アナリストの忙中閑話【第106回】

アナリストの忙中閑話

(2020年3月26日)

【第106回】COVID-19がパンデミック、欧米は軒並みロックダウン、大作・人気映画も公開延期に、帰ってきた半沢の「バイ返し」に期待

金融経済調査部 金融財政アナリスト 末澤 豪謙

世界経済及び金融市場は、コロナショックによって、リーマンショック並ないし、それを上回る規模の混乱状態に

「歴史は繰り返す」と言うが、今年は「子年」、前回の「子年」は「リーマンショック」が発生した2008年だった。

現在、世界経済や金融市場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大によるショック、いわゆる「コロナショック」によって、「リーマンショック」並ないし、それを上回る規模の混乱状態に陥りつつある。

2月12日に過去最高値の2万9,551ドルと3万ドルの大台寸前まで上伸したニューヨークダウ30種平均株価は3月23日には、1万8,591ドルと高値から37%も下落、前回の米大統領選(2016年11月8日)の翌日の11月9日の1万8,589ドル以来の水準に下落。いわゆる「トランプラリー」分が一旦、全て剥落した形となった。その後は、2兆ドルと、過去最大規模の米国の財政出動期待で反発しているが、当面高変動相場は続きそうだ。

WHOは3月11日、COVID-19のパンデミックを宣言、2009年6月の新型インフルエンザ・パンデミック以来、11年ぶり

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は3月11日、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)を宣言した。WHOがパンデミックを宣言したのは、2009年6月の新型インフルエンザ・パンデミック以来、11年ぶり。

2019年12月31日、中国湖北省武漢市で検出された原因不明の肺炎は、1月7日に中国当局により、新型コロナウイルスが原因と特定された。中国当局からの通知を受け、WHO(世界保健機関)も、新型コロナウイルスによる新型肺炎のアウトブレイク(集団発生)を認定した。なお、同ウイルス病の暫定名称は「2019-nCoV」だったが、WHOは2月11日、正式名称を「COVID-19」とした。

「国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の宣言は今回が6例目

WHOは、COVID-19の感染拡大に関し、国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)宣言を1月30日の緊急委員会で発出。

PHEIC宣言は今回で6例目。過去に、PHEICが宣言された事例は、2009年4月の豚インフルエンザA(H1N1、新型インフルエンザ)、2014年5月の野生型ポリオウイルスの国際的な拡大、2014年8月のエボラ出血熱の西アフリカでの感染拡大、2016年2月のジカ熱の国際的拡大、2019年7月のコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生の5例。

COVID-19の感染者は47万人超に、死者は2万人超に、感染の中心は欧州と米国へ

但し、その後も感染の拡大は止まらず、現在では、感染の中心地は中国から、欧州や米国に移行、今後は中南米やアフリカ等、衛生状態の悪い国での感染拡大が懸念される状況だ。

日本時間3月26日13時時点で、COVID-19の感染者数は47万人を、死者は2万人を超えた模様だ。なお、感染は世界199カ国・地域に拡大。

WHOの発表では、25日(欧州中央時間)現在、COVID-19の感染者は全世界で41万4,179人、死者は1万8,440人となっているが、同統計は1〜2日間遅行するため、現実は先を行っている。

日本時間26日13時現在の米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計では、感染者は47万1,407人、死者は2万1,287人、回復者は11万4,051人となっている。

25日24時現在、感染者が最大なのは中国の8万1,285人(中国国家衛生健康委員会)。但し、中国の統計には、無症状の感染者は含まれていないため、実際の感染者は少なくとも12万人を上回るとみられる。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは23日、中国政府が新型コロナウイルス検査で陽性反応の出た感染者4万3,000人以上(2月末時点)を統計から除外していると伝えている。当該人数を加えると、約12万5,000人となる。

