FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」
【第5回】

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(2014年8月21日)

【第5回】“法廷相続分”!?と遺産分割

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第5回目のコラムは、法定相続分と遺産分割に関するお話です。

相続財産の行き先

相続財産は、遺贈や寄付等の例外を除くと基本的には親から子、子から孫へと代々引き継がれていきます。遺言書を作成していない場合は、原則として相続人同士で遺産分割協議を行い、それぞれが引き継ぐ財産を決定することになります。民法上は「法定相続分」という、相続人それぞれが引き継ぐことのできる財産割合の記載がありますが、法定相続分通りに遺産分割を行わなければならない、ということではありません。

遺産分割の時、相続人全員が納得のできる協議を行うことができれば、法定相続分は問題になりません。しかし相続人間の思惑が絡み合い、利害の対立や感情のもつれで折り合いがつかなくなってしまうと、時に相続分をめぐって相続人同士で争ってしまうことがあります。ほんの数日前まで「うちは仲が悪くないから大丈夫!」と思っていた家族間、親族間で争うことさえあります。

分けるのが難しい財産は要注意

相続財産の中でも「平等に○分割」と分けることが難しい財産の一つが不動産です。特に保有する財産の大部分が自宅等の不動産だった場合、自宅を相続するだけで相続財産のほとんどを占めてしまう、という状況が予想されます。その際に気になるのが法定相続分です。法定相続分より少ない財産分けに納得ができない相続人がいれば、対価として金銭を求めることもあるでしょうし、不動産の売却を求めることも考えられます。協議がまとまらない場合は、裁判所での調停や審判に発展する可能性さえあります。「裁判だなんて大げさな」と思うかもしれません。ですが、遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の同意が必要です。誰か一人でも納得できない相続人がいれば、調停や審判に繋がる可能性があります。

例えば、財産が5,000万円の自宅と2,000万円の現金、相続人が兄弟2人のケースを考えてみましょう。自宅を取得する相続人がもう一方の相続人から「その自宅を相続する代わりに、2,000万円の現金の他に1,500万円払ってほしい」と言われた時、労せず準備できる人がどれだけいるでしょうか。調停や審判が確定したのでしたら、支払わないわけにもいきません。相続人が自宅住まいだったなら、生活の拠点を失うことにもなりかねないのです。

平等に分割することが難しいのは不動産だけではありません。事業用の資産などを、家業を引き継ぐ相続人だけでなく、何人もの相続人で分けてしまうと、家業の継続に支障をきたしてしまいます。かといってすべての資産を一人の相続人が引き継ぐと、先ほどの不動産のように、法定相続分との兼ね合いが問題になるでしょう。納得ができない相続人がいれば、相続人間で相続分をめぐる争いになってしまいます。

相続分をめぐり争わないために

法定相続分とは、あくまでも分割協議で合意できなかった場合の、裁判所で審理される時に基準となる取得割合です。とはいえ、「あの人より相続できる財産が少ない(法定相続分に満たない)のはおかしい」という思いが、法定相続分の確保に駆り立てるのかもしれません。

このような争いを避ける為には、遺言書を作成する等の相続対策が重要です。遺言書を作成することで、ご自身の意思で財産の分け方を指定することができますし、それにより相続人間で遺産分割の話し合いも不要になります。また、遺言書に付言事項も残しておけば「どうしてその財産を長男に残すのか」「いったい自分のことを、父はどう考えていたのか」という疑問に対する答えや想いを伝えることができます。遺言を残した人の考え、真意を知ることで、法定相続分に満たない分配に対する不満や誤解等を解消できるかもしれません。

(※付言事項については第3回「遺言書にはご家族へのメッセージ“付言事項”をのこしましょう!」をご覧ください)

相続は“争族”とも言われるほど、相続人同士の争いに発展するケースが多く、また一度関係がこじれてしまうと元に戻すのは困難です。将来、ご自身の相続を裁判所での“法廷”相続にしてしまわないためにも、早めの対策を考えてみてはいかがでしょうか。

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