FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第42回】
【第42回】民法改正D相続された預貯金の遺産分割前の払戻し制度の創設
2019年2月25日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えいたします。第42回目のコラムは、相続された預貯金の遺産分割前の払戻し制度の創設についてのお話です。
■遺産分割前に被相続人の預貯金の一定額の払戻しが受けられるようになります
2016年12月19日最高裁大法廷決定により、相続された預貯金は遺産分割の対象財産に含まれることとなりました。このため、相続人の生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などの資金需要がある場合でも、現行制度では遺産分割が終了するまでは預貯金を含む相続財産は相続人全員の共有財産となり、共同相続人による単独での払戻し等はできません。このような資金需要に対応できるよう、2018年7月6日に成立した「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」により、「遺産分割の見直し」として、「遺産分割前の払戻し制度」が創設されました。この制度は2019年7月1日に施行されます。
■2つの払戻しの制度が設けられました
- ①家庭裁判所に遺産分割の審判または調停の申し立てを行うことにより、家庭裁判所の判断で預貯金の全部又は一部の払戻しを受ける方法(すぐに必要な資金の需要には対応できないという欠点があります)
- ②金融機関の窓口において一定額までの払戻しを受ける方法
■預貯金の払戻し制度における留意点
2つの払戻し制度の創設により、遺産分割前の資金需要に対応できるようになりますが、①家庭裁判所で手続きする方法は遺産分割の審判または調停を申し立てる必要があり時間がかかることが予想され、すぐに必要な資金の需要には対応できません。また、②金融機関の窓口において一定額までの払戻しを受ける方法においては同一の金融機関における法務省令で定める上限額150万円が限度となりますので、多額の資金需要には適しません。どちらも一長一短があります。
遺す側の立場の方は相続発生後、遺される相続人がすぐに必要となる資金のことで困らないようにするために生命保険を活用することも1つの方法です。生命保険金は受取人を指定することができ、法定相続分とは別に扱われます。死亡保険金は受取人固有の財産となり、遺産分割協議の対象外になります。そして相続発生後は速やかに現金が受け取れるので、すぐに必要となる資金需要にも対応できます。
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