次いで感染者が多いのがイタリア(ジョンズ・ホプキンズ大学、以下同じ)の7万4,386人。米国の6万9,018人、スペインの4万9,515人、ドイツ3万7,323人、イラン2万7,017人、フランス2万5,600人、スイス1万0,897人、英国9,640人、韓国9,137人と続く。

英国では集団免疫政策から転換、23日に外出制限措置を強化

感染者と死者の急拡大を受けて、欧米では、市民に外出禁止・制限措置を発令、各都市でいわゆる「ロックダウン」が実施されている。

英国のボリス・ジョンソン首相は23日夜のテレビ演説で、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、全国民に自宅待機を命じ、外出を厳しく制限すると発表した。

ジョンソン氏は「今夜から自宅待機という指示を出さなければならない」(24日付けCNN)と宣言。必需品の買い物と毎日1回の運動、医療サービスの提供、必要不可欠な出勤を除き、一切の外出を禁止した。公共の場で3人以上が集まることや、同居家族以外との面会等も禁じる。指示に従わない場合は警察が集会を解散させ、罰金を科すなどの強制措置を取る。

ジョンソン首相は3月13日の演説では、イタリアのような都市封鎖は実施せず、緩やかに移動制限により、経済活動を維持し、英国民がCOVID-19に集団免疫を獲得することで、今回のパンデミックを乗り切る方針を表明したとみられていた。

但し、その後、この場合の死者が40万人以上に上るとの試算が出されたこともあり、16日以降は、移動制限等を英国民に要請していたが、強制措置ではないため、公共の場所に若者が集まることも多く、今回、罰金を伴う強制措置に移行したとみられる。

なお、集団免疫とは、国民の5〜7割が感染し、抗体を持つことで、流行が自然に収まることを意味する。

イタリアに続き、ドイツ、フランスでも罰則付きの外出制限を実施

公園等も封鎖され、自宅待機が半強制されているイタリアを筆頭格に、欧州ではフランスやドイツ等でも、劇場、ジム、レストラン等が全面的に休業となっている。

ドイツでは23日からは、同じ世帯に住んでいる人々や、業務上の集まりを除く3人以上の集会が禁じられた。警察が市街を見回り、違反者は罰せられる。同措置は少なくとも2週間は続けられる。

フランスでは3月17日から外出制限がスタートしているが、イタリア同様、必要な書類を携帯せずに外出する人も多いことから、フランス政府は罰則の強化に踏み切った。

食料品などの生活必需品の購入や通院、在宅勤務ができない仕事などを除いて外出は認められず、外出の理由を記した書類を携帯しないで出かけた場合、当初は135ユーロの罰金だったが、22日以降は、15日以内に再び違反した場合、罰金の額は最大1,500ユーロに引き上げられ、30日以内に違反を繰り返した場合、軽犯罪にあたるとして6か月の禁錮刑に加え、最大3,700ユーロの罰金が科されることとなった。

米国では人口の3分の2、1億9,600万人に自宅待機を求める

ロックダウンは、米国でも非常事態宣言が発出された州で実施されており、特に、カリフォルニア州やニューヨーク州など人口の多い都市部で顕著だ。

25日付けニューヨーク・タイムズ紙の集計によると、21の州、37の郡、16の都市で、少なくとも1億9,600万人が自宅待機を求められているとのことだ。米国の人口の3分の2に迫る規模だ。

カリフォルニア州全域の約3,960万人を筆頭に、ニューヨーク州の約1,950万人、イリノイ州の約1,270万人など、州の全域ないし一部でロックダウンが実施されている。

全米で最も感染者が多いのがニューヨーク州

日本時間26日13時現在、全米の感染者は6万9,018人、死者は1,042人(ジョンズ・ホプキンズ大学集計)だが、最も感染者が多いのがニューヨーク州の3万3,030人で、死者も366人に達している。

