステム等も勘案すると、トランプ氏の優位は動かないとみられる。

一方、11月5日の本選に関しては、前月号で指摘したように、今回は様々な変数が浮上、予断を許さない展開となりそうだ。

両者の支持率はほぼ拮抗しており、前回同様、無党派層の投票行動が帰趨を決することになりそうだ。

トランプ大統領は連邦法違反で2件、州法違反で2件の訴追案件を抱え、今後、有罪判決が出ることになれば、無党派層が一段と離反する可能性がある。

一方、バイデン大統領も支持率が40%程度で低迷、特に、インフレ長期化の影響等で、本来、民主党の支持基盤である黒人やヒスパニックの支持率が低下しており、不安要因となっている。

また、両者の一騎打ちに影響を与えそうなのが、無党派や第3政党からの立候補だ。

既に、ケネディ元大統領の甥のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が無所属での出馬を表明している。ケネディ氏は元は民主党員だが、反ワクチン派であり、各種の陰謀論を唱えるなど、主張は共和党に近い面も多い。

また、第 3 政党グループ「ノーレーベルズ:NO LABELS」は、民主・共和両党の指名を見極めたうえで 正副候補の擁立を検討する考えを示している。

2024年の議会選挙への不出馬を表明した民主党穏健派のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州選出)の動向も注目される。

ケネディ氏の出馬はむしろ、共和党支持層から票を奪うとの見方もあるが、マンチン氏の出馬はバイデン氏に不利に働くとみられる。

一方で、2024年の大統領選・議会選では、候補者ではなく、党の政策本位で投票する有権者が増えるとの見方もある。

2023年の選挙の日は、11月7日(火曜日)だった。米国では、「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」は「選挙の日:Election Day」と呼ばれ、公職の選挙が実施される日となっている。

2023年は大統領選も中間選挙もない「オフ・イヤー選挙:Off-year election」だったが、投票率は2022年の中間選挙並みに高い選挙が多く、民主党が予想外に健闘することになった。

いわゆる「スイングステート(接戦州)」のバージニア州では、民主党が州議会の上下両院で多数派となり、「赤い州」と呼ばれる共和党地盤州のケンタッキー州では民主党の知事が再選された。また、オハイオ州では中絶の権利を保証する規定が州憲法に明記された。

2022年の中間選挙でも中絶問題が焦点となり、劣勢が伝えられた民主党の善戦に繋がったが、2024年も再現される可能性がある。特に中絶問題が自身の問題に直結する「Z世代」は他の世代よりも、政治的関心が強く、投票率も高くなる傾向がある。「Z世代」の動向に注目したい。

尤も、2023年11月20日に81歳となったバイデン大統領の再選がかなったとしても、低支持率でレームダック化は避けられないだろう。米国内の「溝」「分断」は益々深くなりつつある。政治的混乱は長期化しそうだ。

米相場格言では「辰巳天井」、辰年の株式パフォーマンスは十二子中トップ

株式相場に関する相場格言では、「辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌笑い、亥固まる、子は繁栄、丑つまずき、寅千里を走り、卯跳ねる」とされている。

2023年は「卯跳ねる」の格言通り、株式相場は上伸したが、欧米金利の高止まり観測から夏にかけて、大幅調整もあり、変動の大きい展開となった。

2024年は、「辰巳天井」の1年目だが、政治・政策次第では、2024年・2025年が国力の最後の天井となり、その後は長期の衰退局面に陥りかねない。

実際、24年前の辰年の2000年、我が国では、1998年の金融危機・デフレ経済を受けて、1999年2月に日銀が導入した「ゼロ金利政策」を8月に解除したが、その後、ITバブルの崩壊等受けて、翌2001年3月には量的緩和政策を導入することとなった。

一方、政界では、2000年4月に小沢一郎氏が率いる自由党が自自公連立政権から離脱、直後に小渕首相が死去し、5月に森内閣が発足するも、6月の衆院総選挙では、「神の国」発言等から、与党は惨敗した。一方、民主党は、32議席増の127議席獲得と大躍進、その後、2002年に自由党と合併、2009年の政権交代に繋がることとなる。

12年前の2012年には、夏に社会保障・税一体改革法成立するとともに、12月の衆院総選挙で自民党が大勝し政権交代となった。安倍自民党総裁(当時)はリフレ政策である「アベノミクス」を掲げたことで、衆院の解散が決まった11月中旬以降、株価が急騰、日経平均株価は2013年5月迄の半年で約1.8倍まで上伸することになった。

