一歩進んだ成果を求める方へ「信用取引」

「信用取引がなければ億は稼げなかった」

信用取引と聞くと「怖い」「ハイリスク」「手数料が高い」といったイメージが浮かぶかもしれません。でも、中身をしっかり理解して適切に使えば、むしろコストを抑えながら資産の増加スピードを加速できます。信用取引を使って億り人となったTyunさんの話に耳を傾けてみましょう。

Tyunさん

信用取引がなければ4億円も稼げなかった

「信用取引がなければ、4億円なんて稼げていませんでしたし、そもそもここにいなかったと思います」

そう言い切るのは、株式投資で4億円以上を稼いだ個人投資家のTyunさんです。デイトレードを得意とするTyunさんが株を始めたのは2005年。まだ大学生でした。

「相場環境がよかったため300万円ほどの資金があっという間に1,000万円になりました。ところが調子に乗ったところでライブドアショックが発生して株価が急落、300万円の損失です」

マザーズ指数はライブドアショック直前のピークから3年弱で10分の1へと下落していきました。

下落相場では信用取引の「売り」がないと勝てない

「通常の現物株投資だと『買い』しかできません。でも、下落相場では『売り』もできないと勝てない。そう思って信用取引を始めました」

信用取引なら「株価が下がりそう」と予想した場面で売りから取引を始めて、下がったところで買い戻して利益を得ることができます。

「売り」からも取引できる

「ライブドアショックからリーマンショックの起きた2008年ころまでの下落相場ではとくに信用取引が役に立ってくれましたし、2016年の米大統領選挙もよく覚えています」

トランプ前大統領とヒラリー・クリントン氏の対決となった大統領選、事前の予想では「ヒラリー氏優勢」でしたが、「トランプ氏当選」のサプライズとなり、株価は乱高下しました。

「開票速報が伝わってきたのは日本の昼間。最初は株価が大きく下げたため、売りから入れたことは大きかった。あの日、1日だけで1,200万円ほど勝った記憶があります。現物だけでは、とてもできませんでした」

インタビュー写真

「売り」のリスク、どう考えるか

ただ、「買いは家まで、売りは命まで」という怖い相場格言もあります。5万円で買った株なら最悪のケースでもゼロになるだけですが、売りだと違います。5万円で売った株が10万円、20万円と上がっていくと損失は5万円、15万円と投資元本以上に増えていきます。「売り」から入るのは、リスクが大きいのでは…?

「売り」のリスク、どう考えるか

「売りから入る場合は、「ストップ高が続く可能性があるかどうか」を常に考えるようにしています。たとえば赤字で株価が100円を割っているようなバイオベンチャー企業がコロナウイルスの特効薬を開発したらストップ高連発で、空売りしたポジションを損切りできなくなることも考えられます。でも大手自動車会社で空売りを損切りできなくなるようなストップ高の連発はまず考えられません。ですので、時価総額の小さい株、特に時価総額200億円未満は売りから入るのは避けるようにしています。逆に、ある程度の時価総額がある銘柄であれば、買いでも売りでもリスクはほぼ同じだと考えています。あと、バイオベンチャーやゲームなど、1つのニュースが与えるインパクトが大きい業界、グロース株の決算跨ぎ、仕手株も避けるようにしています」

「売り」から入るとリスクが高い銘柄

「買うときも100%信用取引」の理由は手数料

当初はデイトレード中心だったTyunさんだが、最近では中長期で保有することも増えているそうです。

「最近ではHFT(高頻度取引)やアルゴリズムトレード(システムトレード)が強くなってきたこともあり、デイトレードが難しくなっています。そのため決算書を見て将来の業績を予想したり長期的な値動きをよく考えるようになりました」

そうなると信用取引はもう使わないのでしょうか。

「いえ、今も新たに取引を始めるときは100%信用取引です。「売り」だけでなく「買い」もです。コストでみると明らかに信用取引が有利なのでね。というのも、信用取引なら売買手数料を無料にできる証券会社があるからです。SMBC日興証券ダイレクトコースでの信用取引もそうですよね。約定代金や建玉残高の条件なくいつでも0円というのはすごいです。売買手数料無料なら使わない手はありません。正直、いまの僕が信用取引をしている一番の理由はコスパの良さですね」

ただし、信用取引では売買手数料のほか、買いならば信用金利、売りならば貸株料や逆日歩などのコストがかかります。

「そのため、株を長く持ちそうだというときは、信用取引で買った株を『現引き』して、現物株に換えます。現引きしても手数料がかからない会社が多いですから、手数料の節約にもなるんです」

レバレッジは過剰に恐れず、ほどほどに使う

信用取引では、売りから入るほか、手持ちの資金よりも大きな取引ができるメリットもあります。いわゆる「レバレッジを効かせた」取引であり、最大で保証金の約3.3倍までレバレッジを効かせられます。