ニューヨーク州ではCOVID-19の検査を急拡大しており、現在、全米で最多の1日1万6,000件を実施している。同州では、最終的に人口の過半が感染する可能性に備え、外出制限措置とともに、コンベンショセンター等への仮設病院の設営、野戦病院の設営準備を進めており、海軍の病院船「USNSコンフォート」の派遣も要請、既に、臨戦態勢に入っている。

なお、「コンフォート」には病床1,000床が供えられているが、基本的に戦時の外傷対応の病院船のため、COVID-19の感染者は収容せず、病院から溢れ出た他の怪我人や病人を収容する方針とみられる。

同型艦の「USNSマーシー」は西海岸に派遣され、ワシントン州のシアトルないし、カリフォルニア州ロスアンゼルスに係留される予定。

コンテイジョンのスピードが速いコロナショック

リーマンショックが発生した2008年と比較すると、コロナショックは、株価の下落も経済統計の悪化も全てが急である。その違いは、「コンテイジョン」のスピードの差にあると考えられる。

コンテイジョンという言葉は、欧州財政危機の当時、ギリシャ危機がスペインやポルトガル、イタリア、ひいてはフランス等に伝染する可能性を指す意味で多用されたが、本来は、伝染病(感染症)の伝染(感染)を表す用語だ。

ちなみに、本コラムでもご紹介し、最近、メディアがとり上げている米映画『コンテイジョン』(原題『Contagion』、2011年公開、ワーナー・ブラザース配給)は、当に、強毒性の新型ウイルスのパンデミックをテーマとした映画である。

同映画で描かれた感染症は、ウイルスが「強毒性」という点を除けば、発生源や日本人が登場する場面、ワクチンの重要性等、COVID-19と似た点も多く、参考になる点があるかもしれない。

新型ウイルスの伝染スピードは、当然ながら、金融危機、信用危機、財政危機の伝播のスピードよりも格段に速い。

リーマンショック後の個人消費の減退は、米国での住宅価格の下落に続き、株価の下落に伴う「逆資産効果」や雇用の減少等を通じ、徐々に世界に拡散していったが、今回は、比較にならないスピードで進行している。

米株価が過去最高値をつけたのは、NYダウの場合、本年2月12日、S&P500種指数とNASDAQ総合指数は2月19日、住宅価格に至っては、最新の統計ではまだ上昇中だ。

今回、なぜ、消費が急速に減少しているか、それは、COVID-19の感染拡大防止のため、各国政府が都市閉鎖等のロックダウンやシャットダウン、我が国のように自粛要請により、強制ないし半強制的に、企業や個人の行動を抑制していることに尽きる。

過去、コンテイジョンのスピードが速いのは、大災害や戦争等であり、その意味では、今回は、1973年に発生した「オイルショック」に近いと考えられる。原油価格の動きは真逆なるも、対策の当初の処方箋が「総需要抑制策」である点も似ている。

シャットダウン下、対策効果は限定的、経済正常化の第一歩はCOVID-19の欧米等での「収束」の兆し

米国をはじめ世界では、過去最大規模の財政出動が遡上に上っているが、当面の止血策(企業倒産の防止、失業時等の所得補償)等を除けば、シャットダウン下、対策効果は限られる。世界経済の正常化の第一歩には、COVID-19の感染が「終息」、少なくとも、欧米等で「収束」の兆しが必要だろう。

なお、「収束」は感染拡大の沈静化を意味するが、WHO基準の「終息」は、最後の患者が「陰性」となってから、最大潜伏期間の2倍(COVID-19の場合、現段階では14日の2倍、28日と考えられる)の日数を経過した日となることから、現状では目途が立たない。

トランプ大統領は国家非常事態を宣言、過去最大規模の対策法が成立へ

なお、米国のトランプ大統領は3月13日、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク(集団発生)に関し、国家非常事態を宣言し、議会に通告した。今回は、国家非常事態法第201条に基づき宣言され、スタフォード法の第501条(b)を発動、連邦政府による州政府等への支援を可能とした。

