FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第43回】

【第43回】デジタル遺品でご家族に迷惑を掛けないために

2019年4月22日

FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第43回目のコラムは、パソコンやスマートフォン等に保存されているデジタル遺品のお話です。

デジタル遺品とは!?

故人が保有していたパソコンやスマートフォン等に保存されていたデータ、インターネット上の登録情報等の総称です。具体的には、スマートフォンに保存されている友人や知人の連絡先や予定表、ネットバンクやネット証券、暗号資産(仮想通貨)等の口座のIDやパスワード、SNSのアカウントなどが主だったものです。

デジタル遺品の相続トラブル

家族の想い出が見つからない

近年、家族や友人との写真や動画をスマートフォンやデジタルカメラで撮影し、パソコン等に保存される方は多いかと思いますが、故人が遺したパソコン等を開くためのパスワードがわからないと想い出の写真や動画のデータを見ることができません。中にはデータの存在にすら気づかれないケースもあるそうです。

友人知人の連絡先がわからない

葬儀に故人の友人知人を呼びたくても、連絡先が保存されているスマートフォンを開けないと連絡することができません。

資産が引き出せない

ネットバンクやネット証券の株式等は、万が一パスワードがわからなくても銀行や証券会社に問い合わせ、一定の手続きを経ることでほとんど問題なく資産を引き出すことはできますが、暗号資産(仮想通貨)等を取引している場合、暗号資産を保存し管理するウォレット(電子化されたお財布のようなもの)のパスワードがわからないと資産を引き出すことが非常に困難になります。

暗号資産を現金化しないと相続税の納税資金を確保できないようなケースではその影響も大きくなります。余談ですが、残されたご家族がパソコン等を問題なく開くことができた場合でも、故人としては家族に見せたくない情報データがそのまま保存されていて家族の目に触れトラブルに発展してしまうようなケースも想定されます。可能であれば早めの事前対応を心掛けることをお勧めします。

デジタル遺品でご家族に迷惑を掛けないために

近年、増えつつあるデジタル遺品にまつわる相続トラブルを回避するには、パソコン等のパスワード等を一覧にしてエンディングノート等に記載し、その存在を家族に知らせておくことをお勧めします。

エンディングノートは自由に何でも書き遺すことができますが、財産処分については法的な効力を有さないので、遺言書を作成しておくことをお勧めします。遺言書を遺すことで故人の資産把握はもちろんのこと、相続人間での遺産分割の話し合いを省略することもできます。ただし、安易に作成した遺言書はかえって相続トラブルを招くことになりかねないので、ご家族それぞれのご事情を考慮し、遺産配分等に留意して作成することがポイントです。
これを機にご家族に迷惑を掛けないための準備を、ご検討なさってみはいかがでしょうか。

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