2024年もデフレからインフレ転換に伴う「貯蓄から投資へ」の流れ本格化期待、「新NISA」の導入や日本銀行によるマイナス金利解除観測等から株式市場への資金流入期待は大きい。

ちなみに、1950年から2022年までの「辰年」の株式パフォーマンス(日経平均年間騰落率)は平均(11.0%)を上回る+28.0%とトップだ。子年の+22.5%、亥年の+17.3%、卯年の16.4%と続く。

図表1.十二支ごとの日経平均年間騰落率(1950〜2022年平均)

図表1.十二支ごとの日経平均年間騰落率(1950〜2022年平均)

  • 出所:QUICK資料等よりSMBC日興証券作成

映画観客動員ランキングで『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が初登場で第1位を獲得

前週末(12月8日-10日)の映画の観客動員ランキングでは、前月号で特集した『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』が初登場で第1位を獲得(興行通信社調べ、以下同じ)。早速、公開日に鑑賞したが、ミュージカル調だがストーリー展開もしっかりしておりお薦めの作品。主演は「新時代のプリンス・オブ・ハリウッド」「Z世代のレオナルド・ディカプリオ」などと称されるティモシー・シャラメさん。

第2位は、汐見夏衛氏原作の小説を福原遥さんと水上恒司さんのW主演で映画化した『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』がやはり、初登場でランクイン。

第3位は、前週と同じく『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』。累計成績は動員81万人、興収11億5,000万円を突破。前週末に鑑賞したが、横溝正史調の長編アニメ映画で、3週連続で興収がアップしているのも頷ける作品。

第4位は、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』同様、前月号で特集した『翔んで埼玉〜琵琶湖より愛をこめて〜』。2週連続1位からランクダウン。累計成績は動員107万人、興収14億7,700万円超。第1作を凌駕するスケールに加え、甲子園の登場等、「アレのアレ」にも繋がる作品となっている。

第5位は公開6週目を迎えた『ゴジラ-1.0』(ゴジラ・マイナスワン)。累計成績は動員270万人、興収41億5400万円を突破。

『ゴジラ-1.0』は今月に入り、特集記事を米ニューヨークタイムズやワシントンポストが相次いで配信するなど、海外でも注目が集まっている。米国でのタイトルは『Godzilla Minus One』。

米国では12月1日に公開され、全米の累計興収は12月12日現在で、2,767万ドルを突破。邦画実写作品として歴代1位を記録した『子猫物語』(日本1986年、北米1989年公開)の1,329万ドルを抜き、34年ぶりに記録を更新(Box Office Mojo調べ)。オープニング3日間では1,141万ドルと、北米で2023年に公開した外国映画(非英語作品)として第1位の成績。

本コラムで特集した作品としては、他に第6位に『窓ぎわのトットちゃん』、第7位に『首』 、第9位に『ナポレオン』、第10位に『怪物の木こり』がランクイン。

『ナポレオン』は英雄ナポレオンの砲兵時代からセントヘレナ島で死去する迄の生涯を描いており、壮大なスケールとともに、世界史の復習のためにも有益か。

2024年に向けても注目映画の公開が続く、海外俳優の来日も急増へ

2024年に向けても、注目映画の公開が続く。

前述のティモシー・シャラメさんは、ヒュー・グラントさんやポール・キング監督とともに11月18日に初来日したが、パンデミックに伴う制限が解除されたことに加え、米俳優組合のストが終結したことで、海外の俳優も続々と来日の予定だ。

12月15日公開の『ウィッシュ』は、『アナと雪の女王』のスタッフ陣が贈る、2023年にウォルト・ディズニー・カンパニーが創立100周年を迎え、その記念作となるドラマティック・ミュージカル・アニメーション。

願いが叶う魔法の王国に暮らす少女アーシャの願いは、100歳になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての「願い」は魔法を操る王様に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう。みんなの願いを取り戻したいという、ひたむきな思いに応えたのは、「願い星」のスター。空から舞い降りたスターと、相棒である子ヤギのバレンティノと共に、アーシャは立ち上がる。「願いが、私を強くする」。願い星に選ばれた少女アーシャが、王国に巻き起こす奇跡とは。

