FX取引の分析方法は、主にファンダメンタルズとテクニカル分析の2つです。
2つの分析方法の違いは以下のとおりです。

為替の値動きに大きな影響を及ぼす代表的な事柄は金融政策です。
金融政策とは、その国の物価や通貨を安定させるために各国の中央銀行がおこなう経済政策で、たとえば日本では日本銀行が実行しています。

中央銀行は自国の経済情勢、景気の状況などから「金融緩和」「金融引き締め」をおこなうこととなります。
金融緩和は、主にその国の景気が悪い場合に実施され、金利の引き下げなどをおこないます。
金利が下がることで消費が刺激され景気が回復し、物価の上昇につながります。
金融緩和をしている国の通貨は資金が海外に流出する事で売られやすくなります。

反対に金融引き締めは、その国の景気が加熱しすぎている時に実施され、金利の引き上げなどをおこないます。
金利が上がることで加熱しすぎた景気が抑制され、物価の安定につながります。
金融引き締めをしている国の通貨は金利上昇により買われやすくなります。

中央銀行は、金融政策を決める会合を定期的に開催しており、特にアメリカの金融政策会合の「FOMC（連邦公開市場委員会）」は、為替相場にも大きな影響を及ぼします。
FOMCは年に8回、2日間ずつ開かれ、会合の2日目にその発表が行われます。

経済指標は、各国の経済状況を表す指標です。
各国の中央銀行が金融政策の方向性を決める際にも参考にされます。
主に以下の3つの経済指標がFX分析には重要視されます。

地政学的リスクとは、戦争や軍事問題などが経済にもたらすリスクをさします。
自然災害や新型コロナウイルスの病原菌など、社会的な緊張を及ぼすリスクも含みます。

これらは実質的な企業の活動や消費者の心理にマイナスな要素を与え、結果的にFXのチャートにも影響を与える可能性があります。

近年ではロシアウクライナ問題における、ルーブル（ロシアの法定通貨）の急落などが挙げられます。
これには、戦争によりロシアの紙幣の価値が落ちていくことを懸念した結果が現れていると言えます。

その他、経済に関わる重要人物の発言もFXに大きな影響をもたらす場合があります。
例えばFRB（米連邦準備理事会）議長、日本銀行総裁、財務大臣などが経済について強気な発言をするか弱気な発言をするかなどが、将来の利上げや利下げの予測につながります。

他にもG7やG20などの国際会議、ウォーレン・バフェットら著名な投資家の発言も為替相場に影響を与える場合があります。
大きな経済指標発表等がないにもかかわらず、突然大きく相場が動いたときは、要人が何かしら影響力のある発言をしている場合が見られます。

ファンダメンタルズ分析は、短期的な相場分析にはあまり向いていません。

ファンダメンタルズ分析は経済の動向や、景気の状況を踏まえて、中期から長期的な予測を立てることに向いており、短期的な相場の上下を切り取るトレードをする場合は、ファンダメンタルズの影響を受けづらくあまり有効な手段ではありません。
ただし短期的なトレードであったとしても、大きなトレンドの方向性は重要であるため、相場の大まかな方向性を分析するためにファンダメンタルズを参考にすることもあります。

また、指標発表時など相場が急騰・急落するタイミングを狙って数秒単位で売買を繰り返すスキャルピングという取引手法はギャンブル的なトレードになりやすい為、初心者にはおすすめできず、FX業者によっては規約違反に該当する場合もあるため注意しましょう。

どれだけ影響力の強いと言われる経済発表や要人発言であっても、必ずしも相場に影響を与えるわけではありません。
一時的な急騰・急落があってもすぐに元通りの相場の流れに戻ることも多く、ファンダメンタルズ分析において過信は禁物です。

とはいえ、ファンダメンタルズ分析の材料となる事柄は多く、当然すべてが相場に織り込まれ影響を与える可能性を持っています。
それらすべてを常に分析し、予測を組み立て続けるのは難易度が高く現実的ではありません。
ある程度自分で分析に使うファンダメンタルズ要素を絞っておき、分析のルールを作っておくと良いでしょう。

ファンダメンタルズ分析は、分析する人によってさまざまな見方があり、同じタイミングで分析をしていても真逆の分析結果になる可能性があります。
SNS等では、さまざまな人がさまざまな分析を公表していますが、それらの分析に影響を受けて左右されてしまうと、あなたのファンダメンタルズ分析に一貫性がなくなります。
ファンダメンタル分析を行う際は、できる限り自分で判断し、考え方やルールを絞る方が良いでしょう。
そのためには、ある程度しっかりと政治や経済についての知識を身につけておく事も重要です。

前述した雇用統計やFOMCなどの発表時は、相場が大きく荒れることがあります。

一番注意したい点は、数秒から数分の間に価格が大きく変動してしまう点です。
一瞬にしてロスカットや、損切りの指値にかかってしまう可能性もあるため注意が必要です。

また、取引量が一気に多くなり、通常ではありえないようなスプレッドの開き方になることもあり、このようなタイミングでのエントリー（新規取引）は想定外の価格から取引のになってしまう可能性があります。
また、相場の急変動時には指値・逆指値注文とも、実際とは大きく乖離したところで約定してしまう可能性が出てきます。
相場の状況によっては約定されない場合もあるため気をつけましょう。

重要な指標の発表時にエントリー（新規取引）をする際や、ポジションを保有する際は、上記のことに十分注意をしておく必要があります。

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