具体的には、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の権限を強め、連邦政府の予算を柔軟に使用し、州政府などを支援できるようにする。連邦緊急事態管理局の基金は、トランプ大統領によると、現在、500億ドル程度が確保されており、議会の承認なしに、使用が可能となる。対応の遅れが批判されていた検査態勢も拡充する。トランプ氏は「来週には140万件、1か月以内に500万人分の検査が可能になる」とし、公衆衛生の専門家によって特定された場所でドライブスルーテストを利用できるようにするために検討していると述べた。

また、トランプ大統領は19日には国防生産法を復活させた。朝鮮戦争下の1950年に成立した国防生産法は、国家安全保障に必要な製品の受注を満たすため、民間企業に増産を指示する権限を大統領に与えるというもの。

当初、トランプ大統領が25億ドル規模を求めていた第1弾の対策法「2020年コロナウイルス対策追加歳出法」は、民主党により83億ドル規模に増額され、3月6日に成立した。ワクチン開発などに30億ドル超を投じる。

1,000億ドル規模とみられる民主党が策定した第2弾の対策法「家族第一コロナウイルス対策法」も18日に成立。有給の病気休暇と無料のコロナウイルス検査等を提供し、食糧援助と失業給付を拡大する。

一方、トランプ政権と共和党が提案した総額2兆ドル規模の第3弾の対策法案は、22日及び23日に上院で本採決に至る前のクローチャー動議が採決されたが否決された(同動議の可決には60人の賛成が必要)。但し、25日には超党派で大枠の合意がなされた。早ければ25日に上院を、26日に下院を通過し、週内に成立する見通し。大統領選を控え、共和・民主両党とも、対策のアピールに熱心なため、間もなく過去最大規模の対策法が成立し、追加対策も遡上に上る可能性が高そうだ。

COVID-19の感染拡大は米大統領選にも影響

なお、民主党の米大統領候補指名レースはタルシー・ギャバード下院議員が19日に撤退、ジョー・バイデン前副大統領(77歳)とバーニー・サンダース上院議員(78歳)の二人のみとなった。

既に、米国では感染が爆発的に拡大しつつあるが、早期の沈静化に失敗した場合、トランプ大統領にとっては、4つの面で、逆風となる可能性が高い。

まずは、株安だ。トランプ氏は折に触れて、大統領就任後の株高を自画自賛してきたが、米国の株価はトランプ氏の大統領就任時まで一時下落した。米国内で感染が拡大すれば、米国株式市場には一段と調整圧力が加わる可能性が高い。

第2に、実体経済への悪影響だ。米国は内需主導の経済であり、個人消費がGDPの約7割を占める。その個人消費のエンジンの一つが資産効果だ。株安が昂進すれば、逆資産効果から、個人消費にも悪影響が及ぶことは避けられない。

第3に、米疾病管理予防センター(CDC)等の予算削減だ。トランプ大統領は、大型減税を実施、国防関連予算を大幅増額する一方、非国防予算を大きく減額することを主張。CDCや国立衛生研究所(NIH)等の予算やスタッフも予算教書では大幅削減が提案されてきた。一方、民主党のバイデン氏は副大統領時、エボラ出血熱対応等でCDC予算を大幅増額した経緯がある。

第4に、医療保険の問題だ。米国ではインフルエンザの検査でも、医療保険に入っていないと1回500ドル近くがかかることから、多くの人は病院に行かないのが実情だ。結果、新型コロナウイルスが米国内で蔓延すれば、多くの重篤患者や死者が発生する可能性が高い。サンダース氏が主張する国民皆保険はハードルが高いとしても、バイデン氏が主張するオバマ・ケアの拡充であれば、有権者の賛同が得られる可能性があろう。

民主党が勝利を収めるには、大統領だけではなく、副大統領とのペアが重要

大統領選の動向だが、今回、民主党が勝利を収めるには、大統領だけではなく、副大統領とのペア、組み合わせが重要だ。民主党内ではかつてなく、リべラル・左派と穏健・中道派の対立が激しくなっている。

