投資信託の分配金とは?仕組み・受け取り方・注意点を基礎から解説
投資信託の中には、分配金と呼ばれる仕組みがあります。この記事では、銘柄によって異なる分配金のあり・なしの違いについてや、「分配金あり」の場合の受け取り方などについて解説します。分配金を受け取るか、または再投資に回すかによってメリット・デメリットが異なりますので注意が必要です。
分配金の仕組みと種類
投資信託における分配金とは、運用によって得られた収益を決算ごとに投資家(投資信託の購入者)に分配するお金のことです。
預貯金の利息、株式の配当金との違い
分配金と混同しやすいものとして、預貯金の利息や株式の配当金がありますが、違いはどのような点でしょうか。
まず預貯金の利息は、事前に決められた利率にもとづいて支払われますが、分配金の額は運用成績によって異なります。また、株式の配当金は、投資先の企業が利益の一部を投資家に支払う仕組み(企業が支払う)ですが、分配金は半年や1年など一定期間での投資信託の運用状況に応じて、運用会社から支払われます。
そもそも…分配金は必ず出るもの?
ここでは主に、分配金が出るタイプの投資信託の解説をしていますが、投資信託には分配金が出ないものもあります。分配金が出ないタイプの投資信託は、運用資金に組み込まれて運用されます。
「分配金あり」は短期間で利益を確保できるのがメリットですが、「分配金なし」の場合に比べて複利効果を期待できないデメリットがあります。
一方で「分配金なし」は短期の利益を確保できない点がデメリットですが、元本に運用益が組み込まれていくので、複利効果を期待できるのがメリットです。
分配金には2種類ある
国内投資信託では、分配金には普通分配金と特別分配金(元本払戻金)の2種類があります。両者は分配の仕組みや税金の有無にも違いがあるので、その違いを解説していきます。
普通分配金は、運用によって得られた利益(=元本を上回った分)を投資家に支払います。普通分配金は投資家の利益になるので、課税対象となります。
一方の特別分配金は、利益ではなく元本の一部を投資家に「戻す」仕組みです。
特別分配金は、個別元本を下回る部分から支払われる分配金です。払い戻された特別分配金の額だけ基準価額(個別元本)は減少しますので、運用資金が減ります。特別分配金は「元本の一部が戻ってきただけ(利益ではない)」という考え方なので、課税されません。
分配金は受け取るべきか、再投資すべきか?
「分配金あり」の投資信託を購入した場合でも、分配金を受け取らず再投資に回すこともできます。分配金を受け取ると手元の現金は増えますが、支払われた分配金の分だけ運用資産は減少します。反対に、受け取った分配金を再投資に回せば、投資の規模は大きくなります。
どちらのメリットが自分にとって大切かを判断する必要があります。なお、分配金を再投資する場合でも、分配金が支払われるタイミングで税金がかかるので、その点は注意しましょう。
少しずつでも定期的に現金で収入を得たいなら「受け取る」
分配金を受け取るメリットは、定期的に現金収入が得られることです。投資信託の種類によって、分配金を受け取るタイミングは年1回、2回、4回、隔月、毎月など複数のパターンがあるので、ライフスタイルに合わせた収入を得ることができます(上の図は2回受け取った場合)。
ただ、分配金を受け取ると運用資産が減少するので、分配金なしの場合や再投資する場合に比べて、運用効率は下がってしまいます。
長期的な運用を考えるなら「再投資」または「分配金なし」
長期的な視野で運用を考えるのであれば、分配金を受け取らず、再投資に回したほうがいいでしょう。もしくは、先ほど紹介した分配金なしの投資信託を選択してはいかがでしょうか。再投資に回すと運用効率の向上と複利効果が期待できます。
分配金の注意点
分配金あり・なしどちらの銘柄を選ぶか、分配金がある場合は再投資する・しないどちらにするかを考えるときは、上に紹介したような運用(複利)効果と投資スタンスと税金について注意してください。
必ずしも「分配金が多いファンド=良いファンド」ではない?
投資信託では「分配金が多い投資信託が必ずしも良い投資信託ではない」と言われます。なぜでしょうか。
それは、運用効果の高さは将来まで保証されるものではないからです。ある時点で運用がうまくいき、分配金が多く出ていても、それが継続できるとは限りません。また分配金が多く出る場合は、元本を取り崩していることになるので、基準価額もその分下がり、複利効果がなくなって投資効率が落ちてしまいます。
長期で投資するスタンスを取るなら再投資を行うか分配金なしの投資信託を選び、定期的に現金を受け取りたい場合は分配金が出る銘柄を選択してはいかがでしょうか。
税金の注意点
上の「分配金には2種類ある」のセクションでも触れましたが、普通分配金は利益になるので課税されます。そして普通分配金を再投資しても、分配金を一度受け取ったことになってしまうので、税金がかかります。また、特別分配金の場合は税金が課せられません。
最後に
分配金に対する考え方は、投資家のライフスタイルや投資スタンスによって変わってきます。まずは、自分のスタイルに合っているのが、定期的に現金で収入を得ていく形なのか、長期投資での運用効果を意識する形なのかを考えてみてください。
その答えによって「分配金をどうするか」が決まってくるはずです。
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