FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」
【第36回】

日興で相続対策

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(2017年3月23日)

【第36回】介護が必要になってからでは遅い?! ―介護と遺産分割の問題―

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしております。第36回目のコラムは、介護と遺産分割についてのお話です。

介護の問題は他人事ではありません

超高齢社会に突入した日本においては、高齢者は今後も増え続け、介護が必要となる方の数も増え続けることが想定されています。政府は介護離職ゼロを目標に介護施設の増設や介護休業を取りやすくする方針等を掲げています。

高齢になればなるほど、介護が必要となる方の割合は増えますが、一方で、いつ誰に介護が必要になるのかは分かりません。介護は家族を巻き込み、誰がどれだけ親の介護に貢献したかといった事をめぐって、将来の遺産分割にも影響を及ぼす可能性があります。

相続人ではない「子どもの配偶者」が介護したとしてもその分の財産をもらえるとは限りません

「寄与分」という制度があります。寄与分は亡くなられた方の財産の維持または増加について特別に寄与(財産上の給付、労務の提供、療養看護など)した『相続人』に対し、寄与相当の財産額の取得が認められる制度です。つまり、『相続人ではない方』が亡くなられた方の介護をしていたとしても寄与分は認められません(注)。また、相続人が介護をしていたとしても、親子間における介護は扶養義務の範囲であると考えられるのが一般的であるため、寄与分は認められにくいのが実情です。

  • (注)2016年7月に法制審議会の民法部会において「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が公表され、相続人ではない2親等以内の親族についても寄与分が認められる方向で検討されています。

介護したのに財産を一切もらえない事例も!

財産をもらいたいがために介護を引き受けるといったことはあまりないのかもしれませんが、かといって、介護したのに何も財産をもらえないとなると話は違ってくるのではないでしょうか。ところが何ももらえないということも現実に起こりえる可能性はあるのです。

たとえば、長男のお嫁さんが長男の母親の介護をしてきており、長引く介護期間中に長男が不慮の事故で他界してしまったとします。つまり長男の母親よりも長男の相続が先に発生してしまったというケースです。このとき、長男の母親が遺言書を作成できる健康状態であれば、その時点で遺言書を作成することで、お嫁さんに財産を遺してあげることはできます。また、長男夫婦に子どもがいれば、長男の母親の相続時には長男に代わって相続人となり財産を取得できますので、お嫁さんにとっても納得感があります。ところが、子どもがいなかった場合には、長男が亡くなった時点で、長男の母親の財産を引き継ぐ権利が閉ざされることになってしまいます。これでは、長期間にわたり介護に時間を費やしてきたお嫁さんが浮かばれません。

お元気なうちから介護についての話し合いを

介護の問題は決して明るい内容ではないため、親子ともになかなか切り出しにくい話題ではありますが、万が一のときにどうするのかということは、元気なうちに話し合っておきたいところです。またその際には、面倒を看てくれる人に対し、遺言書等により相応の財産を遺してあげることも併せて考えておくことをお勧めします。そして、遺言書の作成にあたっては付言事項として介護のことについて触れることや、状況に応じて遺言書の内容の見直しを行うことが大切です。

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