前回、民主党のヒラリー・クリントン候補(元国務長官)が事前の世論調査結果と異なり、本選で共和党のトランプ候補に負けたのは、最後まで競り合ったサンダース氏の支持者や黒人の民主党支持者が大量に棄権し、いわゆる「スイング・ステート」で、トランプ氏に競り負けたことが大きかった。それでも、クリントン氏が全米で得た票は、トランプ氏を300万票近く上回っていた。

米国では近年、移民の流入や白人とマイノリティの出生率の違いなどから、潜在的な民主党支持層の人口比率が上昇している。ただし、米国では、わが国と違い、市民権を得てもすぐに投票できるわけではなく、有権者登録が別途必要だ。つまり、単なる世論調査での支持率ではなく、積極的な支持者の数が選挙結果を左右することになる。

また、全米50州とコロンビア特別区の51選挙区で実施される大統領選は、勝者が選挙人を総取りする州が大半だ(メーン州とネブラスカ州を除く)。そうした中で、いわゆる「レッド・ステート=赤い州」といわれる共和党の地盤州では、常に共和党候補が勝利し、「ブルー・ステート=青い州」といわれる民主党の地盤州では、常に民主党候補が勝利している。その結果、全体の勝敗の鍵を握るのは、常に「スイング・ステート」といわれる接戦州になる。「レッド・ステート」「ブルー・ステート「スイング・ステート」が抱える大統領選挙人の数はそれぞれほぼ3分の1を占め、スイング・ステートの勝敗が極めて重要であることから、予備選と異なり、本選では、テレビCM等大量の選挙資金の大半はスイング・ステートに注ぎ込まれる。

そのスイング・ステートでも、最大の票田はフロリダ州だが、地域的には、ミシガン州などの五大湖沿岸の「ラスト・ベルト」、また、メキシコ国境沿いの州が大半を占める。こうした地域での大統領候補の個人的人気も極めて重要だ。なお、近年の選挙結果などを勘案、筆者は今回、アリゾナ州もスイング・ステートに仲間入りし、全体では13州がスイング・ステートと認識している。

重要なのは副大統領候補、バイデン・ハリス・ペア誕生か

予備選・党員集会は、共和党でも形式的に行われているが、トランプ氏は既に代議員の過半数を獲得済だ。

一方、民主党は熾烈な戦いが繰り広げられているが、3月3日のスーパー・チューズデーで復活を遂げたバイデン氏が、序盤優勢だったサンダース氏を逆転し、優位に立ったと考えられる。その後の予備選の結果や新型コロナウイルス感染症の爆発的な拡大で選挙キャンペーンにも支障を来していることから、バイデン氏でほぼ決まりと言えそうだ。

11月3日の本選で、トランプ大統領に勝利できる可能性は、現時点の世論調査上は、バイデン氏もサンダース氏もトランプ氏を上回っている。だが、実際は、リベラル・左派、穏健・中道派、無党派層から幅広い支持を得られる大統領候補および副大統領候補の組み合わせでないと、現職大統領に勝利するのは困難だろう。

バイデン氏が最終的に指名レースに勝ち残った場合、最適な副大統領候補は、カマラ・ハリス上院議員(55歳)だろう。なお、バイデン氏は3月15日に開催された民主党の第11回テレビ討論会で、自身が大統領候補に指名された場合、副大統領候補には女性を指名すると表明した。同氏は、サンダース氏が勝利したリべラル派の牙城ともいえるカリフォルニア州選出で、民主党リベラル派のホープの1人だ。指名レースに参戦し、テレビ討論会にも毎回参加していたが、なぜか早々に撤退した経緯がある。リべラル派だが、バイデン氏の長男、故ボー・バイデン氏の親友だったとのこともあり、バイデン・ハリス・ペア誕生の可能性は十分あり得ると想定している。白人男性で高齢のバイデン氏に対し、父親はジャマイカ系、母親はインド系の女性で50歳台央のハリス氏とのペアは、穏健・中道派とリベラル派の分裂を修復し、トランプ氏に対抗するには最高の「ぺア」といえそうだ。