約3.3倍の取引が可能

「初心者は信用取引に対して極端になりがちです。『レバレッジを過剰に恐れる人』がいる一方、『高いレバレッジで無鉄砲に取引してしまう人』、両極端に分かれるんです。信用取引は包丁のようなもの。包丁は人を傷つける道具にもなりますが、ほとんどの人は安全な使い方を知っていて使いこなしています。信用取引も正しい使い方を知っていれば、危ないことはありません」

信用取引ならではのリスクと収益性のバランス、Tyunさんはどう考えているのでしょうか。

「信用取引だからといって使い方をわかっていれば恐れる必要はないし、かといって過剰なレバレッジをかければ資産がすぐになくなってしまう。バランスが大切です。僕の場合、口座単体ではなく資産全体で考えて、『資産以上のレバレッジはかけない』ようにしています」

インタビュー写真

資産1,000万円のうち、証券口座に500万円を入金し3倍のレバレッジで株を買うと1,500万円となり総資産を超えてしまいます。

「それだと万が一、株価がゼロになったとき借金を背負う可能性が出てきます。そうはならないよう総資産を超えるようなポジションは持たないようにしています」

「信用取引で借金!」なんて事態にならないよう、あらかじめリスクを想定しておく必要があります。

信用取引の3つのルール

「信用取引を活用するなら損切りも必要です。『○○円まで下がったら損切り』といった株価を基準にして損切りの目安を決めておくのはもちろん、『1週間待っても上がらないから損切り』、『出来高がジリ貧になってきたら損切り』といったように、取引を始めたときのシナリオが崩れてきた場合も損切りしています」

信用取引では、保有する現物株を担保にして取引することもできます。それを利用したのが「信用二階建て」現物で買ったA社の株を担保にして信用取引でもA社の株を買う、といったように買いに買いを重ねるのが信用二階建てです。

信用二階建ての図

「A社株が値上がりしたときの利益は大きいですが、下がったときの損失も大きい。リスクが高いため、僕はやりません。信用取引の3つのルールをつくるとすれば、『レバレッジをかけすぎない・信用二階建てをしない・怖がらない』。これを守れば信用取引はとても便利に使えます」

信用取引の3つのルール

信用取引を使った「欲張り戦略」

億を稼ぐ専業トレーダーであるTyunさんですが、「定期収入のある人がうらやましい」ともいいます。

「今は資産が少ない人でも、定期収入があれば多少損失が出ても給料で補てんできますよね。その分、信用取引を使って少しリスクを取りハイリターンを狙えます。」

Tyunさんのような専業トレーダーだと、元手を大きく減らしてしまうことを避けなくてはならないため、リスクを取りにくいそうです。

「本音でぶっちゃけると、信用取引は資産が少ない人が大きく増やせる強力な武器なんです。たとえば300万円の株を買いたいとします。そのとき、信用取引の口座に100万円だけ入れれば300万円分の株が買える。浮いた分の200万円で別の収益機会を狙うこともできます」

「欲張り戦略」もあるそうです。

「100の資産のうち、50を信用取引で2倍のレバレッジをかけて100にして使い、残り50は株主優待、配当、あるいはIPO(新規公開株)を狙う口座に入れる、なんて値上がりと優待の両方を狙う欲張りな戦略もできますよね。信用取引はリスクもありますが、使い方次第では資金効率を高めてくれる強い味方。現物しか使わないのは取引手法が制限されていてもったいないと思います。同じマーケットの土俵に立っていながら、制限されたルールで競技しているようなものですから。自ら勝てる可能性をそれだけ放棄しているとすら言えるかもしれません。僕はもう信用がない時代を思い出せない。『あって当たり前、使って当たり前』という感覚です」

欲張り戦略

イメージだけで敬遠するのはもったいない

Tyunさんは、①株価下落局面では「売りから入れる」メリットを活用し、②レバレッジをかけて資金を効率よく増やし、そして今は③手数料を抑えられることから信用取引で取引する、というように投資家としてのステージや相場の状況に合わせて信用取引を活用してきました。

信用取引の活用方法

「信用取引だからといって身構える必要はありません」とTyunさんは言います。

「信用取引=怖い」といったイメージだけで敬遠するのはもったいない話。まずはTyunさんのように「コスパ目当て」で信用取引を始めてもいいですし、普段は現物取引が中心でも「下落局面への備え」として信用取引できる口座を開いておいてもいいでしょう。これから資産を増やしていこうとするなら、「損をしてもいい」と割り切れる金額で高いリスクを取って大きく増やすことをめざした取引もできます。

自分のステージや資産状況に合わせて便利に使える信用取引、ぜひ活用してみましょう。

\「約定代金や建玉残高の条件なくいつでも0円というのはすごい」(Tyunさん)/

プロフィール
プロフィール

Tyun
専業投資家
東京都在住。祖父の影響で小学生の頃から株に親しみ、大学生で投資家デビューを果たす。2006年のライブドアショックで300万円の損失を被ったことからデイトレードを中心としたスタイルを確立。2008年には週次無敗を達成。2022年までに4億円以上の利益を上げる。現在はデイトレードと中期のスイングトレード、PO、IPOまで手広くこなす。

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