FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」
【第28回】

日興で相続対策

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(2016年7月21日)

【第28回】遺言書をのこしても問題が発生

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第28回目のコラムは、遺言書に関するお話です。

手書きのサイン「花押」が記された遺言書に無効の判決

先月、歴代の首相や閣僚も使用した手書きのサイン「花押(かおう)」を印鑑代わりに使用した遺言書の有効性が争われた訴訟に判決がおりました。結果は、「押印の代わりに花押を使用する慣行や法意識はない」としてその遺言書を無効とする判決内容でした。

そもそも、自筆証書遺言は法律で定められた要件を満たしていないと原則無効になってしまいます。遺言書を作成した者の印鑑を押印することはその要件の一つです。誰に何をのこすか遺言書に明確に記載していたとしても、印鑑が押印されていないと原則無効になってしまいます。今回の最高裁の判例では、花押は印鑑の押印にはあたらないという理由で無効と判決がくだされたということです。

遺言書が無効になったケース

押印もれ以外でも遺言書が無効になるケースがあります。自筆証書遺言の場合、遺言書の全文を手書きで作成することが要件になりますので、パソコン(wordなど)で作成した遺言書は無効になります。例え、自筆で署名されて押印されていたとしても、遺言書の文案部分がパソコン(wordなど)で作成されていたら原則無効になってしまいます。遺言書の一部分を修正する場合でも、単純に二重線を引いて訂正印を押印するだけでは原則訂正とは認められません。また、認知症など判断能力を欠いた状態で作成した遺言書や亡くなる直前に意識が朦朧としている中で作成した遺言書も原則無効になってしまいます。

遺言書が原因でトラブルになったケース

遺言書自体は要件を満たしていて有効なものであったとしても、遺言書が原因でトラブルになるケースもあります。例えば、遺言書を作成したものの作成後に不動産等の財産の一部を売却したり建て替えたようなケースです。遺言書に最新の情報が反映されていないと、その反映されていない財産については相続人全員で話し合いをして遺産分割することになります。話し合いがまとまらないと「争族」に発展してしまう可能性もありますので、遺言書は一度作成したら終わりではなく定期的な見直しや書き換えも必要です。遺言書は必要があればいつでも何度でも書き直しができます。

また、特定の子に多額の生前贈与をしている場合や介護・看病など負担を掛けているケースでトラブルになることがあります。遺言書の分割内容に生前贈与や介護・看病などが考慮されていないと喧嘩になってしまったり、不満を持った相続人が相続手続きに協力してくれず相続手続きが滞るケースもあります。

遺言書作成にあたって留意すべき点

一般的に自筆証書遺言は無効になるケースが多いと言われています。自筆証書遺言の作成にあたって必要とされる要件が満たされていないことが原因のようです。一方、公証役場の公証人が作成し2人の証人の立ち合いのもと作成される公正証書遺言は無効になることは稀だそうです。万全を期して確実に財産を引き継ぎたい方には公正証書遺言をお勧めいたします。

また、遺言書が原因で起きる様々なトラブルを回避するためには、ご家族の諸事情を考慮し、第三者の意見も参考にしつつ慎重に作成し、作成後も定期的な見直しを実施し、最新の情報とその時点の想いを反映させた遺言書に更新することが必要です。

本コラムをきっかけとして遺言書を書くことをご検討いただければ幸いです。

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