春休みの大作や人気映画が軒並み、公開先送りに

欧米でロックダウンが相次ぎ、我が国でもイベント等の自粛が政府から要請されていることから、春休みの大作や人気映画が軒並み、公開先送りの憂き目にあっている。

当初、3月6日公開予定だった『映画ドラえもん のび太の新恐竜』は2020年8月7日に、4月10日公開予定だった『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、11月20日に延期となった。

他にも、前月号で特集し、3月20日公開予定だった『ドクター・ドリトル』に加え、『映画しまじろう「しまじろうと そらとぶふね」』、『劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』、『2分の1の魔法』、『映画プリキュアミラクルリープみんなとの不思議な1日』、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』、『ソニック・ザ・ムービー』、『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』、『ムーラン』、『ブラック・ウィドウ』、『クワイエット・プレイス PARTU』、『魔女見習いをさがして』、『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』、『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』、『ミニオンズ フィーバー』、『STAND BY ME ドラえもん 2』等、主に、子供向け映画とディズニーの大作がドミノ倒し的に、夏以降に公開延期となった(『映画プリキュアミラクルリープ』は5月16日公開)。

4月公開の注目2作品

エジソンズ・ゲーム

『エジソンズ・ゲーム』
2020年4月3日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開
©2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

こうした中、4月3日公開の『エジソンズ・ゲーム』は、発明王エジソンとカリスマ実業家ウェスティングハウスが繰り広げる「電流戦争」を映画化したもの。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のベネディクト・カンバーバッチさんがトーマス・エジソン、『シェイプ・オブ・ウォーター』のマイケル・シャノンさんがジョージ・ウェスティングハウスを演じ、製作総指揮は巨匠 マーティン・スコセッシ氏が務める。

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。

白熱電球の事業化を成功させた天才発明家エジソンは、大統領からの仕事も平然と断る傲慢な男だった。エジソンの「直流式」に対し、実業家ウェスティングハウスは「交流式」送電の実演会を成功させる。ニュースに激怒したエジソンは、ネガティブキャンペーンで世論を誘導。ウェスティングハウスはエジソンと決裂したニコラ・テスラに近づく。

エジソン、ウェスティングハウス、テスラと、電気・通信界の天才が集う映画で技術系には垂涎の的か?なお、ベネディクト・カンバーバッチさんは『アベンジャーズ』シリーズでは「ドクター・ストレンジ」役を熱演したが、同シリーズで「スパイダーマン」役を演じたトム・ホランドさんがエジソンの助手を務めるのも興味深い。

名探偵コナン 緋色の弾丸

『名探偵コナン 緋色の弾丸』
2020年4月17日(金)全国東宝系にてロードショー
©2020 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

4月17日公開の『名探偵コナン 緋色の弾丸』は、青山剛昌氏の人気コミックをアニメ化した大ヒットシリーズ「名探偵コナン」の劇場版24作目。

4年に一度の世界最大のスポーツの祭典「WSG:ワールド・スポーツ・ゲームス」の記念すべき東京開催を迎えようとしている日本。その開会式に合わせて、日本の技術を総結集した最高時速1,000キロを誇る世界初の「真空超伝導リニア」が開通することが発表された。世界中から注目を集める中、パーティ会場で企業のトップが相次いで拉致される事件が発生。そして、その裏には事件を監視する赤井秀一と、彼の指令を待つFBIの姿があった。

FBI捜査官・赤井秀一が、シリーズ20作目『純黒の悪夢(ナイトメア)』以来となる劇場版に登場。さらに、赤井の弟でプロ棋士の羽田秀吉、女子高生探偵の妹・世良真純、3人の母親で「領域外の妹」と名乗る謎の女性メアリーも登場、「赤井ファミリー」が集結する。ちなみに、赤井秀一の声を演じるのは池田秀一さん。言わずと知れたことだが、「赤い彗星」ことシャア・アズナブル役で有名な声優だ。

