FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」
【第10回】

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(2015年1月29日)

【第10回】贈与で遺す我が想い・・・安易な贈与はトラブルのもと

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第10回目のコラムは、新たな非課税制度が設けられる見通しである子や孫に対する各種贈与に関する制度のお話です。

贈与により遺す想い

本コラムのタイトルにもなっている子々孫々への想いの遺し方ですが、その方法のひとつとして贈与が挙げられます。贈与とは財産を“あげる側”と“もらう側”両者の合意のもと、“あげる側”である贈与者の生前中に財産移転を行うことをいいます。本年からの相続税の課税強化に伴い、相続税対策として贈与を活用することに注目が集まっていますが、“もらう側”の状況に応じ必要なときに援助してあげられるという点も贈与の魅力のひとつなのではないでしょうか。ただし、財産をもらった側である受贈者には贈与税が課税されることになりますので、贈与を検討する際には贈与税についても考慮するのが一般的です。

贈与税について

贈与税は年間の受贈金額が110万円までは非課税とされており、110万円を超えた場合には累進税率が適用されます。このときの税率は本年1月から改正されており、20歳以上の子や孫に対する贈与とそれ以外の人への贈与で異なります。また、贈与には特例もいくつかありますので、前述した暦年単位による課税によらずに特例を利用することも考えられます。子や孫への贈与において利用できる贈与税の特例は、1月14日に閣議決定された税制改正大綱の内容も加味すると次の4種類があります。

【相続時精算課税】
60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与の場合に、2,500万円まで贈与税が課税されずに贈与できる制度です。贈与資金の使用用途に関する制限はなく、まとまった財産移転が可能となりますが、贈与者である親・祖父母の相続時には相続時精算課税による贈与財産全額が相続税の課税対象となります。

【住宅取得等資金の贈与特例】
20歳以上の子・孫の住宅取得のための資金を贈与した場合に、一定額まで非課税となる制度です。本制度は昨年末で適用期限切れとなりましたが、税制改正大綱において金額を拡大した上で2019年6月30日まで期限を延長すると盛り込まれました。また、住宅取得等資金として相続時精算課税制度を利用する場合の特例(贈与者の年齢要件なし)についても同様に期限を延長することが盛り込まれました。

【教育資金の一括贈与特例】
30歳未満の子や孫の教育資金を拠出する場合に、1,500万円までまとめて拠出しても贈与税が課税されない制度です。ただし、教育資金に使用しなかった場合には、30歳時点で贈与税が課税されます。税制改正大綱において特例適用のための拠出期限を2019年3月31日まで延長することが盛り込まれました。

【結婚・子育て資金の一括贈与特例】
税制改正大綱においてその創設が盛り込まれた制度で、20歳以上50歳未満の子や孫の結婚・子育て資金を拠出する場合に、1,000万円までまとめて拠出しても贈与税が課税されない制度です。ただし、結婚資金としての使用は300万円までとされ、結婚・子育て資金に使用しなかった場合には、50歳時点で贈与税が課税されます。2015年4月1日から2019年3月31日までに拠出した分が対象となります。

このように、贈与税にはその目的ごとに様々な特例が設けられているうえ、税制改正大綱においても制度の拡充や新制度の創設が盛り込まれるなど、贈与を行いやすい環境が整いつつあります。

安易に贈与を行った結果・・・

冒頭でもご説明しましたが、贈与を行うということは贈与者から受贈者に財産移転が行われることになりますので、贈与者の財産は減少することになります。安易に贈与を行ったことで贈与者のその後の生活に影響を及ぼすようでは、家族に悩みの種をまいたことになりかねません。また、特定の子供や孫だけに手厚く贈与することは他の子供や孫との間に不公平感を招くことになり、将来の相続争いにつながりかねません。

最後に

税制改正により贈与しやすい環境も整いつつあることから、お子様やお孫様の喜ぶ顔を思い浮かべ、前向きに贈与を検討される方も多いのではないでしょうか。お子様やお孫様への贈与を検討する際には、何のために贈与を行うのか、贈与税のどの制度を活用したらいいのか、また贈与とあわせて遺言等の準備は必要ないのか等についても慎重に考えたうえで行うことが大切です。

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