同じく12月15日公開の『屋根裏のラジャー』は、『メアリと魔女の花』のスタジオポノックが、イギリスの詩人・作家のA.F.ハロルド氏の小説「The Imaginary(ぼくが消えないうちに)」を映画化した長編アニメーション。

彼の名はラジャー。世界の誰にも、その姿は見えない。なぜなら、ラジャーは愛をなくした少女の想像の友だち「イマジナリ」。しかし、イマジナリには運命があった。人間に忘れられると、消えていく。失意のラジャーがたどり着いたのは、かつて人間に忘れさられた想像たちが身を寄せ合って暮らす「イマジナリの町」だった。

12月22日公開の『ハンガー・ゲーム0』は、スーザン・コリンズ氏のベストセラー小説を映画化したサバイバル・アクション『ハンガー・ゲーム』シリーズの第5弾で、シリーズ第1作で主人公カットニスがプレイヤーに志願する64年前を舞台に、独裁者コリオレーナス・スノーの若き日を描いた前日譚。

エクスペンダブルズ ニューブラッド

エクスペンダブルズ ニューブラッド
2024年1月5日(金)全国ロードショー
©2022 Ex4 Productions, Inc.

1月5日公開の『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は、シルベスター・スタローンさんを筆頭にアクションスターが多数集結した人気シリーズ『エクスペンダブルズ』の第4弾。

自らを「消耗品」と名乗る最強無敵の傭兵軍団「エクスペンダブルズ」を率いるバーニー・ロス(シルベスター・スタローン)はCIAから下された新たなミッションに挑むため、かつての相棒であるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の元を訪ねる。

バーニーとともに再び組むことを決意したリーがアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間だけではなく、新たなメンバーが顔を揃えていた。新戦力を迎え「ニューブラッド」として生まれ変わったエクスペンダブルズが挑む今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし、失敗すれば第三次世界大戦が勃発しかねない危険なミッションに挑む彼らだったが、敵の卑劣な策の前にミッションは失敗に終わり、大きな代償を払うことに。失われた仲間の意思を継ぎ、そして仇を討つために再びエクスペンダブルズが立ち上がる。

1月5日公開の『コンクリート・ユートピア』は、世界を襲った未曾有の大災害により一瞬で廃墟と化したソウルを舞台に、崩落を免れたマンションに集まった生存者たちの争いを描いたパニックスリラー。

唯一崩落しなかったマンションは、生存者たちで溢れかえっていた。無法地帯となったいま、マンション内でも不法侵入や殺傷、放火が発生。危機を感じた住民たちは主導者を立て、居住者以外を追放し、住民のためのルールを作って「ユートピア」を築き上げることに。住民代表となったのは、902号室のヨンタク。職業不明で冴えないその男は、権力者として君臨したことで次第に狂気を露わにする。

ヨンタクを演じるのは、『G.I.ジョー』などハリウッドでも活躍するイ・ビョンホンさん。『ミッドナイト・ランナー』、『マーベルズ』のパク・ソジュンさんが誠実な公務員ミンソンを演じる。

1月12日公開の『アクアマン 失われた王国』は、DCコミックスのヒーロー・アクアマンを主人公に描いた『アクアマン』(2019年日本公開)の続編。

はるか昔、南極の氷河の奥深くに「失われた王国」が封印された。世界を滅亡させる力を持つ古代兵器、ブラック・トライデントとともに。しかし今その封印は解かれ、かつてない邪悪な力が解き放たれてしまう。立ち向かうのは、海の生物を操る海底アトランティスの王であり、ユーモア溢れるお調子者、アクアマン。5億の海の仲間とともに、かつてない脅威から海と地上の世界を守れるのか。

『ゴールデンカムイ』

『ゴールデンカムイ』
全国劇場にてロードショー
©野田サトル/集英社 ©2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

1月19日公開の『ゴールデンカムイ』は「週刊ヤングジャンプ」に2022年迄連載され、アイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトル氏の漫画を実写映画化。

舞台は気高き北の大地・北海道。時代は、激動の明治末期。日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった203高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。

そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。囚人の刺青は24人全員で一つの暗号になるという。

そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシリパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシリパは、行動を共にすることとなる。