東京五輪は2021年に延期へ

『名探偵コナン 緋色の弾丸』の舞台設定等は、本年7月24日に開会式が予定されていた東京2020オリンピック競技大会をモチーフにしたとみられる。

然るに、前述のCOVID-19のパンデミックの影響で、東京オリンピックはパラリンピック含め、2021年に1年程度延期されることが、24日、国際オリンピック委員会(IOC)と東京2020組織委員会から発表された。

前月号でもお伝えしたように、COVID-19が猛威を奮う中、延期自体は予想された事態とも言えるが、2013年9月の招致決定以来、過去6年間準備を続けてきた内外の選手、大会関係者、筆者も含むボランティア、内外のスポーツファン等にとっては、残念な結果であるのは間違いない。

まずは、COVID-19の感染を早期に終息させ、来年、安全安心な大会を実現することに精力を傾けるしかなさそうだ。ちなみに、2021年は東日本大震災から丸10年となる。復興五輪の意味合いがより強まるとも言えそうだ。

2013年の東京招致決定の最中に放送され、社会現象を起こしたテレビドラマが4月19日、お茶の間に帰ってくる

そうした中、2013年の東京招致決定の最中に放送され、社会現象とも言える爆発的な人気を博したテレビドラマが4月19日(日曜日)夜9時、お茶の間に帰ってくることになった。

それは、堺雅人さん主演のTBS系日曜劇場「半沢直樹」だ。

なお、2013年のドラマ「半沢直樹」の特別総集編が、続編に先駆け4月5日、12日の2日間にわたってTBS系で放送される(前編:5日夜9:00〜10:48・後編:12日夜9:00〜10:48)。

原作は池井戸潤氏の「オレたちバブル入行組」及び「オレたち花のバブル組」。東京中央銀行の銀行員半沢直樹が、大阪西支店融資課長から本部営業第二部次長に転じ、銀行内で行われていた数々の不正を明らかにしていくさまを描く。

2013年7-9月クールで放送され、9月22日の最終回(第10話)の平均視聴率は関東地区で42.2%、関西地区で45.5%となった(ビデオリサーチ社調べ)。関東地区の平均視聴率(42.2%)は、1989年以降の平成の民放テレビドラマのなかでトップ。

オンライン調査が始まった1977年以降に放送された民放テレビドラマのレギュラー番組の視聴率(関東地区)では、「積木くずし・親と子の200日戦争」の45.3%(1983年3月29日)、「水戸黄門」の43.7%(1979年2月5日)、「日曜劇場・女たちの忠臣蔵」の42.6%(1979年12月9日)に次いで4番目の高さ。ただ上位3位は、いずれもテレビが娯楽の王様だった頃の30年以上前の作品。ちなみに、関西地区の平均視聴率45.5%は民放テレビドラマでは過去最高。

瞬間最高視聴率は、関東地区では46.7%、関西地区では何と50.4%と、50%の大台を超えた。

また、半沢の「やられたらやり返す。倍返しだ」の決めゼリフは同年の流行語大賞にも選出された。

なお、続編の原作は池井戸潤氏の『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』。

「半沢直樹、東京セントラル証券への出向を命ずる」、まさかの子会社への出向を命じられるという衝撃の展開で最終回を終えた前作。続編では、東京セントラル証券で営業企画部長となった半沢に巻き起こる事件が描かれる。

原作では登場しない面々も含め、続編でも、上戸彩さん、及川光博さん、片岡愛之助さん、北大路欣也さん、香川照之さんらが続投。

新キャストとして、今田美桜さん、井上芳雄さん、尾上松也さん、賀来賢人さん、井川遥さん、池田成志さん、山崎銀之丞さん、土田英生さん、戸次重幸さん、南野陽子さん、古田新太さん、市川猿之助さん、江口のりこさん、筒井道隆さん、柄本明さんの出演が決定済。本ドラマでは元々高い歌舞伎役者の露出度が一段と上昇しそうだ。

