知っておきたい。認知症のこと。
認知症とは
認知症とは、脳の病気などが原因で認知機能が低下し日常生活全般に支障が出る状態のことです。
    初期症状は、もの忘れから始まり、徐々に普段やっていたことのミスが増えるようになります。
    人生100年時代を迎え、私たちの社会は高齢化の進展とともに、認知症患者への対応という新たな課題に直面しています。
    認知症は単なる個人の問題ではなく、家族や地域、さらには社会全体に影響を及ぼす重要なテーマです。
    本ページでは、認知症患者とそのご家族が直面する現実、現行の支援体制の課題、そして今後の展望について解説いたします。
認知症は誰にでも起こりうる身近な病気
高齢者の有病率は2030年に14.2%(7人に1人)に達するとされています。その後も高齢化とともに認知症の患者数は増加し、2055年には認知症とMCI(軽度認知障害)を合わせた患者数は1256万人を超え、高齢者の3人に1人は認知症またはMCI(軽度認知障害)になる見通しとなっています。
- ※MCI(軽度認知障害):もの忘れなどの軽度認識脳障害が認められるが、日常生活は自立しているため、認知症とは診断されない状態。
 


資料:「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」(令和5年度老人保健事業推進費等補助金 九州大学 二宮利治教授)より厚生労働省にて作成
資産管理を巡る認知機能の段階
正常加齢に伴う認知機能の低下の範囲であれば、買い物や銀行での入出金などの日常の生活にはそれほど深刻な影響は与えないものの、MCI(軽度認知障害)や認知症になった場合、経済活動や資産管理に問題も出てきます。
日常生活の中で最初に難しくなるのが金銭の管理とされています。下表では、資産管理を巡る認知機能の段階についてを示しています。
| 段階 | 症状 | 現象 | 
|---|---|---|
| 第1段階 | 正常加齢 | 最小限の低下 | 
| 第2段階 | 軽度認知症(MCI) | 銀行取引明細の管理、請求書の支払い、複雑な処理能力が低下。適切な金融管理ができなくなり、経済虐待の被害など | 
| 第3段階 | 軽度アルツハイマー病(MILD AD) | “お金を数える”といった簡単なものから、複雑な処理を要するほぼ全ての金融能力を喪失 | 
| 第4段階 | 中程度アルツハイマー病(Moderate AD) | 自力で金融取引を行うことは困難 | 
| 第5段階 | アルツハイマー | 完全に金融能力は喪失 | 
資料:「 認知症および軽度認知障害(MCI)の患者数と有病率の将来推計について 」(2024/6/28 日本金融ジェロントロジー協会作成)