山崎賢人さんが杉元、山田杏奈さんがアシリパを演じ、眞栄田郷敦さん、工藤阿須加さん、玉木宏さん、舘ひろしさんら共演。

1月26日公開の『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』はアニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの劇場版。宇宙に進出した人類が、「コーディネイター」と呼ばれる遺伝子を調整された人類と、「ナチュラル」と称される従来の人類にわかれて対立する世界を舞台に、コーディネイターの少年キラ・ヤマトが戦火に巻き込まれていく姿を描いた2002〜2003年放送のテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」、その続編として2004〜2005年に放送された「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に続く新たな物語が、完全新作として描かれる。

1月26日公開の『哀れなるものたち』はスコットランドの作家アラスター・グレイ氏の同名ゴシック小説を映画化。2023年第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞した。

天才外科医によって蘇った若き女性ベラは、未知なる世界を知るため、大陸横断の冒険に出る。時代の偏見から解き放たれ、平等と解放を知ったベラは驚くべき成長を遂げる。鬼才ヨルゴス・ランティモス監督&エマ・ストーンさんほか、豪華キャストが未体験の驚きで世界を満たす。

他に2024年公開の作品で、筆者が注目しているのは、洋画ではティモシー・シャラメさん主演の『デューン 砂の惑星PART2』(3月15日公開)、『ゴーストバスターズ フローズン・サマー』(3月29日公開)、『ゴジラ×コング 新たなる帝国』(4月26日公開)、『猿の惑星/キングダム』(5月24日米国公開予定)、『ジョーカー フォリアドゥ(原題)』、『マッドマックス フュリオサ(原題)』、『ロード・オブ・ザ・リング ザ・ウォー・オブ・ザ・ロヒアリム(原題)』、『クレイヴン・ザ・ハンター』など。

邦画では、『身代わり忠臣蔵』(2月9日公開)や『陰陽師0』(4月19日公開公開)、『キングダム 大将軍の帰還』(7月12日公開)、『スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナルハッキングゲーム』(秋公開)など。

2024年には洋画の大作が数多く公開される予定だったが、全米脚本家組合と米俳優組合のストなどの影響で、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』やマーベルの『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』や『サンダーボルツ』などは2025年に延期となった。

今回で「アナリストの忙中閑話」は最終号となります。12年間お付き合い頂き誠にありがとうございました。

最後に、1年間、「アナリストの忙中閑話」にお付き合い頂き誠にありがとうございました。

昨年までは「来年もよろしくお願い申し上げます」と続けていたのですが、今回で「アナリストの忙中閑話」は最終号となります。

ちょうど今年同様「卯年」の2011年、東日本大震災発生直後の5月に創刊して以来、12年間、今回で151回目となりました。

長らくお付き合い頂き、重ねて御礼申し上げます。

私は本コラムに映画コーナーを設けて以来、年間100本超、多い年は試写会含め200本近く鑑賞してまいりましたが、コロナ禍の2020年には、新作の公開が止まり、300人程度収容の大スクリーンで1人で往年の名作を見たこともありました。さすがに1人だと、寂しいというか、怖いのでホラーは見れないなと。

やはり、映画は、大スクリーン・大音響のもと、周りの観客の反応も加わることで、臨場感が出るものと存じます。

近年は動画配信サービス等も充実していますが、コスパやタイパ(タイムパフォーマンス)と言わず、映画館で鑑賞することで、監督や俳優、スタッフの思いを受け止めてほしいと思います。

私はコラム終了後も映画館には引き続き足を運ぶ所存ですので、どこかの映画館でご一緒できることを楽しみにしております。

あと、年齢がかさむと1年は本当に短く感じられます。

私の理論では過去生きた期間の長さによって、時間は相対的に感じられるので、62歳の私にとって、10歳前後の小学生時代と比較すると、6倍、時間は短く感じられるということになります。

実は私のオリジナルと思っていたら、専門的には時間の長さは年齢の逆数に比例するという「ジャネーの法則」と言うそうです。

但し、最近、テレビを見ていると、「トキメキ」、新たな経験や驚きが多くあると、人生が充実することで、相対的に時間は長く感じられるとのことでした。

人生100年時代と言っても、「正月と思っていたら、すぐに年末」というのでは、心の「健康寿命」は残り少ないことになります。

2024年には新たな趣味、スポーツでも始めてみようかと思う、この頃です。まずは、大谷翔平選手が移籍したロサンゼルス・ドジャースのゲーム観戦(テレビで)でもしようかと。

それでは、心身の健康にご留意しつつ、良いお年をお迎えください。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。同投資戦略室長、大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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