実は、2013年のドラマ「半沢直樹」と筆者は妙な因縁があり、切っても切れない関係にあると、勝手に思っている。詳細は下記リンクご参照。

【第28回】祝、2020年夏季オリンピック東京開催決定、半沢直樹とウルヴァリン

コロナの春、日曜日の夜ぐらい、証券マン半沢の「スカッと」に期待

冒頭お伝えしたように、新型コロナウイルス病(COVID-19)の感染拡大で世界の都市ではロックダウンが増加、我が国でも自粛ムードの中、居酒屋や映画館、スポーツジムなどでは閑古鳥が鳴いている。

筆者も花見は完全自粛(実は花粉症)、映画鑑賞は早朝や夜など、ガラガラ状態の時間に限定、ジム通いも塩素で消毒されたプールで水泳のみを短時間で切りあげるようにしていたが、25日夜の小池東京都知事の自粛要請もあり、当面は自宅でテレビを見る他なさそうだ。

東京都ではCOVID-19の感染者が23日の16人、24日の17人に対して、25日は41人と急増、過去最高を更新。しかも、このところ、感染経路不明者が増加傾向にあったが、25日も13人に上った。

小池知事は25日夜の会見で「今の状況を感染爆発(オーバーシュート)の重大局面ととらえ、この認識を共有したい」とし、4月12日までは、平日はできるだけ自宅で仕事を行い、夜間の外出を控え、特に今週末は不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。

東京近郊在住の方は、当面、ご自宅で過ごし、映画やテレビを見るのがベターかもしれない。

ちなみに、ウイルス繋がりでWHOやCDCが登場する映画は、『アウトブレイク』(1995年公開)、『アイ・アム・レジェンド』(2007年公開)、『感染列島』(2009年公開)、前述の『コンテイジョン』(2011年公開)、『FLU 運命の36時間』(2013年公開)、『ワールド・ウォーZ』(2013年)等がある。加えて、大ヒットした米テレビドラマでは、一時筆者がはまり、うつ病になりかけた(?)『ウォーキング・デッド』(2010年以降放送中)も。同ドラマもCOVID-19に無敵とはいかず、シーズン10最終回のポスト・プロダクション(編集)が中断された。そのため、シーズン10は現地時間4月5日放送の第15話をもって終了となり、最終回は「スペシャルエピソード」として別途、年内に放送する予定とのこと。なお、一部の映画や『ウォーキング・デッド』はゾンビ・ホラー系ですのでご注意ください。

COVID-19感染の影響で、陰鬱な雰囲気が拡がる昨今、せめて、日曜日の夜ぐらい、銀行員、もとい証券マン半沢の活躍で「スカッと」させてほしいものである。半沢得意の「倍返し」ならぬ「バイラス(ウイルス)返し」に期待したい。

末澤 豪謙 プロフィール

末澤 豪謙

1984年大阪大学法学部卒、三井銀行入行、1986年より債券ディーラー、債券セールス等経験後、1998年さくら証券シニアストラテジスト。大和証券SMBC金融市場調査部長、SMBC日興証券金融市場調査部長等を経て、2012年よりチーフ債券ストラテジスト。2013年より金融財政アナリスト。2010年には行政刷新会議事業仕分け第3弾「特別会計」民間評価者(事業仕分け人)を務めた。日経債券アナリストランキング、14年連続10位内ランクイン。日経財政アナリストランキング2位(2004年〜2006年)。財政制度等審議会委員、国の債務管理の在り方懇談会委員、地方債調査研究委員会委員。趣味は、映画鑑賞、水泳、スキューバダイビング、アニソンカラオケ等。

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