FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」【第1回】
【第1回】増加する“遺産分割トラブル『争族』”への備え
2014年4月24日
FPの相続コラム「子々孫々へ遺す想い」では、毎月1回、相続に関連したお役立ち情報から最新の話題までをお伝えしてまいります。第1回目のコラムは、増加する“遺産分割トラブル『争族』”に備えるために作成する遺言のお話です。
遺産分割トラブル「争族」の実情
近年、遺産をめぐるトラブル「争族」が増加しています。相続人同士の話し合いでは解決にいたらず、家庭裁判所に持ち込まれるケースが増加傾向です。最高裁判所の司法統計によると、平成24年の遺産分割事件の新受件数は過去最高の1万5,286件(5年前の約25%増)となっています。
特徴的なのは、遺産の大小にかかわらずトラブルが発生していることです。よく、「うちは財産が少ないから争いなんて起きないよ!」と考えられる方がいらっしゃいますが、遺産分割事件の約73%は遺産額5,000万円以下という統計結果もでています。
トラブル増加の主な要因としては、核家族化などで家族関係が希薄になったことや、個人の権利意識が高まったこと、分割しにくい財産(土地等)が多いことなどがよく取沙汰されます。近年では生前中の親の世話や介護について、介護をした相続人は遺産を多くもらうことを主張し、一方、介護をしなかった相続人は法定相続分を主張して話し合いがまとまらないといったケースなども増えているようです。
「争族」を回避するための公正証書遺言の作成
トラブル件数が増加の一途を辿る中、「争族」を回避するため、元気なうちに遺言を遺そうとする方が増えています。しかし、既に遺言を遺している方で、「うちは遺言を書いているから大丈夫!」と自信をもって言われる方がいらっしゃいますが、作成された自筆証書遺言に不備があって、そのままでは無効な遺言であったり、有効であってもポイントが押さえられてないために無意味な遺言であったり、「争族」になってしまうような内容であるケースもよく見掛けます。
これから遺言を書こうと考えられている方や書き直しを検討されている方には、第三者の意見を聞きつつ、無効になるリスクがほとんどない公正証書遺言を作成することをお勧めいたします。ちなみに、平成25年中に公正証書遺言を遺された方は、過去最高の9.6万人です。
遺言執行者の指定
また、遺言書の作成にあたっては、遺言執行者を指定することをお勧めいたします。遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な一切の権利義務を有する人のことで、遺言書に遺言執行者を指定することができます。
遺言書を作成していても、遺言執行者がいないと、遺言で財産をもらう人(受遺者)に不動産の名義を代える場合、相続人全員の印鑑証明書が必要になるなど、手続きが非常に面倒です。もし、遺言書の内容に不満を抱いた相続人がいる場合、遺言執行に協力してもらえず、遺産分割ができないことにもなりかねません。しかし、遺言執行者を指定しておけば、この遺言執行者とその財産をもらう人の実印と印鑑証明書があれば、不満を抱いた相続人の実印や印鑑証明書なしで財産の移転が可能になります。
この遺言執行者ですが、誰を指定したらいいかというと特に制限はありません。相続人の一人が遺言執行者になるケースがありますが、相続人同士の仲が悪い場合、遺言執行の手続き上問題なくても、「なんで、長男が取り仕切るんだ?納得いかない…」といった感情的な部分が原因でトラブルになることもあります。できることならば、費用が掛かっても相続人以外の信頼できる第三者を指定することをお勧めします。
大切な財産を大切なご家族に遺すための遺言書の作成を、ぜひご検討なさってみてください。
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