FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」
【第8回】

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」バックナンバーへ

(2014年11月20日)

【第8回】相続人はどちら様?相続手続きが放置されないため

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第8回目のコラムは、相続手続きが滞ることで変化する相続人についてのお話です。

時間が経過しても相続の問題は解決しません

相続発生時に遺言書が残されていない場合には、相続人同士で話し合い、誰がどの財産を取得するのかを協議します。しかし、何らかの理由で協議を行うことができず、時間だけが過ぎてしまうこともあります。相続人全員が分割協議に合意できなければ、相続財産は被相続人名義のまま変更できず、何年も放置されてしまいます。

そうして放置されてしまった相続手続きは、やがて当初の相続人にも相続が発生して話がさらに複雑化してしまいます。残念ながら相続手続きにおいては、時間は解決へ導いてくれません。

時間が経てば経つほど相続人同士の関係は複雑に

相続手続き自体は「いつまでに終わらせなければいけない」という期限はありません。しかし、手続きの期限がないからといって相続手続きをいつまでも放置してしまうと、相続人同士の関係に変化が生じ、相続発生直後とは異なる状況に置かれてしまいます。

たとえば下図1において、Aに相続が発生した時の相続人は配偶者Bと子Cとします。しかしその後、下図2のように何らかの理由で相続手続きを行わないままBが亡くなると、子CはBの相続についてだけではなく、Aの相続についてもBの前夫との子Dと話し合いを行うことが必要になります。前夫との子DはAの相続人としての地位をBから引継いでいるためです。

相続発生直後は配偶者と子だけで相続手続きを行えば事足りたものが、時間が経過したことにより、日ごろ付き合いのない遠い親戚が分割協議に参加する可能性が出てきます。このような状況になってしまうと、相続人同士で協議することも大きな負担になりかねません。

(図1)Aの相続については、配偶者Bと子Cが相続人 (図2)子Cと子DはAとBの相続について分割協議が必要

複雑化する問題を後世代に残さないために

相続手続きを長期化させない為に有効なのは、やはり生前に遺言等で財産の行き先を決めておくことです。いつまでも被相続人名義で財産が残されていると、財産管理上も様々な問題がありますし、ご自身が築いた財産が誰の手にも渡らず、放置されてしまうことになります。遺言が残されていることで、相続手続きの負担は軽減され、ご自身の望む形で次世代に財産を遺してあげることもできます。

残されたご家族や相続人が相続手続きで後々苦労しないようにするためにも、遺言を作成することを検討してみてはいかがでしょうか。

ご留意事項

このページの関連情報